「複数の意見を読んで、考えよう」解説|3人の意見・要旨と比較ポイント【中3国語】
中学3年国語で学習する「複数の意見を読んで、考えよう―正解が一つに決まらない課題と向き合う」について、3人の論者の意見の違いや共通点、文章を比較するときのポイントをわかりやすく解説するよ。
この単元で登場するのは、気象学者の真鍋淑郎さん、環境科学者・生態学者の伊勢武史さん、テレビプロデューサーの堅達京子さん。
3人とも「環境問題を解決するために、今、何が必要か」という同じテーマについて考えているけれど、注目しているところや提案していることには違いがあるんだ。
それぞれの意見を比べながら、筆者の主張とその根拠、具体例、論理の進め方などを整理していこう。
目次
「複数の意見を読んで、考えよう」はどんな単元?
私たちの社会には、答えが簡単には決められない問題がたくさんあるよね。
例えば環境問題。「環境を守ることが大切」というところまでは多くの人が賛成できても、では、具体的に何をすればよいのかとなると、答えは一つではないよね。
科学的に原因を明らかにすることが必要だと考える人もいれば、社会の仕組みを変える必要があると考える人もいる。一人一人が行動することが大切だと考える人もいる。
たろう
くまごろう教科書では、「ただ一つの明白な正解」が存在しないような課題に向き合うためには、誰かの意見をそのまま受け入れるのではなく、一人一人が自分のこととして捉え、批判的に考えることが大切だと示されているよ。
そこでこの単元では、気候変動をはじめとする環境問題について、3人の論者がそれぞれの立場から意見を述べているんだ。
3人は何について意見を述べているの?
3人に共通するテーマは、「環境問題を解決するために、今、何が必要か」ということ。
でも、その問いに対する3人の答えは同じではないよ。
3人の違いを大きく整理すると、次のように考えられるよ。
| 論者 | 立場 | 提言の中心 |
|---|---|---|
| 真鍋淑郎さん | 気象学者 | 科学的根拠に基づき、現状や原因を正しく理解する |
| 伊勢武史さん | 環境科学者・生態学者 | 個人の良心だけに頼らず、社会全体で解決できる仕組みを作る |
| 堅達京子さん | テレビプロデューサー | 一人一人が問題を自分のこととして捉え、行動を起こす |
たろう
くまごろう真鍋淑郎さんの意見
まず科学的根拠から問題を理解する
真鍋淑郎さんは、気象学者。コンピューターを使って地球温暖化を再現する「気候モデル」を用いて、長年、地球温暖化について研究してきた人物だよ。
真鍋さんの文章で中心になっているのは、環境問題を解決するためには、まず科学的根拠に基づいて現状や原因を正しく理解することが必要だという考え方。
気候は、大気や海洋など、さまざまな要素が複雑に関係し合ったもの。そのため、気候の変化を理解するには、観測データや気候モデルなどに基づいて科学的に考える必要があるんだ。
世界各地で集めた観測データや、気候モデルを使った研究を積み重ねることで、気候がどのように変化しているのか、その原因は何なのかを科学的に考えることができる。
真鍋さんは、産業革命前の長い期間ではあまり変動しなかった地球の平均気温が、その後上昇してきたことや、気候モデルによる計算などをもとに温暖化について説明しているよ。
たろう
くまごろう真鍋さんの文章の特徴
真鍋さんは、自分の意見だけを述べているわけではないよ。
研究の成果や観測データ、気候モデルによる予測などを示しながら、自分の考えを説明している。
つまり、客観的なデータや科学的な研究成果を根拠として論を進めていることが特徴なんだ。
伊勢武史さんの意見
社会全体で解決できる仕組みを作る
伊勢武史さんは、環境科学者・生態学者。
伊勢さんが注目しているのは、一人一人の善意や良心だけに環境問題の解決を任せることの難しさだよ。
例えば伊勢さんは、スーパーで食品を選ぶ場面を取り上げているよ。買い物をするとき、なるべく安くておいしいものを選びたいと思うのは自然なことだよね。
環境によい商品を選びたいという気持ちがあっても、そのために大きな負担をしなくてはいけないのなら、誰もがいつでも環境によい方を選べるとは限らない。
たろう
くまごろう文章では、「インセンティブ」という考え方も取り上げられているよ。
インセンティブとは、人々の意思決定や行動を変化させる要因となるもの。
例えば、政府が環境によい製品に補助金を出して価格を安くすれば、消費者がその商品を選びやすくなる。その結果、企業側も環境に配慮した商品を作りやすくなるよね。
このように伊勢さんは、個人に負担を強いるのではなく、環境によい選択をしやすくなる仕組みを社会全体で作ることを重視しているんだ。
伊勢さんの文章の特徴
伊勢さんは、「ごみ拾い」「節電」「募金」といった身近な行動や、買い物の場面などを取り上げている。
読者が自分の日常生活と結び付けて考えられる具体例を使いながら、社会の仕組みを変える必要性へと話を広げているところが特徴だよ。
堅達京子さんの意見
一人が踏み出す一歩は、実は大きな一歩
堅達京子さんは、長年テレビ局のプロデューサーとして環境問題をテーマにした番組を制作し、専門家や企業の担当者などへの取材を重ねてきた人物だよ。
堅達さんが強く訴えているのは、一人一人が行動を起こすことの大切さ。
環境問題はあまりにも大きな問題なので、「自分一人が何かをしても、何も変わらないのでは?」と考えてしまうこともあるよね。
けれども堅達さんは、一人の行動が決して小さなものではないと考えている。
例えば、電気をこまめに消すこと、自転車や公共交通機関を使うこと、木を植えること、マイバッグを持ち歩くこと、プラスチックや石油製品の使用を控えることなど、一人でもできる行動はいろいろあるよね。
もちろん、一人の行動だけですぐに地球温暖化が止まるわけではない。
でも、その行動が周りの人に影響を与えれば、行動する人が増えていくかもしれない。さらに、多くの人が行動すれば、企業の活動方針や社会の仕組みを変える力につながっていく。
たろう
くまごろう堅達さんの文章の特徴
堅達さんの文章では、読者に直接働きかけるような具体的な行動が数多く挙げられているよ。
また、一人の行動から周囲の人々へ、さらに企業や社会へと影響が広がっていくというように、個人の行動と社会の変化を結び付けて論を進めているところにも注目しよう。
3人の意見を比較しよう

ここまでの3人の意見を並べてみよう。次の「科学・社会の仕組み・一人一人の行動」という分け方は、3人の違いを分かりやすくするために整理したものだよ。
| 真鍋淑郎さん | 伊勢武史さん | 堅達京子さん | |
|---|---|---|---|
| 注目しているところ | 科学的根拠 | 社会の仕組み | 一人一人の行動 |
| 提言の中心 | 科学的根拠に基づいて現状や原因を正しく理解し、有効な対策を講じる | 個人の良心や自己犠牲だけに頼らず、社会全体で解決できる仕組みを作る | 一人一人が自分のこととして考え、行動を始める |
| 主に用いているもの | 研究成果・観測データ・気候モデル | 日常生活の具体例・社会の仕組み | 具体的な行動例・取材などから得た考え |
| 問題解決への視点 | 現状や原因を正しく理解する | 行動しやすい社会を作る | 一人一人が行動する |
たろう
くまごろう3人の提言を一文でまとめると
教科書では、「3人の筆者は、環境問題を解決するために、今、何が必要だと考えているか」を考え、それぞれの提言の要旨をまとめることが求められているよ。
真鍋淑郎さん:
科学的根拠に基づいて現状や原因を正しく理解し、そのうえで有効な対策を講じる。
伊勢武史さん:
個人の良心や自己犠牲だけに頼らず、誰もが環境によい行動を選びやすい社会の仕組みを作る。
堅達京子さん:
市民一人一人が行動を起こし、その行動を周囲・企業・社会の変化につなげる。
くまごろう3人の意見に共通していること
3人の提言は違うけれど、「誰か一人だけが正しく、ほかの2人は間違っている」という関係ではないよ。
むしろ、環境問題という大きく複雑な問題を、それぞれ異なる立場から見ていると考えると分かりやすい。
例えば、3人の意見を組み合わせて考えるなら、こんなふうにつなげることもできるよ。
① 科学的根拠によって、何が起きているのかを正しく知る
↓
真鍋さんの視点
② 環境によい行動を取りやすい社会の仕組みを作る
↓
伊勢さんの視点
③ 一人一人も実際に行動する
↓
堅達さんの視点

これは、3人の意見を組み合わせて考えた一例だよ。教科書が「この順番で解決するべきだ」と示しているわけではないことには注意しよう。
このように3人の意見を関連づけて考えると、それぞれが環境問題を異なる方向から捉えていることがよく分かるね。
ただし、「だから3人とも全部正しい」とそのまま受け入れて終わるのが、この単元の目的ではないよ。
それぞれの文章を読んで、「この根拠は十分かな?」「この具体例から、本当にこの結論が言えるかな?」「別の考え方はないかな?」と、自分で考えることが大切なんだ。
「批判的に読む」とは?
たろう
くまごろう文章を批判的に読むとは、書かれている内容をそのまま受け入れるのではなく、自分の知識や経験、ほかの人の考えなどと比べながら、吟味したり検討したりすることだよ。
例えば、こんな文章があったとしよう。
みんながマイバッグを使えば、環境問題は解決する。
これを「そうなんだ!」とそのまま受け入れるのではなく、
- 本当に「みんな」と言えるのかな?
- それだけで環境問題全体を解決できるのかな?
- その主張を裏付ける根拠はあるのかな?
- ほかにも必要な取り組みがあるのでは?
などと考えてみる。
これが「批判的に読む」ということなんだ。

たろう
くまごろう文章を評価するときの観点
では、実際に文章を批判的に読むときには、どんなところを確認すればよいのかな?
教科書では、「批判的に読み、評価する観点の例」として、次のような観点が示されているよ。
① 筆者の立場
まず、「この人はどんな立場から意見を述べているのか」を考えよう。
今回なら、真鍋さんは気象学者、伊勢さんは環境科学者・生態学者、堅達さんは環境問題を取材してきたテレビプロデューサーという、それぞれ異なる立場をもっている。
また、その話題に対して筆者が賛成・肯定しているのか、中立・保留の立場なのか、反対・否定しているのか、といったことも読み取ろう。
立場が違えば、同じ環境問題を見ても、注目するところが変わることがあるんだ。
② 論理の展開
筆者がどのような順序で話を進め、意見と根拠をどのようにつないでいるのかを確認しよう。
- 論理の展開に無理や飛躍はないか
- 意見を裏付ける根拠は適切か
- 意見と根拠が無理なく結び付いているか
- 原因と結果の関係は適切か
- 別の原因は考えられないか
- 具体例は適切か
といった点を考えるといいね。
③ 情報の信頼性
根拠として使われている情報が信頼できるものかどうかも重要だよ。
- 根拠となる事実は正確か
- 客観的に確かめられる情報か
- 必要な情報がきちんと示されているか
などを確認しよう。
④ 叙述の適切さ
叙述とは、文章に書き表すことや、その書き表し方のこと。
例えば、筆者が「事実」と「意見」をきちんと書き分けているか、言葉の使い方が適切か、といったところを確認するよ。
⑤ ものの見方・考え方
最後に、筆者の考えを、自分の知識や経験、ほかの人の考えなどと比べてみよう。
「自分はこの意見に納得できるか」「別の立場から考えるとどうなるか」と考えることで、自分自身の考えも深めることができるよ。
| 観点 | チェックするポイント |
|---|---|
| 筆者の立場 | どのような立場から意見を述べているか |
| 論理の展開 | 意見と根拠が適切につながり、無理や飛躍がないか |
| 情報の信頼性 | 根拠となる事実は正確で客観的か |
| 叙述の適切さ | 事実と意見が書き分けられ、適切に表現されているか |
| ものの見方・考え方 | 自分の知識や経験、ほかの人の考えと比べてどう評価するか |

テストでは、単に「3人のうち誰の意見が正しいか」を答えるのではなく、「なぜその意見に説得力を感じたのか」「どのような根拠や論理の進め方が効果的だったのか」まで説明できるようにしておこう。
重要語句を確認しよう
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 科学的根拠 | 観測・実験・研究などによって確かめられた、考えや判断のよりどころ |
| 気候モデル | 気候の仕組みや変化をコンピューター上で再現・予測するためのモデル |
| インセンティブ | 人々の意思決定や行動を変化させる要因となるもの |
| 批判的に読む | 内容をそのまま受け入れず、自分の知識や経験、ほかの人の考えと比べて吟味・検討しながら読むこと |
| 吟味 | 物事を念入りに調べ、よく考えること |
| 叙述 | 物事を文章に書き表すこと。また、その書き表し方 |
| 論理 | 考えや議論の筋道 |
| 提言 | 考えや意見を示し、提案すること |
新出漢字を確認しよう
本文に出てくる新出漢字も、読み方とあわせて確認しておこう。
| 新出漢字 | 読み | 言葉の例 |
|---|---|---|
| 献 | ケン | 貢献(こうけん) |
| 貢 | コウ/みつ(ぐ) | 貢献(こうけん) |
| 性 | セイ・ショウ | 可能性(かのうせい) |
| 犠 | ギ | 犠牲(ぎせい) |
| 豪 | ゴウ | 豪雨(ごうう) |
| 酷 | コク | 酷暑(こくしょ) |
| 洪 | コウ | 洪水(こうずい) |
| 循 | ジュン | 循環(じゅんかん) |
この単元で一番大切なこと
この単元で大切なのは、3人の意見を暗記することだけではないよ。
環境問題のような「正解が一つに決まらない課題」に出会ったとき、誰かの意見をそのまま正解だと思うのではなく、複数の意見を比べ、根拠や論理を確かめながら、自分自身で考えることが大切なんだ。
真鍋さんは、まず科学的根拠に基づいて現状や原因を正しく理解し、そのうえで有効な対策を講じる必要があると提言している。
伊勢さんは、個人の良心や自己犠牲だけに頼らず、環境によい行動を選びやすい社会の仕組みを作る必要があると提言している。
堅達さんは、市民一人一人が行動を起こし、その行動を周囲・企業・社会の変化につなげることが大切だと提言している。
3人の文章を比べることで、一つの問題にもいろいろな見方があることが分かるよね。
たろう
くまごろう「複数の意見を読んで、考えよう」のテスト対策問題とドリルにも挑戦して、3人の提言や文章を比較するポイントをしっかり身につけよう。
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運営者情報
檜垣由美子
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良かったです!!そんな風に言っていただけてとても嬉しいです。
こちらこそ、次のテストの時期や、範囲の単元を教えていただけると、みなさんが必要なものを作れるので助かっています!
他にも必要なものがあったら、いつでもお知らせください。
テスト、応援しています!!
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お忙しいところ作っていただきありがとうございます!とても早くて授業の復習に使っています!
ゆみねこさんの教材はいつも定期テスト対策の際に使っており、教科書の内容をわかりやすく丁寧に解説しているので本当にありがたいです。
11月の定期テストも頑張ります!