若山牧水「白鳥はかなしからずや~」意味と表現技法・句切れを解説(短歌を味わう)
中学校2年生の国語で学習する若山牧水の短歌「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」について、わかりやすく解説するよ。
短歌の意味、作者の心情、歴史的仮名遣い、句切れや表現技法など、定期テスト対策に必要なポイントをくわしく説明するよ。
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」歌と読み方
白鳥はかなしからずや空の青 海のあをにも染まずただよふ
【読み方】
しらとりは かなしからずや そらのあお うみのあおにも そまずただよう
「白鳥」は、ここでは「しらとり」と読むよ。
くまごろうもとの歌では「哀し」と表記されている
教科書では「かなし」とひらがなで書かれているけれど、若山牧水の第1歌集『海の聲』に収められた歌では、「哀し」と漢字で表記されているよ。
さらに、この歌は最初に発表されたときから『海の聲』に収められるまでに、牧水自身によって推敲されているんだ。
1907年に文芸雑誌『新声』に発表されたときは、「白鳥」を「はくてう」と読ませ、「海の青」→「そらのあを」という順番だったよ。
ところが、翌1908年に第1歌集『海の聲』へ収めるときには、「白鳥」の読みを「しらとり」に変え、さらに「空の青」→「海のあを」という現在よく知られている順番に変えているんだ。
つまり牧水は、言葉の順序や読み方まで考えながら、この歌を推敲していたことがわかるね。
歴史的仮名遣いについて
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」では、「あを」と「ただよふ」に歴史的仮名遣いが使われているよ。
歴史的仮名遣いとは
歴史的仮名遣いとは、昔使われていた仮名の表記の仕方のことだよ。
現代の私たちが使っている仮名遣いは「現代仮名遣い」と呼ばれるんだ。
歴史的仮名遣いの「あを」は、現代仮名遣いでは「あお」になるよ。
また、語中・語尾にある歴史的仮名遣いの「は・ひ・ふ・へ・ほ」は、現代仮名遣いでは「わ・い・う・え・お」となることがあるね。
そのため、「ただよふ」は現代仮名遣いで「ただよう」となるよ。
歴史的仮名遣い
あを → あお
ただよふ → ただよう
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」意味と解釈
まずは、歌の言葉をひとつずつ確認してみよう。
「かなしからずや」は、文法的には「悲しくないのだろうか」という形だよ。
「染まず」とは「染まらないで」という意味で、「ただよふ」は「漂っている」という意味だよ。
なので、現代の言い方でまとめると次のようになるよ。
白い鳥は悲しくないのだろうか。空の青にも、海の青にも染まることなく、白いままで漂っている。

青い空と海を背景に、白い鳥が漂っている情景が詠まれているね。
白い鳥は、周囲を取り囲む空の青にも海の青にも染まらず、白いままで漂っている。
その姿を見て、牧水は「白鳥は悲しくないのだろうか」と問いかけているんだ。
なお、この歌には白鳥が何羽いるのかは書かれていないよ。
1羽の鳥として情景を思い浮かべれば、ぽつんと漂う孤独な印象をより強く感じることもできるけれど、歌そのものから「1羽」と断定することはできないので注意しよう。
「白鳥」は本当に白鳥?
ここで使われている「白鳥」は、「しらとり」と読むよ。
「しらとり」という読みなので、「ハクチョウ」という特定の種類の鳥だけに限定せず、まずは「白い鳥」として情景を思い浮かべるといいよ。
実は、最初に発表されたときには「白鳥」を「はくてう」と読ませていたけれど、『海の聲』へ収める際に、牧水自身が「しらとり」へ変更しているんだ。
この歌でまず大切なのは鳥の種類を一つに決めることではなく、青い空と海を背景に、周囲の青に染まらない白い鳥が存在している情景をつかむことだね。
句切れについて
句切れとは
句切れとは、短歌の中で意味や調子が大きく切れるところのことだよ。
この歌では、
白鳥は かなしからずや / 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
と、「かなしからずや」のあとで意味が大きく切れているね。
これは第2句のあとで切れているので、「2句切れ」だよ。
くまごろう表現技法について
「かなしからずや」の「や」は反語
「かなしからずや」を文法的に分けてみよう。
- かなしから:形容詞「かなし」の未然形
- ず:打消しの助動詞。「〜ない」
- や:疑問・反語を表す助詞
この歌では「や」を反語としてとらえ、
「悲しくないのだろうか。いや、きっと悲しいのだろう。」
と読むのが、国語教材では基本的な考え方だよ。
ただ、文学作品として読む場合には、白鳥に対する「悲しくないのだろうか」という問いかけの響きも感じることができるね。
テスト対策としては、まず「や=疑問・反語。この歌では反語的に読む」と押さえておこう。
「白」と「青」の色の対比
この歌でとても印象的なのが、色彩の対比だよ。
白:白鳥
青:空・海
空も海も青い世界の中で、鳥だけが白い。
この「白」と「青」の鮮やかな対比によって、白鳥の姿がくっきりと際立っているんだね。
さらに、白鳥が周囲の青に染まっていないことで、周囲に同化せず、独立した存在として浮かび上がる。
そこから、孤独な印象を感じ取る読みもできるよ。
「空の青」と「海のあを」
この歌では、同じ「あお」という音を、
- 空の青
- 海のあを
と、漢字とひらがなで書き分けているのも特徴的だね。
なぜこのように書き分けたのか、作者自身が説明しているわけではないので、意図を一つに決めつけることはできないよ。
ただ、同じ「あお」という音を繰り返しながら、「青」と「あを」と表記を変えることで、文字で見たときの視覚的な変化や印象が生まれていると考えることができるね。
「染まず」の表現
「染まず」は、「染まらないで」という意味だよ。
文法的には、動詞「染む」の未然形「染ま」に、打消しの助動詞「ず」が付いた形だよ。
もちろん、本当に空や海の色が鳥の体に染み込むという意味ではないね。
周囲が青い世界なのに、白鳥だけがその青に染まらないと表現することで、白鳥が周囲に同化せず、独立した存在として際立っているんだ。
そして、その姿から孤独やさびしさを感じ取ることもできるね。
「ただよふ」が生み出す印象
最後の「ただよふ」は、「漂っている」という意味だよ。
「飛ぶ」のように、ある目的地へ向かって進んでいく表現とは違って、一定の場所にとどまらず、定まらないまま漂っているような印象を与えるね。
なお、この歌だけでは、白鳥が空を漂っているのか、海の上を漂っているのかまでを確定することはできないよ。
「ただよふ」という結びから、白鳥の定まらない姿を思い浮かべ、そこに孤独やさびしさを感じ取ることができるんだね。

作者「若山牧水」について
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」の作者は、若山牧水。
若山牧水は、1885年に宮崎県に生まれ、1928年に亡くなった歌人だよ。
本名は若山繁。
1904年に早稲田大学へ入学し、尾上柴舟に師事したよ。
牧水は旅や自然、酒を愛した歌人として知られていて、日本各地を旅しながら多くの短歌を残したんだ。
1908年に早稲田大学を卒業し、その直後に第1歌集『海の聲』を出版したよ。
代表的な歌集には『海の聲』『別離』などがあるよ。
今回学習する「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」の原歌も、第1歌集『海の聲』に収められているんだ。
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」作者の心情
この歌で牧水が見つめているのは、空と海の青を背景に漂う白い鳥だね。
周囲には青が広がっているのに、白鳥はその青に染まらず、白いままで漂っている。
その姿を見て、牧水は「白鳥は悲しくないのだろうか」と問いかけている。
この白鳥の姿に、作者自身のさびしさや孤独感を重ねていると読むことができるよ。
これは、この歌の代表的な解釈の一つなんだ。
ただし、鳥が実際に悲しんでいるのか、牧水が白鳥に自分自身をどこまで重ねていたのかは、歌の中で直接説明されているわけではないよ。
だから、
- 白鳥そのものへの哀感
- 白鳥に重ねられた作者自身の孤独感
- 周囲に染まらず存在する白鳥の姿
など、いくつかの方向から鑑賞することができるんだね。
テストでは、「白鳥の姿に作者自身のさびしさや孤独感を重ねていると読むことができる」という形で押さえておくといいよ。
自分なりに短歌を味わってみよう
ここからは、正解が一つに決まるテスト問題とは少し離れて、自分なりにこの短歌を味わってみよう。
例えば、周囲の青に染まらず白いままでいる鳥を見て、「周りに流されず、自分らしく存在している」ように感じる人もいるかもしれないね。
これは作者の意図として決めつけることはできないけれど、短歌では、言葉や情景をもとに自分なりの感じ方を考えることも大切だよ。

「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」語句
| 語句 | 意味 |
|---|---|
| 白鳥 | しらとり。白い鳥。「ハクチョウ」という特定の鳥だけに限定せず、まずは白い鳥としてとらえるとよい。 |
| かなし | 悲しい、心が痛む、さびしい。 教科書では「かなし」と表記されているが、『海の聲』の原歌では「哀し」。 |
| かなしからずや | 悲しくないのだろうか。 「ず」は打消し、「や」は疑問・反語を表す。この歌では「悲しくないだろうか、いや悲しいだろう」と反語的に読むのが基本。 |
| あを | 「あお」の歴史的仮名遣い。 |
| 染まず | 染まらないで。 動詞「染む」の未然形「染ま」+打消しの助動詞「ず」。 |
| ただよふ | 「ただよう」の歴史的仮名遣い。一定の場所にとどまらず漂うこと。 |
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」定期テスト対策ポイントまとめ
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」定期テスト対策ポイント
- 作者は宮崎県出身の歌人、若山牧水。
- 「白鳥」は「しらとり」と読む。
- 光村図書の教科書では「かなし」とひらがなで表記されている。
- 『海の聲』に収められた原歌では「哀し」と表記されている。
- 現代語訳は「白い鳥は悲しくないのだろうか。空の青にも海の青にも染まらず、白いままで漂っている」。
- 「あを」は現代仮名遣いで「あお」。
- 「ただよふ」は現代仮名遣いで「ただよう」。
- 「かなしから」は形容詞「かなし」の未然形。
- 「ず」は打消し、「や」は疑問・反語を表す。この歌では「悲しくないだろうか、いや悲しいだろう」と反語的に読むのが基本。
- 「かなしからずや」のあとで意味が切れるので「2句切れ」。
- 「白鳥」と「空・海」で「白」と「青」の色彩の対比が使われている。
- 「染まず」という表現によって、周囲の青に同化せず、白鳥が独立した存在として際立っている。
- 「ただよふ」は、定まらず漂う白鳥の姿を印象づけている。そこから孤独やさびしさを感じ取ることができる。
- 白鳥が何羽いるのか、空中と海上のどちらを漂っているのかは、歌からは断定できない。
- 白鳥の姿に、作者自身のさびしさや孤独感を重ねていると読むことができる。
参考文献・参考資料
- 若山牧水記念文学館「牧水短歌検索」
- 若山牧水記念文学館「牧水年譜」
- 同志社女子大学 吉海直人「若山牧水の『白鳥は』歌について」
- 国立国会図書館「近代日本人の肖像 若山牧水」
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース「若山牧水の短歌『白鳥は哀しからずや~』について」
運営者情報
檜垣由美子
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