「モアイは語る」筆者の主張とは?本文の読解ポイントと根拠まとめ
中学2年生の国語で学習する「モアイは語る」について、あらすじ(要約)や、内容の説明、筆者の主張と、その根拠となることのまとめなど、定期テストで必要となるポイントを解説するよ。
「モアイは語る」まとめ
- 【内容】
「モアイが作られていたイースター島で何があったか」を研究した結果、分かった事実と、それによって考えられる「今現代の僕たちがとるべき行動は何か」という、筆者の考えを説明した「説明的文章(論説文)」 - 【構成】
➀序論「「モアイとはどんなものか」「どんな秘密があるのか」という話題を提示」
➁本論「「モアイの秘密」に対して、研究などで分かったこと」
③結論「イースター島の歴史を踏まえて、現代の自分たちはどう行動するべきか?という筆者の考え」 - モアイを作ったのは、ポリネシア人
- ヤシの木を木のころとして使い、モアイを海岸まで運んだ
- 森が消滅した結果、海岸までモアイを運ぶことができなくなり、モアイは作られなくなった
- 森が消滅するとともに、食糧危機・部族間の抗争がおこり、イースター島の文明は十七世紀後半から十八世紀前半に崩壊した
- イースター島と、今の地球の共通点:異常な人口爆発・有限な資源
- 筆者の主張:人類が生き延びるためには、今あるこの有限の資源をできるだけ効率よく、長期にわたって利用する方策を考えなければならない
目次
「モアイは語る」解説
「モアイは語る」とは、どんな作品なのかおさえておくべきポイントを説明するよ。
「モアイは語る」とは
「モアイは語る」は、「モアイが作られていたイースター島で何があったか」を研究した結果、分かった事実と、それによって考えられる「今現代の僕たちがとるべき行動は何か」という、筆者(安田喜憲さん)の考えを説明した「説明的文章(論説文)」だね。
説明的文章のテスト対策では、筆者が何を伝えようとしているのかを理解するのがカギなんだ。
「序論」・「本編」・「結論」で構成されている
説明的文章は、読む人が内容を理解しやすいように構成を工夫して書かれていることが多いよ。
たとえば、君が新発売のとても美味しいチョコのお菓子を見つけたとするよ。
それを次の日、学校の友達に話すときを想像してみて。
いきなり「このチョコのお菓子買ったほうがいいよ!」と話しても、あまり伝わらないよね。
「昨日、コンビニで新発売のチョコを買ったんだけど(序論)」
「チョコが濃厚で、ビスケット部分もサックサクですごく美味しかったんだ!(本論)」
「100円でコスパもいいし、期間限定だから絶対買ったほうがいいよ!(結論)」
このように、「何について話すのか(序論)」「何があったのか、わかったのか(本論)」「その結果どう思ったのか、伝えたいことはなにか(結論)」を順序だてて話したほうがよく伝わるよね。
「モアイは語る」も、内容を
- 序論:「モアイとはどんなものか」「どんな秘密があるのか」という話題を提示
- 本論:「モアイの秘密」に対して、研究などで分かったこと
- 結論:イースター島の歴史を踏まえて、現代の自分たちはどう行動するべきか?という筆者の考え
というように、大きく3つに分けて順序だてて説明していることで、読み手に内容がよく伝わるようにしているんだね。
「モアイは語る」あらすじ(要約)
モアイとはイースター島にある人間の顔を彫った巨大な石像だ。
いったい誰が作り、どうやって運んだのか。
そして突然作られなくなったのはなぜか。モアイを作った文明はどうなったのか。
化石人骨や栽培作物の分析から、モアイを作ったのは5世紀頃やってきたポリネシア人であることが判明した。
十一世紀頃、モアイの製造が始まる。同じ頃、島の人口が急増したこともわかった。
柔らかい凝灰岩が露出していた石切り場でモアイは作られた。
モアイを海岸へ運ぶには、木のころが不可欠だ。
イースター島には木材は存在したのか?
私たちの研究により、イースター島はかつてヤシの森に覆われていたことが分かった。
しかしまた、人口が増加する中で森は破壊されていった事実も浮かび上がった。
やがて森が消滅すると、モアイを運ぶこともできなくなり、表層土壌は雨で流失した。栽培や漁も困難になり、イースター島は食糧危機におちいる。
部族間抗争も頻発し、イースター島の文明は十七世紀後半から18世紀前半に崩壊したと推定される。
私たちにも無縁なことではない。森林は、文明を守る生命線だ。
現代、地球始まって以来の異常な人口爆発の中、有限である食料や資源の不足がいずれ恒常化する危険性は大きい。
私たちは、今あるこの有限の資材をできるだけ効率よく、長期にわたって利用する方策を考えなければならない。
ざっくり要約すると・・
モアイって、誰が作ってどうやって運んだんだろう。モアイを作った文明って、どうなっちゃったんだろう?
よし、調べてみよう!(序論)
モアイを作ったのはポリネシア人だった。人口が増えすぎちゃって、森林破壊により、モアイを運ぶために必要不可欠な木はもちろん、資源がなくなって、食糧難と部族間抗争で文明は崩壊したことがわかった!(本論)
人口爆発も、資源が限られている状況も、今の地球と同じじゃないか!
今のままだと、まずいということだ。人類は、有限な資源を効率よく使っていかなきゃダメだよね!(結論)
「モアイは語る」本文の内容とポイント
「モアイは語る」の本文の内容と、おさえるべきポイントをまとめているよ。
序論
1~2段落で、これからどんな話をするかを書いているんだね。
モアイとはどんなもので、どんな秘密があるのかを紹介したうえで、これからその秘密に迫っていくよ!と伝えているね。
序論が書かれている段落 | 段落1~2 |
序論の内容 | 「モアイとはどんなものか」「どんな秘密があるのか」という話題を提示している。 |
「秘密」の内容 (大きく4つ) | ①誰が作ったのか ②どうやって運んだのか ③なぜ作られなくなったのか ④文明はどうなったのか |
本論
3~15段落で、序論で紹介した「モアイの秘密」に対して、研究などで分かったことを説明しているね。
「分かったこと」の内容は大きく4つ。
序論で書かれた問いかけそれぞれに対して、本論でその答えが書かれているよ。
序論での問いかけは、本論のどこで答えられているか?答えの内容はなにか?答えが書かれている部分と、その内容を確認しておこう。
モアイを作ったのは誰か
本論の段落3〜4で
「モアイを作ったのは、西方から島伝いにやって来たポリネシア人」と書かれているよ。
どのようにして作られ運ばれたのか
本編の段落5〜10で
「人間が移住する前のイースター島が、ヤシの森に覆われていた」「島の人々はヤシの木をころとして使い、完成したモアイを海岸まで運んだのだろう」と書かれているよ。
なぜ作られなくなったのか
本論の段落11〜12で
「ヤシの森が消滅していった」「森が消滅した結果、海岸までモアイを運ぶことができなくなった」と書かれているよ。
モアイを作った文明はどうなったのか
本論の段落13〜15で
「森が消滅するとともに、豊かな表層土壌が雨によって侵食され、流失してしまった」「イースター島はしだいに食糧危機に直面していくことになった」「イースター島の部族間の抗争も頻発した」「(文明は、)十七世紀後半から十八世紀前半に崩壊したと推定される」と書かれているよ。
本論が書かれている段落 | 段落3~15 |
本論の内容 | 「秘密」に対して、研究などで分かったこと。 |
「分かったこと」の内容 (大きく4つ) | ①モアイを作ったのは誰か →ポリネシア人 (段落3~4) ②どのようにして作られ運ばれたのか →木をころとして使った (段落5~10) ③なぜ作られなくなったのか →ヤシの森が消滅していき、モアイを運べなくなった (段落11〜12) ④モアイを作った文明はどうなったのか →十七世紀後半から十八世紀前半に崩壊したと推定される (段落13〜15) |
結論
段落16〜20で、イースター島の歴史を踏まえて、現代の自分たちはどう行動するべきか?という筆者の考えを結論として説明しているね。
結論が書かれている段落 | 段落16〜20 |
結論の内容 | イースター島の歴史を踏まえて、現代の自分たちはどう行動するべきか?という筆者の考え |
筆者の主張 | 人類が生き延びるためには、今あるこの有限の資源をできるだけ効率よく、長期にわたって利用する方策を考えなければならない |
「モアイは語る」研究の内容と根拠まとめ
本論では、序論で紹介していたモアイの秘密
- 誰がモアイを作ったのか
- どうやって運んだのか
- どうして作らなくなったのか(イースター島に何が起きたか)
- 文明はどうなったのか
この4つのことに対して、「どんな研究をした」のか「どうしてそういう結論だと言えるのか(根拠)」が細かく書かれているよ。
この内容を、しっかりと確認しよう。
①誰がモアイを作ったのか?について
誰が作ったのか:「ポリネシア人」
どうして分かったのか?:墓の中の化石人骨の分析、ヒョウタンなどの栽培作物の分析
初期の遺跡から出土した炭化物の測定の結果から、ポリネシア人が来たのは五世紀頃ということも分かった。
②どうやってモアイを運んだのか?について
どうやって運んだのか:「ヤシの木を木のころとして使い、海岸まで運んだ」
どうして分かったのか?:イースター島の火口湖にボーリングをして堆積物を採取し、堆積物の中に含まれている花粉の化石を分析した。
その結果、五世紀頃の土の中から、ヤシの花粉が大量に発見された。
③どうしてモアイは突然作られなくなったのか?について
(イースター島に何が起きたのか)
どうして作らなくなったのか?、イースター島になにが起きたのか?:「森が消滅した結果、海岸までモアイを運ぶことができなくなった」
どうして分かったのか?:イースター島の火口湖にボーリングをして堆積物を採取し、堆積物の中に含まれている花粉の化石を分析した結果、ヤシの花粉の量が、七世紀頃から徐々に減少していき、代わってイネ科やタデ科などの草の花粉と炭片が増えていた。
④イースター島の文明はどうなったのか?
文明はどうなったのか?:十七世紀後半から十八世紀前半に崩壊した
どうしてそう考えられるのか?:森が消滅するとともに、豊かな表層土壌が雨によって侵食されて、流失してしまった。
主食のバナナやタロイモを栽培することが困難となった。
木がなくなったため船を造ることもままならなくなり、たんぱく源の魚を捕ることもできなくなった。
しだいに食料危機に直面して、部族間の抗争も頻発した。
秘密の結論と根拠まとめ(一覧)
秘密 | 結論 | 根拠 |
---|---|---|
モアイを作ったのは? | ポリネシア人 | 墓の中の化石人骨の分析 ヒョウタンなどの栽培作物の分析 |
どうやって運んだ? | ヤシの木を木のころとして使い、海岸まで運んだ | 島の堆積物の中の花粉の化石を分析した結果、ヤシの花粉を大量に発見 |
どうして作られなくなった? | 森が消滅した結果、モアイを海岸まで運べなくなった | 島の堆積物の中の花粉の化石を分析した結果、七世紀ごろからヤシに代わってイネ科やタデ科の花粉と炭片が増えていた |
文明はどうなった? | 十七世紀後半から十八世紀前半に崩壊した | 森が消滅→表層土壌が雨で侵食・流失する→主食の栽培と漁が困難に→食糧危機・部族間抗争が頻発 |
イースター島で起きた出来事まとめ
- イースター島はヤシの森に覆われていた
- 5世紀頃に西方から島伝いにポリネシア人がやって来た
- 人口が増加し、家屋の材料や日々の薪、農耕地を作るためにヤシの森が伐採されて徐々に減少する
- 11世紀頃、モアイの製造が始まる。同じ時期、人口が急激に増加する
- モアイの運搬用のころや支柱としてヤシの木が使われるようになり、森がいっそう破壊される
- 森が消滅する
- 豊かな表層土壌が雨によって侵食され流失する
- 栽培や漁が困難になり、食糧危機に直面する
- 部族間の抗争が頻発する
- 文明が崩壊する
「モアイは語る」筆者の主張
「モアイは語る」の筆者、安田喜憲(やすだよしのり)さんが主張したいことはなにか、解説するよ。
イースター島と今の地球との共通点
安田喜憲さんは、モアイの秘密を探る中で、イースター島で何が起きたかを知ると、今の地球との共通点に気がついたよ。
現代の地球でも異常な人口爆発が起きている
イースター島で人口が急激に増加したことに共通している。
イースター島の急激な人口増加は百年に二倍の割合だったのに対して、地球の人口は半世紀も立たないうちに、二倍になっているので、さらに異常な人口爆発である。
資源が有限である
絶海の孤島のイースター島では、他から食料や資源を運んでくることはできない。
地球も、広大な宇宙という漆黒の海にぽっかりと浮かぶ青い生命の島であり、他(地球以外の星)から食料や資源を運んでくることはできない。
なので、森を破壊し尽くしたとき、イースター島と同じように飢餓地獄におちいる。
筆者の主張
「イースター島で起きた出来事をもとに、地球との共通点を考えた結果、人類がこれからするべき行動は何であるか」ということが筆者の主張だよ。
人類が生き延びるためには、今あるこの有限の資源をできるだけ効率よく、長期にわたって利用する方策を考えなければならない
「モアイは語る」まとめ
「モアイは語る」まとめ
- 【内容】
「モアイが作られていたイースター島で何があったか」を研究した結果、分かった事実と、それによって考えられる「今現代の僕たちがとるべき行動は何か」という、筆者の考えを説明した「説明的文章(論説文)」 - 【構成】
➀序論「「モアイとはどんなものか」「どんな秘密があるのか」という話題を提示」
➁本論「「モアイの秘密」に対して、研究などで分かったこと」
③結論「イースター島の歴史を踏まえて、現代の自分たちはどう行動するべきか?という筆者の考え」 - モアイを作ったのは、ポリネシア人
- ヤシの木を木のころとして使い、モアイを海岸まで運んだ
- 森が消滅した結果、海岸までモアイを運ぶことができなくなり、モアイは作られなくなった
- 森が消滅するとともに、食糧危機・部族間の抗争がおこり、イースター島の文明は十七世紀後半から十八世紀前半に崩壊した
- イースター島と、今の地球の共通点:異常な人口爆発・有限な資源
- 筆者の主張:人類が生き延びるためには、今あるこの有限の資源をできるだけ効率よく、長期にわたって利用する方策を考えなければならない
ここまで学習できたら、「モアイは語る」テスト対策練習問題のページにチャレンジしよう!
運営者情報
ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
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ありがとうございます
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ありがとうございます
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とても分かりやすかったです!ありがとうございます
だけど、もう少しまとめがあったら嬉しいです。わがまま言ってすいません(-。-; -
①誰が作ったのか?という問いかけに対して・・
本論の段落3〜4で
「モアイを作ったのは、西方から島伝いにやって来たポリネシアン人」と書かれているよ。ポリネシア人ですよ☆
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①誰が作ったのか?という問いかけに対して・・
本論の段落3〜4で
「モアイを作ったのは、西方から島伝いにやって来たポリネシアン人」と書かれているよ。ポリネシア人ですよ☆
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あざっす
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勉強に活用させて頂きました。 分かりやすくて、自分の頭の中で整理しやすくて、助かりました 。ありがとうございます!!
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すごい分かりやすかったです!
ありがとうございました! -
すごく分かりやすかったですありがとうございました!
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国語苦手だけど、イラストが可愛くて説明が分かりやすかったので本当に助かりました!
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モアイのところ案外わからん
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すっごくわかりやすかったです!
ありがとうございます‼︎ -
とても分かりやすくて助かりました
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ほ、本編!?
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わかりやすかった
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論説文ではないですか?
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テストが最近あったのですが、このサイトを見て100点を取ることができました。ありがとうございました。
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筆者の意見に対しての答えは何かありますか?
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わかりやすくて良かった
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モアイかわいい
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ああ
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筆者の主張は「私たちの住む地球の未来 のために、限りある資源を効率的に利用すべき」ということである。
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いつもノートまとめの参考にさせて頂いております。
ありがとうございます。
とてもわかりやすかったです。 -
ありがとうございます
-
とても分かりやすいですっ!
いつもテストで参考にさせていただいています!これからもよろしくお願いします!笑 -
わかりやすい!
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試験に出るところなので、わかりやすくてとても助かります。
あともう少しラノ・ララクのところなどもして欲しいです。
無理な相談ですみません -
ありがとうございます!!!
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わかりやすかったです
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授業でやってよくわからないところがこれを見てわかるようになった
19段落ではなくて20段落までありますよ