清少納言『枕草子』解説!現代語訳・古語の意味・「九月ばかり」まとめ

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「枕草子」古語・現代語訳と解説 (期末テスト対策ポイントまとめ)

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中学校国語で学習する清少納言「枕草子」について、原文・現代語訳・古語の意味・テスト対策ポイントをわかりやすく解説するよ。

「枕草子」は、平安時代の清少納言が、自分の見聞きしたことや感じたことを、自由な形で書き記した随筆だよ。教科書では、四季のよさをリズムよく表した「春はあけぼの」の第一段を中心に学習することが多いんだ。

また、教科書会社によって、いっしょに学習する段が少し違うよ。東京書籍の中学2年国語では「九月ばかり」、光村図書の国語では「うつくしきもの」や「月のいと明かきに」の段も扱われているんだ。自分の教科書の範囲に合わせて確認してね。

「枕草子」テスト対策ポイントまとめ

  • 「枕草子」は、清少納言が書いた随筆であることを押さえよう
  • 「春はあけぼの」では、春・夏・秋・冬のよい時間帯や情景を整理しよう
  • 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直せるようにしよう
  • をかし・あはれ・さらなり・つとめて・うつくしなどの古語の意味を覚えよう
  • 東京書籍で扱う「九月ばかり」では、雨上がりの朝の美しさと、清少納言らしいものの見方を読み取ろう
  • 光村図書で扱う「うつくしきもの」では、清少納言が「かわいらしい」と感じるものを、具体例から読み取ろう
目次

1. 「枕草子」の基本情報

まずは、「枕草子」の基本情報を確認しよう。

項目内容
作品名枕草子
作者清少納言
時代平安時代
ジャンル随筆
主な内容宮中での生活、自然や人間観察、清少納言が美しい・おもしろい・かわいらしいと感じたことなど

たろう
「枕草子」って、物語じゃないの?

くまごろう
そうだね。「枕草子」は物語ではなく、清少納言が見たり聞いたり感じたりしたことを自由に書いた随筆なんだ。

2. 清少納言とは

「枕草子」の作者は、清少納言だよ。

清少納言は、平安時代に一条天皇の中宮定子に仕えた女房だった。

「中宮」とは、天皇のお妃さまのこと。「定子」はそのお妃さまの名前だよ。つまり、「一条天皇の中宮定子」とは、「一条天皇のお妃さまである定子さま」という意味なんだ。

「女房」は、今の「奥さん」という意味ではなく、宮中や身分の高い人の家に仕えていた女性のことをいうよ。清少納言は、定子のそばで働きながら、宮中での出来事や、自分が感じたことを書き残したんだ。

一条天皇、中宮定子、清少納言の関係を表したイラスト

清少納言について覚えること

  • 平安時代の女性
  • 「枕草子」の作者
  • 一条天皇の中宮定子に仕えた女房
  • 鋭い観察力と、明るく知的な表現が特徴

3. 「枕草子」とはどんな作品?

「枕草子」は、清少納言が書いた随筆だよ。

随筆とは、見聞きしたことや思ったことを、自由な形式で書いた文章のことなんだ。今でいうと、エッセイに近いイメージだね。

「枕草子」には、宮中での生活、自然の美しさ、人々の様子、清少納言が「趣があるな」「おもしろいな」「かわいらしいな」と感じたことなどが、いきいきと書かれているよ。

たろう
つまり、清少納言の感想ノートみたいな感じ?

くまごろう
イメージとしては近いね。ただし、ただの日記ではなく、自然や人間をするどく観察して、洗練された表現で書いた文学作品なんだ。

随筆とは?

見聞きしたことや、心に浮かんだことを、筆者が自由な形式で書いた文章のこと。

「枕草子」は、清少納言のものの見方や感じ方が表れた随筆として有名だよ。

4. なぜ「枕草子」というの?

「枕草子」という題名の由来には、いくつかの説があるよ。

よく知られているのは、中宮定子と清少納言のやりとりに関係する説だね。

なぜ「枕草子」というの?

あるとき、中宮定子が白い紙の冊子を手に入れ、「これに何を書いたらよいか」と考えたとされているよ。

それに対して、清少納言が「枕にこそは」と答えたという話が伝わっているんだ。

この「枕」の意味には、枕もとに置いて書きとめる冊子、歌に関係する「歌枕」、あるいは当時のことば遊びなど、いくつかの考え方があるよ。

「草子」は冊子のこと。つまり「枕草子」は、「枕」に関係する冊子、という題名だと考えられているんだ。

ただし、題名の由来は一つに決まっているわけではないよ。テストでは、くわしい説よりも、「枕草子」は清少納言の随筆であることをまずしっかり覚えておこう。

5. 「春はあけぼの」の原文

教科書でよく学習する「枕草子」の第一段、「春はあけぼの」の原文を確認しよう。

枕草子「春はあけぼの」原文

春はあけぼの。やうやうようよう白くなりゆく山ぎ、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

夏は夜。月のころはさらなり、闇もな、蛍の多く飛びちがたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもかし。雨など降るもかし。

秋は夕暮れ。夕日のさして山のいとちこうなりたるに、からすの寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐされなり。まいてかりなどのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとかし。日入り果てて、風の音、虫のなど、はた言べきにあらず。

冬はつとめて。雪の降りたるは言べきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶ひおけの火も白き灰がちになりてわろし。

清少納言「枕草子」の春はあけぼのの場面を、山ぎわが白くなり紫がかった雲がたなびく情景として描いた教育漫画
清少納言「枕草子」の夏は夜の場面を、月夜や闇夜に蛍が光って飛ぶ情景として描いた教育漫画
清少納言「枕草子」の秋は夕暮れの場面を、夕日やからす、雁、風の音や虫の音で表した教育漫画
清少納言「枕草子」の冬はつとめての場面を、雪や霜、炭を持って渡る人、灰になった火桶で表した教育漫画

6. 「春はあけぼの」の現代語訳

次に、「春はあけぼの」の現代語訳を確認しよう。

枕草子「春はあけぼの」現代語訳

春は、明け方がよい。
空の山ぎわが、だんだん白くなっていき、少し明るくなって、紫がかった雲が細く横にたなびいているところがよい。

夏は、夜がよい。
月が出ているころはもちろんよい。月の出ていない闇夜でも、蛍がたくさん飛び交っているのは趣がある。また、ほんの一匹二匹ほどが、かすかに光って飛んでいくのも趣深い。雨などが降るのもよい。

秋は、夕暮れがよい。
夕日が差して、山の端にたいそう近くなったころ、烏が寝ぐらへ行こうとして、三羽四羽、二羽三羽などと飛び急ぐのさえしみじみと感じられる。まして、雁などが列を作って飛んでいるのが、たいそう小さく見えるのはとても趣深い。日がすっかり沈んでから聞こえる風の音や虫の声などは、言うまでもなくよい。

冬は、早朝がよい。
雪が降っているのは言うまでもない。霜がとても白いのもよい。また、そうでなくても、ひどく寒い朝に、火を急いでおこして、炭を持って廊下を渡っていくのも、冬の朝によく似合っている。昼になって寒さがゆるみ、だんだん暖かくなっていくと、火桶の火も白い灰ばかりになって、よくない。

7. 「春はあけぼの」の内容を整理しよう

「春はあけぼの」では、四季それぞれについて、清少納言が「よい」と感じる時間帯や情景が書かれているよ。

季節よいとされる時間・場面清少納言がよいと感じたもの
あけぼの山ぎわが白くなり、紫がかった雲が細くたなびく様子
月夜、闇夜に飛ぶ蛍、雨の降る夜
夕暮れ烏が寝ぐらへ急ぐ様子、雁の列、風の音、虫の音
つとめて雪や霜、寒い朝に火をおこして炭を運ぶ様子

たろう
春は「昼」とかじゃなくて、あけぼのなんだね。

くまごろう
そう。清少納言は、季節そのものだけでなく、「その季節らしさがよく表れる時間帯」を選んでいるんだよ。

「春はあけぼの」で覚える組み合わせ

  • 春 = あけぼの
  • 夏 = 夜
  • 秋 = 夕暮れ
  • 冬 = つとめて

8. 歴史的仮名遣いのポイント

「枕草子」は平安時代の作品なので、現代とは違う仮名遣いが使われているよ。

このような古い仮名遣いを、歴史的仮名遣いというんだ。

テストでは、「歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直しなさい」という問題が出ることがあるよ。特に、次のようなものを確認しておこう。

歴史的仮名遣い現代仮名遣い出てくる表現
やうやうようようやうやう白くなりゆく
山ぎは山ぎわ白くなりゆく山ぎは
なほなお闇もなほ
飛びちがひたる飛びちがいたる蛍の多く飛びちがひたる
をかしおかし雨など降るもをかし
あはれあわれ飛びいそぐさへあはれなり
言ふいう言ふべきにあらず
這ひ来る這い来るちごの、いそぎて這ひ来る
おほへるおおえる目に髪のおほへる
やうにように水晶などのわれたるやうに

くまごろう
「は・ひ・ふ・へ・ほ」が語中や語尾にあるとき、現代では「わ・い・う・え・お」と読むことが多いよ。

9. 「春はあけぼの」に出てくる古語の意味

「枕草子」に出てくる古語の意味を確認しよう。テストでは、意味を答える問題や、現代語訳の中で問われることがあるよ。

古語意味
あけぼの明け方。
やうやうだんだんと。
山ぎは山のほとり。山と空が接するあたり。
紫だちたる紫がかっている。
たなびきたる横に長くかかっている。
さらなり言うまでもない。もちろんだ。
なほやはり。
飛びちがひたる飛び交っている。
をかし趣がある。興味深い。おもしろい。
山の端山の稜線。山の端のあたり。
近うなりたる近くなっている。
寝どころ寝る場所。ここでは、烏の寝ぐら。
あはれしみじみと心に感じられること。
まいてまして。なおさら。
つらねたる列を作って連なっている。
いととても。たいそう。
日入り果てて日がすっかり沈んでしまって。
はた言ふべきにあらずこれまた、言うまでもない。
つとめて早朝。
またさらでもまた、そうでなくても。
炭もて炭を持って。
渡る通る。ここでは、廊下を通ること。
つきづきし似つかわしい。よく合っている。
ぬるく暖かく。寒さがゆるんで。
ゆるびもていけばだんだんとゆるんでいくと。
火桶木製の丸い火鉢。
灰がち灰ばかりになっていること。
わろしよくない。好ましくない。

10. 「をかし」と「あはれ」の違い

「枕草子」では、をかしあはれという古語が大切だよ。

どちらも、ものごとに心を動かされたときに使われる言葉だけれど、感じ方に少し違いがあるんだ。

古語意味の中心イメージ
をかし趣がある。興味深い。おもしろい。明るく、知的に「いいな」「おもしろいな」と感じる美しさ。
あはれしみじみと心に感じられる。しんみりしたり、深く心を動かされたりする感じ。
うつくしかわいらしい。愛らしい。小さいもの・幼いものを見て「かわいいな」と感じる気持ち。

「枕草子」は、よく「をかし」の文学といわれるよ。清少納言が、自然や人の様子を見て、「おもしろい」「趣がある」と明るく知的にとらえているからなんだ。

一方で、「うつくしきもの」では、小さな子どもや小さな生き物を見て「かわいらしい」と感じる、やわらかい感性も表れているよ。

11. 【光村図書】「うつくしきもの」の原文

光村図書の教科書では、「春はあけぼの」とあわせて、「うつくしきもの」の段も学習するよ。ただし、教科書会社によっては扱われない場合もあるので、自分の教科書の範囲を確認してね。

「うつくしきもの」は、清少納言が「かわいらしい」と感じるものを並べた段だよ。ここでの「うつくし」は、現代語の「美しい」よりも、かわいらしい・愛らしいという意味で読むのが大切なんだ。

枕草子「うつくしきもの」原文

うつくしきもの。

瓜にかきたるちごの顔。

雀の子のねず鳴きするにをどり来る。

二つ三つばかりなるちごの、いそぎて這ひ来る道に、いと小さき塵のありけるを、目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて、大人ごとに見せたる、いとうつくし。

頭はあまそぎなるちごの、目に髪のおほへるを、かきはやらで、うちかたぶきて物など見たるも、うつくし。

12. 【光村図書】「うつくしきもの」の現代語訳

「うつくしきもの」の現代語訳を確認しよう。ここでは、内容が分かりやすいように、少し言葉を補いながら訳しているよ。

枕草子「うつくしきもの」現代語訳

かわいらしいもの。

瓜に描いてある幼い子どもの顔。

雀の子が、こちらが口でちゅうちゅうと鳴きまねをすると、ぴょんぴょん跳ねて近寄ってくる様子。

二、三歳くらいの幼い子どもが、急いで這ってくる途中に、とても小さな塵があったのを目ざとく見つけ、たいそうかわいらしい指でつまんで、大人たち一人一人に見せている様子は、とてもかわいらしい。

髪を肩のあたりで切りそろえた幼い子どもが、髪が目にかかっているのに、それを手で払いのけず、首を少しかしげて物などを見ている様子も、かわいらしい。

13. 【光村図書】「うつくしきもの」の内容とポイント

「うつくしきもの」では、清少納言が「かわいらしい」と感じるものが、短く具体的に並べられているよ。

ポイントは、現代語の「美しい」とは少し違って、古語のうつくしが「かわいらしい」「愛らしい」という意味で使われていることなんだ。

清少納言がかわいいと感じたものどのような様子かポイント
瓜に描いた幼い子どもの顔瓜に子どもの顔を描いたもの幼い顔のかわいらしさ
雀の子鳴きまねをすると、跳ねて近寄ってくる小さな生き物の動きのかわいらしさ
二、三歳くらいの子ども小さな塵を見つけて、かわいらしい指でつまみ、大人たちに見せる小さなものに気づいて得意げに見せる様子
あまそぎの髪の子ども髪が目にかかっているのに払わず、首をかしげて物を見る幼いしぐさのかわいらしさ

たろう
「うつくし」って、美しいって意味じゃないの?

くまごろう
現代語では「美しい」という意味で使うけれど、古文では「かわいらしい」「愛らしい」という意味で使われることが多いんだ。ここでは、小さいものや幼いものへの愛らしさを表しているよ。

「うつくしきもの」のテスト対策ポイント

  • 「うつくし」は、ここでは「かわいらしい」「愛らしい」という意味である。
  • 清少納言は、小さいもの・幼いもののしぐさに注目している。
  • 「二つ三つばかりなるちご」は、二、三歳くらいの幼い子どものこと。
  • 子どもが小さな塵を見つけて、大人たちに見せる様子をかわいらしいと感じている。
  • 髪が目にかかっているのに払わず、首をかしげて物を見る様子もかわいいと感じている。
  • 「をかし」と同じく、清少納言の細やかな観察力が表れている。

14. 【光村図書】「うつくしきもの」に出てくる古語の意味

「うつくしきもの」に出てくる大切な古語を確認しよう。

古語意味
うつくしきものかわいらしいもの。愛らしいもの。
うり。ここでは顔を描くものとして出てくる。
かきたる描いてある。
ちご幼い子ども。乳幼児。
ねず鳴き口でちゅうちゅうと鳴きまねをすること。
をどり来る跳ねるようにしてやって来る。
二つ三つばかりなる二、三歳くらいである。
いそぎて急いで。
這ひ来る這って来る。
いととても。たいそう。
ちり。小さなごみ。
目ざとにすぐに気づいて。見つけるのが早く。
をかしげなるかわいらしいようす。趣のあるようす。
および。指のこと。
とらへてつまんで。取って。
大人ごとに大人たち一人一人に。
あまそぎ髪を肩のあたりで切りそろえた髪型。
おほへるおおっている。かぶさっている。
かきはやらでかきのけないで。払いのけないで。
うちかたぶきて少し首をかしげて。

15. 【光村図書】「月のいと明かきに」の原文と現代語訳

光村図書の教科書では、「月のいと明かきに」から始まる短い段も扱われているよ。月の明るい夜に川を渡るとき、水しぶきが水晶のように見える美しさを描いた部分なんだ。

枕草子「月のいと明かきに」原文

月のいと明かきに、川をわたれば、牛の歩むままに、水晶などのわれたるやうに、水の散りたるこそをかしけれ。

枕草子「月のいと明かきに」現代語訳

月がたいそう明るい夜に、川を渡ると、牛が歩くのに合わせて、水が散る。その水しぶきが、水晶などが割れて飛び散ったように見えるのは、なんとも趣深い。

この段では、月の明るさ、水のきらめき、牛の歩みに合わせて水が散る様子が描かれているよ。

特に大切なのは、水しぶきを「水晶などのわれたるやう」とたとえていることだよ。月明かりに照らされた水しぶきが、水晶のかけらのようにきらきら光って見えたんだね。

注目する表現意味・内容ポイント
月のいと明かきに月がたいそう明るい夜に月明かりが場面全体を照らしている
牛の歩むままに牛が歩くのに合わせて牛車などで川を渡る場面と考えられる
水晶などのわれたるやうに水晶などが割れたように水しぶきのきらめきをたとえている
水の散りたるこそをかしけれ水が散る様子が趣深い清少納言らしい「をかし」の感性が表れている

「月のいと明かきに」のテスト対策ポイント

  • 月がとても明るい夜の場面である。
  • 川を渡るとき、牛の歩みに合わせて水が散っている。
  • 水しぶきを「水晶などのわれたるやう」とたとえている。
  • 月明かりに照らされた水のきらめきを、清少納言は「をかし」と感じている。
  • 「をかし」は、趣がある、興味深い、おもしろいという意味である。

16. 【東京書籍】「九月ばかり」の原文

東京書籍の教科書では、「春はあけぼの」とあわせて、「九月ばかり」の段も学習するよ。ただし、教科書会社によっては扱われない場合もあるので、自分の教科書の範囲を確認してね。

「九月ばかり」は、秋の雨上がりの朝の美しさを描いた部分だよ。細かい自然の変化を見つめる、清少納言らしい感性が表れているんだ。

枕草子「九月ばかり」原文

九月ばかり、夜一夜降り明かしつる雨の、今朝はやみて、朝日いとけざやかにさし出でたるに、前栽の露は、こぼるばかり濡れかかりたるも、いとをかし。

透垣の羅文、軒のうへなどは、かいたる蜘蛛の巣の、こぼれ残りたるに、雨のかかりたるが、白き玉をつらぬきたるやうなるこそ、いみじうあはれにをかしけれ。

少し日たけぬれば、萩などの、いと重げなるに、露の落つるに枝のうち動きて、人も手ふれぬに、ふとうへざまへあがりたるも、いみじうをかしと言ひたることどもの、人の心には、つゆをかしからじと思ふこそ、またをかしけれ。

17. 【東京書籍】「九月ばかり」の現代語訳

「九月ばかり」の現代語訳を確認しよう。ここでは、内容がわかりやすいように、少し言葉を補いながら訳しているよ。

枕草子「九月ばかり」現代語訳

九月ごろ、一晩中、明け方まで降っていた雨が、今朝はやんで、朝日がたいそうくっきりと差し始めている。庭の草木についた露が、こぼれ落ちそうなほど濡れかかっているのも、とても趣がある。

透垣の羅文や、軒の上などには、張ってある蜘蛛の巣が破れ残っている。その蜘蛛の巣に雨のしずくがかかっている様子が、白い玉を糸で貫いているように見えるのは、たいへんしみじみと美しく、趣深い。

少し日が高くなると、萩などの枝は、露をたくさん含んでとても重たそうになっている。その露が落ちると、枝が少し揺れ、人が手を触れたわけでもないのに、ふっと上の方へ跳ね上がる。その様子も、たいそう趣がある。

けれど、私がこのように「とても趣がある」と言ったことも、ほかの人の心には少しもおもしろく感じられないのだろうと思うと、それもまたおもしろい。

18. 【東京書籍】「九月ばかり」の内容とポイント

「九月ばかり」では、秋の雨上がりの朝の情景が、細やかに描かれているよ。

清少納言は、大きな出来事ではなく、庭の草木についた露、蜘蛛の巣に残った雨粒、露が落ちて枝がふっと跳ね上がる様子など、とても小さな自然の変化に注目しているんだ。

注目しているものどのように描かれているか清少納言の感じ方
雨上がりの朝日一晩降った雨がやみ、朝日がくっきり差し出す雨上がりの明るさを美しく感じている
前栽の露こぼれ落ちそうなほど草木に濡れかかっているみずみずしく趣があると感じている
蜘蛛の巣の雨粒白い玉を糸でつらぬいたように見えるたいへんしみじみと美しいと感じている
萩の枝露の重みで下がり、露が落ちるとふっと上へ戻る人が触れていないのに動く様子をおもしろいと感じている
自分の感じ方ほかの人には少しもおもしろくないかもしれないと思うそのずれまでも、おもしろいと感じている

たろう
蜘蛛の巣や萩の枝まで、すごく細かく見ているんだね。

くまごろう
そうなんだ。清少納言は、ふつうなら見過ごしてしまいそうな小さな変化に「をかし」を見つけているんだよ。

「九月ばかり」のテスト対策ポイント

  • 季節は九月ごろ、つまり秋である。
  • 一晩中降った雨が、朝にはやんでいる場面である。
  • 庭の草木の露、蜘蛛の巣にかかった雨粒、萩の枝の動きなど、細かい自然の様子が描かれている。
  • 蜘蛛の巣の雨粒を「白き玉をつらぬきたるやう」とたとえている。
  • 最後に、清少納言は自分がおもしろいと感じることを、他人はそう思わないかもしれないと考え、そのことまでおもしろがっている。

19. 【東京書籍】「九月ばかり」に出てくる古語の意味

「九月ばかり」に出てくる大切な古語を確認しよう。

古語意味
九月ばかり九月ごろ。
夜一夜一晩中。
降り明かしつる夜が明けるまで降り続いた。
けざやかにくっきりと。はっきりと。
さし出でたる差し始めた。出てきた。
前栽庭に植えてある草木。
こぼるばかりこぼれ落ちそうなほど。
透垣すき間があって向こうが見える垣根。
羅文透垣などの、網目のような模様になっている部分。
かいたる蜘蛛の巣張ってある蜘蛛の巣。
こぼれ残りたる破れたり欠けたりしながらも、残っている。
つらぬきたるやう貫いているようす。
いみじうたいそう。非常に。
あはれにをかししみじみと趣深い。
日たけぬれば日が高くなると。
秋に花を咲かせる植物。
重げなる重そうである。
うち動きて少し動いて。
ふと急に。ふいに。
うへざまへ上の方へ。
つゆをかしからじ少しも趣深くないだろう。

20. 省略の表現について

「枕草子」では、述語が省略されている部分があるよ。

たとえば、「春はあけぼの。」は、現代語にすると「春は、明け方がよい。」という意味だけれど、原文では「よい」にあたる言葉が書かれていないんだ。

学習上は、文脈から「がをかし」を補って考えると分かりやすいよ。ただし、先生や教科書によっては「省略された言葉を一つに決める」というより、「文脈から意味を補って読む」と説明されることもあるよ。

述語の省略ポイント

  • 春はあけぼの。
    → 春はあけぼのがをかし
  • 夏は夜。
    → 夏は夜がをかし
  • 秋は夕暮れ。
    → 秋は夕暮れがをかし
  • 紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
    → 紫だちたる雲のほそくたなびきたるのがをかし
  • うつくしきもの。
    → かわいらしいもの。愛らしいもの。

たろう
「よい」が書いてないのに、意味では「よい」って訳すんだね。

くまごろう
そうだよ。古文では、前後の流れから分かる言葉が省略されることがあるんだ。テストでも、省略されている言葉を補って考える力が大切だよ。

21. テスト対策ポイント

最後に、「枕草子」のテストで問われやすいポイントをまとめるよ。

「枕草子」テスト対策ポイントまとめ

  • 「枕草子」は、清少納言が書いた随筆である。
  • 清少納言は、平安時代に一条天皇の中宮定子に仕えた女房である。
  • 「春はあけぼの」では、四季それぞれのよい時間帯や情景が書かれている。
  • 春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて、の組み合わせを覚える。
  • 「をかし」は、趣がある、興味深い、おもしろい、という意味である。
  • 「あはれ」は、しみじみと心に感じられる、という意味である。
  • 「さらなり」は、言うまでもない、もちろんだ、という意味である。
  • 「うつくし」は、現代語の「美しい」ではなく、古語では「かわいらしい」「愛らしい」という意味で使われることが多い。
  • 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直せるようにする。
  • 「春はあけぼの。」などでは、文脈から「がをかし」を補って考えると分かりやすい。
  • 光村図書で扱う「うつくしきもの」は、幼い子どもや小さな生き物のかわいらしさを描いた段である。
  • 光村図書で扱う「月のいと明かきに」は、月明かりの中で川を渡るときの水しぶきの美しさを描いた段である。
  • 東京書籍で扱う「九月ばかり」は、秋の雨上がりの朝の情景を描いた段である。
  • 「九月ばかり」では、露、蜘蛛の巣、萩の枝などの細かな自然の変化に注目する。
  • 清少納言は、ふつうなら見過ごしてしまいそうな小さなものや変化に、独自の「をかし」や「うつくし」を見つけている。

22. 枕草子の学習を定着させよう

「枕草子」は、平安時代の清少納言が書いた随筆だよ。

「春はあけぼの」では、春・夏・秋・冬それぞれについて、清少納言がよいと感じた時間帯や情景が、短くリズムよく表されている。

春は明け方、夏は夜、秋は夕暮れ、冬は早朝。どの季節も、清少納言ならではの鋭い観察力で、自然の美しさが描かれているんだ。

光村図書で扱う「うつくしきもの」では、幼い子どもや雀の子など、小さく愛らしいものへのまなざしが表れているよ。「うつくし」は、ここでは「かわいらしい」「愛らしい」という意味で読むのが大切なんだ。

また、「月のいと明かきに」では、月明かりの中で川を渡るときの水しぶきの美しさが、水晶にたとえられているよ。東京書籍で扱う「九月ばかり」では、雨上がりの朝に、露や蜘蛛の巣、萩の枝などの小さな変化を見つめる清少納言の感性がよく表れている。

テストでは、古語の意味、歴史的仮名遣い、現代語訳、季節ごとの内容、そして「をかし」「うつくし」という清少納言のものの見方をしっかり押さえておこう。

ここまで学習できたら、ぜひ「枕草子」のテスト対策練習問題とドリルに挑戦しよう!

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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

感想や意見を聞かせてね

  1. もうすぐテストがあるため参考にさせていただきました。 
    これからも無理のない範囲で頑張ってください。

    • をかし さん

      清少納言と、紫式部の関係は、以下のように言われています。

      ・二人は同時に宮中に使えたことはなかった(時期がずれている)
      ・それぞれ一条天皇の別のお妃に仕えていたので、ライバル関係のようなものであった
      (自分が仕えるお妃をできるだけ出世させたり、皇子が生まれるようにしたい)
      ・紫式部の旦那さんのことを清少納言が悪くいったのを、紫式部は怒っていたという説
      ・清少納言のことを、紫式部が日記で悪いように書いていた

      参考になれば幸いです!

  2. 本当にわかりやすかったです!!
    今日は、国語のテストがあるので頑張ってきます!!
    ありがとうございました、!!

  3. とーってもわかりやすかったです!!!
    他のことでもまたお世話になると思います!!笑
    明日のテスト頑張ってきます(^_-)-☆

  4.  ≪…「三つ四つ二つ三つ」…≫について、数の言葉ヒフミヨ(1234)の自然数が大和言葉の【ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と】の平面(2次元)からの送り返しモノと、十進法の基における桁表示の西洋数学の成果の符号からの送り返して来たモノとで眺めると、
     『自然比矩形』 と [√7] に想う・・・

     『自然比矩形』は、絵本の力で・・・
     もろはのつるぎ (有田川町電子図書館)
     久方の光のどけきながしかく静心なく四角なるらむ

     [√7]は、高見神社の算額 (北九州市)
     もろともにあわれとおもへヒフミヨは根より他に知る人も

  5. 重要な問題ばかりでとても役に立ちました❗
    今回のテストは前回から9点もアップして99点でした
    これからもゆみねこさんを使わさせていただきます✨✨
    できれば東京書籍や三省堂など他の教科書の物も作っていただきたいです❗

    • そるるさん

      とても嬉しい報告ありがとうございます!
      99点!!!すごすぎます!!!
      お役に少しでも立てたこと、とても嬉しいです。

      次は100点ですね!!☺️
      応援しています!!

  6. 私は教科書を学校に忘れてしまってちょうど探してたら枕草子のことが書いてあってよかったです。

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