漢文の返り点とは?レ点・一二点・上下点の読み方をわかりやすく解説

漢文を読むときに欠かせないのが、返り点だよ。返り点を見ると、漢字をどの順番で読めばよいのかがわかるんだ。

この記事では、レ点・一二点・上下点・一レ点の読み方を、『論語』に出てくる実際の例文を使って、読む順番がわかるように一つずつ解説するよ。返り点が組み合わさったときの読み方や、書き下し文に直すときのポイントも確認しよう。

たろう
漢文って、漢字ばかりで、どこから読めばいいのか分からなくなるよ……。

くまごろう
初めて見ると、漢字の迷路みたいに感じるよね。でも返り点は、その迷路につけられた道案内の矢印なんだよ。

たろう
道案内の矢印?

くまごろう
そうそう。「ここはいったん通り過ぎて、あとで戻るよ」と教えてくれるしるしだと思えばいいんだ。

この記事で学ぶ返り点

  • レ点:すぐ下の字を先に読むしるし
  • 一二点:一点の字まで読んでから、二点の字へ戻るしるし
  • 上下点:一二点より大きく返って読むときに使うしるし
  • 一レ点:一点とレ点が同じ字についているしるし

目次

目次

返り点とは

返り点とは、漢文を日本語の語順で読むためにつけられた記号のことだよ。

漢文は、もともと中国語の語順で書かれているよ。日本語とは語順が異なるため、上から順番に読むだけでは、自然な日本語にならないことがあるんだ。

漢文の語順:知 之

日本語の語順:之を 知る

たとえば、『論語』には「知之」という形が出てくるよ。漢字の並びでは「知」が先、「之」が後にあるけれど、日本語では「之を知る」と読むよね。

このように、いったん下の字を読んでから上の字へ戻る場所に、返り点をつけるんだ。返り点には、主にレ点・一二点・上下点・一レ点などがあるよ。

返り点は「道案内」だと思おう

返り点をいきなり「文法の記号」と考えると、少しかたく感じるかもしれないね。まずは、読む順番を教えてくれる道案内だと思ってみよう。

たろう
つまり、返り点は「戻って読んでね」という看板みたいなもの?

くまごろう
そうそう。上から読み進めて、「この字はあとで読むよ」と教えてくれるしるしなんだ。

たろう
なるほど。上から読み進めて、しるしがあったら必要なところへ戻るんだね。

返り点のイメージ

上から読み進める → いったん通り過ぎる → 合図のあるところまで来たら戻る

つまり、返り点は「漢文を日本語らしい順番で読むためのナビ」なんだ。

返り点を読む基本の手順

返り点とは何かを説明する導入図解。漢文は上から下へ読み進め、返り点のある字はいったん飛ばし、あとで戻って読むことを、矢印つきで示している。

返り点の種類を覚える前に、漢文を読むときの基本の流れを確認しよう。

  1. 上から下へ読み進める
  2. 返り点がついている字は、いったん読まずに飛ばす
  3. 下の字や下のまとまりを読んだあと、返り点のついた字へ戻る
  4. 戻って読んだあと、まだ読んでいない次の字へ進む

大切なのは、返り点のついた字を見た瞬間に読むのではないということ。まずは下へ進み、読むべき字やまとまりを読んでから上へ返るんだよ。

くまごろうのコツ:返り点がある文では、いきなり書き下し文にしようとせず、まず漢字の横に①②③と読む順番を書き込むと分かりやすいよ。

レ点の読み方

レ点の読み方を説明する図解。知レ之を例に、すぐ下の字を先に読んでから上の字へ戻ることを、矢印と書き下し文で示している。

レ点は、すぐ下の一字を先に読み、そのあと一字上へ戻る記号だよ。

例1:

読む順番:①之 ②知

書き下し文:之を知る

「知」にはレ点がついているので、いったん「知」を飛ばして、すぐ下の「之」を先に読むよ。そのあと「知」に戻り、「之を知る」と読むんだ。

例2:人不知而不

読む順番:人 → 知 → 不 → 而 → 慍 → 不

書き下し文:人知らずして慍みず

『論語』の「人不知而不慍」では、「不知」は知らず、「不慍」は慍みずと読むよ。

レ点は、すぐ下の一字を読んでから一字上へ戻ると覚えるとわかりやすいよ。

たろう
レ点は、すぐ下の字を読んでから、ひょいっと一字戻るんだね。

くまごろう
その通り。レ点は「すぐ下を先に読む合図」と覚えると分かりやすいよ。

一二点の読み方

一二点の読み方を説明する図解。不二亦説一乎を例に、一点まで読んでから二点へ戻ることを示し、書き下し文「また説ばしからずや」につなげている。

一二点は、二字以上離れた字に戻るときに使う返り点だよ。

上の字に「二点」、下の字に「一点」がついていたら、一点のついた字まで読んでから、二点のついた字へ戻るんだ。

例:亦説

読む順番:①亦 ②説 ③不 ④乎の働き

書き下し文:また説ばしからずや

この例では、「不」に二点、「説」に一点がついているよ。まず「不」はいったん読まずに飛ばし、「亦説」まで読んでから「不」に戻るんだ。

「不亦説乎」は、書き下し文では「また説ばしからずや」となるよ。「不」は、あとから戻って読まれることで、「説ばしからず」の形になるんだ。

一二点は、一点まで読んでから、二点へ戻ると考えると覚えやすいよ。三点・四点が使われる場合も、まず一点まで読み進め、そのあと二点、三点、四点の順に戻っていくんだ。

たろう
紙の上では二点が先に見えるけれど、読むときは一点のところまで行ってから戻るんだね。

くまごろう
そうだよ。数字は「先に読む順番」というより、戻って読む順番の目印として見るといいんだ。

上下点の読み方

上下点の読み方を説明する図解。有下朋自二遠方一来上を例に、有をいったん飛ばし、朋・遠方より・来るを読んでから有りに戻る流れを示している。

上下点は、一二点よりも大きく返って読むときに使われる返り点だよ。

上の字に「下点」、下の字に「上点」がついていたら、上点のついた字まで読み進め、そのあと下点のついた字へ戻るんだ。

名前だけを見ると迷いやすいけれど、上点のある字を読んだあと、下点のある字へ戻ると押さえよう。

例:朋自遠方

返り点の位置:有に下点、自に二点、遠方の「方」に一点、来に上点

読む順番:①朋 ②遠方 ③自 ④来 ⑤有

書き下し文:朋遠方より来る有り

この例では、まず「有」はいったん読まずに飛ばすよ。次に「朋」を読み、「自遠方」の部分は遠方よりと読む。そして「来」を読んだあと、最後に「有」へ戻るんだ。

読み順のイメージ
朋 → 遠方より → 来る → 有り
書き下し文:朋遠方より来る有り

「有朋自遠方」では、上下点と一二点が組み合わさっているよ。こういうときは、まず内側にある「自遠方」を遠方よりと読み、そのあと全体を朋遠方より来る有りと読むと考えると分かりやすいんだ。

たろう
上下点は、一二点より大きく戻るときに使われるんだね。

くまごろう
そう。上下点は、少し大きなまとまりを後から読むときに使う返り点なんだよ。

一レ点の読み方

一レ点は、一点とレ点が同じ字についている返り点だよ。

一レ点が出てきたら、まずレ点の働きで、すぐ下の字を先に読む。そのあと一レ点のついた字に戻り、さらに一点の働きで二点のついた字へ返るんだ。

例:以為一レ師矣

返り点の位置:可に二点、為に一レ点

読む順番:①以 ②師 ③為 ④可

書き下し文:以て師たるべし

「為一レ」には、一点とレ点が同じ字についているよ。まずレ点の働きで、すぐ下の「師」を先に読む。そのあと「為」に戻り、さらに二点のついた「可」へ戻るんだ。

読み順のイメージ
以 → 師 → 為 → 可
書き下し文:以て師たるべし

一レ点は、「レ点の働き」と「一点の働き」が同じ字に重なっていると考えると分かりやすいよ。

注意:一レ点は、「一点」と「レ点」が同じ字についている場合のことだよ。レ点と一二点が同じ文の中にあるだけでは、一レ点とは言わないので注意しよう。

返り点の組み合わせを説明する図解。不レ如二好レ之者一を例に、好レ之のレ点と如二〜一の一二点、不レ如のレ点が組み合わさることを示している。

返り点が組み合わさったとき

返り点は、レ点だけ、一二点だけで使われるとは限らないよ。レ点と一二点が組み合わさったり、一二点と上下点が組み合わさったりすることもあるんだ。

返り点の組み合わせを説明する図解。不レ如二好レ之者一を例に、好レ之のレ点と如二〜一の一二点、不レ如のレ点が組み合わさることを示している。

レ点と一二点が組み合わさる場合

『論語』の「之を知る者は、之を好む者に如かず」には、レ点と一二点が組み合わさった形が出てくるよ。

例:之者、不之者

読む順番:①之 ②知 ③者 ④之 ⑤好 ⑥者 ⑦如 ⑧不

書き下し文:之を知る者は、之を好む者に如かず

前半の「知之」は、レ点によって之を知ると読むよ。

後半の「不之者」では、まず「好之」を之を好むと読み、「好む者」まで読んでから「如」に戻る。さらに「不如」によって、最後に「不」に戻り、之を好む者に如かずとなるんだ。

「不之者」の読み順
之 → 好 → 者 → 如 → 不
書き下し文:之を好む者に如かず

ここが重要:「不之者」は、一レ点の例ではないよ。これは、のレ点、〜者の一二点、のレ点が組み合わさった形なんだ。

一二点と上下点が組み合わさる場合

一二点と上下点が組み合わさる場合は、内側の返り点から順に処理すると考えるとわかりやすいよ。

例:朋自遠方

内側:自遠方 → 遠方より

外側:有〜来 → 〜来る有り

書き下し文:朋遠方より来る有り

まず「自遠方」を遠方よりと読む。そのあと、「朋遠方より来る」まで読んでから、「有」に戻るよ。

返り点が多い文では、いきなり書き下し文を作ろうとせず、漢字の横に①②③と読む順番を書き込むのがおすすめだよ。

たろう
返り点がたくさんあると、頭の中だけではごちゃごちゃしそう……。

くまごろう
そんなときは、読む順番の番号を書いてみよう。漢文は、暗号を気合いで読むものではなく、読む手順を目で見えるようにして考えるものなんだよ。

置き字と送り仮名にも注意しよう

漢文を読むときは、返り点だけでなく、置き字送り仮名にも注意しよう。

置き字とは、白文には書かれているけれど、書き下し文では漢字としては読まない字のことだよ。『論語』では、などに注意しよう。

例1:学而時習

書き下し文:学びて時に之を習ふ

ポイント:「而」は漢字としては読まないが、前後のつながりに合わせて「て」を補う。

例2:故而知新、可以為一レ師矣

書き下し文:故きを温めて新しきを知れば、以て師たるべし

ポイント:「而」と「矣」は、書き下し文では漢字としては読まない。

ただし、「而」が置き字だからといって、日本語のつながりが何もなくなるわけではないよ。書き下し文では、文の意味に合わせて「て」「して」「れば」などの送り仮名を補うことがあるんだ。

書き下し文に直すポイント

返り点どおりに漢字を並べ替えただけでは、書き下し文は完成しないよ。日本語として自然に読めるように、次の点にも注意しよう。

送り仮名をつける

漢字の右下などについている送り仮名を使って、活用する語を日本語の形に直すよ。

たとえば、「習」は習ふ、「慍」は慍みずのように、送り仮名をつけて読むんだ。

助詞・助動詞を補う

「を」「に」「と」「は」など、訓読に必要な助詞や助動詞を補うことがあるよ。

たとえば「知之」は、漢字だけを順番に並べれば「之 知」だけれど、書き下し文では之を知ると「を」を補うよ。

置き字は原則として漢字のまま読まない

「而」「矣」「乎」などは、書き下し文でその漢字自体を読まないことがあるよ。ただし、文末の「や」や、文のつながりを表す「て」「れば」などとして、意味が日本語に反映されることがあるんだ。

再読文字は二度読む

「未」「将」「当」などの再読文字は、最初に副詞として読み、返ってきたときに助動詞としてもう一度読むよ。再読文字については、別の記事で詳しく確認しよう。

返り点でよくある間違い

返り点のついた字をすぐに読む

返り点は「ここで戻る」という印ではなく、この字はいったん飛ばし、あとで戻って読むという印だよ。

たとえば「知之」は、「知」をすぐ読まず、先に「之」を読んでから「知」に戻るよ。

一二点を「二、一」の順に読むと思ってしまう

紙の上では二点が上、一点が下にあるけれど、読むときは一点まで進んでから二点へ戻るよ。

たとえば「不亦説乎」は、「不」からすぐ読むのではなく、「亦説」まで読んでから「不」に戻るんだ。

一レ点と、レ点+一二点の組み合わせを混同する

一レ点は、一点とレ点が同じ字についている場合のことだよ。

以為一レ師矣 の「為一レ」は一レ点だよ。

一方、之者 は、一レ点ではなく、レ点と一二点が組み合わさった形だよ。

返り点だけを見て、送り仮名を見ない

返り点は読む順番を示すものだよ。実際の読み方や活用は、送り仮名も見て判断しよう。

頭の中だけで複雑な順番を処理する

返り点が複数あるときは、漢字の横に読む順番の番号を書こう。番号を振るだけで、読み飛ばしや戻り忘れをかなり防げるよ。

返り点の練習問題

最後に、『論語』の例文を使って、返り点の読み方を確認しよう。

問題1 「」の読み順を答えましょう。

答え 之 → 知

問題2 「」は、どのように書き下しますか。

答え 之を知る

問題3 「亦説」は、どのように書き下しますか。

答え また説ばしからずや

問題4 「朋自遠方」の読み順として正しいものを答えましょう。

答え 朋 → 遠方より → 来る → 有り

問題5 「朋自遠方」は、どのように書き下しますか。

答え 朋遠方より来る有り

問題6 「以為一レ師矣」の一レ点は、どの字についていますか。

答え 為

問題7 「以為一レ師矣」の読み順を答えましょう。

答え 以 → 師 → 為 → 可

問題8 「之者」は、一レ点の例ですか。

答え いいえ。レ点と一二点が組み合わさった例です。

返り点は、記号だけを暗記するより、実際の漢文に読む順番の番号を振りながら練習すると身につきやすいよ。まずはレ点から始め、次に一二点、上下点、一レ点と、少しずつ範囲を広げていこう。

たろう
返り点って、最初は難しそうだったけれど、「読む順番のナビ」だと思うと少し分かってきたよ。

くまごろう
それで大丈夫。最初から長い漢文に挑戦せず、まずは短い例文に読む順番の番号をつける練習から始めよう。

「漢文の返り点」のドリルにも挑戦して、読み方を定着させよう。

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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

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