(古典)古文助動詞一覧と活用表をわかりやすく解説!意味と覚え方
古文の文章を読み込んでいく際には古文単語を覚える、古典文法を覚えるということが重要ですが、その中でも「助詞」「助動詞」についてどれだけ理解できているか、使いこなせているかということが特にポイントとなります。
これらは文章の意味を大きく変える可能性がありますので、まずはそういった助動詞をしっかりと押さえておきましょう。
助動詞一覧
色々な覚え方や頻出の助動詞というのもあるのですが、まずは助動詞を一覧で紹介したいと思います。
助動詞 | 意味 | 訳し方 |
「る」「らる」 | 受身 | 「~れる、~られる」 |
尊敬 | 「お~になる、~なさる」 | |
可能 | 「~れる、~られる」 | |
自発 | 「自然に~になる」 | |
「す」「さす」「しむ」 | 使役 | 「~させる」 |
尊敬 | 「~なさる、お~になる」 | |
「ず」 | 打消 | 「~しない」「~ではない」 |
「じ」 | 打消推量・打消意志 | 「~ではないだろう」「~しないだろう」 |
「む」「むず」 | 婉曲 | 「~ような」 |
意志 | 「~しよう」 | |
推量 | 「~だろう」 | |
適当 | 「~がよいだろう」 | |
仮定 | 「もし~としたら」 | |
勧誘 | 「~したらどうか」 | |
「まし」 | 反実仮想 | 「~だったら…なのに」 |
ためらい | 「~かしら」 | |
「まほし」 | 希望 | 「~たい、~したい」 |
「ふ」 | 反復 | 「~しては…する |
継続 | 「~しつづける」 | |
「き」 | 過去 | 「~だった」 |
「けり」 | 過去・詠嘆 | 「~だった」「~だったなあ」 |
「つ」「ぬ」 | 強意 | 「きっと~、まさに~」 |
完了 | 「~た、~てしまう」 | |
「たり」 | 存続 | 「~ている」 |
完了 | 「~た、~てしまう」 | |
「たし」 | 希望 | 「~たい」 |
「けむ」 | 過去推量 | 「~ただろう」 |
「べし」 | 推量 | 「~だろう、~にちがいない」 |
意志 | 「~よう」 | |
可能 | 「~できる」 | |
当然 | 「~べき、~はず」 | |
命令 | 「~せよ」 | |
適当 | 「~がよいだろう」 | |
「らし」 | 確実推量 | 「~にちがいない、きっと~だろう」 |
「まじ」 | 打消推量(不可能) | 「~ないだろう、~できない」 |
打消意志 | 「~ないだろう」 | |
打消当然(禁止) | 「~はずがない、~べきではない」 | |
「らむ」 | 現在推量 | 「(今ごろは)~ているだろう」 |
目前原因推量 | 「どうして~なのだろう」 | |
「めり」 | 婉曲推量 | 「~のように見える、~のようだ」 |
「なり」 | 伝聞 | 「~だそうだ、~とかいう」 |
伝聞推定 | 「~らしい」 | |
断定 | 「~である」 | |
存在 | 「~にある」 | |
「たり」 | 断定 | 「~である」 |
「ごとし」 | 比況 | 「~のようだ」 |
「り」 | 存続 | 「~ている」 |
完了 | 「~た、~てしまう」 |
助動詞は助詞と比べると数が多いのですが、どれも文章には必ず出てくる単語ばかりです。
意味、用法などをそれぞれマスターしていくことが重要ですので整理して覚えていくようにしましょう。
助動詞の覚え方
助動詞を覚える際に表を一覧で眺めていてもなかなか覚えられないということがあります。
助動詞は効率の良い覚え方、順序があるので、それらの順序に従って覚えていくと覚えやすいでしょう。
まずは接続が重要である
助動詞を覚える際にはやみくもに覚えるのではなく、接続の種類から覚えていくと効率的です。
助動詞は「未然形接続」「連用形接続」「終止形接続」「それ以外」というような接続の形があります。
接続というのは助動詞が動詞、形容詞の後ろにつながることを指しています。
こうして前の語とつながるときに動詞や形容詞の語尾を変化させてつながるようになります。
この時に未然形や連用形、終止形になって接続しているのです。
これらを声に出して読んだりしながら覚えていくことによってスムーズに覚えていくことが可能となります。
接続形 | 該当する助動詞 |
未然形 | る・らる・す・さす・しむ・ず・じ・む・むず・まし・まほし・ふ・ゆ |
連用形 | き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ |
終止形 | べし・らし・まじ・らむ・めり・なり |
それ以外 | なり・たり・ごとし・り |
この中で終止形には注意が必要です。
終止形接続は基本的には終止形に接続するのですが、「ラ行変格活用型」の場合は連体形に接続することとなります。
それ以外に接続する助動詞として「なり」「たり」「ごとし」「り」があります。
助動詞 | 接続する単語や活用形 |
なり | 連体形や体言など |
たり | 体言 |
ごとし | 連体形や「の」「が」など |
り | サ変動詞の未然形・四段動詞の已然形 |
こうした接続から覚えていくというのは実際に文章を読んでいく際に使える方法ですのでおすすめの方法となっています。
助動詞の活用を覚えていく
助動詞には活用があります。
どういった活用をしていくのかということを覚えていくことで接続からスムーズに使いこなせるようになります。
助動詞 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
「る」 | れ | れ | る | るる | るれ | れよ |
「らる」 | られ | られ | らる | らるる | らるれ | られよ |
「す」 | せ | せ | す | する | すれ | せよ |
「さす」 | させ | させ | さす | さする | さすれ | させよ |
「しむ」 | しめ | しめ | しむ | しむる | しむれ | しめよ |
「ず」 | ず | ず | ず | ぬ | ね | 〇 |
ざら | ざり | 〇 | ざる | ざれ | ざれ | |
な | に | 〇 | ぬ | ね | 〇 | |
「じ」 | 〇 | 〇 | じ | じ | じ | 〇 |
「む」 | 〇 | 〇 | む | む | め | 〇 |
「むず」 | 〇 | 〇 | むず | むずる | むずれ | 〇 |
「まし」 | ましか ませ | 〇 | まし | まし | ましか | 〇 |
「まほし」 | まほしく | まほしく | まほし | まほしき | まほしけれ | 〇 |
まほしから | まほしかり | 〇 | まほしかる | 〇 | 〇 | |
「ふ」 | は | ひ | ふ | ふ | へ | へ |
「き」 | せ | 〇 | き | し | しか | 〇 |
「けり」 | けら | ○ | けり | ける | けれ | ○ |
「つ」 | て | て | つ | つる | つれ | てよ |
「ぬ」 | な | に | ぬ | ぬる | ぬれ | ね |
「たり」 | たら | たり | たり | たる | たれ | たれ |
「たし」 | たく | たく | たし | たき | たけれ | ○ |
たから | たかり | ○ | たかる | 〇 | 〇 | |
「けむ」 | 〇 | 〇 | けむ | けむ | けめ | 〇 |
「べし」 | べく | べく | べし | べき | べけれ | ○ |
べから | べかり | ○ | べかる | ○ | ○ | |
「らし」 | 〇 | 〇 | らし | らし | らし | 〇 |
「まじ」 | まじく | まじく | まじ | まじき | まじけれ | ○ |
まじから | まじかり | ○ | まじかる | ○ | ○ | |
「らむ」 | ○ | ○ | らむ | らむ | らめ | ○ |
「めり」 | ○ | めり | めり | める | めれ | ○ |
「なり」 | ○ | なり | なり | なる | なれ | ○ |
なら | なり、に | なり | なる | なれ | なれ | |
「たり」 | たら | たり、と | たり | たる | たれ | たれ |
「ごとし」 | ごとく | ごとく | ごとし | ごとき | 〇 | 〇 |
「り」 | ら | り | り | る | れ | れ |
助動詞の見分け方、判別の仕方
助動詞には見た目は同じでも複数の意味を持っている助動詞があります。
例えば「る、らる」には4つの意味があります。
こういった場合はどの意味で使用されているかを判別する必要があります。
「る、らる」の見分け方は以下のようになっています。
尊敬
尊敬の意味になる時は主語が身分の高い人であった時です。
「仰せらる」は「おっしゃる」「命じる」という訳になりますが、そういった行為をするのが身分の高い人であることを考えるとイメージしやすいかもしれません。
自発
自発は感情を表す言葉ですので、感情を表す動詞に付いて使います。
「思はる」・・・自然と思ってしまう
「偲ばる」・・・自然と懐かしく思い出される
「泣かる」・・・泣かないではいられない
というように感情を伴う言葉が来ているときは自発を疑いましょう。
可能
こちらは何かできるという意味ですが、古文では打ち消し表現とともに使って不可能の意味として使うことが多くなっています。
「寝られず」のように後ろに打ち消しの「ず」を持ってくることで、「寝ることができない」という不可能の意味として使用するのです。
受身
何かされる、という意味になる受身です。
そのため「~に」という言葉が付いていたり、補うことができるという場合には受身である可能性が高くなります。
こういった判別に当てはまらないようなものがあれば、それはたいていが「自発」ということになっています。
このように助動詞にはそれぞれに判別方法があります。
複数の意味があるものについてはそれらも整理して覚えておきましょう。
まとめ
古典文法において助動詞は頻出の品詞です。
意味や用法も多く、活用もすることから問題にしやすいという側面もあります。
一覧表や活用表を見ながら実際に自分が使うことで身につけていきましょう。
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。