漢詩「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」現代語訳・解説まとめ

中学2年国語で学ぶ「漢詩の風景」から、李白作「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」について、現代語訳・書き下し文・詩の形式・表現技法・押韻・語句の意味など、定期テストで必要になるポイントをくわしく解説するよ。

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」テスト対策ポイントまとめ

※赤いキーワードは必ず覚えよう!

  • 詩の形式は「七言絶句」
  • 作者は唐代の詩人「李白」
  • 第四句では倒置法が使われている。
  • 第一句と第二句、第四句の「楼」「州」「流」で押韻が使われている。
  • 難しい漢字の読みを確認しよう!
  • それぞれの句の意味と情景を理解しよう!
  • 詩のテーマは「友人と別れることの悲しみ」

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」のアニメ調解説動画もあるよ!

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「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」 期末テスト対策ポイント

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目次

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」基本情報

漢詩「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」のイラスト
作品名黄鶴楼こうかくろうにて孟浩然もうこうねん広陵こうりょうくを送る
作者李白りはく
詩の形式七言絶句
しちごんぜっく
表現技法押韻(第一句・第二句・第四句)
倒置法(第四句)
作品の主題友人と別れることの悲しみ

※李白は、杜甫と並ぶ唐代(中国の王朝の名前)に活躍した詩人

李白とはどんな人物か説明する図解イラスト

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」書き下し文

黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る 書き下し文

故人西のかた黄鶴楼を辞し
煙花三月陽州に下る
孤帆の遠影碧空に尽き
唯だ見る長江の天際に流るるを

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」現代語訳

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」現代語訳

私の古い友人は、(目的地の広陵から)西にあるこの黄鶴楼に別れを告げて、
春がすみの三月に、揚州へと(長江を船で)くだっていく
たったひとつの帆かけ船がどんどんと遠ざかって、青空の中へ消えてしまう
(私は)長江が空のはてまでつづいて流れていくのを見るだけ

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」詩の形式

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」は、今までに学習した「春暁」や、杜甫の作品の「絶句」と同じように、全部で4つのからできている漢詩なので、詩の形式は「絶句ぜっくになるよ。

4つの句(ひとかたまりの言葉)でできている漢詩を、絶句と呼ぶんだったね。

漢詩の形式を表にしたイラスト

春暁や杜甫の作品は、ひとつの句が5文字で作られていたから、「五言絶句ごごんぜっく」という形式だったけれど、「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」は、ひとつの句が7文字で作られているので、「七言絶句しちごんぜっく」という形式なんだ。

李白の黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送るの漢詩が七言絶句であることを説明している図解イラスト

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」表現技法

倒置法

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」の第四句には、倒置法が使われているよ。

倒置法とは

文章の語順をあえて通常とは逆にすることで、印象を強める効果がある表現技法のこと。

第四句の「唯だ見る長江の天際に流るるを」は、
通常なら

「長江の天際に流るるを唯だ見る」

というふうになるよね。
それをあえて逆にして、印象を強めているんだね。

李白作「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」の第四句で倒置法が使われていることを説明する図解イラスト
くまごろうくまごろう

テストでは、「どんな表現技法が使われているか?」とか、「第四句にはどんな表現技法が使われているか?」とか、「倒置法が使われているのはどこか?(答えは第四句)」とかいうように問題が出るよ。

押韻について

押韻というのは、「韻を踏む」こと。
「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」では、第一句、第二句、第四句で韻が踏まれているよ。

第一句 故 人 西 辞 黄 鶴 楼(ロォゥ)
第二句 煙 花 三 月 下 揚 州(ヂォゥ)
第四句 唯 見 長 江 天 際 流(リォウ)

李白作「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」の第一句・第二句・第三句で押韻が使われていることを説明している図解イラスト
くまごろうくまごろう

テストでは、「第何句に押韻が使われているか?」とか、「韻を踏んでいる漢字を3つ書きなさい」というような問題が出ることがあるよ。

色の対比について

第三句では、舟の帆の「白」と、空の「碧(青)」の色の対比がされているよ。
はっきりと「白」という言葉は出てこないけれど、舟の帆=白を連想させているんだね。
青い空と舟の帆の白さを対比させることで、より情景がはっきりとして、読み手の印象にも強く残るよね。
広く青い空に対して、小さな白い舟の帆であることも、なんだか寂しいような、物悲しいようなイメージが伝わるよね。

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」漢字の読み方・語句の意味

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」は漢詩なので、普段あまり使わない言葉や、漢字の読みが難しい語句があるね。

テストでは、語句の意味や漢字の読み方が問題に出されたりもするので、しっかりおさえておこう。

語句読み方意味
黄鶴楼こうかくろう中国の武昌という町にある建物の名前。
孟浩然もうこうねん唐代の詩人の名前。「春暁しゅんぎょう」の作者だったね。作者の李白とは古くからの親友。
広陵こうりょう中国に昔あった郡の名前。揚州ようしゅう=広陵。
煙花えんか春の「かすみ」のこと。「煙」は春がすみのことで、「花」は春に花が美しく咲き乱れているようすを表している。
孤帆こはんたったひとつだけ見える「ほかけ船(帆があるシンプルな船のこと)」。
碧空へきくう青空のこと。
天際てんさい空のはてのこと。

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」それぞれの句の情景

まず情景を理解するために、「黄鶴楼」と「揚州」、「長江」の位置関係を確認しよう。

黄鶴楼・揚州・長江について説明している図解イラスト
黄鶴楼と揚州の位置関係を説明する中国の地図と図解イラスト

この詩を詠んだ李白がいるのは「黄鶴楼」。
李白の「故人(古くからの友人)」である孟浩然は、黄鶴楼を去って揚州へ向かうために、長江を船で下るんだ。

第一句の情景

「故人西のかた黄鶴楼を辞し」というのは、
「私の古い友人は、西にあるこの黄鶴楼に別れを告げて」という意味。

「故人」というのは、日本語だと「亡くなってしまった人」という意味だけれど、中国では「古い友人」とか、「古い親友」という意味なので注意しよう。
この「古い友人」というのが、孟浩然のことなんだね。

孟浩然は、李白よりも十歳年上で、「春暁」の作者でもあるように、漢詩の名手として李白は孟浩然のことを尊敬していたよ。
だから、李白は孟浩然と別れることをとても残念に思っているんだね。

「辞し」というのは、あいさつをして引き下がること。つまり、別れを告げて黄鶴楼から去ってしまうという意味なんだ。

「西にある」というのは、目的地の揚州(広陵)に対して、黄鶴楼がある場所が西にあるからだよ。

李白作「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」の第一句の情景を説明する図解イラスト

第二句の情景

「煙花三月揚州に下る」というのは、
「春がすみの三月に、揚州へと(船で)くだっていく」という意味。

「煙花」は、春のかすみのことだったね。
この漢詩の中での季節は三月で、春かすみが立つようなころということが分かるね。
この三月は旧暦なので、現代だと三月から五月くらいのことになるよ。
まさに春まっさかりだね。

「揚州に下る」というのは、「揚州へ」「船で下る」ということだね。なぜ「下る」かというと、孟浩然は長江(中国を流れる川の名前)を使って揚州へ行くのだけれど、黄鶴楼があるところに比べて、目的地の揚州は下流にあるからだよ。

揚洲は、栄えて華やかな港町。「春かすみ」ということばが使われているところからも、孟浩然が春の美しい季節に、華やかな揚洲へ行くことを華々しく詠んでいるね。

そもそも孟浩然はなぜ揚洲へ行くのかというと、当時の孟浩然は浪人で、官職についていなかったんだ。
なので、揚洲へ行って職を探そうとしていたのではないかと考えられているよ。

だから、孟浩然のこの先の職探しがうまくいくように、という願いも込めて、李白は華々しく送ろうとしたのかもしれないね。

李白作「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」の第ニ句の情景を説明する図解イラスト

第三句の情景

「孤帆の遠影碧空に尽き」とは、
「たったひとつの帆かけ船がどんどんと遠ざかって、青空の中へ消えてしまう」という意味。

遠影は「どんどんと遠ざかって、遠くにシルエットが見える」状態だね。

孟浩然が揚洲へ行くことを第二句では華々しく詠んでいたのだけれど、この第三句では、「孤帆」や「遠影」「尽き」と、とつぜん寂しい雰囲気の語句が使われているね。

孟浩然の乗った船がどんどん遠ざかっていくにつれて、「ああ、本当に行ってしまうのだな…」と李白の心に寂しさが押し寄せてきたのかもしれないね。

李白作「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」の第三句の情景を説明する図解イラスト

第四句の情景

「唯だ見る長江の天際に流るるを」とは、
「(私は)長江が空のはてまでつづいて流れていくのを見るだけ」ということ。

もう孟浩然が乗った船は見えなくなってしまって、ただ長江と空だけが映る景色を、李白はそのままずっと見ている様子が伝わるね。

孟浩然との別れが寂しくて、見えなくなったあともずっとそのまま見続けてしまっているのかもしれないね。

李白作「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」の第四句の情景を説明する図解イラスト

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」作者の心情と詩の主題

第一句から第四句までの内容をまとめると、
春がすみの三月、作者の李白は、古くからの親友である孟浩然が、黄鶴楼に別れをつげて揚州へと旅立ってしまうのを見送っている。

孟浩然は、帆かけ船にのって、長江を下って揚州へ向かう。

孟浩然の乗っている船は、どんどん遠ざかって小さなシルエットになり、とうとう青空の中へ消えてしまう。

孟浩然の船が見えなくなってしまったそのあとは、李白はただ長江が空のはてまでつづくように流れているのをずっと見るばかりだった…
ということ。

李白は、孟浩然が去ってしまうのが寂しくて、ずっとその姿を見送り続けていたんだよね。

ズバリ、この漢詩のテーマは「友人と別れることの悲しみ」だよ。

李白作「黄鶴楼にて孟浩然の広陵へ之くを送る」のテーマを説明している図解イラスト

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」まとめ

「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」まとめ

  • 詩の形式は「七言絶句」。
  • 作者は唐代の詩人「李白」。
  • 第四句では「倒置法」が使われている。
  • 第一句と第二句、第四句の「楼」「州」「流」で押韻が使われている。
  • 難しい漢字の読みを確認しよう!
  • それぞれの句の意味と情景を理解しよう!
  • 詩のテーマは「友人と別れることの悲しみ」。

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

感想や意見を聞かせてね

  1. より:

    とても分かりやすかったです!

  2. k より:

    わかりやすくてこれからも、テスト勉強の時に参考にさせて頂こうと思います〰︎✍

  3. ねむ より:

    とても分かりやすかったです!

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    テストでいい点とれる自信がつきました!

  5. ty より:

    わかりやすかったです

  6. 匿名 より:

    とっても分かりやすいので期末テスト勉強に使わせて頂きます!

  7. ラディーバース より:

    とても分かりやすいのでテスト勉強に役出させて頂きます!

  8. ゆきな より:

    分かりやすい

  9. おむらいす より:

    とても分かりやすかったです!これからのテスト勉強で活用させていただきます!!

  10. 紙の精霊 より:

    テスト前にありがたい

  11. 匿名 より:

    テスト勉強に助かります

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    わかりやすくて助かります!!

  13. 匿名M より:

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  16. たにさん より:

    とってもわかりやすいです。参考になりました!ありがとうございます。

  17. あう より:

    本当に分かりやすかったです!
    ありがとうございます!
    テスト勉強の参考にしたいと思います
    頑張ります!

  18. にゃんこ より:

    分かりやすかったです。
    ありがとうございました!!

  19. 南無阿弥陀仏 より:

    まとめあるのすごくいいですね!

  20. 匿名 より:

    分かりやすすぎ。

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    分かりやすすぎ。

  22. きょ より:

    わかりやすかったです

  23. 去来 より:

    とてもよかったです

  24. M より:

    参考になりました!

  25. 匿名 より:

    わかりやすい

  26. 匿名 より:

    孟浩然のこの先の職探しがうまくいくように、という願いも込めて、李白は華々しく送ろうとしたのならば船が見えなくなってしまった後も寂しくなってずっとそのまま見続けるてしまうのは少しダサく見えます。

  27. 毛沢東 より:

    它很容易理解並且非常有幫助。謝謝。

  28. 毛沢東 より:

    わかりやすかったです。

  29. 月裏 より:

    丁度ここの単元難しくて困っていたので助かりました!ありがとうございます

  30. より:

    ゴリラたかし

  31. 匿名 より:

    とてもわかりやすかったです!!