土佐日記「帰京」定期テスト対策練習問題無料プリント・過去問

高校古典で学習する紀貫之の土佐日記「帰京」について、定期テストで良く出題される問題や過去問をまとめているよ。
作者について、お話の内容とポイント、古語の意味、活用などの文法問題を確認しよう。

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土佐日記「帰京」定期テスト対策練習問題

次の土佐日記「帰京」の原文を読んで問いに答えなさい。

 (1)京に入り立ちてうれし。
家に至りて、門に入るに、(2)月明かければ、いとよくありさま見ゆ。
(3)聞きしよりもまして、(4)いふかひなくぞこぼれ破れたる。
家に預けたりつる人の心も、(5)荒れたるなりけり。
(6)中垣こそあれ、ひとつ家のやうなれば、望みて預かれるなり。
(7)さるは、たよりごとに物も絶えず得させたり。
(8)今宵、「かかること。」と、(9)声高にものも言はせず。
(10)いとはつらく見ゆれど、(11)こころざしはせむとす。

 さて、池めいてくぼまり、水つける所あり。
ほとりに松もありき。(12)五年六年のうちに、(13)千年や過ぎにけむ、(14)片方はなくなりにけり。
今生ひたるぞ交じれる。
おほかたの、みな荒れにたれば、「あはれ。」とぞ人々言ふ。
(15)思ひ出でぬことなく、思ひ恋しきがうちに、この家にて生まれし女子の、(16)もろともに帰らねば、いかがは悲しき。
船人もみな、子たかりてののしる。
かかるうちに、なほ悲しきに堪へずして、(17)ひそかに心知れる人と言へりける歌、

 生まれしも(18)帰らぬものをわが宿に小松のあるを見るが悲しさ

とぞ言へる。
(19)なほ飽かずやあらむ、また、かくなむ。

 見し人の松の千年に見ましかば遠く悲しき別れせましや

忘れ難く、(20)口惜しきこと多かれど、え尽くさず。
とまれかうまれ、(21)疾く破りてむ。

問1

「土佐日記」の作者を漢字で答えなさい。

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答え:紀貫之

問2

土佐日記が成立した時代を答えなさい。

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答え:平安時代

問3

下線(1)「京に入り立ちてうれし。」とあるが、作者はどこから京に帰ったのか、当時の国名を答えなさい。

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答え:土佐の国

問4

下線(2)「月明かければ」の「ば」の意味を答えなさい。

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答え:原因・理由
【解説】已然形(けれ)+接続助詞「ば」は原因・理由、偶然、恒常の3つの意味があるが、ここでは「原因・理由」が正しい。

問5

下線(3)「聞きしよりもまして」とあるが、何について聞いていたのか、正しいものを次の中から選びなさい。

ア:家が荒れていること
イ:帰京して喜んでいること
ウ:隣人の心が荒れていること
エ:月が明るいこと

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答え:ア

問6

下線(4)「いふかひなく」の意味として正しいものを次の中から選びなさい。

ア:言ったかいもなく
イ:言ったにも関わらず
ウ:言うひまもなく
エ:どうしようもなく

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答え:エ

問7

下線(5)「荒れたるなりけり」の「けり」の意味を答えなさい。

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答え:詠嘆
【解説】「けり」の上に断定の「なり」がある場合は、「けり」は詠嘆の意味となる。

問8

下線(6)「中垣こそあれ、」を現代語訳しなさい。

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答え:例:中垣があるものの、
【解説】係助詞「こそ」により、「ある」が已然形で結ばれているが、「あれ」のあとに句読点「、」があり、文が続いているため強調逆接構文となる。逆接を表現する「中垣があるが」「中垣があるけれど」というように訳せているかがポイント。

問9

下線(7)「さるは、便りごとに物も絶えず得させたり。」とあるが、「さるは」の指す内容として正しいものを次の中から選びなさい。

ア:家が荒れ果ててしまっていたこと
イ:一つの家のような付き合いだったこと
ウ:先方からの提案だったこと
エ:隣人の心が荒れていたこと

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答え:ウ
【解説】紀貫之の家の管理をすることを申し出てくれたのは先方(隣人)であるものの、お礼として品物を送っていた。

問10

下線(8)「今宵、『かかること』」とあるが、「かかること」の内容として適切な部分を古文より15字以内で抜き出して答えなさい。

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答え:いふかひなくぞこぼれ破れたる

問11

下線(9)「声高にものも言はせず」の助動詞「せ」の意味を答えなさい。

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答え:使役

問12

下線(9)「声高にものも言はせず」とあるが、(A)「誰が」(B)「誰に」そうさせたのか。A・Bそれぞれを選択肢から選びなさい。

ア:紀貫之
イ:紀貫之の従者
ウ:隣人
エ:紀貫之の娘

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答え:
A:ア
B:イ

問13

「つらく」の意味として正しいものを次の中から選びなさい。

ア:苦しい
イ:薄情だ
ウ:難しい
エ:悲しい

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答え:イ

問14

下線(10)「いとはつらく見ゆれど、」とあるが、誰のことを「つらく」思っているのか。古文より10字以内で抜き出して答えなさい。

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答え:家に預けたりつる人

問15

下線(11)「こころざしはせむとす。」の助動詞「む」の意味を答えなさい。

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答え:意志
【解説】助動詞「む」には推量・意志・適当・勧誘・婉曲・仮定の6つの意味があり、人称によって見分けるのがポイント。 ここでは主語が話し手自身(一人称)であるため、意味は「意志」となる。

問16

下線(11)「こころざしはせむとす。」とあるが、何をしようと思っているのか。正しいものを次の中から選びなさい。

ア:隣人に理由をたずねること
イ:隣人にお礼をすること
ウ:家の修繕をすること
エ:家を修繕するための資金を得ること

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答え:イ

問17

「五年六年」の読みをひらがなで答えなさい。

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答え:いつとせむとせ

問18

「千年」の読みをひらがなで答えなさい。

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答え:ちとせ

問19

下線(12)「五年六年のうちに」とあるが、この「五年六年」が指す内容として正しくないものを次の中から選びなさい。

ア:紀貫之の土佐での任期
イ:隣人に家を預けていた期間
ウ:隣人が隣に住んでいた期間
エ:松の一部が枯れてしまうまでの期間

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答え:ウ

問20

下線(13)「千年や過ぎにけむ」とあるが、係助詞「や」の意味を答えなさい。

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答え:疑問
【解説】「や」は疑問の係助詞。係り結びの法則により、文末の助動詞「けむ」が連体形になっている。「(五年六年のうちに)千年が過ぎてしまったのだろうか」という疑問の意味になる。

問21

下線(13)「千年や過ぎにけむ」とあるが、助動詞「けむ」の意味を答えなさい。

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答え:過去推量
【解説】助動詞「けむ」には、過去推量・過去の原因推量・過去の婉曲・過去の伝聞の4つの意味があり、まずは過去の事実かどうかで見分けると良い。過去の事実の場合、「原因推量」となり、「どうして〜したのだろう」のように理由を推測する場合に使われる。そうでない場合は「過去推量」となり、ここでは単に『過ぎてしまったのだろうか』と過去の状態を推し量っている。

問22

下線(14)「片方はなくなりにけり」とあるが、何の「片方」が無くなったのか。古文より抜き出して答えなさい。

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答え:松

問23

下線(15)「思ひ出でぬことなく」を現代語訳しなさい。

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答え:例:思い出さないことはない
【解説】打ち消しの「ぬ」と「ない」で、二重否定となっていることに注意しよう。この「ぬ」は、完了の「ぬ」と間違われやすい。直後の「こと(名詞)」に続いているので連体形であるのが見分けポイント。完了の「ぬ」であれば、終止形となる。

問24

下線(16)「もろともに帰らねば、いかがは悲しき。」を現代語訳しなさい。

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答え:例:一緒に帰らないので、どれほど悲しいことか。
【解説】京のこの家で生まれ、土佐に連れていった娘が、一緒に京のこの家に帰ることができなかったことを悲しんでいるのである。

問25

「ののしる」の意味として正しいものを選びなさい。

ア:文句をいう
イ:非難する
ウ:騒ぎ立てる
エ:叱る

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答え:ウ

問26

下線(17)「ひそかに心知れる人」とは誰のことか。次の中から選びなさい。

ア:紀貫之
イ:隣人
ウ:紀貫之の妻
エ:紀貫之の娘

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答え:ウ
【解説】娘を失った悲しみを共に理解している、紀貫之の妻のことである。

問27

下線(18)「帰らぬものを」を現代語訳しなさい。

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答え:例:帰らないけれども
【解説】「ものを」は逆接であることに注意しよう。

問28

和歌「生まれしも帰らぬものをわが宿に小松のあるを見るが悲しさ」の「小松」に対して、作者は何を連想しているのか、本文から抜き出して答えなさい。

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答え:女子
【解説】「帰らぬもの」も、女子のことを指しているが、ここではハッキリと紀貫之の娘をあらわす「女子」を最適解としている。

問29

下線(19)「なほ飽かずやあらむ」を現代語訳しなさい。

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答え:例:それでも満足しないのだろうか
【解説】ここでの「飽く」は「満足する」という意味なので注意する。「あらむ」の「む」は推量の助動詞。主語が三人称であることから見分けられる。

問30

和歌「見し人の松の千年に見ましかば遠く悲しき別れせましや」の「見し人」とは誰のことを指すか、正しいものを次の中から選びなさい。

ア:紀貫之
イ:ひそかに心知れる人
ウ:船人
エ:女子

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答え:エ

問31

和歌「見し人の松の千年に見ましかば遠く悲しき別れせましや」の「まし」の助動詞の意味を答えなさい。

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答え:反実仮想
【解説】「まし」は、「反実仮想」と「ためらい」の2つの意味があるが、「Aましかば、Bまし(もしAだったとしたら、Bだろうに)」という反実仮想の呼応(定型句)になっているのが判断のポイント。ここでは「もし娘が生きてこれを見ていたなら、悲しい別れをしなかっただろうに」と、事実とは反対のことを仮定している。

問32

和歌「見し人の松の千年に見ましかば遠く悲しき別れせましや」の「遠く悲しき別れ」とは何を指すか。もっとも適切なものを次の中から選びなさい。

ア:娘との永遠の別れ
イ:美しかった松をもう見ることはできないこと
ウ:土佐の友人との別れ
エ:土佐での娘との死別

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答え:エ
【解説】表向きの意味としては、土佐という「遠く」離れた地で娘を亡くしたことを指すので「エ」が正解。
ただし、この「遠く」には、死別によって娘と心が遠く離れてしまった(永遠の別れ)という意味も掛けられている(掛詞)と解釈されることが多い。学校の授業でどう習ったかを確認しておこう。

問33

下線(20)「口惜しきこと多かれど、え尽くさず。」を現代語訳しなさい。

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答え:例:残念なことが多いが、書き尽くすことができない。

問34

下線(21)「疾く破りてむ。」とあるが、何を破るのか。次の中から正しいものを選びなさい。

ア:日記
イ:隣人との約束
ウ:任務
エ:娘との思い出

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答え:ア

問35

下線(21)「疾く破りてむ。」の助動詞「て」の意味を答えなさい。

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答え:強意
【解説】完了の助動詞「つ」「ぬ」は、その直後に推量の意味をもつ助動詞が来ると、「強意」の助動詞になる。この「て」は完了の助動詞「つ」の連用形。下に推量・意志の助動詞「む」を伴って「てむ(つ+む)」の形になっている時、完了の「つ」は「強意(確述)」の意味になる。「きっと~しよう(強意+意志)」や「きっと~だろう(強意+推量)」と訳すのがテストのポイント。ここでは「(日記を)早く破ってしまおう」という強い意志を表している。

運営者情報

「ゆみねこの教科書」を運営しているゆみねこの教科書教育メディア合同会社代表の檜垣由美子のプロフィール写真

檜垣 由美子(ゆみねこ)
詳しいプロフィールを見る

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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  1. くま より:

    便利です
    よく使います

  2. くま より:

    便利です
    よく使います
    いつもありがとうございます

  3. りくま より:

    便利です
    よく使います
    いつもありがとうございます

  4. ぽんた より:

    定期テスト前の勉強に使いました。テストに出そうな問題が多くて、解説も分かりやすくてとても助かりました!

  5. もち より:

    ありがとうございます。助かりました。

  6. より:

    問32について質問失礼します。
    学校での授業では二つの意味があると習いました。
    アである永遠の別れで心理的に娘と心が離れているという意味と、エである物理的に土佐と離れている意味と聞きました。
    なぜアが不正解になるのか教えてほしいです。

    • yumineko より:

      質問ありがとうございます。

      授業で習ったことをしっかり覚えていて、さらに深く考えていて素晴らしいですね。
      結論から言うと、「ア(永遠の別れ)」も間違いではありません。

      りさんの学校の授業で先生がおっしゃったように、この和歌には「掛詞(かけことば)」という技法が使われていて、二重の意味が込められていると解釈するのが一般的だからです。
      では、なぜこの問題の正解が「エ」になっているのか、そしてテストではどう考えればいいのかを解説しますね。

      1. 「遠く」に込められた二つの意味
      この和歌の「遠く」には、掛詞として以下の二つの意味が含まれています。
      物理的な距離(場所): 土佐という遠い場所。
      心理的な距離(時間・生死): 亡くなってしまった娘との、遠く隔たってしまった距離(永遠の別れ)。
      なので、りさんの言う通り、「ア(永遠の別れ)」も「エ(土佐での死別)」も、どちらも作者の心情としては正しいです。

      2. ではなぜこの問題では「エ」が正解なのか?
      この問題のポイントは、「遠く」という言葉が直接的に修飾している状況が問われている点にあります。

      本文の、文脈をもういちど確認してみます。
      「もしも、亡くなった娘が(松のように千年も生きて)ここにいたならば、(土佐という)遠くで、(死別するという)悲しき別れをしただろうか? いや、しなかっただろう」
      この歌の表向きの構図(反実仮想)は、「もし娘が生きていたら、土佐であんな悲しい別れをすることはなかったのに」という、「土佐での出来事」を悔やむものですね。
      そのため、選択肢の中で最も直接的かつ具体的な状況を説明している「エ(土佐での娘との死別)」が、この問題では「最適解」としています。

      3. 実際のテストでの考え方
      とはいえ、定期テストでは「その学校の先生の解釈」が正解の基準になることがあります。
      もし授業で、先生が「『遠く』には『永遠の別れ』という意味が込められている点が重要だよ」と強調されていた場合は、「ア」も正解、あるいは「アとエの両方を選ぶ」ことが正解になる可能性があります。

      この練習問題では、文脈上の具体的な出来事を指す「エ」を正解としていますが、学校のテストでは、先生が授業で解説したポイント(掛詞の意味など)を最優先して答えてください。
      「二つの意味がある」と習ったのであれば、記述問題で「土佐という物理的な遠さと、死別による心理的な遠さの両方の意味が込められている」と答えるのがおすすめです。

      りさんのご指摘をもとに、問題文の表現を少し変えて、さらに解説にも詳しく書いておきますね。
      このようなご指摘をいただけると、とても助かります。
      またなにかありましたら、いつでもコメントお待ちしております。

      • より:

        なるほど、丁寧なご説明どうもありがとうございました。テスト頑張ります。