漢詩の形式とルール(有名漢詩一覧)ポイントまとめ
中学国語の漢詩の学習で必要なポイントやルール、漢詩の形式についてわかりやすくまとめました。
中学で習う漢詩の一覧もあるので、テスト前の確認ができます。
漢詩の形式・ルール・ポイント
有名漢詩の一覧
目次【本記事の内容】
- 1.漢詩の基礎知識
- 1-1.漢詩の形式とは
- 1-2.対句とは
- 1-3.韻とは
- 2.漢詩の読み方のルール
- 2-1.返り点とは
- 2-2.送り仮名と助詞について
- 2-3.白文とは
- 2-4.訓読文とは
- 2-5.書き下し文とは
- 3.中学で習う漢詩一覧
漢詩の基礎知識
漢詩の形式とは?
形式なんていうと、なんだかピンとこないよね。
例えば、マンガで考えてみよう。
「マンガ」といっても、4コママンガとか、少女漫画とか、月刊コミックスとか、色々あるよね。
これって何が違うのかというと、「ひとつのお話が4つのコマでできているもの」を「4コママンガ」と呼ぶし、「女の子が主人公で、恋愛がテーマのマンガ」を「少女漫画」と呼ぶし、毎月1回販売されるものを「月刊コミックス」と呼んだりするということだよね。
つまり、決まった「やり方」があって、それによって呼び方が変わるよ、ということだよね。
漢詩の形式も、同じように考えてみよう。
「詩」といっても、4つの句で作られていれば「絶句」と呼ぶし、8つの句で作られていれば、「律詩」と呼ぶというだけなんだ。
「句」というのは、「ひとつづきの言葉」のことだよ。
さらにおなじ絶句でも、「ひとつの句が5文字」で作られていれば「五言絶句」だし、「7文字」なら「七言絶句」と呼ぶんだ。
同じように,律詩が「ひとつの句が5文字」なら「五言律詩」だし、「7文字」なら「七言律詩」と呼ぶんだよ。
絶句は「起承転結」になっている
これはカンタン。またマンガで考えてみるよ。
四コママンガって、「起承転結」になっているよね。
なんと、漢詩も「絶句」の形式のときには「起承転結」になっているんだ。
絶句は「4つの句」でできているよね。
だから、ひとつずつの句がそれぞれ「起」・「承」・「転」・「結」の役割を持っていて、ちょうど4つピッタリになるんだ。
律詩は起承転結にはなっていないの?
律詩も、起承転結とおなじような作りにはなっているんだけど、8つの句でできているから、2つの句がペアになって「起承転結」の役割を持っているんだよ。ちょっとややこしいので、中学ではまだ覚えなくて大丈夫。
対句とは?
対句というのは、「相対する2つの句」のこと。
カンタンに言えば、「ペアになっている2つの句」というイメージかな。
文字数とか、品詞とか、文の構造が同じになっているんだ。
品詞とは、「単語の種類」のこと。「名詞」とか、「動詞」とか「形容詞」とかのことだね。
【対句の例】
杜甫の作品の絶句の場合
江は碧にして 鳥は逾よ白く
山は青くして 花は然えんと欲す
名詞の「江」と「山」、形容詞の「碧」と「青」、
他にも「鳥」と「花」、「白」と「然えんと欲す(赤を表す)」。
品詞や文字数、構造が似ているのが分かるね。
双子コーデみたいなイメージかな(笑)
律詩の二連と三連は対句になる
漢詩の基本的なルールでは、律詩の二連(3つめと、4つめの句のこと)と三連(5つめと、6つめの句のこと)は対句になるよ。
でも、これは基本的なルールなので、例外もあるので注意してね。
「連」というのは、ふたつの句をセットにした呼び方だよ。律詩は8つの句からできてるよね。
それぞれ「1つめと2つめの句」のセットを「一連」
「3つめと4つめの句」のセットを「二連」
「5つめと6つめの句」のセットは「三連」
そして「7つめと8つめの句」のセットが「四連」だよ。
韻とは?
韻は、聞いたことがあると思うよ。
ラップとかで、「韻を踏む」って言うよね。
歌詞の終わりの部分に、同じような音の言葉を持ってきたりするテクニックだね。
このテクニックが、漢詩でも使われているんだ。
韻を踏むことで、ラップと同じように「リズム感を出したり、印象に残る」ようにする効果があるんだよ。
ただ、漢詩の場合は「韻を踏む」ことを「押韻」と呼ぶよ。
押韻の場所にはルールがある!
押韻をする場所は、漢詩の形式によって基本的な決まりがあるよ。
【五言絶句の場合】
2つめの句の終わりと、4つめの句の終わりで押韻する。
【七言絶句の場合】
1つめの句の終わり、2つめの句の終わり、4つめの句の終わりで押韻する。
【五言律詩の場合】
2つめの句の終わり、4つめの句の終わり、6つめの句の終わり、8つめの句の終わりで押韻する。
【七言律詩の場合】
1つめの句の終わり、2つめの句の終わり、4つめの句の終わり、6つめの句の終わり、8つめの句の終わりで押韻する。
漢詩の読み方のルール
ところで、漢詩は中国で作られた詩だよね。
だから、当たり前だけれど、中国語で書かれているよね。
ということは、中国語がわからない場合は漢詩を読むことはできないよね。
でも、日本語と中国語では、「漢字」という共通点があるよね。
だから、漢詩にちょっと工夫をしてあげると、日本語として読むことができるんだよ。
【漢詩にこんな工夫をした!】
・漢詩は漢字のみで、送り仮名や助詞がない…
→送り仮名と助詞をつけちゃおう!
・中国語と日本語じゃ、言葉の並び方(文法)が違う…
→目印になるマークをつけて、読む順番がわかるようにしよう!
この工夫として生み出されたテクニックがこれから説明する「返り点」と「送り仮名」「助詞」だよ。
返り点とは?
返り点とは、漢詩(漢文)を日本語として読むときに、「どこから読めばいいのか」「どんな順番で読めばいいのか」が分かるようにするためにつけるマークみたいなもの。
レ点
レ点は、「この言葉を読む前に、この1つ下にある言葉から先に読んであげてね!」という意味のマーク。
レ点と呼ぶだけあって、マークは「レ」。そのままだね。
このマークが間にある場合は、二つの言葉の順番をひっくり返すことになるんだ。
【例】杜甫の作品の絶句の場合
欲レ然
欲と然の間に「レ点」があるので、「欲」よりも先に「然」を読むことになるよ。
一・二点
順番を入れ替える「レ点」があっても、それだけだと隣り合っている(上と下の)言葉しか順番を変えることができないよね。
そこで考えられたのが「一・二点」。
「言葉の下に、二のマークがあったら、先に一のマークがあるところを読んであげてね!」と言う意味になるんだ。
【例】孟浩然の「春暁」の場合
処 処 聞二 啼 鳥一
「聞」の下に二のマークがあるので、先に一のマークがあるところの「啼」と「鳥」を先に読むんだ。
※「一」のマークがある上の「鳥」だけじゃなくて、「二」と「一」の間にある言葉を全部先に読むので注意してね。
なので、この句の読み方は「処」「処」「啼」「鳥」「聞」という順番になるよ。
送り仮名と助詞について
さっき説明したように、漢詩は「漢字だけ」で書かれているよね。
日本語にするには、送り仮名や助詞が足りないので、それを付け足してあげるんだよ。
【例】孟浩然の春暁の場合
処 処 聞ク 啼 鳥ヲ
今は送り仮名と助詞の説明なので、一・二点は省略しているよ。
「聞」は日本語だと、「聞く」で「ク」が送り仮名として必要だよね。
「啼鳥(鳥の鳴き声のこと)」も、日本語なら「啼鳥を聞く」というように「を」という助詞が必要だよね。
こうやって日本語として伝わるように、「送り仮名」や「助詞」を付け足してあげるんだ。
白文とは?
今まで説明したように、漢詩は、そのままでは中国語がわからないと読むことができないので、日本語として読めるように工夫する方法があったよね。
「白文」というのは、この「工夫をする前の、もとのままの漢詩」のこと。
つまり、返り点や送り仮名、助詞を付け足してあげる前の状態のことだね。
訓読文とは?
白文が「もとのままの漢詩」なのに対して、日本語として読めるように「返り点」や「送り仮名」「助詞」を付け足してあげた状態の漢詩のことを「訓読文」と呼ぶんだ。
書き下し文とは?
では書き下し文とは?
訓読文には、返り点や送り仮名、助詞が付け足されているけど、言葉の順番とかは結局中国語の並び方のままだよね。
それを、ちゃんと言葉の順番も入れ替えたうえで、ほとんど日本語と同じように書き直したのが「書き下し文」なんだ。
上の漢詩は、孟浩然の「春暁」だよ。
右側の「春 眠 不 覚 暁」…というように、漢字だけのもとのままの状態のものを「白文」、
右側の漢字に「レ点」や「一・二点」、送り仮名や助詞をつけてあるものを「訓読文」、
そして左側の文のように、日本語のように言葉の順番も並び替えた状態で書き直したものを「書き下し文」と呼ぶんだね。
中学で習う漢詩一覧
孟浩然「春暁」
詩の形式:五言絶句
詩のテーマ:春ののどかさ
押韻:第一句「暁」・第二句「鳥」・第四句「少」
詩の意味:
春の眠りは心地よく、夜が明けたことも気が付かないくらいだ。
あちらこちらで鳥の鳴き声が聞こえる。
ゆうべは、風雨の音がしていた。
花はどのくらい散ってしまっただろう。
杜甫「絶句」
詩の形式:五言絶句
詩のテーマ:故郷へ帰れないことの悲しみ
対句:第一句・第二句
押韻:第二句「然」・第四句「年」
詩の意味:
川は深い青色をしていて、その川にいる水鳥はますます白く見える。
山は青あおと茂っていて、花は燃えるように咲いている。
今年の春も、見ているうちにまたすぎてしまう。
いつ、故郷へ帰れるのだろうか。
李白「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る」
詩の形式:七言絶句
詩のテーマ:友人と別れることの悲しみ
押韻:第一句「楼」・第二句「州」・第四句「流」
第四句で倒置法が使われている
詩の意味:
私の古い友人は、西にあるこの黄鶴楼に別れを告げて
春がすみの三月に、揚州へと(船で)くだっていく
たったひとつの帆かけ船がどんどんと遠ざかって、青空の中へ消えてしまう
(私は)長江が空のはてまでつづいて流れていくのを見るだけ
杜甫「春望」
詩の形式:五言律詩
詩のテーマ:戦乱による苦境におかれたまま年老いていく悲しみ
押韻:第二句「深」・第四句「心」・第六句「金」・第八句「簪」
対句:第一句と第二句・第三句と第四句・第五句と第六句
詩の意味:
戦乱によって国都(長安のこと)は破壊されてしまったが、山と河はそのままにある。
城壁に囲まれた町(同じく長安のこと)の中にも春はやってきて、草や木が生い茂っている。
時勢に悲しみを感じて、花を見ても涙を流し、
家族との別れを恨めしく思っては鳥の声にも心を驚かす(不安に思う)。
戦いののろしは三ヶ月も続き、(春の三月という説もある)
家族からの便りは万金にも値する。
白髪頭を掻けば、更に抜けて少なくなる、
簪で冠を留めることが全くできないほどに。
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
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凄く良いです
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大事な所が書かれていて勉強がスムーズにできました
ありがとうございます -
めちゃくちゃわかりやすいです。
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wakariyasu
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kami
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神
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ほんとにわかりやすくて最高です
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とてもわかりやすかったのでテスト勉強に使わせていただきました
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めっちゃ分かりやすかった
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分かりやすくて助かりました!
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良き
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ありがとう
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テスト前ですごく困ってたので助かりました!
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本当に、分かりやすかったです!
これをもとに学習に取り組みます! -
ぐへへへこれでまとめられたぜ
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ぐへへへこれでまとめられたぜーいいあ
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ぐへへへこれでまとめられたぜ
わかりやすくて助かりました