(古典)漢文の基礎知識をわかりやすく解説!読み方と置き字
大学受験に向けて必要な国語は「現代文」「古文」「漢文」です。
そのうち「漢文」はもともとが日本語ではなく、中国の文章を日本語として理解していくものとなりますので、スムーズに読むためには知識が必要となります。
そこでここでは漢文を読むための基礎知識、および「置き字」について紹介していきたいと思います。
漢文とはどういったものか
「漢文」とは古代中国の文語体の文章のことを指しており、日本ではその文章を日本語として読むまでの一連の流れを指すことが多くなっています。
中国語は漢字だけで表現されているのですが、文法が日本語とは違っているために日本語として読むためには「訓点」などを使用しています。
例えば漢文の基本的な語順は、
主語―修飾語―述語―目的語
となっています。
日本語では、
主語―修飾語―目的語―述語
主語―目的語―修飾語―述語
という順になるため、語順が違っているのです。
中国語は文法的には英語に近いものがあり、世界的に見てもオーソドックスな並びとなっています。
どちらかと言えば日本語の語順のほうが珍しいとも言えます。
こうした語順が違う文章を日本語として読むためにさまざまな工夫がなされてきたのです。
漢文の基本的な読み方
漢文を読んでいく際の基本的な知識から紹介していきます。
白文とは
白文とはもともとの中国語そのままの状態、つまり漢字が並んでいるだけの状態のものを指します。
この状態の文章を読んでいくためには中国語を理解しているという必要があるのですが、古代中国の文法は現代の中国語の文法と違っている部分もあるため、現在の中国人でもスラスラと読めないことがあります。
大学受験でこの白文のままで問題が出題されるということはほとんどなく、かなり専門的な勉強をしていなければ理解できないでしょう。
訓読文とは
こちらは漢文の漢字の並びはそのままにして、そこに訓点や送り仮名をつけることで日本語の語順で読めるようにしたものです。
訓点は後で触れますが、「レ点、一二点、上下点」のような符号で日本語の語順にするための記号です。
基本的には大学受験の問題文ではこの訓読文が出題されることが多くなっています。
ただ、大学によっては「訓点と送り仮名」「訓点のみ」などのパターンがあります。
また、送り仮名がつけられている場合でも、その送り仮名は歴史的仮名遣いで書かれているため、古典知識が必要となります。
書き下し文とは
書き下し文とは訓読文を普通の日本語の並びにしたものです。
大学受験ではどれだけ訓読文を正確に書き下し文にできるかということが重要となります。
書き下し文についても送り仮名などについては歴史的仮名遣いのままで表記しなければいけませんので、勝手に変えないようにしましょう。
現代語訳とは
これはその名前の通り、日本語の現代語訳です。
最終的にはここまでがスムーズにできるように仕上げていかなければいけません。
白文→訓読文→書き下し文→現代語訳
となりますので、「訓読文→書き下し文」「書き下し文→現代語訳」を特に意識して漢文を学んでいきましょう。
最終的には、
「春眠不覚暁」
という漢文を見てすぐに
「春眠暁を覚えず」という読み方ができるようになった上で、
「春の眠りは心地よく、夜が明けたことも気づかずにいる」という現代語訳ができるようになれば良いということになります。
ただ、こうした漢文を読み解いていく上でポイントとなるのが「置き字」と「再読文字」です。
受験生が漢文で頭を悩ませることがあるものですので、次にこれらについて述べていきます。
置き字の理解と活用について
「置き字」とは漢文の中で「助字」と言われる字のことです。
語句と語句をつないだり、文末にきて断定や完了、疑問といった意味を付け加えることが可能となります。
置き字の種類とは
置き字は中国語で読む際には発音するのですが、日本語にする際には読む必要がなくなるという場合があります。
つまり訓読文の時点で置き字が書かれていても、書き下し文にするときにはその字は書かないということがあるのです。
ただ、置き字に送り仮名や読み仮名がついている場合は読む場合もあります。
置き字には「而」「焉」「矣」「於」「于」「乎」「於」「兮」の7種類が存在しています。
漢文の勉強をしていると見かけることが多いでしょう。
置き字の意味と使い方、使用する場所とは
それぞれの簡単な意味は以下のようになっています。
「而」
語句と語句をつなぐための接続の役割を果たしています。
直前に読む文字に「テ」や「レドモ」などの送り仮名がつけられることが多くなっており、その後に来て文章をつなげていくのです。
順接・逆説どちらでも使用されるため、次の文章がどのようになっているか確認する必要があります。
「乎」「於」「于」
これらの置き字は場所・対象・時間・比較・受身などを表す前置詞的な役割を果たします。
これらの意味の中のどの働きをしているかについては、場所、対象、比較などの語句の後に置かれた文字の送り仮名によって判断します。
「ヲ」「ニ」であれば場所・対象・状況、「ヨリモ」であれば比較を表すということになります。
「矣」「焉」
これらの字は文末に置かれて断定・強調などの役割を果たしています。
「兮」
この字に関しては見る機会が少ないかもしれません。
漢文の中でも韻を踏んだ文(韻文)の中の句中や句末に置かれ、文のリズムを整える役割を果たしています。
置き字の使用例
例えば、
「学而時習之、不亦説乎」
という文章のうち「而」「乎」は置き字となります。
「学びて時に之を習ふ、また説ばしからずや」
となるのですが、この書き下し文にする際に「而」は読んでいませんし、「乎」はひらがなとして読んでいます。
こういった使い方に慣れていきましょう。
再読文字の理解と活用について
「再読文字」とは返り点をいったん無視してとりあえず一度読み、返り点に従って二度目を読む文字のことを指しています。
文法的には原則として一度目は「副詞」、二度目は「動詞もしくは助動詞」として読みます。
例えば、
「未来」という漢文は「未だ来たらず」ということになり、「未」は「いまだ」と「ず」で二度読んでいることとなります。
再読文字の種類、意味、使い方とは
再読文字は「未」「当」「応」「且」「将」「須」「宜」「由」「猶」「盍」の10種類があります。 それぞれの意味は以下のようになっています。
再読文字 | 読み方 | 意味 |
未 | いまだ・・・ず | まだ・・・し(てい)ない |
将・且 | まさに・・・んとす | 今まさに・・・しようとする |
当 | まさに・・・べし | ・・・しなければならない |
応 | まさに・・・べし | きっと・・・だろう |
須 | すべからく・・・べし | 必ず・・・しなければならない |
宜 | よろしく・・・べし | ・・・するのがよい |
猶・由 | なほ・・・(の/が)ごとし | あたかも・・・のようである |
盍 | なんぞ・・・ざる | どうして・・・しないのか |
これらの中でも「未」「将」「当」などは特に頻出の再読文字となっています。
出てきた場合は悩まずに訳せるまでやり込んでおくことが重要だと言えます。
まとめ
漢文は共通テストでも50点の配点で出題されている重要な単元となります。
中国語ということもあってややこしいようなイメージはありますが、実際にやってみると覚えることはそれほどなく、すぐにできるようになります。
漢文の文法、置き字、再読文字などに注意して頻出語を覚えていきましょう。
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。