伊坂幸太郎「ヒューマノイド」定期テスト対策|予想問題と解答・解説
中学2年生の国語で学習する伊坂幸太郎「ヒューマノイド」の定期テストでよく出る問題を研究して予想問題を作成しているよ。漢字・語句の意味・内容の読解問題、筆者の主張など、重要なポイントを確認しよう。
まずは解説を確認してからチャレンジしたい場合は、伊坂幸太郎「ヒューマノイド」解説記事をチェックしよう。
伊坂幸太郎「ヒューマノイド」テスト対策練習問題
漢字の問題
次の( )内の漢字の読みをひらがなで、カタカナは漢字で書きなさい。
問1
(緊張)感にたえられず(キュウケイ)所で休む
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きんちょう・休憩
問2
頭の(キオク)の箱の(錠)に鍵が入る
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記憶・じょう
問3
信号が切り(カ)わると、けげんそうに(マユ)をひそめる
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替・眉
問4
誰かに(メイワク)をかける
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迷惑
問5
(連鎖反応)を起こし、飛び(カ)う発言
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れんさはんのう・交
問6
彼に(アコガ)れを抱く
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憧
問7
(雑巾)を絞り(ユカ)を拭く
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ぞうきん・床
問8
絵の具を踏み(ツブ)したことを(アヤマ)る
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潰・謝
問9
(滑)らかに動くロボット
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なめ
問10
(語呂)合わせを楽しむ
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ごろ
問11
明るい(雰囲気)に勇気が(湧)く
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ふんいき・わ
問12
(既)に(アイサツ)をしている
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すで・挨拶
問13
(催)しがある日を(サ)ける
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もよお・避
問14
(軌道)に乗る
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きどう
問15
(無邪気)に(サケ)ぶ
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むじゃき・叫
語句の意味・短文作成問題
問1
「自分の発言に手応えを感じたこともない」とあるが、「手応え」とはここではどういう意味か。
ア:自分の手が触れたときの、ずっしりとした感覚。
イ:相手から返ってきた、確かな反応や実感。
ウ:相手と議論して、論破したときの満足感。
エ:自分の発言が難しい内容だという自覚。
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イ
問2
「彼と教室でたわいもない話をするのは好きだった」とあるが、「たわいもない」とはどのような様子か。
ア:聞いているだけで涙が出るような、感動的な。
イ:真剣に議論を交わすような、難しい。
ウ:特にこれといった中身のない、ささいな。
エ:大声で笑ってしまうほど、面白い。
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ウ
【解説】「たわい」は「物事のしっかりした手応えや張り合い」という意味。それが「ない」ので、「ささいな」という意味になる。
問3
「『飽きる』という機能がないと、人間は進化しない」とあるが、ここでの「機能」とはどういう意味か。
ア:物事が持っている、特定の働きや役目。
イ:機械などに飾りとして付けられたもの。
ウ:人間が生まれつき持っている、見た目の特徴。
エ:他の人には真似できない、特殊な能力。
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ア
問4
「相手が振り返り、それがアイコではなく、上級生だとわかったときには、ぞっとした」とあるが、この時の「僕」はどのような気持ちか。
ア:相手が誰なのかわからず、不思議に思った。
イ:予想外の人物の登場に、大きな声で驚いた。
ウ:間違いに気づき、血の気が引くような思いがした。
エ:上級生に会えたことが嬉しく、胸が高鳴った。
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ウ
【解説】「ぞっとする」は恐怖だけでなく、冷や汗が出るような強い焦りや気まずさの場面でも使われる。
問5
「向こうはけげんそうに眉をひそめていた」とあるが、「けげんそうに」とはどのような様子か。
ア:何が起きたのかわからず、不思議に思っている様子。
イ:相手の失礼な態度に、ひどく腹を立てている様子。
ウ:悲しい出来事があり、今にも泣き出しそうな様子。
エ:おもしろいものを見て、笑いをこらえている様子。
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ア
問6
「向こうはけげんそうに眉をひそめていた」とあるが、「眉をひそめる」とはどのような表情か。
ア:喜びや嬉しさで、顔をほころばせる様子。
イ:不快感や心配事で、顔をしかめる様子。
ウ:驚きのあまり、目を丸くする様子。
エ:恥ずかしさで、顔を赤らめる様子。
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イ
問7
「取り繕うように髪の毛を触り」とあるが、「取り繕う」とはどういうことか。
ア:相手に謝罪の気持ちを伝えること。
イ:その場の気まずさをごまかそうとすること。
ウ:喜びの気持ちを体で表現すること。
エ:髪の毛の乱れをきれいに直すこと。
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イ
【解説】「取り繕う」には、失敗や欠点がわからないように、うわべをうまく飾る、という意味がある。
問8
「彼が真面目な面もちで言うと、教室がまたどっと沸いた」とあるが、「面もち」とは何か。
ア:心の状態が現れた、顔つきや表情。
イ:相手に与える、全体の雰囲気。
ウ:その人が着ている、服装の様子。
エ:話すときの、声の大きさや調子。
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ア
問9
「教室がまたどっと沸いた」とあるが、これはどのような様子を表しているか。
ア:急に静まり返り、緊張感が走った。
イ:大勢の人が一斉に大声で笑った。
ウ:感動的な話に、涙を流す人が続出した。
エ:難しい問題に、みんなが頭を悩ませた。
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イ
問10
「恥をかく場面でも動揺しないタクジに、憧れに近い思いを抱いていた」の「動揺」と最も意味が近い言葉を、次から一つ選びなさい。
ア:反発
イ:共感
ウ:混乱
エ:落胆
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ウ
問11
「タクジは肩を落としたが」とあるが、この時のタクジはどのような様子か。
ア:自分の失敗に腹を立て、怒っている様子。
イ:緊張が解けて、ほっと安心している様子。
ウ:重い荷物を持って、ひどく疲れている様子。
エ:誘いを断られて、がっかりしている様子。
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エ
次の指定された言葉を使って、短文を作りなさい。
【短文を作るときのポイント】その言葉の意味をしっかり理解して、どんな場面で使うかをイメージすると自然な文が作りやすくなるよ。
問12
もしくは
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(例)今日の夕食はカレーライス、もしくはハンバーグが良い。
【解説】「Aか、あるいはBか」のように、いくつかの選択肢を示すときに使う接続詞。「または」と似た意味で使える。
問13
地に落ちる
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(例)不正が発覚し、あの会社の信用は地に落ちた。
【解説】「信用や評判などがすっかりなくなってしまう」という意味の慣用句。本当に物が地面に落ちるわけじゃないから注意しよう。
問14
思いをはせる
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(例)祖母は、遠くで暮らす孫に思いをはせて手紙を書いていた。
【解説】遠く離れた場所や人、過去の出来事などに、心を向けて深く考えるときに使う。
問15
…ものの
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(例)宿題は終わらせたものの、まだ遊びに行く気にはなれない。
【解説】「〜だけど」「〜ではあるが」という逆接の意味。「Aであることは認める。だけどBだ」というように、前の内容と反対の内容が後ろに続く。
問16
立ち尽くす
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(例)突然の知らせに、彼は玄関で立ち尽くすしかなかった。
【解説】驚きや悲しみ、感動などで、身動きがとれずにじっと立っている様子を表す。
問17
ひたすら
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(例)彼女は、自分の夢をかなえるため、ひたすら練習に打ち込んだ。
【解説】「ただ、それだけを一心に」という意味。他のことは考えず、一つのことに集中している様子を表す。
問18
振り絞る
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(例)勇気を振り絞って、好きな人に声をかけた。
【解説】「ありったけの力を出す」こと。「声を振り絞る」「勇気を振り絞る」のように、目に見えない力に対しても使えるのがポイント。
問19
万が一
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(例)万が一、試合に負けても、最後まであきらめないで戦おう。
【解説】「めったにないとは思うけど、もしも〜したら」と、可能性の低いことを仮定するときに使う。備えや心配事を話すときによく出てくる言葉。
問20
「彼は無邪気に言い」とあるが、「無邪気」と最も意味が近い言葉を、次から一つ選びなさい。
ア:無謀
イ:天真爛漫
ウ:無口
エ:不誠実
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イ
【解説】「無邪気」も「天真爛漫」も、飾ったところがなく、素直で明るい様子を表す言葉。
内容理解問題
問1
「ただ、彼と教室でたわいもない話をするのは好きだった。」とあるが、この「たわいもない話」とは、具体的にどのような話のことか。次の中から最も適切なものを一つ選びなさい。
ア:学校の先生や友達のこと、流行のゲームやテレビ番組について語り合う、中学生らしいごく普通の世間話。
イ:将来すごいロボットを作るために、その設計やプログラミングの方法について専門的な知識を教え合う難しい話。
ウ:「もし自分がヒューマノイドロボットを作るなら」というユニークな視点で、人間の感情や感覚を「機能」として捉え、その意味を考える話。
エ:お互いが体験した失敗談や恥ずかしい出来事を面白おかしく語り合い、笑い飛ばすことでストレスを発散する話。
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ウ
【解説】この物語の中で、「僕」とタクジがしていた話は、ただの世間話(ア)や、専門的すぎる話(イ)ではない。タクジはいつも「僕がヒューマノイドロボットを作るなら」という仮定の話から、「飽きる」や「恥ずかしい」といった人間の感情を「機能」という言葉で捉え直し、その必要性について真剣に語っていた。よって、話の核心を最も正確に捉えているウが正解になる。
問2
タクジは、「飽きる」という機能が人間にとって必要だと考えていた。それはなぜか。「~から」と続くように、本文中から23字で抜き出して書きなさい。
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『飽きる』という機能がないと、人類は進化しない(から)
問3
タクジが「飽きる」機能について熱弁した後、「人類の進化とは大げさだな、と僕はあきれた。」とあるが、この時の「僕」の気持ちとして最も適切なものを、次の中から一つ選びなさい。
ア:「飽きる」という身近なことを人類の進化という壮大な話に結びつけるタクジの発想を「大げさだ」と感じ、やれやれと思いながらも、そのユニークさを面白がっている気持ち。
イ:タクジが非科学的でばかげたことばかり言うので、心から軽蔑し、真剣に話を聞く価値もないと腹を立てている気持ち。
ウ:タクジの意見のすばらしさに感動し、それに比べて自分の考えがいかに浅はかだったかを思い知り、自分自身に対してあきれている気持ち。
エ:タクジの話の内容が難しすぎて全く理解できず、どう反応すればよいかわからなくなってしまい、会話を諦めようとしている気持ち。
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ア【解説】ここでの「あきれた」は、タクジを完全に馬鹿にしたり、怒ったりしているわけではない。「僕」はタクジとの「たわいもない話」が好きだったから、タクジのユニークな発想をいつものこととして受け止めている。
「また大げさなこと言ってるよ、面白いやつだなあ」というような、親しみがこもった「やれやれ」という気持ちが一番近い。イのように、本気で軽蔑したり怒ったりしているなら、そもそも「話をするのは好きだった」とは思わないはずである。ウやエのように、自分を責めたり、話を諦めたりしているわけでもない。よって、呆れつつも、その状況を楽しんでいる「ア」が正解になる。
問4
「恥をかくと、見捨てられたような気持ちになるし、自分の評価が地に落ちたような気分になる。」とあるが、具体的な気持ちとして当てはまるものを、次の中から2つ選び、記号で答えなさい。
ア:周りから仲間はずれにされ、独りぼっちになってしまったかのような孤独な気持ち。
イ:自分の価値が下がり、周りからダメな人間だと思われたような惨めな気持ち。
ウ:どうせ失敗したのだから、いっそ笑い飛ばしてほしいと願う、開き直った気持ち。
エ:恥ずかしいけれど、みんなの注目を集めることができて少し嬉しいという高揚した気持ち。
オ:自分の間違いをすぐに認め、相手に対して素直に謝罪したいという反省の気持ち。
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ア・イ
【解説】アは、本文の「見捨てられたような気持ちになる」という部分に対応している。人間違いをしてみんなの前で恥をかいたことで、周りから孤立してしまったような寂しい気持ちになっている。
イは、本文の「自分の評価が地に落ちたような気分になる」という部分に対応している。「あいつはドジなやつだ」と思われたんじゃないか、自分の価値が下がってしまったんじゃないか、という惨めな気持ちを表している。
ほかの選択肢も見てみよう。
ウ:「取り繕うように髪の毛を触り」とあるように、「僕」は開き直るどころか、なんとかごまかそうと焦っている。
エ:「ぞっとした」とあるので、嬉しい気持ちは全くないことがわかる。
オ:「『間違えました』とも『すみません』とも言えなかった」とあるので、素直に謝りたいという気持ちにはなれていない。
問5
物語の中でタクジは、「恥ずかしい気持ち」がなぜ人間に必要なのかについて考えている。タクジの最終的な考えとして、最も適切なものを次の中から一つ選びなさい。
ア:失敗を二度と繰り返さないように、人間に強く反省を促すためだけの機能だと考えている。
イ:人間を苦しめるだけで何の役にも立たない不要な感情なので、優れたロボットには必要ないと考えている。
ウ:失敗を繰り返さないためという側面に加え、記憶に強く残ったり感情を大きく揺さぶったりする、人間を理解する上で欠かせない重要なものだと考えている。
エ:周りの人から嫌われないように、自分の行動に注意を払わせるための社会的な機能だと考えている。
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ウ
【解説】この問題は、タクジの考えが会話の中で深まっていく過程を、しっかり追えているかがポイント。タクジの考えは、「失敗防止機能」(ア)という単純な仮説からスタートし、最終的には「人間の記憶や感情を大きく左右する、非常に重要な要素だ」という、より深い理解に到達している。この一連の流れを最も正確にまとめているウが正解となる。
ア:「だけ」という言葉が間違い。これはタクジが途中で思いついた仮説の一つにすぎない。
イ:これはタクジの最初の疑問に近いけど、最終的には「信用できるロボットには必要だ」という結論に達しているので、真逆。
エ:「社会的な機能」という考え方は、本文には書かれていない。
問6
「目立っただけで恥をかく」とあるが、具体的にどんな時のことか、「~時」となるように本文から12字で抜き出して答えなさい。
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大勢の前で名前を呼ばれた(時)
問7
タクジが人間の本質を真剣に考えた上で「宣言するように言った」、自分が作るロボットの最も重要な方針とは何か。 本文中から、「~ロボット」で終わるように、17字で抜き出して書きなさい。
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人間の恥ずかしい気持ちを理解できる(ロボット)
【解説】「転ばないようにはするね」と迷った人もいるかもしれないが、なぜそちらは間違いなのか、詳しく見ていこう。
【正解の根拠】
問題文では、「僕」が人違いをした後の場面に限定して、タクジが「宣言するように言った」言葉を尋ねている。
その場面でタクジは、「人間にとって、恥をかくか、かかないかというのは重要なことだろ」と熱弁した上で、「もし僕がヒューマノイドロボットを作るなら、人間の恥ずかしい気持ちを理解できるようにする」と力強く宣言している。
一方、「転ばないようにはするね」というセリフは、全く違う状況で語られている。これは、美術室で大失敗をして、「僕」に冷たく突き放されてしまったタクジが、肩を落としながら、最後の力を振り絞るようにして言った言葉である。
ここには、自分の失敗を悔やむ気持ちや、「僕」の機嫌を直そうとする気遣いは感じられるが、彼のロボット作りの哲学を「宣言」するような力強さはない。
問8
タクジが「僕がヒューマノイドロボットを作るなら、人間の恥ずかしい気持ちを理解できるようにする」と宣言したのはなぜか。最も適切なものを、次の中から一つ選びなさい。
ア:恥ずかしい気持ちは不要な機能なので、ロボットには付けないようにするため。
イ:人間にとって「恥」はとても重要な感情なので、それを理解できないロボットは信用できないから。
ウ:ロボットが人間を笑わせることで、恥ずかしい気持ちを忘れさせてあげられるようにするため。
エ:恥ずかしいと感じる人間の弱みをロボットに学習させ、人間より優れた存在にするため。
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イ
【解説】「そんなこともわかってくれないロボットなんて信用したくない」というタクジのセリフがヒント。
問9
タクジの「そんなこともわかってくれないロボットなんて信用したくない」というセリフについて、ここでの「そんなこと」とは、具体的にどういうことか。最も適切なものを、次の中から一つ選びなさい。
ア:人間が、失敗を繰り返さないために「恥ずかしい」という機能を持っているということ。
イ:「僕」が、人違いをした時に謝ることもできず、ただ髪の毛を触ってごまかしていたということ。
ウ:「恥」という感情が、記憶に強く残ったり、人を泣かせたりするほど、人間にとって重要であるということ。
エ:大勢の前で名前を呼ばれただけでも恥ずかしくなってしまう、人間の心の繊細さのこと。
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ウ
【解説】この問題は、指示語「そんなこと」がどの範囲を指しているかを考えるのがポイント。
直前のタクジのセリフを見てみよう。
「人間にとって、恥をかくか、かかないかというのは重要なことだろ。恥ずかしかった記憶はいつまでたっても、くっきりと覚えている。恥をかいたことで泣く人もいれば、怒る人もいる。」
タクジは、「恥」は人間にとって重要だ「恥」の記憶は強く残る「恥」は感情(泣く・怒る)を大きく動かすという、3つのポイントを挙げて、「恥」というものが人間に与える影響の大きさを説明している。
指示語「そんなこと」は、これらの内容をすべて指している。
したがって、これらの要素がまとめられているウが正解になる。
アは、タクジが途中で思いついた仮説の一つだけど、「そんなこと」が指す内容のすべてではない。
イは、「僕」の具体的な行動で、話のきっかけにはなったけど、「そんなこと」が指す広い意味とは違う。
エは、「僕」が例として挙げたことの一つで、これも一部分を切り取ったものにすぎない。
問10
「僕」が、ロボットのイベントに誘ってきたタクジに「怒りにも似た、いら立ち」を感じたのはなぜか。その理由を簡潔に書きなさい。
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(例)クラス中に迷惑をかけ、落ち込んでいるはずのタクジが、あまりにのんきに見えたから。
問11
「頭の中を小突かれたような気分になった」とあるが、この時の「僕」はどのような気持ちか。最も適切なものを、次の中から一つ選びなさい。
ア:誰かに悪口を言われ、ひどく傷ついた気持ち。
イ:難しい問題を考えすぎて、頭が痛くなった気持ち。
ウ:あることにハッと気づかされ、行動を起こそうと決めた気持ち。
エ:突然の出来事に驚き、どうすればいいかわからなくなった気持ち。
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ウ
【解説】ハッと我に返り、迷いが消えた状態。
問12
「僕」はなぜ「自宅とは逆方向に行く列車に乗り込んでいた」のか。「タクジ」と「約束」という言葉を使って、その理由を書きなさい。
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(例)タクジとの約束を果たすため、イベント会場へ向かおうと思ったから。
問13
「『入場無料』の文言にも後押しされ、僕は吸い込まれるように中に入った」とありますが、「僕」が会場に「吸い込まれるように」入っていった最も大きな理由は何ですか。次の中から一つ選びなさい。
ア:約束の日、この場所に、かつての親友であるタクジが来ているかもしれないという、強い期待と願いがあったから。
イ:仕事で疲れていたが、「入場無料」でイベントに入れると知り、金銭的な負担なく楽しめることに魅力を感じたから。
ウ:昔タクジと話していたロボットが、十数年でどれほど進化したのか、純粋な好奇心から見てみたいと思ったから。
エ:誰かに背中を押されたかのように、自分の意志とは関係なく、無意識のうちに足が会場の中へと向かってしまったから。
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ア
【解説】「イ」と迷った人もいるかもしれないが、本文にはたしかに「『入場無料』の文言にも後押しされ」と書いてある。しかしこれはあくまで「きっかけの一つ」や「背中を押してくれた要因」にすぎない。
「僕」がわざわざ自宅と逆方向の電車に乗ってまでこの場所に来た、一番の理由は「タクジに会いたい」「会えるかもしれない」という強い気持ちである。
問14
「ステージ上では二人の人間が距離を取り、キャッチボールをしていた。」とあるが、実際には、何と何がキャッチボールをしていたか。本文の内容に合うように、答えなさい。
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人間とロボット
【解説】「僕」は最初、遠くから見ていたので、キャッチボールをしているのが「二人の人間」だと思い込んでいたが、その直後に書かれた「高い位置に設置された大型ビジョンの映像を見て、その一方が人間ではなく、ロボットだとわかった。」という一文から、キャッチボールをしていたのは「人間とロボット」の組み合わせだったことがはっきりとわかる。
問15
「そのAI機能で人探しはできないのかな、と思いながら僕はタクジの姿を探し」とありますが、ここでいう「そのAI機能」とは、どのような機能のことですか。本文中から15字以内で抜き出して書きなさい。
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相手に合わせて反応も変えられます。
【解説】指示語「その」が何を指しているかを正確に捉えるのがカギ。
「そのAI機能」という言葉が出てくる直前、「AI機能により、相手に合わせて反応も変えられます。」という開発者の説明が聞こえてきていた。「僕」はこの説明を聞いて、「へえ、相手によって反応を変えられるのか。それほど高度な機能なら、僕が探しているタクジという特定の人物を見つけ出すこともできるんじゃないか?」と、とっさに考えているため、「そのAI機能」が指しているのは、直前で説明された「相手に合わせて反応も変えられます」という機能のことになる。
「遠くの映像も拡大してくれるカメラの機能」と思った人もいるかもしれないが、「僕」が考えていた時点では、まだカメラ機能の説明はされていない。指示語は通常、その直前の内容を指す。文章が書かれている順番(時系列)をしっかり追いかけることが、正確な読解の最大のコツ。
問16
「僕は感心したが、最後まで見ている必要もないと思い、席から立つ。ゆっくりと出口へ向かおうとした。」とあるが、この時の「僕」の気持ちとして最も適切なものを、次の中から一つ選びなさい。
ア:最新のロボット技術に圧倒され、自分とタクジとの間には大きな差が生まれてしまったと感じ、これ以上ここにいるのがつらくなったから。
イ:タクジに会えるかもしれないという期待が薄れ、会場にいることに疲れてしまい、明日の仕事のことも考えて帰ることにしたから。
ウ:ロボットよりも、会場に来ている他の観客のほうが気になってしまい、一旦外に出て会場の周りにタクジがいないか探そうと思ったから。
エ:ロボットのデモンストレーションがあまりに素晴らしく、満足したので、約束を果たせたことにして早く家に帰りたくなったから。
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イ
【解説】会場に入った当初、「僕」は「タクジに会えるかもしれない」と強く期待していた。しかし、観客席を見渡してもタクジらしき人物は見つからず、「少しすると、タクジが今日ここに来る可能性はかなり低いことに気がついた。」と、諦めの気持ちに至っている。
ア:この時点では、まだ開発者がタクジだとわかっていないので、「差を感じてつらくなった」というのは考えすぎ。
ウ:本文に「外に出て探そう」という記述はなく、むしろ会場内を探すことを諦めている。
エ:まだタクジに会えていないので、「約束を果たせた」とは全く思っていないはず。
問17
三十歳になったタクジは、「転ぶこと」についてどのように考えているか。本文中の言葉を使い30字以内で答えなさい。
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(例)転ぶことはしかたがないことであり、大事なのは、起き上がること。
【解説】ロボットが転倒した後、開発者であるタクジはこう言った。
「転ぶことはしかたがありません。大事なのは、起き上がることです。」
このセリフに、成長したタクジの考え方が凝縮されている。
問18
「僕」は「ふとその言葉に引っ掛かりを覚えた」とあるが、この時の「僕」の気持ちとして、最も適切なものを次の中から一つ選びなさい。
ア:最新のロボットなのに簡単に転んでしまう性能の低さに疑問を感じ、開発者の説明は言い訳にしか聞こえないと思ったから。
イ:開発者の言葉が、単なるロボットの機能説明とは思えず、過去に美術室で転んだタクジの姿と重なり、何か特別な意味があるのではないかと感じ始めたから。
ウ:「起き上がること」という言葉を聞いて、自分も仕事の失敗から立ち直らなければならないと励まされ、深く感動していたから。
エ:その言葉を聞いた瞬間に、ステージ上の開発者がタクジその人であると確信し、声をかけようかどうか迷い始めたから。
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イ
【解説】この問題は、「引っ掛かりを覚えた」という、まだ確信には至っていない微妙な心の動きを読み取れるかがポイント。
「僕」の頭の中では、現在の出来事:ステージ上でロボットが転び、開発者が「転ぶことはしかたがない、大事なのは起き上がることだ」と語る。過去の記憶:中学時代、美術室でタクジが転んで大失敗した。この二つの出来事が、無意識のうちに結びつき始めている。その心の動きを最も正確に表しているのがイの選択肢である。
ア:本文に「僕」がロボットの性能を批判的に見ている記述はない。
ウ:「僕」自身の仕事と結びつけて感動しているのではなく、あくまで過去のタクジの記憶と結びついている。
エ:「引っ掛かりを覚えた」は、まだ確信に至る手前の段階。「タクジだ!」とはっきりわかったのは、この直後に「久しぶり!」と声をかけられてから。
問19
開発者がタクジだとわかり、名前を呼ばれた「僕」が「通路で棒立ちになったまま、しばらく動けなかった」のはなぜか。その時の心情として、最も適切なものを次の中から一つ選びなさい。
ア:大勢の前で自分を晒し者にしたタクジに対し、激しい怒りがこみ上げ、どう抗議しようかと考えていたから。
イ:有名になったタクジの姿がまぶしく、それに比べて自分は何も変わっていないという劣等感に襲われ、会うのが怖くなってしまったから。
ウ:諦めていた親友との突然の再会への驚きと喜び、過去への後悔、そして全観客の注目を浴びる恥ずかしさといった感情が一度に押し寄せ、頭が混乱してしまったから。
エ:タクジが約束を覚えていてくれたことへの感動で胸がいっぱいになり、ただただ涙をこらえるので精一杯だったから。
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ウ
【解説】この瞬間の「僕」の心の中は、「まさか、あのタクジがここに、しかも開発者として!?」という驚き、「会えた!約束を覚えていてくれたんだ!」という喜び、「どうしよう、あの時のこと、謝らないと…!」という後悔と、「みんながこっちを見ている!」という恥ずかしさであり、プラスの感情と、マイナスの感情が、ごちゃ混ぜになって押し寄せてきている。
ウの選択肢は、この「喜び」「後悔」「恥ずかしさ」といった複数の感情が入り混じり、「頭が混乱して」動けなくなってしまった、という「僕」の複雑な心境を最も的確に説明している。
ア:「怒り」を感じるのは、もう少し後の「話が違うじゃないか」という心の叫びに近い。この時点では、まだ怒りよりも混乱が勝っている。
イ:「劣等感」を抱いているという記述は本文にはない。
エ:「感動」しているのは事実だが、「恥ずかしさ」や「後悔」といった他の感情を無視してしまっているため不十分。
問20
胸に空気が詰まっているかのようで、言葉が外に出なかった「僕」が、心の中で「どうにか伝えないと」とあせっていた、タクジへの一番の思いが込められた言葉を、本文中から12字で抜き出して書きなさい。(句読点も字数に含む)
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タクジ、あのときはごめん。
問21
タクジに謝りたいのに言葉が出ない状況を、「胸に空気が詰まっているかのようだ」と表現されているが、この時の「僕」の心情として最も適切なものを、次の中から一つ選びなさい。
ア:大勢の前で恥をかかされたことへの怒りと、一方的に話を進めるタクジへの反発心がこみ上げ、抗議の言葉も出せずにいる。
イ:有名になったタクジが遠い存在に感じられ、自分だけが取り残されたような孤独感と悲しみで、胸が締め付けられている。
ウ:過去を謝りたいという焦り、再会できたことへの感動、そして全観客に注目される強烈な恥ずかしさが入り混じり、感極まって声が出せずにいる。
エ:タクジが約束を覚えていてくれたことへの感謝と喜びだけが胸にあふれ、嬉しさのあまり言葉が見つからずにいる。
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ウ
【解説】この「胸に空気が詰まっているかのよう」という表現は、一つの感情だけでは説明できない、非常に複雑な状態を表している。
この時の「僕」の心の中は、謝りたい焦り:「タクジ、あのときはごめん。それをどうにか伝えないと、とあせる」という気持ち。再会の感動:諦めかけていた親友に、こんな形で再会できた驚きと喜び。強烈な恥ずかしさ:「ドーム中の視線が集まる」「顔は真っ赤になっていたにちがいない」という状況。
これらのプラスとマイナスの感情が、一瞬のうちに津波のように押し寄せてきた。その結果、感情が飽和状態になってしまい、言葉を発するという単純な行動さえできなくなってしまっている。
この、いくつもの感情が混ざり合って感極まっている状態を的確に説明しているウが正解。
ア:「怒り」や「反発心」は、この後の「話が違うじゃないか」という心のツッコミに現れる感情で、この時点の「声が出ない」直接の理由ではない。
イ:「孤独感」や「悲しみ」を抱いているというよりは、もっとたくさんの感情で混乱している状態。
エ:「感謝と喜び」はもちろんあるけれど、それだけではない。「謝りたい焦り」や「恥ずかしさ」という重要な感情が抜け落ちてしまっているため、不十分。
問22
物語の最後、「僕」は心の中で「タクジ、聞いていた話と違うじゃないか」と叫ぶ。この言葉に込められた気持ちとして、最も適切なものを次の中から一つ選びなさい。
ア:昔と変わらず、自分の気持ちを全く理解してくれないタクジへの怒り。
イ:ロボットが自分の恥ずかしさを理解してくれないことへの落胆と、そんな状況を作り出したタクジへの親しみが入り混じった気持ち。
ウ:再会できたのに、昔のようにロボットの話しかしないタクジへのあきれた気持ち。
エ:すごいロボットを作ったタクジを見て、自分とは住む世界が違うと感じた寂しい気持ち。
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イ
【解説】昔は「恥ずかしさを理解するロボットを作る」と言っていたのに!というツッコミと、そんな状況でも再会できた嬉しさ、懐かしさが混ざった複雑な気持ちである。
問23
この物語の主題として、最も適切なものを次の中から一つ選びなさい。
ア:最先端のAI技術が人間の生活を豊かにすることのすばらしさ。
イ:過去の失敗や後悔を乗り越え、人とのつながりを再び結ぼうとすることの大切さ。
ウ:約束は必ず守るべきであり、破られた約束は二度と元には戻らないという厳しさ。
エ:大人になると失われてしまう、中学生時代の純粋な友情の美しさ。
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イ
【解説】物語全体を貫くテーマは、過去の後悔と、それでも再びつながろうとする「きずな」である。
問24
作者がこの物語を通して伝えたかったこととして、適切でないものを次の中から一つ選びなさい。
ア:失敗したり恥ずかしい思いをしたりすることは、成長するために必要な経験である。
イ:気まずくなってしまった友人とも、お互いを思う気持ちがあれば、きずなを取り戻すことができる。
ウ:人間は誰しも不完全で完璧ではないからこそ、互いに支え合う関係が生まれる。
エ:一度犯してしまった過ちは決して許されることはないので、常に行動に注意すべきである。
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エ
【解説】この物語は、失敗しても「起き上がること」が大事だと伝えている。「許されない」というメッセージは、物語のテーマとは逆である。
問25
この物語は、現在の「僕」の視点と、中学時代の「僕」の回想が交互に描かれる構成になっている。このような構成にすることで、どのような効果が生まれているか。最も適切なものを、次の中から一つ選びなさい。
ア:過去の楽しかった思い出と、現在の仕事に追われる退屈な日常を比べることで、大人になることの寂しさや虚しさを強調する効果。
イ:「僕」がなぜタクジに後ろめたさを感じているのかという謎を読者に示しつつ、過去の出来事を伏線として少しずつ明かすことで、最後の再会シーンの感動をより劇的なものにする効果。
ウ:過去の出来事を時系列に並べ替える手間を読者にかけることで、物語の全体像をあえて分かりにくくし、何度も読み返させるように仕向ける効果。
エ:現在の「僕」が過去の出来事をすべて忘れてしまっていることを示し、思い出す過程を描くことで、人間の記憶の曖昧さや不確かさを表現する効果。
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イ
【解説】あえて過去と現在を行き来させ、謎を作ったり、伏線を張ったりすることで、読者の記憶に残る効果が生まれる。
さらに最後の再会シーンで、それまでの謎や伏線が一気に回収されることで驚きと感動が生まれる。
このように、読者の心を揺さぶるための巧みな仕掛けになっており、その効果を最も的確に説明しているイが正解。
ア:「大人になることの寂しさ」がテーマではないし、過去は後悔の念が強く、楽しい思い出ばかりではなかった。
ウ:読者を混乱させることが目的ではなく、むしろ感動を高めるための分かりやすい工夫だと言える。
エ:「僕」は過去を忘れていたわけではなく、「約束の日」を忘れていただけである。
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ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
