「児のそら寝(ちごのそらね)」古語・現代語訳・品詞分解を解説
高校古典で習う宇治拾遺物語より「児のそら寝(ちごのそらね)」のテスト対策に必要になる要点を解説。現代語訳・口語訳・品詞分解・古語の意味も紹介。どんな内容のお話なのか?僧たちが笑った理由は?大学入試に向けた古典の復習にも役立ちます。
古典が苦手・・・!!古文読んだだけでめまいが・・!
という学生のために、「これだけ見れば8割得点を狙える動画」を作りました。アニメ調なので、楽しく「児のそら寝」を学ぶことができます!
この解説ページを読む前にも、この動画を観ておくと、サクサク理解できるかもです。
児のそら寝(ちごのそらね)テスト対策ポイントまとめ
- 宇治拾遺物語とは、鎌倉時代に成立した説話集。
- 「児(ちご)」「比叡(ひえ)」「片方(かたかた)」「無期(むご)」などの読み方に注意する。
- 「つれづれ」は「たいくつ」
「かいもちひ」は「ぼたもち」
「心寄せ」は「期待する様子
「さりとて」は「とはいっても」
「し出だす」は「作り出す」
「片方」は「片隅」
「ひしめく」は「大勢が集まって騒ぐ」
「さだめて」は「きっと」
「おどろかす」は「起こす」
「いらふ」は「答える」
「念ず」は「我慢する」
「な~そ」は弱めの禁止
「をさなき人」は幼い人=児のこと
「あな」は感嘆の古語
「わびし」は「がっかり」
「ひしひし」は食べる時の擬態語
「ずちなく」は「どうしようもなく」
「無期」は長い時間が経ったことを表すことば
「えい」は返事の「はい」
「限りなし」は「際限がない」 - 「おどろかさむずらむ」の「むずらむ」は現在または未来の推量を表す
- 「待ちけるかともぞ思ふ」の「もぞ」は危惧を表す
- 「待ちけるかともぞ思ふ」には係り結びが使われている
- 僧たちから、児に対して尊敬表現が使われている
- 僧たちが作ろうとしたものは「ぼたもち」
- 児が寝たふりをしたのは、ぼたもちが出来るまで寝ないで待つのは格好が悪かったから
- 僧たちが笑ったのは、児が寝たふりをしていたことがわかったから
目次
「児のそら寝(ちごのそらね)」解説
「児のそら寝」は宇治拾遺物語に収録されているお話のひとつ。
「児」とは、学問や行儀作法を学ぶためにお寺に預けられたこどものこと。
「そら寝」とは、いわゆるタヌキ寝入り(ねたふり)のこと。
「児のそら寝」は、お寺に預けられた児がタヌキ寝入りをしたことによっておきた笑い話だよ。
宇治拾遺物語とは?
宇治拾遺物語とは、鎌倉時代の初めのころ(1212年〜1221年)にできあがったとされる説話物語集。
「説話」とは、古くから伝わってきた物語というイメージだよ。
全部で197の話が収録されているんだ。
なぜ「宇治拾遺物語」というのかというと、もともと宇治大納言という偉い人がいて、宇治大納言が当時の説話を集めて本を作ったんだ。
けれど、そのときに、その本に収録されなかった説話がけっこうあったので、その残った説話を集めて、あらためて本にしたのが宇治拾遺物語と言われているよ。(諸説あり)
「宇治大納言の本に入れなかった」「説話を拾い集めて」「本にすることで遺してあげた」から、「宇治拾遺物語」というんだと考えると覚えやすいね。
「児のそら寝(ちごのそらね)」あらすじ
昔々、比叡山の延暦寺に児がいた。
僧たちが夜中の退屈しのぎに「ぼた餅を作ろう」と言うと、児は自分も食べられると期待した。
しかし、ぼた餅食べたさに寝ないでいるのも格好が悪いと思った児は、「ぼた餅ができればきっと起こしてくれるだろう」と寝たふりをする。
ぼた餅が出来上がり、僧が「もしもし、お目覚めになってください」と児に声をかけるが、一度で起きるのも、まるでぼた餅を待っていたかのようでやはり良くないので、もう一度呼ばれてから答えようと我慢する。
すると、「幼い人(児のこと)は寝てしまったんだ。起こして差し上げるな」という声がする。
がっかりした児は「もう一度起こしてくれ」と思いながら寝たふりを続ける。
しかし、むしゃむしゃと僧たちがぼた餅を食べる音が聞こえたので、どうしようもなくなった児は声をかけられてから長い時間経って「はい。」と返事をした。
そんな児を見て、僧たちは笑い続けた。
「児のそら寝(ちごのそらね)」原文
児のそら寝(ちごのそらね)原文
※( )は現代仮名遣い
これも今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、よひ(い)のつれづれに、「いざ、かいもちひ(い)せむ(ん)。」と言ひ(い)けるを、この児、心寄せに聞きけり。さりとて、し出ださむ(ん)を待ちて寝ざらむ(ん)も、わろかりなむ(ん)と思ひ(い)て、片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひ(い)たり。
この児、さだめておどろかさむ(ん)ずらむ(ん)と待ちゐ(い)たるに僧の、「もの申しさぶらはむ(わん)。おどろかせたまへ(え)。」と言ふ(う)を、うれしとは思へ(え)ども、ただ一度にいらへむ(えん)も、待ちけるかともぞ思ふ(う)とて、いまひとこゑ(え)呼ばれていらへむ(えん)と、念じて寝たるほどに、「や、な起こしたてまつりそ。を(お)さなき人は寝入りたまひ(い)にけり。」と言ふ(う)声のしければ、あな、わびしと思ひ(い)て、いま一度起こせかしと思ひ(い)寝に聞けば、ひしひしと、ただ食ひ(い)に食ふ(う)音のしければ、ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへ(え)たりければ、僧たち、笑ふ(う)こと限りなし。
「児のそら寝(ちごのそらね)」現代語訳
これも今となってはもう昔のことだが、比叡山(の延暦寺)に児がいた。僧たちが、宵の手持ちぶさたに「さあ、ぼた餅を作ろう」と言ったのを、この児が期待して聞いた。とはいっても、作り上げるのを待って寝ないでいるのも、よくないと思って、片隅に寄って、寝ているふりをして、出来上がるのを待ったところ、(僧たちは)もう作り上げたようすで、騒ぎたてている。
この児が、(僧が自分を)きっと起こそうとするだろうと待ち続けていたところ僧が、「もしもし、お目覚めになってください。」と言うのを、うれしいとは思うが、ただ一度で答えるのも、待っていたのかと(思われてしまうと)思って、もうひと声呼ばれて答えようと、がまんして寝ているうちに、「こら、起こし申し上げるな。幼い人は、寝入ってしまわれたことだよ。」と言う声がしたので、ああ、がっかりだと思って、もう一度起こしてくれと思いながら寝て聞いていると、むしゃむしゃと、ただ食べに食べる音がしたので、どうしようもなくて、長い時間が経ってから、「はい。」と返事をしたので、僧たちは笑うことが際限ない。
「児のそら寝」古語の意味
テストでは、「児のそら寝」の中で使われている古語の意味を聞かれることも多いので、それぞれよく確認しておこう。
特に、赤字のものは、言葉は同じなのに現在使われている意味と違うものなので、注意してね!
※古語にはいくつか違った意味を持つものがありますが、この表では「児のそら寝」で使われている意味を紹介しています。
今は昔 | 今から考えると昔の話だが |
比叡の山 | 京都にある比叡山延暦寺のこと。とても格式と伝統があるお寺。日本仏教の総本山(大もと)とされている。 古文での読み方は「ひえ」なので注意しよう。 |
児 | 学問や行儀作法を学ぶために寺院に預けられた少年のこと。 |
宵 | 日が暮れてから夜中までの間 |
つれづれ | 何もすることがなく手持ちぶさたなこと。 |
かいもちひ | 掻い餅と書く。おはぎやぼた餅のような食べ物。そばがきのような食べ物という説もある。 |
心寄せ | 期待する様子 |
さりとて | 「然りとて」と書く。 だからといって・とはいえ |
し出だす | 「為出だす」と書く。 作り上げる・作り出す |
わろし | よくない・好ましくない |
片方 | 片隅のこと。 |
よし | ふり・そぶり 「寝たるよし」で「寝ているふり」になる。 |
すでに | もはや・とっくに・もう |
ひしめく | 大勢が集まって騒ぎ立てる |
さだめて | きっと・必ず |
おどろかす | 目覚めさせる・起こす |
さぶらはむ | 丁寧さを表すことば。「もの申しさぶらはむ」で、「もしもし、・・・ですよ」というイメージ。 |
うれし | うれしい |
いらふ | 「答ふ・応ふ」と書く。 答える・返事をする |
念ず | がまんする |
な・・・そ | ・・・しないでくれ |
をさなし | 「幼し」と書く。 まだ幼少である |
あな | 「ああ」という感嘆をあらわすことば |
わびし | 「詫びし」と書く。 がっかりだ |
ひしひし | ものを食べるときの擬態語。むしゃむしゃ。 |
ずちなく | どうしようもなく |
無期 | 長い時間がたったことを表すことば |
えい | 「はい」という返事をすることば |
限りなし | 果てしない・際限がない |
「児のそら寝(ちごのそらね)」内容とポイント
「児のそら寝」の内容のテストで出やすいポイントをくわしく解説していくよ。
僧たちは何を「し出だす」のか
「さりとて、し出ださむを待ちて寝ざらむも」という部分。
これは「とは言っても、作り上げるのを待って寝ないのも」という意味だけど、誰が何を作り上げるのかな?
ここより前に、“僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひける”とあるね。
つまり、「僧たち」が「かいもちひ(ぼた餅)」を作り上げるんだね。
児は何を「心寄せ」にしたのか
「心寄せ」は、期待する様子のこと。
児は何を期待したのかな?
僧たちが「いざ、かいもちひせむ。」と言ったのを聞いて、児は期待したとあるね。
つまり、「自分もぼた餅を食べられる」と思って期待しているんだね。
児はなぜ「そら寝」をしたのか
「そら寝」とは、寝たふりのこと。
なぜ児は寝たふりなんてしなくてはいけなかったのかな?
その前に「し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて」とあるね。
これは、「(僧たちが)ぼた餅を作り上げるのを待って寝ないのも、良くないと思って」という意味。
つまり、ぼた餅が出来上がるのを待って寝ないでいるなんて、食い意地がはっているみたいで良くないと思ったんだね。
だから、まるで「僕はぼた餅のことなんて気にしていませんよ」と言わんばかりに寝たふりをしていたというわけだね。
児が心の中で思った言葉
「児のそら寝」では、児が心の中で思った言葉が7か所登場するよ。
テストでも聞かれることが多いので、どこの部分か確認しておこう。
①し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむ
②さだめておどろかさむずらむ
③うれし
④ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふ
⑤いまひとこゑ呼ばれていらへむ
⑥あな、わびし
⑦いま一度起こせかし
児が返事をしなかった理由
児はもともと、ぼた餅を食べたいがために寝ないでいるのは格好が悪いと思って、寝たふりをしていたんだよね。
ぼた餅が出来上がれば、きっと僧たちが自分を起こしてくれると思っていたんだよね。
そして、思った通り、僧が声をかけて起こしてくれた。
でも、児はそれに返事をしなかったね。それはどうしてかな?
「ただ一度に、いらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて」とあるように、「たった一回声をかけられただけで返事をしてしまうと、まるで待っていたかのように思われてしまう」と思ったからだね。
僧たちが笑った理由
「一回声をかけられただけで起きたら恥ずかしい」と思った児が寝たふりを続けたので、僧たちは「児はもう寝入ってしまったから、起こすのはかわいそうだ」と思って声をかけるのをやめてしまったね。
がっかりした児は、「どうかもう一度起こしてくれ」と寝たふりを続けるんだけど、そんな中、僧たちがぼた餅をどんどん食べ始めてしまった。
「もう起こしてくれないし、このままではぼた餅が全部食べられて無くなってしまう!」と思った児は、とうとう「えい。」と返事をしたんだよね。
ではどうして僧たちが笑ったのかな?
僧たちが声をかけてすぐに返事をしたのならともかく、「無期ののち(長い時間が経ってから)」に児が返事をしたので、
「なんだ、寝たふりをしていたのか」
とバレてしまって、僧たちは笑い続けたんだね。
「児のそら寝(ちごのそらね)」文法
動詞「寝」について
現代では、「寝る」という動詞だけれど、古語の「寝る」は、「寝」という漢字1文字で「ぬ」という動詞だったんだ。
なので、「寝」の終止形は「ぬ」になるので注意しよう。
「むず・らむ」について
「この児、さだめておどろかさむずらむと待ちゐたるに」の「むずらむ」は、推量の助動詞「むず」の終止形に、推量の助動詞「らむ」が連なったものは、現在または未来についての推量を表すよ。
現代語に訳すときは、「・・・だろう」となるよ。
尊敬表現について
「児のそら寝」では、僧から児に対して、尊敬を表すことばが使われているよ。
「もの申しさぶらはむ。おどろかせたまへ。」とは、「もしもし、お起きになってください。」という意味。
「もの申し」は、僧から児に対しての「謙譲」を、「さぶらは(さぶらふ)」は「丁寧」、「せ(す)」と「たまへ(たまふ)」は、「尊敬」を表すことばだよ。
「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は寝入りたまひにけり。」とは、「おい、起こして差し上げるな。幼い人は寝てしまわれたのだよ。」という意味。
「たてまつり(たてまつる)」は「謙譲」、「たまひ(たまふ)」は「尊敬」を表すことば。
なぜ僧たちが子供の児に対して尊敬や謙譲・丁寧を表す言葉をつかっているのかというと、「児を大切に扱っているから」とか、「児は身分の高い家のこどもだから」などと考えることができるよ。
「も・ぞ」について
「ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふ」の係助詞の「も」と係助詞の「ぞ」が連なることで、「~したら困る」という危惧(おそれ)を表すよ。
係り結び
「ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて」の「ぞ」の係助詞により、「思ふ」の連体形で結んでいるよ。
な~そ
終助詞の「~な」は強い禁止を表すのだけれど、「な起こしたてまつりそ」で使われている「な~そ」は、弱い禁止を表すよ。
「児のそら寝」品詞分解
それぞれの意味と活用も確認しよう!
特に太字のものはテストで出る可能性もあるので、チェックしておこう。
これも今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、よひのつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり。
これ | 代名詞 |
も | 係助詞 |
今 | 名詞 |
は | 係助詞 |
昔 | 名詞 |
比叡 | 名詞 |
の | 格助詞 |
山 | 名詞 |
に | 格助詞 |
児 | 名詞 |
あり | 動詞:ラ行変格活用「あり」の連用形 |
けり | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の終止形 |
僧たち | 名詞 |
よひ | 名詞 |
の | 格助詞 |
つれづれ | 名詞 |
に | 格助詞 |
いざ | 感動詞 |
かいもちひ | 名詞 |
せ | 動詞:サ行変格活用「す」の未然形 |
む | 助動詞:四段活用「む(意志)」の終止形 |
と | 格助詞 |
いひ | 動詞:ハ行四段活用「いふ」の連用形 |
ける | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の連体形 |
を | 格助詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
児 | 名詞 |
心寄せ | 名詞 |
に | 格助詞 |
聞き | 動詞:カ行四段活用「きく」の連用形 |
けり | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の終止形 |
さりとて、し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方に寄りて、寝たるよしにて、出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひたり。
さりとて | 接続詞 |
し出ださ | 動詞:サ行四段活用「し出だす」の未然形 |
む | 助動詞:四段活用「む(婉曲・仮定)」の連体形 |
を | 格助詞 |
待ち | 動詞:タ行四段活用「待つ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
寝 | 動詞:ナ行下二段活用「ぬ」の未然形 |
ざら | 打ち消しの助動詞「ず」の未然形 |
む | 助動詞:四段活用「む(婉曲・仮定)」の連体形 |
も | 係助詞 |
わろかり | 形容詞:ク活用「わろし」の連用形 |
な | 助動詞:ナ行変格活用「ぬ(強意)」の未然形 |
む | 助動詞:四段活用「む(推量)」の終止形 |
と | 格助詞 |
思ひ | 動詞:ハ行四段活用「おもふ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
片方 | 名詞 |
に | 格助詞 |
寄り | 動詞:ラ行四段活用「寄る」の連用形 |
て | 接続助詞 |
寝 | 動詞:ナ行下二段活用「ぬ」の連用形 |
たる | 助動詞:ラ行変格活用「たり(存続・完了)」の連体形 |
よし | 名詞 |
にて | 格助詞 |
出で来る | 動詞:カ行変格活用「出でく」の連体形 |
を | 格助詞 |
待ち | 動詞:タ行四段活用「待つ」の連用形 |
ける | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の連体形 |
に | 接続助詞 |
すでに | 副詞 |
し出だし | 動詞:サ行四段活用「し出だす」の連用形 |
たる | 助動詞:ラ行変格活用「たり(完了)」の連体形 |
さま | 名詞 |
にて | 格助詞 |
ひしめき合ひ | 動詞:ハ行四段活用「ひしめき合ふ」の連用形 |
たり | 助動詞:ラ行変格活用「たり(存続)」の終止形 |
この児、さだめておどろかさむずらむと待ちゐたるに僧の、「もの申しさぶらはむ。おどろかせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて、いまひとこゑ呼ばれていらへむと、念じて寝たるほどに、
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
児 | 名詞 |
さだめて | 副詞 |
おどろかさ | 動詞:サ行四段活用「おどろかす」の未然形 |
むず | 助動詞:サ行変格活用「むず(推量)」の終止形 |
らむ | 助動詞:四段活用「らむ(現在の推量)」の終止形 |
と | 格助詞 |
待ちゐ | 動詞:ワ行上一段活用「待ちゐる」の連用形 |
たる | 助動詞:ラ行変格活用「たり(存続)」の連体形 |
に | 接続助詞 |
僧 | 名詞 |
の | 格助詞 |
もの申し | 動詞:サ行四段活用「もの申す」の連用形 ※謙譲の本動詞 ※「もの」名詞と「申し」で分ける場合もある |
さぶらは | 動詞:ハ行四段活用「さぶらふ」の未然形 ※丁寧の補助動詞 |
む | 助動詞:四段活用「む(意志)」の終止形 |
おどろか | 動詞:カ行四段活用「おどろく」の未然形 |
せ | 助動詞:四段活用「す(尊敬)」の連用形 ※尊敬の助動詞 |
たまへ | 動詞:ハ行四段活用「たまふ」の命令形 ※尊敬の補助動詞 |
と | 格助詞 |
言ふ | 動詞:ハ行四段活用「言ふ」の連体形 |
を | 格助詞 |
うれし | 形容詞:シク活用「うれし」の終止形 |
と | 格助詞 |
は | 係助詞 |
思へ | 動詞:ハ行四段活用「思ふ」の已然形 |
ども | 接続助詞 |
ただ | 副詞 |
一度 | 名詞 |
に | 格助詞 |
いらへ | 動詞:ハ行下二段活用「いらふ」の未然形 |
む | 助動詞:四段活用「む(婉曲・仮定)」の連体形 |
も | 係助詞 |
待ち | 動詞:タ行四段活用「待つ」の連用形 |
ける | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の連体形 |
か | 係助詞 |
と | 格助詞 |
も | 係助詞 |
ぞ | 係助詞 |
思ふ | 動詞:ハ行四段活用「思ふ」の連体形 |
と | 格助詞 ※「とて」で格助詞とする場合もある。 |
て | 接続助詞 |
いま | 名詞 ※副詞とする場合もある。 |
ひとこゑ | 名詞 |
呼ば | 動詞:バ行四段活用「呼ぶ」の未然形 |
れ | 助動詞:下二段活用「る(受け身)」の連用形 |
て | 接続助詞 |
いらへ | 動詞:ハ行下二段活用「いらふ」の未然形 |
む | 助動詞:四段活用「む(仮定)」の終止形 |
と | 格助詞 |
念じ | 動詞:サ行変格活用「念ず」の連用形 |
て | 接続助詞 |
寝 | 動詞:ナ行下二段活用「ぬ」の連用形 |
たる | 助動詞:ラ行変格活用「たり(存続)」の連体形 |
ほど | 名詞 |
に | 格助詞 |
「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あな、わびしと思ひて、いま一度起こせかしと思ひ寝に聞けば、ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち、笑ふこと限りなし。
や | 感動詞 |
な | 副詞 |
起こし | 動詞:サ行四段活用「起こす」の連用形 |
たてまつり | 動詞:ラ行四段活用「たてまつる」の連用形 ※謙譲の補助動詞 |
そ | 終助詞 |
をさなき | 形容詞:ク活用「をさなし」の連体形 |
人 | 名詞 |
は | 係助詞 |
寝入り | 動詞:ラ行四段活用「寝入る」の連用形 |
たまひ | 動詞:ハ行四段活用「たまふ」の連用形 ※尊敬の補助動詞 |
に | 助動詞:ナ行変格活用「ぬ(完了)」の連用形 |
けり | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の終止形 |
と | 格助詞 |
言ふ | 動詞:ハ行四段活用「言ふ」の連体形 |
声 | 名詞 |
の | 格助詞 |
し | 動詞:サ行変格活用「す」の連用形 |
けれ | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の已然形 |
ば | 接続助詞 |
あな | 感動詞 |
わびし | 形容詞:シク活用「わびし」の終止形 |
と | 格助詞 |
思ひ | 動詞:ハ行四段活用「思ふ」の連用形 |
て | 接続助詞 |
いま | 名詞 ※副詞 |
一度 | 名詞 |
起こせ | 動詞:サ行四段活用「起こす」の命令形 |
かし | 終助詞 |
と | 格助詞 |
思ひ寝 | 名詞 |
に | 格助詞 |
聞け | 動詞:カ行四段活用「聞く」の已然形 |
ば | 接続助詞 |
ひしひしと | 副詞 |
ただ | 副詞 |
食ひ | 動詞:ハ行四段活用「食ふ」の連用形 |
に | 格助詞 |
食ふ | 動詞:ハ行四段活用「食ふ」の連体形 |
音 | 名詞 |
の | 格助詞 |
し | 動詞:サ行変格活用「す」の連用形 |
けれ | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の已然形 |
ば | 接続助詞 |
ずちなく | 形容詞:ク活用「ずちなし」の連用形 |
て | 接続助詞 |
無期 | 名詞 |
の | 格助詞 |
後 | 名詞 |
に | 格助詞 |
えい | 感動詞 |
と | 格助詞 |
いらへ | 動詞:ハ行下二段活用「いらふ」の連用形 |
たり | 助動詞:ラ行変格活用「たり(完了)」の連用形 |
けれ | 助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の已然形 |
ば | 接続助詞 |
僧たち | 名詞 |
笑ふ | 動詞:ハ行四段活用「笑ふ」の連体形 |
こと | 名詞 |
限りなし | 形容詞:ク活用「限りなし」の終止形 |
「児のそら寝(ちごのそらね)」まとめ
児のそら寝(ちごのそらね)テスト対策ポイントまとめ
- 宇治拾遺物語とは、鎌倉時代に成立した説話集。
- 「児(ちご)」「比叡(ひえ)」「片方(かたかた)」「無期(むご)」などの読み方に注意する。
- 「つれづれ」は「たいくつ」
「かいもちひ」は「ぼたもち」
「心寄せ」は「期待する様子
「さりとて」は「とはいっても」
「し出だす」は「作り出す」
「片方」は「片隅」
「ひしめく」は「大勢が集まって騒ぐ」
「さだめて」は「きっと」
「おどろかす」は「起こす」
「いらふ」は「答える」
「念ず」は「我慢する」
「な~そ」は弱めの禁止
「をさなき人」は幼い人=児のこと
「あな」は感嘆の古語
「わびし」は「がっかり」
「ひしひし」は食べる時の擬態語
「ずちなく」は「どうしようもなく」
「無期」は長い時間が経ったことを表すことば
「えい」は返事の「はい」
「限りなし」は「際限がない」 - 「おどろかさむずらむ」の「むずらむ」は現在または未来の推量を表す
- 「待ちけるかともぞ思ふ」の「もぞ」は危惧を表す
- 「待ちけるかともぞ思ふ」には係り結びが使われている
- 僧たちから、児に対して尊敬表現が使われている
- 僧たちが作ろうとしたものは「ぼたもち」
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「児のそら寝」の定期テスト対策問題のページもあるので、ぜひ挑戦してね!
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
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すごく分かりやすくよかった。
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学校の授業よりわかりやすかった
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学校で習ったのより簡潔で良かった
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とてもわかりやすかったです
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定期テスト対策にとても役立ちそう!
出題されそうな問題が沢山ありました! -
かんけつでわかりやすかったです。
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近々、テストがあるのですが児のそら寝を勉強したくて検索したらこのようなとてもわかりやすいサイトに出会えて良かったです。ありがとうございます(たくさんメモしました)
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テスト対策としてとても参考になりました!明日言語文化のテストで児のそら寝が出題されるのでばっちりです!がんばります。
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分かりやすく要約されているのでテスト前の見直しにとても良かったです。
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明日期末テストの範囲になっているので、とても分かりやすい解説助かります
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とてもためになり、分かりやすく、簡潔で参考になりましたました!!
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重要ポイントをしっかり抑えることができました。細かいところがテストに出題されても、安心してテストにいどめることができます。ありがとうございます。
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ありがとうございます分かりやすかったです‼️良ければ古文の文法の解説が欲しいです
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こんなに詳しく分かりやすいまとめサイト初めて見ました‼️とても助かりました今後も活用していきます
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とても分かりやすくいい復習になりました
ありがとうございました! -
中間考査前だから助かった
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すごくわかりやすかったです‼️
参考になった