「落葉松(からまつ)」要点と解説(期末テスト対策ポイント)

中学2年国語で学ぶ「落葉松(からまつ)」について、定期テストで必要になるポイントを解説するよ。

中学2年国語
落葉松からまつ
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「落葉松」のテストに出る問題をまとめたページもあるので、このページで学習したら、ぜひチャレンジしてみてね!

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「落葉松(からまつ)」要点と解説 (期末テスト対策ポイント)

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「落葉松」
まずは全文を確認しよう!

くまごろうくまごろう

詩の行のかたまりのことを「連」と呼ぶよ。
「落葉松」は、全部で八連から出来ている

落葉松 作:北原白秋


からまつの 林を過ぎて、
からまつを しみじみと見き。
からまつは さびしかりけり。
たびゆくは さびしかりけり。


からまつの 林を出でて、
からまつの 林に入りぬ。
からまつの 林に入りて、
また細く 道はつづけり。


からまつの 林の奥も
わが通る 道はありけり。
霧雨きりさめの かかる道なり。
山風の かよふ(ウ)道なり。


からまつの 林の道は
われのみか、ひともかよひ(イ)ぬ。
ほそぼそと 通ふ(ウ)道なり。
さびさびと いそぐ道なり。


からまつの 林を過ぎて、
ゆゑ(エ)しらず 歩みひそめつ。
からまつは さびしかりけり、
からまつと ささやきにけり。


からまつの 林を出でて、
浅間嶺あさまねに けぶり立つ見つ。
浅間嶺に けぶり立つ見つ。
からまつの またそのうへ(エ)に。


からまつの 林の雨は
さびしけど いよいよしづ(ズ)けし。
かんこ鳥 鳴けるのみなる。
からまつの るるのみなる。


世の中よ、あは(ワ)れなりけり。
常なけど うれしかりけり。
山川やまがは(ワ)に 山がは(ワ)の音、
からまつに からまつのかぜ。

「落葉松」の作者について

「落葉松」の作者は、北原白秋きたはらはくしゅうだよ。

北原白秋
明治から昭和にかけての詩人・歌人
童謡どうようや短歌でも有名なんだ。
他にも邪宗門じゃしゅうもん」「おもひ(イ)」「きりの花」「雲母きらら集」などがあるよ。

「落葉松」テスト対策
要点とポイント

「落葉松」テスト対策の要点

北原白秋の「落葉松」が発表されたのは大正10年。
なので、使われている言葉や、仮名遣かなづかいに現代と違うものがあるんだ。
テストでは、「落葉松」で使われている言葉や仮名遣いが、現代の言葉や仮名遣いだとどういう意味や書き方になるかがわれる よ。

「落葉松」は詩なんだけど、詩には「形式けいしき」というものがあるんだ。
「落葉松」は詩のどんな形式なのかをテストでは答えられなくてはいけない。
また、色々な表現の工夫がされているので、どこでどんな表現方法が使われているかも問題に出される ことが多いよ。

そしてなにより、「落葉松」の詩は、いったいどんなことを伝えようとしているのか、内容を理解しているかどうかも重要になるよ。

使われている言葉も、テストで穴埋め問題で出されたりするので、キーワードとなる言葉は全て覚えておこう。

「落葉松」のテスト対策ポイント

テストではコレが必要になる!

  • 詩の形式は「文語定型詩ぶんごていけいしであることを理解する
  • 歴史的仮名遣れきしてきかなづかを、現代仮名遣いに直せるようにする
  • 使われている表現技法を理解する
  • 詩の内容を理解する
  • 穴埋め問題対策のために、使われている言葉は覚える

落葉松からまつ」テスト対策ポイント①
文語定型詩ぶんごていけいし」とは

まず、「口語こうご」と「文語ぶんご」とは

「口語」というのは、今の日本で普通に使われている話し言葉のこと。

それに対して、「文語」とは、昔の書き言葉(文章を書くときだけに使う言葉のこと)のことで、平安時代の文法をキホンとしているんだ。

文語と口語の違いと見分け方についてのイラスト

だから、「落葉松」には「さびしかりけり」とか、「入りぬ」というように、いかにも平安時代っぽい言葉が使われているんだね。

定型詩ていけいし」と「自由詩じゆうし」とは

「定型詩」とは、詩の型が、「定まっている」ということ
つまり、自由に思いつくままに好きな言葉を並べていいというわけではないということ。

自由に作る詩は、「自由詩」というよ。

「落葉松」は、「からまつの(5音)」「林を過ぎて(7音)」というように、
ずーーーーっと「5音」と「7音」の組み合わせで詩が作られているよね。

だから、型が「5・7」のカタチで定まっているから、「定型詩」 なんだ。

このように「5音」と「7音」で繰り返すものを五七調ごしちちょうと呼ぶよ。

「文語」で書かれた「定型詩」だから、文語定型詩ぶんごていけいしなんだね。

テスト注意報テスト注意報

この「五七調」と「文語定型詩」という用語は、テストで良く出るよ!
確実に覚えよう!

「落葉松」のテスト対策ポイント②
歴史的仮名遣れきしてきかなづかいについて

「歴史的仮名遣い」とは

歴史的仮名遣いは、今の日本で普通に使われている現代仮名遣いに比べて「古い」仮名遣いのことで、明治から第二次世界大戦まで使われていたものなんだ。

例えば「ゑ」は、今なら「え」になっているし、
「ゐ」も「い」、
「ぢ」が「じ」に・・・など今と違うところがあるんだ。

くまごろうくまごろう

よく古文で見るよね。

「落葉松」で使われている歴史的仮名遣い

「落葉松」の中で使われている歴史的仮名遣いを全て紹介するので、全部「歴史的仮名遣い」から現代の仮名遣いに直せるようにしておこう!

第三連の「かよ」→「かよ

かよう」つまり、とおるということだけど、今なら「う」と書くところが、「ふ」になっているね。

第四連の「通」→「通

第三連と同じく、「う」が「ふ」になっているね。

第五連の「ゆしらず」→「ゆしらず」

「ゆえ」とは、「理由」のこと。「ゆえしらず」は「理由もわからずに」ということだね。
今なら「え」と書くところが、「ゑ」になっているね。

第六連の「そのうに」→「そのうに」

「上」の「え」が、「へ」になっているね。

第七連の「しけし」矢印「しけし」

「しずけし」というのは、今の言葉で言うと「静かだ」ということ。
しずかの「ず」が、「づ」になっているね。

第八連の「あれ」→「あれ」
「山が」→「山が

「あわれ」というのは、「さびしい」とか、「しみじみしている」ということ。
「あわれ」の「わ」が「は」になっているね。

そして「山川やまがわ」の「わ」が「は」になっているね。

「落葉松」テスト対策ポイント③
使われている表現技法について

「落葉松」では、対句法ついくほう倒置法とうちほう」・「体言止たいげんどめ」・「反復法はんぷくほうなどの色々な表現方法が効果的に使われているよ。

テストでは、「第○連にはどんな表現技法が使われているか?」とか、「〇〇法が使われているのはどの連か?」というように問題が出ることがあるので、しっかり把握しておこう。

対句法ついくほうについて

第一連の

「からまつは さびしかりけり」
「たびゆくは さびしかりけり」

第三連の

「霧雨の かかる道なり」
「山風の かよふ(ウ)道なり」

第四連の

「ほそぼそと 通ふ道なり」
「さびさびと いそぐ道なり」

第五連の

「からまつは さびしかりけり」
「からまつと ささやきにけり」

第七連の

「かんこ鳥 鳴けるのみなる」
「からまつの 濡るるのみなる」

第八連の

「山川に山がはの音」
「からまつに からまつのかぜ」

は、似たような言い回しになっていて、「対句法」が使われている んだ。

対句法とは

似た表現や、関係する表現を並べることで、リズムを作ったり、印象を強くする効果がある表現技法のこと。

倒置法とうちほうについて

第六連の

「浅間嶺に けぶり立つ見つ」
「からまつの またそのうへ(エ)に」

は、「からまつの上に見える浅間嶺で煙が立っているのが見える」という状況を表しているので、本当だったら「からまつの またそのうへ(エ)に 浅間嶺に けぶり立つ見つ」という順番の方が自然だね。

それをあえて逆にすることで、やはり印象を強めている んだ。

倒置法とは

文章の語順をあえて通常とは逆にすることで、印象を強める効果がある表現技法のこと。

体言止たいげんどめについて

第八連の

「山川に山がはの
「からまつに からまつのかぜ

は、文章の最後が名詞である「音」と「かぜ」で終わっている「体言止め」が使われているよ。

体言止めとは

文章の最後を名詞で終わらせる表現技法。リズム感が出て、印象を強める効果があるよ。

反復法について

第六連の

「浅間嶺にけぶり立つ見つ」
「浅間嶺にけぶり立つ見つ」

は、同じ文章が繰り返されているね。繰り返すことで印象を強める「反復法」が使われいてるよ。

反復法とは

同じ言葉や、句を繰り返すことで、強調する効果を持たせる表現技法のこと。

「落葉松」テスト対策ポイント④
詩の内容について

「落葉松」の主題(テーマ)

落葉松には、「さびしかりけり(寂しい)」や「あはれ」「しづけし」という言葉がたくさん使われているように、なんだか寂しくてひっそりとした雰囲気がずっと続いているね。

でも、最後の第八連では、「うれしかりけり」という言葉が登場している

第一連から第七連までは、落葉松の林を歩きながら、ずっと寂しい気持ちや、孤独感が書かれてきたけれど、第八連では「世の中(人の世)は寂しいものだけれど、山川に山川の音があったり、落葉松に落葉松の風が吹く。自然は味わい深く、楽しみを与えてくれる」と締めているんだ。

つまり、この詩は「ただただ寂しい」とか「つらい」というマイナスのことを伝えたいのではないよ。

「人の世は孤独で寂しいものだが、世の中は味わい深くて、楽しみを与えてくれる」
というのがこの詩の主題(テーマ)だよ。

テスト注意報テスト注意報

この、落葉松の詩が「どんなことを伝えたいのか」とか、「どんな心情を書いたものか」という問題がテストでは良く出るよ!

言葉の意味について

内容を理解するためには、登場する言葉の意味もしっかりとおさえておこう。

からまつ(落葉松)

日本の固有種であるマツ科の落葉針葉樹。
標高が高く寒冷な土地に生える。

しみじみ

心の底から深く感じること。
「つくづく」と同じ。

さびしかりけり

「寂しいものだ」ということ。

ひともかよひぬ

「われのみか ひともかよひぬ」で、
「我(自分)だけか? (いや、) 人々も通っていた」という意味。

さびさびと

漢字で書くと、「寂寂と」。
つまり、「いかにも寂しい様子」のこと。

ゆゑしらず

「ゆゑ」とは、「理由」のこと。
「理由も知らず」、という意味。

歩みひそめつ

「ひそめ」は、「ひそむ」の連用形で、「目立たないようにする」という意味。
つまり、「目立たないように歩く」ということ。
「ゆゑしらず 歩みひそめつ」で「わけもなく そっと歩いた」という意味になるよ。

浅間嶺

浅間嶺とは、浅間山のこと。
浅間山は、長野県にある火山。
北原白秋は長野県の温泉地に宿泊しているときに、この浅間山から煙が出ている姿と、落葉松との風景を楽しむのがお気に入りだったとのことだよ。

いよよしづけし

「いよよ」は「いよいよ」ということ。
「しづけし」は、「静かだ」という意味。
つまり、「いよいよ静かだ」ということ。

かんこ鳥鳴ける

「かんこ鳥」は、「閑古鳥が鳴く」で知られるように、「誰もいないさみしい様子」を表現するために使われているよ。
かんこ鳥の鳴き声は切なくて、なんだか寂しい印象なので、「閑古鳥が鳴く」=「とても寂しい」という使われ方をするようになったよ。

あはれ

寂しくて孤独な様子としての意味と、しみじみと味わい深い様子としての意味があるよ。
「世の中よ あはれなり」で、人の世や寂しく孤独であることと、世の中の自然はしみじみと味わい深い、という両方の意味を表現していると考えられているよ。

常なけど

「常なけど」は、「常ではない」、つまり「無常むじょうはかない」と言う意味。

うれしかりけり

「嬉しいことだ」という意味

「落葉松」テスト対策
まとめ

まとめ

※赤いキーワードは必ず覚えよう!
  • 作者は明治〜昭和の詩人・歌人である北原白秋
    他の作品には「邪宗門」「思ひ出」「桐の花」「雲母集」など。
  • 落葉松は「五七調」文語定型詩
  • 第一・三・四・五・七・八連には、対句法が使われている。
  • 第六連には、倒置法反復法が使われている。
  • 第八連には、体言止めが使われている。
  • 「ふ(ウ)」「ひ(イ)」「へ(エ)」「づ(ズ)」「は(ワ)」などの歴史的仮名遣いが使われている。
  • 落葉松の主題は、「人の世は寂しく無常だが、世の中は味わい深く、楽しみを与えてくれるもの」ということ
yuminekoyumineko

ここまで学習できたら、力試しに「落葉松」定期テスト対策問題のページに挑戦しよう!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

感想や意見を聞かせてね

  1. 新井潤惺 より:

    期末テストがもう少しで焦っていたのですがうみねこさんが詳しく教えてくれたおかげで少し、できるようになりました。ありがとうございます!!
    この調子で期末テストに向けて精一杯頑張っていきますこの調子で期末テストに向けて精一杯頑張っていきます!!
    今回は本当にありがとうございました!

  2. 小西 より:

    わかりやすいです!

  3. より:

    単元テストが明日で焦っていたけれど、重要な単語などたくさん丁寧に説明されていて明日のテストで高得点が取れそうです!
    ありがとうございます♪