「枕草子」古語・現代語訳と解説(期末テスト対策ポイントまとめ)
中学2年国語で学ぶ「枕草子」の現代語訳と内容、「枕草子」とはどういう意味なの?古語の意味は?「枕草子」のテストで必要になるポイント内容をくわしく解説するよ。
目次【本記事の内容】
「枕草子」原文と清少納言について
「枕草子」原文
【原文】
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。
秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。
冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりてわろし。
清少納言とは
「枕草子」のテストでは、作者の清少納言についての問題が出ることもあるよ!
枕草子の作者は、平安時代の清少納言。
清少納言は、「一条天皇の中宮定子の女房」と書かれているけれど、これってどういう意味?。
「一条天皇の中宮定子の女房」とは??
「一条天皇」とは、平安時代の第66代天皇のことだね。
「中宮」というのは、天皇のお妃さまのこと。
「定子」というのは、そのお妃様の名前なんだ。
つまり、「一条天皇の中宮定子」とは、「一条天皇のお妃さまの定子さま」ということ。
「女房」というのは、平安時代に位の高い人のお邸で働いていた女性のお手伝いさんのこと。
天皇のお妃さまに女房として仕えることができるのは、超エリートだけ。
清少納言はとても美しくて教養がある女性だったという証拠だね。
「枕草子」とは
「枕草子」は、清少納言が書いた「随筆」。
随筆とは、見聞きしたことや思ったことを、気ままに自由な形式で書いた文章や作品のことだよ。
枕草子は、清少納言が中宮定子のところで働いていた時の宮中(天皇が住む邸のこと)での生活の様子や、出来事、思ったことなどを書き綴ったものなんだ。
なぜ「枕草子」というタイトルなのかというと、中宮定子と清少納言のやりとりがきっかけになっているよ。
なぜ「枕草子」というの?
あるとき、定子さまが「何も書かれていない冊子」をプレゼントされたんだ。
今で言う「ノート」のイメージ。
「紙」は、当時ではとても貴重なもの。
定子さまが「何を書いたらいいかしら?」というと、清少納言は「枕でしょう。」と答えたんだよ。
この「枕」はどういう意味かは色々説があるけれど、「枕もとにおいて、毎日のことを書く日記にする」とか、有名な漢詩にひっかけたダジャレだったのでは?などと言われているよ。
この「枕」という清少納言の返しが気にいいった定子さまは、その冊子を清少納言にあげちゃったんだ。
それで清少納言がその冊子に書いたのが「枕草子」というわけ。
「草子」というのは「冊子」のことをあらわす言葉だよ。「枕」+「草子」で、「枕草子」というタイトルのできあがりだね。
清少納言と、枕草子が生まれたキッカケについて、詳しく解説しているページがあるので、ぜひそちらもチェックしてみてね。「枕草子」に対しての理解が深まるよ。
「枕草子」テスト対策
歴史的仮名遣いについて
「歴史的仮名遣い」とは
歴史的仮名遣いは、今の日本で普通に使われている「現代仮名遣い」に比べて「古い」仮名遣いのことだよ。
カンタンに言えば、現代とはちがう「かな文字の使い方」、ということだね。
「枕草子」は平安時代の作品だから、ところどころに歴史的仮名遣いが使われているんだよ。
テストでは、歴史的仮名遣いが使われている部分を「現代仮名遣いに直しなさい」という問題が出たりするので、よくチェックしておこう。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。
秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。
冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりてわろし。
※赤字=歴史的仮名遣いが使われているところ。上の黒い文字は、現代の仮名遣いに直したものだよ。
歴史的仮名遣いについて解説しているページもあるので、もっとよく学習したい場合はチェックしてみてね。
「枕草子」テスト対策
古語の意味について
枕草子は平安時代の作品なので、現代では使わないような言葉や、現代だと意味が違う言葉が使われているよ。
そのような言葉を「古語」というよ。
テストでは、古語の意味を答える問題が出たりするので、ひとつひとつ確認しておこう!
「枕草子」に登場する古語と意味
あけぼの | 明け方のこと。 |
---|---|
やうやう | だんだんと |
山ぎは | 空側から見た「山と空が接しているように見える辺り」のこと。 ※山の端は、おなじ辺りを山側から見た言葉。 |
紫だちたる | 紫は、今の紫よりも少し赤みがかった紫色のことで、「紫だちたる」は、「紫がかった」という意味。 |
たなびきたる | 「たなびいた」という意味。雲などが横に長くかかること。 |
さらなり | 「言うまでもないが」という意味。 |
なほ | やはり |
飛びちがひたる | 「飛び交っている」という意味。 |
をかし | 味わい深い、趣があるという意味。 |
山の端 | 山側から見た「山と空が接しているように見える辺り」のこと。 ※山ぎはは、おなじ辺りを空側から見た言葉。 |
近うなりたる | 「近づいた」という意味 |
寝どころ | 枕草子のこのシーンでは、からすの寝ぐら(鳥が寝るところ)のこと。 |
あはれ | しみじみしたものを感じさせるという意味 |
まいて | まして |
つらねたる | 列を作って連なった状態のこと |
いと | 「とても」、「たいそう」という意味 |
日入り果てて | 日が完全に沈んでしまって |
はた言ふべきにあらず | これまたいまさら言うまでもない(わざわざ言わなくても十分なほど当たり前だ)という意味。 「はた」は、「さらにまた」という意味。 |
つとめて | 早朝のこと。 |
またさらでも | また、そうでなくても。「さらでも」は「そうでなくても」という意味。 |
炭もて | 炭を持って |
渡るも | 通るという意味。 枕草子のこのシーンでは、廊下を渡っていくということ。 |
つきづきし | しっくりしている、調和がとれている。 |
ぬるく | 「ぬるく」とは、現代のように「ぬるい(生暖かい)」ということ。 |
ゆるびもていけば | 「ゆるぶ」は「ゆるむ」という意味。 「もていく」は、「だんだんと○○になる」という意味。 なので、「だんだんとゆるんでいくと」ということ。 |
火桶 | 木製の丸い火鉢のこと。 |
灰がち | 灰「ばかり」という意味。 |
わろし | 良くない、好ましくない。という意味。 |
「枕草子」テスト対策
現代語訳と内容
教科書で学ぶ枕草子の「第一段」には、四季の良いところや趣があると清少納言が感じたことが思いのままに書き綴られているよ。
テストでは、枕草子に書かれている内容(どんな事を、清少納言は良いと言っていたかなど)について問題に出されたりするので、よく理解しておこう。
春は、明け方(が良い)。
空の山ぎわの辺りが、だんだんと白んできて、少し明るくなってきて、紫がかった雲が横に長くかかっている(のが良い)。
夏は、夜(が良い)。
月が出ている時はもちろんだが、闇(月が出ていない時)でも、蛍がたくさん飛び交っている(ので良い)。
また、(たくさんでなくても)ほんの1匹か2匹がほのかに光って飛んでいくのも味わい深い。
雨などが降っても趣がある。
秋は、夕暮れ(が良い)。
夕日が差して、山の空との境目の辺りに(夕日が)とても近づく頃、からすが寝ぐらにいこうと、3〜4羽、2〜3羽などになって飛び急ぐことさえもしみじみとした思いだ。
ましてや、雁などが列を作って連なって、とても小さく見えるのはとても味わい深い。
日が完全に沈んでしまって、風の音、虫の音など(が聞こえるのは)、これまた言うまでもなく(趣がある)。
冬は、早朝(が良い)。
雪が降ったときは言うまでもない。霜がとても白かったり、またそうでなくても、とても寒い時に火などを急いでおこして、炭を持って廊下を通るのもとても(風情に)合っている。
昼になって、(寒さが)だんだんとゆるんで生暖かくなっていくと、火桶の火が白い灰ばっかりになってしまって良くない。
省略の表現について
「枕草子」では、述語が省略されている部分があるよ。
- 「春はあけぼの。」
→「春はあけぼの(がをかし)。」 - 「夏は夜。」
→「夏は夜(がをかし)。」 - 「秋は夕暮れ。」
→「秋は夕暮れ(がをかし)。」
どれも「がをかし」が省略されているよ!
- 「紫だちたる雲のほそくたなびきたる。」
→「紫だちたる雲のほそくたなびきたる(のがをかし)。」 - 「闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。」
→「闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる(のがをかし)。」
どちらも「のがをかし」が省略されているよ!
「枕草子」テスト対策
まとめ
- 枕草子は清少納言によって書かれた随筆。
- 清少納言は、平安時代に一条天皇の中宮定子に仕えた女房。
- 枕草子の第一段には、四季の良いところなどについて、清少納言が感じたことが思いのままに書かれている。
- ポイント①歴史的仮名遣いが使われているところを確認しよう
- ポイント②使われている言葉の意味を確認しよう
- ポイント③書かれている内容について確認しよう
ここまで学習できたら、「枕草子」テスト対策練習問題のページに挑戦してみよう!
運営者情報
ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
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自分の誕生日の日に同じ名前の人がいとわろし
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とても分かりやすかったです!
テスト本番頑張ります! -
とても分かりやすかったです!
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清少納言と、紫式部はどのような関係ですか?
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わかりやすすぎて…これでテスト頑張ります✨
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本当にわかりやすかったです!!
今日は、国語のテストがあるので頑張ってきます!!
ありがとうございました、!! -
とても分かりやすかったです。ありがとうございます!
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とても分かりやすくてをかしでした
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ちょうどテスト範囲で助かりました!わかりやすかったです!
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よい
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凄く分かり易かったです! ありがとうございます!
もうすぐテストがあるため参考にさせていただきました。
これからも無理のない範囲で頑張ってください。