蜂飼耳『はじまりの風』解説|あらすじ・心情変化・主題まとめ

中学校1年生の国語で学習する「はじまりの風」のテスト対策ポイントをわかりやすく解説するよ。

お話のあらすじ、おさえるべき内容、使われている表現技法や言葉の意味、登場人物の心情の変化など、大切なポイントを確認しよう。

蜂飼耳『はじまりの風』読解ポイントを説明した図解イラスト

『はじまりの風』テスト対策ポイントまとめ

  • レンの気持ちの変化を「場面ごと」に整理しよう
  • 「見えない風」という言葉の意味と、絵の力を理解しよう
  • 「光」や「風」の情景描写(風景や様子の説明)が、どんな役割を果たしているか確認しよう
  • 題名『はじまりの風』に込められた意味をおさえよう

1. 蜂飼耳はちかい みみ『はじまりの風』基本情報

「はじまりの風」は、詩人で作家の蜂飼耳はちかい みみさんの作品。
中学校の国語の教科書のために書き下ろし(そのために特別に書くこと)されたものなんだ。

中学生になって「新しいことを始めたい」と思いながらも、それが何か見つからずにいる主人公レンが、一枚の絵と出会うことで心が動き出し、新しい一歩を踏み出すまでの心の成長を描いているよ。

2. 『はじまりの風』のあらすじと登場人物

物語や小説を読むときは、まず「誰が、どこで、何をしたか」という事実(あらすじ)をしっかりつかむことが大切だよ。

蜂飼耳『はじまりの風』の登場人物と相関の図解イラスト

『はじまりの風』の登場人物

・レン(主人公)
中学生になったばかり。新しいことを始めたいと思っているけれど、それが何かわからず、周りから取り残されたような気がしている。

・美術の先生
廊下で絵を見ていたレンに声をかける。絵を描いたのが卒業生であることを教えてくれる。

・上級生(卒業生)
レンがきつけられた「いちょう並木と時計」の絵を描いた人物。直接は登場しないけれど、絵を通してレンに大きな影響を与えるよ。

『はじまりの風』あらすじ

「はじまりの風」
作:蜂飼耳はちかい みみ

中学生になったばかりのレンは、学校の廊下に飾られた「いちょう並木と時計」の絵に引きこまれていた。
レンは新しいことを始めたいと思っていたが、それが何かはまだわかっていない。好きなことを続けている友達と比べて、取り残されたような気がしていた。
美術室からにぎやかな上級生の声が聞こえ、レンはその場からそっと立ち去った。

次の日曜日、レンは絵に描かれていた実際のいちょう並木へ向かった。
時計が見えてきたとき、レンは「ちょうど、ここから見た風景だ、あの絵。」と気づく。
絵の作者と同じ場所に立ち、同じ角度から風景を見ている発見に、レンは少しうれしくなった。
ふわりと吹いたやわらかな春の風を感じながら、軽い足取りで家に帰った。

月曜日、また絵の所で風景を見つめていると、美術の先生に声をかけられた。
先生から、この絵を描いたのが卒業生であることや、「見えない風を描いている」ということを教えられたレンは、少しどきどきした。
見えないはずの風が表現されている絵の力を感じ、自分も絵を描いてみたい、新しいことをやってみようと決心する。
レンの心にも、ざわざわと新しい風が吹き始めていた。

3. 【定期テスト頻出】『はじまりの風』3つの場面分けと構成

物語や小説では、時間や場所、登場人物が変わることで「場面」が切り替わるよ。
『はじまりの風』は、大きく3つの場面に分けることができるんだ。段落の最初の言葉に注目して分けてみよう。

場面本文主な内容
1学校の廊下中学生になったばかりの~そっと立ち去った。レンが廊下の絵にきつけられる場面。やりたいことが見つからない悩みが描かれているね。
2日曜日のいちょう並木次の日曜日の午後~家に帰った。時間が飛んで日曜日。実際の風景を見て、絵の作者と同じ視点を発見する場面だよ。
3月曜日の学校の廊下月曜日、また絵の所へ~風が吹き始めた。時間が進んで月曜日。美術の先生との出会いを通して、レンの心が大きく動く大切なクライマックス(一番盛り上がる場面)だね。

4. 『はじまりの風』重要ポイント解説

『はじまりの風』のテスト対策のために押さえておくべきポイントをそれぞれ確認しよう!

「取り残されたような気がした」のはなぜか

物語の最初、レンは「新しいことを始めたい」と思っているけれど、それが何かまだわかっていなかったね。
同じ小学校から来た友達は、音楽やスポーツなど、小学生のうちからやっていた好きなことを迷わずに続けていたんだ。
周りのみんなは自分のやりたいことがはっきりしていて前に進んでいるのに、自分だけがやりたいことを見つけられずに立ち止まっている。
そんな自分と友達を比べてしまって、「自分だけが置いていかれている」という焦りやさみしさを感じて、「取り残されたような気がした」と考えられるよ。

その場から「そっと立ち去った」レンの心情

廊下で絵を見ていたとき、美術室から上級生たちのにぎやかな声が聞こえてきたね。
その声を聞いて、レンは「絵を眺めるのをやめて、その場からそっと立ち去った」んだ。

美術部の上級生たちは、自分の好きなこと(絵を描くこと)を見つけて、仲間と一緒に楽しそうに活動しているよね。
やりたいことが見つからなくて悩んでいるレンにとって、その楽しそうな声は、まぶしすぎたり、自分との違いを感じて少し気まずく思えたりしたのかもしれないね。
だから、その場にいづらくなって「そっと立ち去った」という気持ちがうかがえるよ。

たろう
やりたいことが見つからなくて、少し自信をなくしていたんだね。

「はっとした」理由とレンの気持ちの変化

日曜日、レンは吸い寄せられるように、実際のいちょう並木へ向かったね。
そして、時計が見えてきたときに「はっとした」んだ。

なぜはっとしたのかというと、その直後に「ちょうど、ここから見た風景だ、あの絵。そう気づいたのだ。」とあるね。
学校で見た絵の作者が立っていたのと同じ場所に、今自分も立って、同じ角度から風景を見ていることに気づいて驚いたんだ。

この発見によって、レンは「ちょっとうれしくなった」と感じているね。
さらに帰り道では「さっきよりもずっと軽い足取り」になっているよ。これは、絵の作者とのつながりを感じて、モヤモヤしていた心が少し晴れて、前向きで明るい気持ちに変化したことを表しているね。

「見えない風を描いている」とはどういうことか

月曜日、美術の先生がレンに「見えない風を描いているっていうところが、いいよね。」と話しかけるね。
絵は動かないし、風は目に見えないものだよね。
でも、この絵はピンクや青、緑、黄色といった「大胆な色使い」で描かれていて、見ていると本当にそこに風が吹いていて、いちょうの葉が揺れているように感じられるんだ。

先生は、ただ本物そっくりに描いているからすごいのではなく、「目に見えないはずの風(空気感や雰囲気)まで表現できていること」が、この絵のすばらしいところだとレンに伝えたかったんだね。

「少し、どきどきした」のはなぜか

先生の言葉を聞いて、レンはもう一度絵を眺め、「確かに、見えないはずの風が表現されている気がした。」と思ったあとに、「少し、どきどきした」と感じているね。

この「どきどき」は、不安や恐怖で緊張しているわけではないよ。
目に見えないものまで表現できる「絵の力」に感動して、「絵ってすごいな」「自分もそんな絵を描いてみたいな」と、新しい世界が開けそうな予感に胸を躍らせているんだ。
つまり、期待感やわくわくする興奮の「どきどき」だと言えるね。

たろう
ついに、レンが「新しく始めたいこと」を見つけた大切な瞬間だね!

記述問題対策

「はじまりの風」では、レンの気持ちの変化を説明する記述問題がよく出るよ。

たとえば、「どきどきした理由を書きなさい」と聞かれたときは、ただ「うれしかったから」だけでは少し足りないことが多いんだ。

そんなときは、「何に気づいて」「どう感じて」「どうしたいと思ったか」を入れて書くと、しっかりした答えになるよ。

答え方のテンプレート:~に気づき、~と思い、~したいという気持ちが強くなったから。

回答例:見えない風まで感じさせるように描かれた絵に心を動かされ、自分も絵を描いてみたいという気持ちがわいてきたから。

5. 『はじまりの風』レンの心情変化

物語を読むうえで一番大切なのは、「心情(登場人物の気持ち)」を読み取ること。気持ちは必ず「行動・様子・会話」などに表れるよ。場面ごとのレンの気持ちを、本文の根拠と一緒に見ていこう。

蜂飼耳『はじまりの風』の主人公レンの心の変化を表現した図解イラスト

第1の場面:取り残されたような気持ち

最初、レンは新しいことを始めたいのに見つからず、好きなことを続けている友達と自分を比べて「取り残されたような気がした」と感じているね。

美術室から楽しそうな上級生の声が聞こえたとき、「その場からそっと立ち去った」という行動からは、やりたいことが見つかっていない自分に対する焦りや、うらやましさ、少し気まずいような気持ちがうかがえるよ。

第2の場面:ちょっとうれしくなった、前向きな気持ち

日曜日、実際のいちょう並木に行ったレンは、時計の位置から「ちょうど、ここから見た風景だ、あの絵。」と気づくね。

絵の作者と同じ場所に立っているという発見から「ちょっとうれしくなった」と本文に書かれているよ。帰りの様子が「さっきよりもずっと軽い足取り」になっていることからも、レンの心が少し前向きになり、明るくなったと考えられるね。

第3の場面:新しく挑戦したいというわくわくした気持ち

月曜日、美術の先生から「見えない風を描いている」と教えられたレンは、「少し、どきどきした」と感じるね。これは不安や恐怖ではなく、目に見えないものまで表現できる絵の力に対する興奮や期待感を表していると読めるよ。

そして最後に「自分も絵を描いてみたい、と思った。」と、ついに新しく始めたいことを見つけます。

6. 『はじまりの風』情景描写の効果と「見えない風」

物語では、景色や天気などの情景描写(じょうけいびょうしゃ:風景や様子の説明)が、登場人物の気持ちを暗示あんじ(あんじ:それとなく表すこと)していることが多いんだ。

「光」と「風」が表しているもの

第2の場面で、レンがうれしくなったとき「ふわりと、風が吹いてきた」とあるね。また、帰り道は「春のおだやかな光の中」を歩いているよ。

第3の場面で、「絵を描いてみよう」と決心したときも、「窓から差しこむ光が少し強くなり、廊下はさっきよりも明るくなった」と書かれているね。
このように、明るい光やさわやかな風の描写は、レンの心が晴れやかになり、前向きな希望を持ったこと暗示あんじしていると考えられるんだ。

「見えない風」という表現効果

美術の先生が言った「見えない風を描いている」という言葉は、この物語の重要なカギだよ。風は目に見えないけれど、絵の中の「思い切った色彩(しきさい:いろどりのこと)」によって、確かに風が吹いているように感じられる。
レンは、ただ絵が上手いことに感動したのではなく、「目に見えないものまで表現できる絵の力」に強く心を動かされたんだね。

7. 題名『はじまりの風』の意味と作者の伝えたいこと(主題)

物語の最後に「レンの心にも、ざわざわと風が吹き始めた。」という言葉が出てくるね。もちろん、心の中に本当の風が吹くわけではないので、これは比喩ひゆ(ひゆ:別のものに例える表現)だよ。

「ざわざわと風が吹き始めた」に込められた意味

この「風」は、レンの中に「自分も絵を描いてみたい!新しいことをやってみたい!」という思いがあふれ出てきたことを表していると読めるね。

つまり、題名の『はじまりの風』は、新しいことに一歩踏み出そうとする前向きな気持ちや、そのきっかけ象徴しょうちょう(形のないものを具体的な形で表すこと)していると考えられるよ。

作者は作品を通して、「新しいことを見つけて、希望を持って一歩踏み出すことのすばらしさ」を中学生の読者に伝えたいのではないだろうか。

「はじまりの風」で作者が伝えたいこと

新しいことを見つけて、希望を持って一歩踏み出すことのすばらしさ

「はじまりの風」では、やりたいことが見つからずに悩んでいたレンが、一枚の絵や人との関わりを通して心を動かされ、「自分もやってみよう」と前向きな気持ちで新しいスタートを切るまでの心の成長を描いている。

8. 『はじまりの風』感想文の例

感想文を書くときは、「心に残った場面」→「そう思った理由」→「自分が感じたこと」の順で書くとまとめやすいよ。

感想文の例1

「はじまりの風」を読んで、レンが少しずつ自分のやりたいことを見つけていく様子がすてきだと思いました。最初のレンは、自分だけ何を始めればいいかわからず、取り残されたような気持ちになっていました。でも、一枚の絵との出会いによって、心が大きく動き始めます。特に印象に残ったのは、「見えない風を描いている」という先生の言葉です。風は本当は見えないのに、絵を見てそう感じられるところに、絵の不思議さやおもしろさがあるのだと思いました。

感想文の例2

そんなレンが、学校の廊下に飾られた一枚の絵に出会い、少しずつ心を動かされていく流れがとても丁寧に描かれていました。自分が知っている風景なのに、絵の中では新鮮に見えたことや、実際にその場所へ行ってみたこと、先生の「見えない風を描いている」という言葉を聞いたことなど、いくつもの出来事が重なって、レンの気持ちが変わっていったのだと思います。最後に、レンが「絵を描いてみよう。新しいことをやってみよう。」と思う場面が心に残りました。

9. 『はじまりの風』表現技法:倒置法・比喩ひゆ・情景描写の効果

表現技法とは、文章を豊かにして、読者に与える印象や文章の調子を整えるための技術や工夫のことだよ。

情景描写による暗示あんじ(光と風)

第2の場面でレンがうれしくなったとき、「ふわりと、風が吹いてきた」「春のおだやかな光の中を~軽い足取りで」と書かれているね。
第3の場面で絵を描こうと決心したときも、「窓から差しこむ光が少し強くなり、廊下はさっきよりも明るくなった」とあるよ。光が明るくなったり、やさしい風が吹いたりする情景は、レンの心が晴れやかになり、希望を持って前向きになったこと暗示あんじしているんだね。

比喩ひゆ(ひゆ)表現

何かの様子を、別のものにたとえてわかりやすく伝える表現技法を比喩ひゆというよ。
「色とりどりのそよ風のように動きだす気がした」直喩ちょくゆ「レンの心にも、ざわざわと風が吹き始めた」隠喩いんゆ / 暗喩だね。

倒置法(とうちほう)

「ちょうど、ここから見た風景だ、あの絵。」
言葉の順番をあえて逆にすることで、「ここから見た風景だ!」というレンの驚きや感動を強く印象づける効果があるんだ。この技法を倒置法というよ。

10. 「はじまりの風」言葉の意味

言葉意味
新鮮(しんせん)新しくて、生き生きとしていること。
思わずそうしようと思ったわけではないのに、つい自然に。
ひとときしばらくの間。短い時間。
思い思いそれぞれが自分の思うままにすること。
まさにほんとうにそのとおりである様子。ぴったり当てはまる様子。
~にちがいないきっとそうだと強く考える言い方。
大胆(だいたん)思い切って、はっきり表現する様子。
足取り(あしどり)歩く様子。歩き方。
心が躍る(こころがおどる)期待や喜びで、わくわくした気持ちになること。
引きつける人の心や関心を強くひきよせること。
薄暗い(うすぐらい)少し暗い。ぼんやり暗い。
確かに(たしかに)ほんとうにそうだと認める気持ちを表す言葉。
色彩(しきさい)いろどりのこと。色の組み合わせや、その感じ。
色とりどり(いろとりどり)いろいろな色がまざっている様子。

11. 「はじまりの風」新出漢字と読み方

漢字音読み訓読み
ロウ
か(ける)・か(かる)
ビョウえが(く)
チョウなが(める)
センあざ(やか)
スイふ(く)
ハクうす(い)
かがや(く)
ハツかみ
タンきも
バツぬ(く)・ぬ(ける)
サイいろど(る)
ヤクおど(る)
シンふ(る)・ふ(るう)

12. 「はじまりの風」テスト対策ポイントまとめ

『はじまりの風』は、中学校に入学して新しい環境に身を置く読者に向けて書かれた物語だね。最後には、自分の心の中に「はじまりの風」を感じて一歩踏み出す、という美しい成長のストーリーだったね。テストでは、場面ごとのレンの気持ちの変化と、「光」や「風」の情景描写が持つ意味が必ずといっていいほど聞かれるよ。この記事で確認したポイントをしっかり復習して、国語のテストに自信を持って臨(のぞ)もう!

「はじまりの風」テスト対策ポイント

  • 作者は蜂飼耳蜂飼耳
  • 物語は大きく3つの場面に分けられる
  • レンはやりたいことが見つからず、「取り残されたような気がした」
  • いちょう並木で「はっとした」のは、絵が描かれたのと同じ場所だと気づいたから
  • 「少し、どきどきした」のは、見えない風まで表せる絵の力に感動し、わくわくしたから
  • 「光」や「風」の情景描写は、レンの前向きな気持ちを暗示あんじしている
  • 作者が伝えたいことは、「新しいことを見つけて、一歩踏み出すことのすばらしさ」

ここまで学習できたら、ぜひ「はじまりの風」のテスト対策練習問題とドリルに挑戦しよう!
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

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