朝井リョウ『私たちの未来』解説!あらすじ・心情の変化・ポイントまとめ

中学1年国語で学習する朝井リョウさんの『私たちの未来』について、あらすじや登場人物の心情、テストで問われやすいポイントをわかりやすく解説するよ。

この物語では、中学校に入学したばかりの「さくら」が、前の席の「その子」と出会うことで、「新品のままがいい」と思っていた気持ちから、少しずつ未来へ踏み出したい気持ちへ変わっていく様子が描かれているよ。

たろう
「新品のままがいい」って、物だけじゃなくて、自分の気持ちにも関係しているんだね。
くまごろう
そうだね。新しい環境に入ったばかりの緊張感が、「新品」という言葉で表されているんだよ。

朝井リョウさんは、『桐島、部活やめるってよ』『チア男子!!』『何者』などでも知られる小説家だよ。

朝井リョウの「私たちの未来」のテスト対策ポイントを説明する図解イラスト

『私たちの未来』テスト対策ポイントまとめ

  • さくらは、最初は新品のものをきれいなままにしておきたいと思っている。
  • 「その子」は、白い靴をわざとぬかるみに入れ、「自分を新品じゃなくしたい」と考えている。
  • 赤いヘアゴムは、その子に事前に情報交換をする相手がいなかったことや、まだ中学校で心細い立場にいることを象徴している。
  • さくらは、「その子」との出会いによって、これからの未来を前向きに想像するようになる。
  • 主題は、新しい環境に少しずつなじみ、人との関係を作っていくことへの期待

1. 『私たちの未来』のあらすじ

主人公のさくらは、中学校に入学したばかり。

新しいスカート、新しい教室、新しい教科書や資料集。さくらは、まわりのものをできるだけ新品のまま、きれいにしていたいと思っている。

中学校の教室も、さくらには「巨大な真新しい制服」のように感じられている。みんなが、どこも汚さないように、くしゃくしゃにしないように、慎重に行動しているからだね。

そんな中、さくらは前の席の女子生徒のノートを拾う。そのノートの一ページ目には、新しい始まりにふさわしい、とてもきれいな文字が書かれていた。

放課後、部活動見学に向かう途中で、さくらはその子がグラウンドのぬかるみに白い靴を入れるところを目にする。

ノートをあんなにきれいに書く子が、なぜ自分から靴を汚したのか。さくらは気になって、その子を追いかける。

すると、その子は「このままだとずっと、新品のままだから」「早く、新品じゃなくしたくて」と言う。

そして、それは靴のことではなく、「自分を」新品じゃなくしたいという意味だった。

その言葉を聞いたさくらは、これから中学校で過ごす長い時間や、その子と親しくなっていく未来を思い浮かべる。

最初は「全部新品のままがいい」と思っていたさくらだったけれど、最後には、新しい関係が少しずつ古びて、自分になじんでいく未来へ早く進みたいと思うようになるんだ。

2. 登場人物を整理しよう

さくら

さくらは、中学校に入学したばかりの生徒だよ。

新しいスカートや資料集をきれいなままにしておきたいと思っていて、まだ中学校生活に緊張していることが分かる。

同じ小学校の友達と話しているときだけ、肩から力が抜けるという描写から、知らない人が多い新しい環境に少し緊張していることも読み取れるね。

その子

「その子」は、さくらの前の席の女子生徒だよ。

赤いヘアゴムを使っていて、入学式の後に先生から校則違反だと注意されている。

さくらは、この子が人数の少ない小学校から来ていて、同じクラスに知っている人が一人もいないと自己紹介していたことを思い出す。

つまりその子は、さくらよりもさらに新しい環境の中で心細さや緊張を感じている人物だと考えられるよ。

「その子」と呼ばれていることの効果

物語の中で、この女子生徒は名前ではなく「その子」と書かれている。これは、さくらにとって、まだ相手が名前で呼び合うほど親しい存在ではないことを表しているよ。

だからこそ、最後にさくらがその子との未来を思い浮かべる場面で、二人の関係がこれから少しずつ近づいていくことが強く感じられるんだ。

3. さくらの心情の変化

この物語でいちばん大切なのは、さくらの心情がどのように変化したかを読み取ることだよ。

朝井リョウの「私たちの未来」のさくらの心情変化を説明する図解イラスト

はじめ:新品のまま、きれいにしていたい

物語のはじめで、さくらは新しいスカートのプリーツが、座るだけでくしゃくしゃになってしまうことを気にしている。

また、資料集のぴかぴかした表紙に、自分の下手な文字を載せたくないとも思っているね。

ここから、さくらが新品のものをきれいなままにしておきたいと思っていることが分かるよ。

途中:その子の行動に動揺する

さくらは、前の席のその子のノートの文字がとてもきれいだったことを覚えている。

だからこそ、その子が白い靴を自分からぬかるみに入れたとき、さくらは動揺する。

ノートの一ページ目をあんなにきれいに書く人が、自分から靴を汚すなんて、さくらには意外だったんだね。

最後:新品じゃなくなる未来へ進みたくなる

その子は、靴だけではなく「自分を」新品じゃなくしたいと言う。

それを聞いたさくらは、中学校でこれから過ごす長い時間を想像する。

制服や靴、ノートや資料集が、いつか自分になじんだ普通の持ち物になっている未来。

そして、今は名前もよく知らないその子と、いつかあだ名で呼び合うような関係になっている未来。

その未来を思い浮かべたさくらは、全部新品のままがいいと思っていたけれど、そうでもないのかもしれないと感じるようになる。

たろう
「自分を新品じゃなくしたい」って、少し不思議な言い方だね。
くまごろう
ここでは、早く中学校生活になじみたい、周りとつながりたいという気持ちを表していると考えられるよ。

さくらの心情の変化

  • はじめ:新品のものをきれいなままにしておきたい。
  • 途中:その子が白い靴を汚したことに動揺する。
  • 最後:新品ではなくなり、自分になじんでいく未来を楽しみに思う。

4. 「その子」の行動と心情

その子が白い靴をぬかるみに入れたのは、ただ靴を汚したかったからではないよ。

さくらは、この子が人数の少ない小学校から来ていて、同じクラスに知っている人が一人もいないと自己紹介していたことを思い出している。

さらに、赤いヘアゴムをしていたことで、校則違反だと注意されてもいる。

つまり、その子はまだ中学校という新しい場所に慣れていない。まるで自分だけが、まだ新品のまま置かれているように、中学校の環境になじめていないと感じていたのかもしれないね。

だからこそ、「早く、新品じゃなくしたくて」「自分を」と言ったんだ。

これは、新しい環境の中で、早く中学校生活になじみたい、周りとつながりたいという気持ちの表れだと考えられるよ。

赤いヘアゴムが表していること

赤いヘアゴムは、ただの持ち物ではないよ。

さくらたちは、春休み中に「中学からはヘアゴムの色も変えなきゃなんだ」と情報交換していた。

でも、その子は赤いヘアゴムを使っていた。これは、その子には事前に情報交換をする相手がいなかったことを示している。

つまり赤いヘアゴムは、その子に事前に情報交換をする相手がいなかったことや、まだ中学校で心細い立場にいることを象徴しているんだ。

5. 題名『私たちの未来』の意味

題名の『私たちの未来』の「私たち」とは、さくらだけではなく、その子もふくめた言葉だと考えられるよ。

物語のはじめでは、さくらとその子はまだ親しい関係ではない。さくらはその子の名前もよく知らない。

でも最後にさくらは、今はぴかぴかな関係性が、これから時間をかけて古びていくことを想像する。

ここでいう「古びる」は、悪い意味ではないよ。

新品ではなくなるということは、時間がたって、物も人間関係も自分の体になじみ、自然なものになっていくということなんだね。

たろう
「古びる」って、悪い意味だけじゃないんだね。
くまごろう
そのとおり。ここでは、時間がたって自然になじんでいく、前向きな意味で使われているんだよ。

つまり題名の『私たちの未来』には、さくらとその子が、これから一緒に中学校生活を過ごし、少しずつ関係を作っていく未来という意味がこめられていると考えられるよ。

6. 物語の後を考える宿題のヒント

学校では、「この物語の後、さくらとその子はどうなったと思うか」を考えて書く宿題が出ることがあるかもしれないね。

そのときは、本文の最後の表現を手がかりにしよう。

物語の続きを考えるヒント

  • さくらは、その子を吹奏楽部の見学に誘っている。
  • さくらは、その子との関係が「古びていく」未来を前向きに考えている。
  • 「古びる」は、関係が悪くなることではなく、自然になじんでいくことを表している。
  • さくらは、この子とこれからあだ名で呼び合うようになる未来を思い描いている。

たとえば、次のような内容で書くと、本文に合った自然な続きを考えやすいよ。

  • 二人で吹奏楽部の見学に行き、少しずつ話すようになる。
  • 最初はぎこちなかったけれど、同じ部活や学校生活の中で仲良くなっていく。
  • 赤いヘアゴムのことや、白い靴を汚した日のことを、後で笑って話せるようになる。
  • さくらもその子も、中学校生活に少しずつなじんでいく。

大切なのは、ただ自由に続きを作るのではなく、本文の最後にある「未来に早く駆けだしたくなった」というさくらの気持ちにつながるように書くことだよ。

7. 言葉の意味

テストで出やすい言葉の意味を確認しておこう。

言葉意味
プリーツ布につけられた、折り目やひだのこと。
慎重失敗しないように、よく考えて注意深く行動すること。
肩から力が抜ける緊張がゆるんで、ほっとすること。
心細い頼りなく、不安に感じること。
あらわになる隠れていたものが見えるようになること。
ぬかるみ雨などで地面がやわらかく、どろどろになったところ。
かつて以前、昔という意味。
動揺心が大きく揺れ、落ち着かなくなること。
こわばる緊張などで、体や表情がかたくなること。
膨大非常に多いこと。
くだける形式ばらず、親しみやすくなること。
体になじむ慣れて、自分に自然に合うようになること。
おそるおそる不安や緊張を感じながら、こわごわ行う様子。
古びる時間がたって、新しさがなくなること。

8. 新出漢字と読み方

本文に出てくる新出漢字を確認しよう。

漢字音読み訓読み
キョ
よご(す)・よご(れる)・きたな(い)
シンつつし(む)
キン
すわ(る)
シュウあつ(まる)・つど(う)
ショウゆか・とこ
ハツかみ
ハク・ヒョウ
ヨウおど(る)・おど(り)
ヨウゆ(れる)・ゆ(らぐ)・ゆ(する)
くつ
デイどろ
は(く)
トウふ(む)
か(ける)

9. まとめ

『私たちの未来』は、中学校に入学したばかりのさくらが、「その子」との出会いを通して、心を変化させていく物語だよ。

はじめのさくらは、新しいものをきれいなままにしておきたいと思っていた。

けれど、その子が白い靴をわざと汚し、「自分を新品じゃなくしたい」と言ったことで、さくらは、これからの中学校生活や、その子との関係が少しずつ自分になじんでいく未来を想像する。

この物語で大切なのは、新品のままでいることよりも、時間をかけて人や場所になじんでいくことのよさだよ。

『私たちの未来』まとめ

  • さくらは最初、新しいものをきれいなままにしたいと思っている。
  • その子は、「自分を新品じゃなくしたい」という思いから、白い靴をわざと汚した。
  • 赤いヘアゴムは、その子に事前に情報交換をする相手がいなかったことや、まだ中学校で心細い立場にいることを表している。
  • さくらは、その子との出会いによって、新品ではなくなっていく未来を前向きに感じるようになる。
  • 主題は、新しい環境の中で、人や物が少しずつ自分になじんでいくことへの期待である。

ここまで学習できたら、ぜひ「私たちの未来」のテスト対策練習問題とドリルに挑戦しよう!
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

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