「星の花が降る頃に」あらすじとポイント考察をわかりやすく解説

PDFダウンロード

「星の花が降る頃に」あらすじとポイント考察を わかりやすく解説

「星の花が降る頃に」あらすじとポイント考察を わかりやすく解説のPDF (15枚) がダウンロードできます。

PDFを印刷して手書きで勉強したい方は以下のボタンからお進み下さい。

PDF教材をよく使う方は、有料プランで広告なし・透かしなしPDFを使い放題で利用できます。

中学校1年生の国語で学習する「星の花が降るころに」のテスト対策ポイントをわかりやすく解説するよ。

お話のあらすじ、おさえるべき内容、使われている表現技法や言葉の意味、登場人物の心情など、大切なポイントを確認しよう。

この記事で分かること

  • 「星の花が降るころに」のあらすじ
  • 「私」と夏実の関係
  • 夏実に避けられたときの「私」の心情
  • 戸部君に対する「私」の見方の変化
  • 「涙がにじんできた。笑いすぎたせいだ、たぶん。」の意味
  • 銀木犀の「古い葉っぱ」「新しい葉っぱ」と「私」の心情の関係
  • 色あせた銀木犀の花を落とした理由
  • 「大丈夫、きっとなんとかやっていける。」に込められた意味
目次

1. 「星の花が降るころに」基本情報

「星の花が降るころに」は、児童文学作家の安東みきえさんの作品。
国語の教科書のために書き下ろされたものなんだ。

秋に美しい花を咲かせる銀木犀を題材に、小学校からの親友だった夏実との関係の変化にゆれうごく「私」の心の成長を描いているよ。

この作品で大切なのは、ただ「何が起こったか」だけを追うのではなく、場面の描写を手がかりにして、「私」の心がどのように変化していくのかを考えることなんだ。

夏実とのやりとり、戸部君の様子、銀木犀の葉や花など、一見すると別々に見えるものが、最後には「私」の心の変化につながっていくよ。

2. 「星の花が降るころに」あらすじ

「星の花が降るころに」
作:安東みきえ

去年の秋は、小学校からの親友の夏実と銀木犀の花が散るのを長いこと見上げていた。

銀木犀の花は甘い香りで、白く小さな星の形をしている。
足元は白い星型でいっぱいだ。
二人で銀木犀の木に閉じ込められた、そう言って笑った。

おなじく小学校から一緒の戸部君は、サッカー部の仲間とじゃれ合っては「私」にからんでくる。

今回も、塾の宿題で「『あたかも』を使った文の作り方」を聞かれたが、「私」はそれどころではない。

春までは、クラスが違っても一緒に帰っていた夏実とは、小さな擦れ違いや誤解が重なり、一緒に帰らなくなっていた。

今日こそ仲直りをして、また銀木犀の花を拾ってポプリなんかも作ってみようと誘ってみるつもりだったのだ。

しかし、「私」の呼びかけに夏実が応えることはなかった。

顔を背け、目の前を通り過ぎて行ったその様子は、まるで音のないこま送りの映像のように、変に長く感じられた。

唇がふるえ、目のふちが熱くなる。そんな「ひどい顔」を、戸部君に見られた。

夏実とのことをみなに言い出さないか気がかりで、「私」は放課後に戸部君を探した。

彼はサッカーボールを懸命に磨いていた。

「使いたいときだけ使って、手入れをしないでいるのはだめなんだ。」彼の言葉を思い出した「私」は、自分の考えがひどく小さくくだらなく思えた。

水飲み場で、水を顔にかける。「魂」と「顔の輪郭」が戻ってきた気がした。

戸部君が「私」に声をかける。

何を言われるか身構えていると、なんてことない、例の塾の宿題の例文を考えついたという。

二人でふき出した。

戸部君はいつのまにか「私」より背がずっと高くなっていた。

涙がにじんだ。笑いすぎたせいだ。たぶん。

学校からの帰りに、銀木犀の公園に立ち寄った。

常緑樹の銀木犀は、一年を通して緑の葉をつけているけれど、実は古い葉を落とし、代わりに新しい葉を生やしているということを、掃除のおばさんから聞いて「私」はおどろく。

ポケットにしまっていた、去年の秋に夏実と拾った銀木犀の花を、「私」はぱらぱらと落とした。すっかり色あせたその花を。

ここでまた夏実と花を拾うかもしれないし、違うだれかと拾うかもしれないし、そもそももう拾わないかもしれない。

どちらだっていい。

「私」は、「大丈夫、きっとなんとかやっていける。」と思えるようになり、銀木犀の木の下をくぐって出た。

3. 「星の花が降るころに」内容とポイント

この記事では、「私」の心情の変化を追いやすいように、物語を大きく4つの場面に分けて整理するよ。

場面本文主な内容
1銀木犀の花は甘い香りで~そう言って笑った。去年の秋の思い出
2―ガタン!~だれもいないのに。廊下での夏実とのやりとり
3帰りは図書委員の~笑いすぎたせいだ、たぶん。戸部君とのやりとり
4学校からの帰り~くぐって出た。掃除のおばさんとのやりとりと「私」の変化

この4つの場面に分ける方法は、作品を理解しやすくするための整理のしかただよ。

登場人物

登場人物説明
主人公であり、物語の語り手。夏実との関係に悩んでいる。
戸部君「私」と小学校から一緒の男子。サッカー部に所属している。
夏実「私」の小学校からの親友。中学生になってから、二人の間に擦れ違いや誤解が重なっている。
夏実の友達廊下で夏実に声をかける同じクラスの友達。
戸部君のサッカー部の仲間戸部君とじゃれ合ったり、水飲み場へやって来たりする。
掃除のおばさん銀木犀について「私」に教えてくれる人物。

「小学生のころからわからないまま」とは

戸部君から、塾のプリントの問題について聞かれた「私」は、「私だってわからない。いっしょだった小学生のころからわからないままだ。」と思っているね。

最初の「私だってわからない」は、塾のプリントの問題のことだね。

でも、そのあとには「なんで戸部君はいつも私にからんでくるのか」「なんで同じ塾に入ってくるのか」「なんでサッカー部なのに先輩のように格好よくないのか」と続いているよ。

つまり、「私」は戸部君のことも、小学校のころからなんとなく「よくわからない」と感じているんだね。

戸部君は、友達とふざけたり、「私」にからんできたりする。

「私」には、そんな戸部君がどこか子どもっぽく、ちょっとついていけないような相手に見えているんだ。

だからサッカー部の先輩と比べて、「格好よくない」とも思っているんだよね。

ここで大切なのは、この時点の「私」は、戸部君の一部分だけを見て「こういう人だ」と決めつけているところがあるということ。

このあとの場面で、その戸部君への見方が少しずつ変わっていくよ。

夏実と別々に帰るようになったのはなぜか

去年の秋には一緒に銀木犀の木を見上げていて、中学に上がってもずっと親友でいようと約束をしていた「私」と夏実だけれど、春の間はクラスが違っても必ずいっしょに帰っていたのに、今は別々に帰るようになってしまっていたんだよね。

それはなぜかというと、何度か「小さな擦れ違い」があったり、「誤解」が重なったからだね。

すぐに話をして誤解を解くことができればよかったのかもしれないけれど、「私」も素直に話しかけられないまま、夏実との間に気まずい関係が続いてしまっているんだよね。

でも「私」は、夏実と仲直りをしたいと考えているよね。

だから、去年の秋に夏実と拾った銀木犀の花を、今でもビニール袋に入れてポケットにお守りのようにしまっているんだよね。

この銀木犀の花は、「私」が今でも夏実との関係を大切にしていて、また以前のように仲良くなりたいと思っていることが分かる大切なものなんだ。

廊下での夏実とのやりとり

隣の教室で椅子を引く音がすると、「私」はいそいで廊下に向かったよね。

夏実が隣の教室から出てくるのではないかと思って、話すタイミングを作るために「私」はいそいで廊下に向かったんだね。

夏実の姿を見つけた「私」は、「自分の心臓がどこにあるのかがはっきりわかった。」と感じているよ。

これは、心臓がどこにあるのかはっきりわかるくらい、心臓が強くドキドキしているということだね。

つまり、ずっと気まずくなってしまっていた夏実に話しかけるのに、とても緊張しているんだ。

勇気を出して話しかけたものの、ちょうど別の友達が夏実に話しかけたのと同時になってしまったね。

夏実は一瞬とまどったあと、その友達に答えながら、「私」から顔を背けて目の前を通り過ぎていった。

夏実がこのとき本当は何を考えていたのかは、「私」には分からないよ。

でも、「私」にとっては、「自分よりも新しい友達の方を選んだ」ように感じられたんだろうね。

ずっと仲直りをしたいと思っていて、今日こそはと勇気を出して話しかけたのに、夏実は自分から顔を背けて通り過ぎてしまった。

このときの「私」の気持ちを思うと、とてもつらいね。

このことがあまりにショックで、まるで「音のないこま送りの映像をみているよう」に、「変に長く感じられた」んだね。

「騒々しさがやっと耳に戻った」とは

夏実の様子にショックを受けた「私」は、「こま送りの映像のように」感じ、時間が「変に長く」感じられていたよね。

そのときはショックで、「私」には周りの騒々しい音まで意識できなくなっていたと考えられるよ。

しばらくして「騒々しさがやっと耳に戻った」ということは、ショックを受けていた「私」が、はっと我にかえって、周りの様子を気にかけることができるようになったことを表しているんだ。

だから、教室の中の戸部君がこちらを見ていることにも気が付くことができたんだね。

夏実とのやりとりの後の「私」の様子

我にかえったものの、「私」は夏実の様子に大きな衝撃を受けているよ。

深いショックを受けたことは、「唇がふるえている」という描写から伝わるね。

「目のふちが熱い」というのは、泣きそうになっていることが分かる表現だね。

唇がふるえていて、泣きそうになっている自分の顔を、「私」は「ひどい顔」だと思っている。

そんな顔を戸部君に見られたことを「きまりが悪い」と感じて、その場にいることができず、「はじかれたようにその場を離れた」んだね。

その場を離れた「私」は、窓に駆け寄ったね。

そして、誰もいないのに友達を探しているふうに熱心に下を眺めた。

こうしていれば、「泣きそうになっているから顔をそむけている」のではなく、「窓の外に誰かを探している」ように見えるよね。

「私」は、夏実に避けられてしまったことも、自分がそれほどショックを受けていることも、できれば誰にも知られたくなかったんだ。

そして、ここで「私」のつらい気持ちがはっきりと書かれているよ。

「夏実の他には友達とよびたい人なんてだれもいない」

つまり、この時の「私」にとって、夏実はただの友達の一人ではなく、「友達とよびたい」と思えるほど大切で特別な存在だったんだね。

たろう
そんな夏実に避けられてしまったんだから、「私」がこれほどショックを受けるのも分かるね。

なぜ「私」は戸部君を探したのか

「私」は、水飲み場の近くに座って戸部君を探したね。

これは、夏実とのやりとりを戸部君に見られてしまって、「繊細さのかけらもない」と思っている戸部君のことだから、みんなにそのことを言い出すのではないかと、気が気ではなかったからだね。

「夏実とのことを人に知られたくない」という気持ちと、「戸部君は繊細さのかけらもない」と「私」が思っていることがポイントだよ。

なにが「八つ当たり」なのか

「私」は、戸部君に弱みをにぎられた気分になって、憎らしくてしかたなくなっていたね。

夏実とのやりとりを戸部君に見られた恥ずかしさや、みんなに言われてしまうのではないかという焦りがあったんだよね。

さらに、夏実とのことをこんなに気にしている自分に比べて、戸部君がいつもどおりに見えることにも、いら立ちを向けたくなったのかもしれないね。

でも、夏実との擦れ違いには、戸部君は何も関係がないよね。

戸部君は何も知らなくて、たまたま夏実とのやりとりの場面を見ただけ。

それなのに、夏実とのことで苦しくなった自分の気持ちを戸部君への「憎らしさ」に変えている。

そういうところを、「八つ当たり」だと「私」は自分でも分かっているんだね。

「ひどく小さく、くだらないことに思えてきた」のはなぜか

戸部君が黙々とボール磨きをしている様子を見た「私」は、自分の考えていたことが急にひどく小さくて、くだらないことに思えてきたね。

なにがくだらないことだと思えたのかというと、「夏実とのやりとりを見た戸部君が、みんなにそれを言い出すのではないか」と心配していたことだね。

「私」は、戸部君のことを「繊細さのかけらもない」と思っていたよね。

だから、夏実とのことも考えなしにみんなに言いふらすのではないかと心配していたんだ。

でも、そんなことを心配していた「私」の目の前で、戸部君は暑い中、黙々とボール磨きをしている。

それも、いやいややっているわけではないよ。

砂を落としてやらないと縫い目がほころんでしまうから、「使いたいときだけ使って、手入れをしないでいるのはだめだ」と考えて、丁寧にボールを磨いているんだ。

これって、「繊細さのかけらもない」と思っていた戸部君のイメージとは、ちょっと違うよね。

物を大切に扱い、必要な手入れをきちんとする、今まで「私」が気づかなかった戸部君の繊細な一面が見えるよ。

そんな戸部君の姿を見て、「自分が心配していたことは、なんて小さくて、くだらないことなんだろう」と「私」は感じるようになったんだね。

たろう
戸部君が変わったというより、「私」が今まで見えていなかった戸部君の一面に気づいたんだね。

「やっと顔の輪郭が戻ってきたような気がした」とは

外の暑さに、「私」の魂は毛穴という毛穴から溶け出してしまいそうに感じていたね。

この時の「私」は、夏実とのことや、「戸部君が夏実とのことをみんなに言うのではないか」ということで頭がいっぱいだった。

いざ戸部君を見つけると、真剣にボール磨きをしている彼の姿に、「私」は「自分の考えがひどく小さくくだらなく」思えて、水を顔にかけたね。

それによって、溶け出していた魂がもう一度引っ込んで、「顔の輪郭が戻ってきたような気がした」んだ。

これは、夏実とのことや戸部君への疑いで乱れていた気持ちから少し抜け出し、「私」が冷静さを取り戻して、自分自身を取り戻し始めたことを表していると考えられるよ。

「何を言われるのか少し怖くて」と思ったのはなぜか

「おい。」と呼び止められて、「俺、考えたんだ」と戸部君に言われた「私」は、「何を言われるのか少し怖くて」身構えたね。

これは、廊下での夏実とのやりとりを目撃されていたので、「夏実と何かあったのか」とか、「あのあと泣いていたんじゃないか」とか、夏実との出来事について何か言われるのではないかと警戒したからだと考えられるよ。

「私」は、夏実とのやりとりを戸部君に見られたことを「きまりが悪い」と感じていたから、できるだけ触れてほしくない話だったんだよね。

「涙がにじんできた」のはなぜか

戸部君の「あたかも」を使った文を聞いた「私」は、戸部君と顔を見合わせてふき出したね。

ここまでずっと夏実のことで傷ついていた「私」だけれど、この場面では戸部君と一緒に笑うことができているよ。

戸部君は、夏実とのことには何も触れず、いつもの調子で「あたかも」の例文を話したんだ。

そんな戸部君とのやりとりで、「私」の中でずっと張りつめていた気持ちが、少しほぐれたと考えることができるね。

そして「私」は、「涙がにじんできた。笑いすぎたせいだ、たぶん。」と思う。

ここでとても大切なのが、最後の「たぶん」なんだ。

もし本当に「ただ笑いすぎただけ」なら、「たぶん」と付けなくてもよさそうだよね。

もちろん、面白くて笑ったことも涙の理由の一つだろうね。

でも、それだけではなく、夏実とのことで緊張していた気持ちがほどけたことや、戸部君がいつものように接してくれたことへの安心など、いろいろな気持ちが重なっていると考えることができるよ。

戸部君が「私」を気遣って、あえていつものように接したと読むこともできるね。

ただし、戸部君の心の中そのものは書かれていないから、「戸部君が励ますためにわざと冗談を言った」と一つに決めつけるのではなく、「たぶん」が残している心情の余地まで考えるのがポイントなんだ。

「戸部君の背はいつのまにか私よりずっと高くなっている」

戸部君の言ったことがおもしろくて、戸部君と顔を見合わせた「私」は、戸部君の背がいつのまにか自分よりもずっと高くなっていることに気がついたね。

戸部君と「私」は、小学校からずっといっしょだったので、「私」の中の戸部君は、いつまでも自分にからんでくる「繊細さのかけらもない」「子どもっぽい」男の子のように見えていたんだよね。

けれど、ボールを一生懸命に磨いている戸部君の姿を見たり、「あたかも」のやりとりで一緒に笑ったりしたことで、「私」は今まで自分が見ていなかった戸部君の一面に気づいていく。

さらに、自分よりも背がずっと高くなっていることにも気がつくんだ。

「背が高くなった」というのは、戸部君の身体的な成長を表しているよ。

そして、この場面ではそれと同時に、「私」が、それまで子どもっぽいと思っていた戸部君に、今までとは違う一面を感じ始めたことも大切なんだね。

「私」が「首をかしげた」のはなぜか

学校からの帰りに、銀木犀のある公園に立ち寄った「私」は、掃除をしているおばさんに会ったね。

おばさんが銀木犀の木について「葉っぱが落ちて案外厄介」という話をすると、「私」は首をかしげたね。

「首をかしげる」という表現から、「私」が何かを不思議に思っていることが分かるね。

何を不思議に思ったのかというと、「私」は銀木犀の葉っぱは「ずっと落ちない」ものだと思っていたから、おばさんが「葉っぱが落ちる」と言っていることを不思議に思ったんだ。

銀木犀は「常緑樹」なので、一年を通して緑の葉をつけている木だよ。

でも、「一年中緑」というのは、同じ葉っぱがずっと落ちないという意味ではないんだ。

古い葉っぱを落として、新しい葉っぱを生やしているから、全体としては一年中緑の葉がついているように見えるんだね。

「私」は、常緑樹の銀木犀は一年中葉っぱが茂っているので、ずっと同じ葉っぱが落ちないものだと思いこんでいたんだ。

「古い葉っぱ」と「新しい葉っぱ」が「私」に与えたもの

おばさんは、「私」に対して銀木犀の木は「どんどん古い葉っぱを落っことして、その代わりに新しい葉っぱを生やす」ということを説明してくれたね。

この「古い葉っぱ」と「新しい葉っぱ」という言葉は、「私」にとってどんなふうに受け取れたのだろう。

「私」は、銀木犀の木はずっと葉っぱが落ちないように思いこんでいたよね。

でも、本当は古くなった葉っぱを落として、新しい葉っぱを生やしていた。

ずっと同じ葉っぱが生えたままではいられないんだ。

そして、新しい葉っぱが生える一方で、古い葉っぱは落ちていく。

銀木犀は、そうやって葉を入れ替えながら生きているんだね。

「私」は、その銀木犀の姿と、自分の人間関係を重ねて考えるようになったと読むことができるよ。

ずっと同じ人と、ずっと同じ関係のままでいることだけにこだわらなくてもいい。

人との関係は変わっていくこともあるし、新しい人との関係が生まれることだってある。

「私」は、銀木犀の葉が入れ替わることを知ったことで、人との関係も、自分自身も、ずっと同じままでなくていいのかもしれないと考えられるようになったんだね。

このことが、物語の最後の「また夏実と花を拾うかもしれないし、違うだれかと拾うかもしれないし、そもそももう拾わないかもしれない」という考えにつながっていくんだ。

「花びらは小さく縮んで、もう色がすっかりあせている」

この「花びら」は、去年の秋に夏実と一緒に拾った銀木犀の花びらだったね。

つまり、この花びらは、「私」にとって夏実との友情や、夏実と一緒に過ごした大切な思い出と強く結びついているものなんだ。

その花びらは、今では「小さく縮んで、もう色がすっかりあせている」。

去年の秋には白くきれいだった花が、時間がたって姿を変えてしまったんだね。

この花の変化は、去年の秋とは変わってしまった夏実との関係と重ねて読むこともできるよ。

去年とまったく同じ花のままではいられないように、「私」と夏実の関係も、去年とまったく同じままではなくなっているんだね。

「星型の花を土の上にぱらぱらと落とした」私の心情

花びらが小さく縮んで、色あせてしまったことを見た「私」は、その花びらを土の上へぱらぱらと落としたね。

去年からずっと大切に持っていた花を、自分から手放したんだ。

だから、この行動には「私」の気持ちの大きな変化が表れているよ。

でも、ここで「夏実との友情そのものを捨てた」と考えるのは少し違うんだ。

なぜなら、このあと「私」は、またここで夏実と花を拾うかもしれないとも考えているからだよ。

つまり「私」が手放したのは、夏実そのものではなく、「夏実と以前のような関係に戻らなくてはいけない」「夏実とずっと同じ形の友情を続けなくてはいけない」という強いこだわりだと考えることができるんだ。

夏実とまた花を拾うのでもいい。

違うだれかと拾ってもいい。

もう拾わなくてもいい。

「私」は、これから先を一つの形に決めなくてもいいと思えるようになったんだね。

「大丈夫、きっとなんとかやっていける」

そして「私」は、「大丈夫、きっとなんとかやっていける。」と思うようになる。

ここで大切なのは、夏実との問題が解決したわけではないということなんだ。

夏実と仲直りしたわけでもない。

これからまた親友に戻れるかどうかも分からない。

それでも、「私」は「大丈夫」と思えるようになった。

銀木犀が古い葉を落としながら、新しい葉を生やしているように、人との関係が変わっていっても、自分はその変化を受け入れながら生きていくことができると感じられるようになったんだね。

最後に「私」は、銀木犀の木の下を「くぐって出た」ね。

去年の秋には、夏実と二人で銀木犀の木に「閉じ込められた」と言って笑っていた。

その銀木犀の木の下を、今度は「私」一人で自分から「出た」んだ。

この「出た」という行動にも、夏実との関係だけにとらわれていた状態から、「私」が自分の足で新しい一歩を踏み出したことが感じられるよ。

「星の花が降るころに」で作者が作品に込めた願い

ここは、作者の安東みきえさん自身が、この作品について語っている内容も確認しておこう。

安東みきえさんは、友達との関係など、本人にとってはとても大きく感じられる悩みに落ち込んでしまう子どもたちに、嫌なことがあってもそれを「やり過ごす」タフさを持ってほしい、という思いを語っているよ。

そして、その願いを最後の「大丈夫、きっとなんとかやっていける。」という言葉に込めたと説明しているんだ。

つまり、この作品は「新しい友達を作ればいい」というだけのお話ではないよ。

「夏実との友情を捨てればいい」ということでもない。

人との関係が思い通りにならないこともある。

悲しくなることもあるし、すぐに解決できないこともある。

それでも、「この先どうなっても、きっとなんとかやっていける」と思える強さを持つこと。

そこが、この作品のとても大切なところなんだね。

「星の花が降るころに」の主題

人との関係には、思い通りにならないことや変化していくこともある。それでも一つのことにとらわれすぎず、変化を受け入れながら、「きっとなんとかやっていける」と前へ進んでいく強さ。

4. 「星の花が降るころに」表現技法と工夫

「なんで」という言葉がくり返し使われている(反復)

「なんで戸部君はいつも私にからんでくるのか。なんで同じ塾に入ってくるのか。なんでサッカー部なのに先輩のように格好よくないのか。」という部分では、「なんで」という言葉がくり返し使われているね。

これは、同じ言葉や表現をくり返すことで印象を強める「反復」だよ。

「なんで」を続けることで、戸部君のことを理解できず、疑問やいら立ちを次々と感じている「私」の様子が伝わりやすくなっているんだね。

「運動部のみんなはサバンナの動物みたいで入れかわり立ち替わり水を飲みにやって来る」(直喩)

ここでは、「運動部のみんな」のことを「サバンナの動物」にたとえているよね。

なので、使われている表現技法は「比喩」だよ。

比喩の中でも「動物みたい」と、「~みたい」という、たとえだと分かる言葉を使っているので「直喩」になるよ。

暑い中、運動部の生徒が入れかわり立ちかわり水飲み場へやって来る様子を、サバンナの動物たちが水場へ集まってくるように、生き生きと表しているんだね。

「音のないこま送りの映像」(比喩)

夏実が目の前を通り過ぎていく場面では、その様子が「音のないこま送りの映像」のように感じられているね。

本当なら一瞬の出来事なのに、夏実の動きが一こまずつ、ゆっくり進んでいるように感じられているんだ。

この比喩によって、夏実に避けられた瞬間に受けた「私」の衝撃の大きさが、とても分かりやすく表現されているよ。

「夏実」の名前について考えてみよう

ここからは、テストで「これが正解」として覚える内容ではなく、作品をもう少し深く楽しむための一つの考察だよ。

「夏実」の「み」は、「美」ではなくて、果実の「実」だよね。

「夏実」という名前を見ると、「夏の実」という言葉を連想することもできるね。

「星の花が降るころに」のお話の舞台は9月。夏が終わり、秋へ移っていくころだよ。

物語の中でも、「私」と夏実の関係は、小学校からずっと同じだったものが、少しずつ変わり始めている。

そして最後には、「私」は過去の関係と同じ形に戻ることだけにこだわらず、前へ進もうとしているよね。

そう考えると、過ぎていく夏と、「私」と夏実との関係の変化を重ねて読んでみるのも、おもしろいかもしれないね。

ただし、作者がこの意味を込めて「夏実」という名前を付けたと確認できる資料があるわけではないよ。

だから、これは「夏実という名前の本当の意味はこれだ」と断定するものではなく、作品の言葉や季節から広げて考えてみる一つの読み方なんだ。

たろう
こういうところまで自分で考えてみると、物語を読むのがもっとおもしろくなるね。

銀木犀は「私」の心情の変化を考える大切な手がかり

銀木犀は、物語の最初から最後まで登場する、とても大切な存在だよ。

最初の銀木犀は、夏実と一緒に花を見上げた、楽しい思い出につながっている。

そして物語の終わりでは、銀木犀が古い葉を落としながら新しい葉を生やしていることが、「私」の考え方を変える大切なきっかけになる。

さらに最後には、夏実との思い出につながる銀木犀の花を土の上へ落とし、その木の下を「くぐって出る」。

こうして最初と最後の銀木犀の場面を比べてみると、「私」がどれほど変化したのかがとてもよく分かるんだね。

5. 「星の花が降るころに」言葉の意味

言葉意味
銀木犀ぎんもくせいモクセイ科の常緑の木。秋ごろに白い小さな花を咲かせ、香りがある。
こづき合い肘や手で軽く押し合ったり、つつき合ったりすること。
高じる何かの程度がだんだんと強くなったり、進んだりすること。
あたかもまるで~のように、という意味。何かにたとえるときなどに使う。
擦れ違いここでは、互いの考えや気持ちがうまく通じ合わず、食い違ってしまうこと。
ポプリ乾燥させた花や葉などを混ぜて、香りを楽しむもの。
なだめる怒ったり泣いたりしている人を落ち着かせること。
ぎこちなく動きや態度が自然ではなく、なめらかでない様子。
とまどうどうすればよいか分からなくなって迷うこと。
きまりが悪い人に見られたりして恥ずかしく、ばつが悪い気持ち。
真夏日日最高気温が30℃以上の日。
サバンナ熱帯や亜熱帯などに広がる、草原を中心とした地域。
入れかわり立ちかわり次々と人などが入れ替わること。
気がかり心配で気になること。
繊細さのかけらもない細かなことに気を配る様子がまったくない、という意味。
知れたものじゃないどうなるか分からない、予想がつかないという意味。
八つ当たり自分の怒りや不満を、直接関係のない人などにぶつけること。
ほころびる布などの縫い目がほどけること。
常緑樹一年を通して緑の葉をつけている木。葉が全く落ちないのではなく、古い葉が落ち、新しい葉と入れ替わっている。
首をかしげる疑問に思ったり、不思議に感じたりして、首を少し傾けること。
半円球球を半分にした形。
色があせる時間がたって色が薄くなったり、鮮やかさを失ったりすること。

6. 「星の花が降るころに」新出漢字

「星の花が降るころに」に出てくる漢字を確認しよう。

漢字音読み訓読み
オウお(す)
お(さえる)
おれ
ジュク
ハイ
ロウ
チョウなが(める)
チョウいど(む)
ユウさそ(う)
ソウさわ(ぐ)
シンくちびる
か(ける)
おく(れる)
おそ(い)
コンたましい
ゾウにく(む)
にく(い)
にく(しみ)
インかげ
ショクふ(く)
ぬぐ(う)

ここまで学習できたら、「星の花が降るころに」のテスト対策問題とドリルにも挑戦して、内容理解を深めよう!

「星の花が降るころに」テスト問題|前半・夏実とのすれ違い
「星の花が降るころに」テスト問題|後半・心情の変化と主題
「星の花が降るころに」漢字ドリル
「星の花が降るころに」語句・表現技法ドリル
「星の花が降るころに」内容理解ドリル
「星の花が降るころに」主題・表現効果ドリル

動画で学習する場合はコチラ!(聞き流しもおすすめだよ!)

安藤みきえ「星の花が降るころに」の語句・表現技法一問一答 安藤みきえ「星の花が降るころに」の内容確認一問一答 安藤みきえ「星の花が降るころに」の主題・表現効果一問一答 中学国語で学習する「星の花が降るころに」の総集編一問一答のサムネイル

7. 参考文献・参考資料

※本記事では、光村図書『国語1』掲載の安東みきえ「星の花が降るころに」の本文と、光村図書が公開している教材資料・作者コメントをもとに、定期テストで重要となる内容や「私」の心情の変化、表現の工夫を整理しています。

※「夏実」という名前についての部分は、作者の命名意図として確認された内容ではなく、作品の季節や漢字から広げて考えた一つの読み方として紹介しています。

この教材をもっと活用したい方へ

PDFを印刷して復習したい方は、無料ダウンロードページから教材を確認できます。
先生としてドリルを配布したい方は、無料会員登録でクラス配布・自動採点機能を使えます。

PDFダウンロードページへ 無料会員登録する

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。「ゆみねこの教科書」は、ゆみねこの教科書教育メディア合同会社が運営しています。会社概要・事業内容については、コーポレートサイトをご覧ください。

感想や意見を聞かせてね

  1. とっても参考になりました!
    ありがとうございました
    また使わさせてもらいます

  2. 「星の花が降るころに」という作品は、文字がたくさんありすぎて関係もよくわからなかったので、簡単にまとめてあってわかりやすい説明を見て、それぞれの登場人物の心情などを理解することができてよかったです。とても参考になりました!ありがとうございます!

  3. 「くぐって出た」は戸部くんと同じで、主人公の身体的・精神的な成長を表しているのかな?

  4. 現在中学一年生です。この記事を読み、単元テストに挑みます。非常にわかりやすく、必要なところを抜粋してまとめてくださるのが本当に助かります。優しい口調なのもとても安心します。

  5. とっても分かりやすくて参考になりました!授業で取り扱ったものにプラスして読むととても効果的だと思います!

  6. とても参考になりました!
    最後の掃除のおばさんとの会話の意味を深く知ることができてすっきりしました
    そして夏実の名前の考えもとてもよかったです
    文章も読みやすくとてもいいです!
    これからも使いたいです!

  7. とても、わかりやすかったです。
    特に、夏実の名前の意味や作者の伝えたいことが詳しく書かれていて読みやすかったし、
    理由まで書かれていて納得がいく説明だったのがすごく良かったです。(上から目線ですみません)
    一つのことに縛られているのではなく新しい経験も大事だと気付かされました。

    • とても嬉しいコメントありがとうございます。
      「一つのことに縛られているのではなく新しい経験も大事」ということ、きっとこの作品が皆さんに伝えたいことのひとつだと思います。
      それが伝わるお手伝いができたと思うと、本当に嬉しいです。
      「星の花が降る頃に」、素敵な作品ですよね。

  8. とても参考になりました
    学校では教えてくれないほど丁寧でわかりやうかったです

目次