松尾芭蕉『奥の細道』テスト対策解説!現代語訳・季語・切れ字・重要語句まとめ

中学3年国語で学習する「奥の細道(おくのほそみち)」について、現代語訳(意味)や、テストで問われる重要語句、使われている表現技法、俳句の季語などをわかりやすく解説するよ。

「奥の細道」テスト対策ポイントまとめ

  • 「奥の細道」は、江戸時代前期の俳人である松尾芭蕉まつお ばしょうが書いた紀行文きこうぶん(=旅の記録)。
  • 弟子の曾良そらとともに江戸を出発し、東北・北陸地方を旅し、各地を経て美濃へ向かった約150日間の旅の記録。
  • 「夏草や 兵どもが 夢の跡」など、俳句の季語切れ字をしっかり確認しておこう。
  • 対になる言い方(対句)や、中国の詩人である杜甫(とほ)の詩『春望(しゅんぼう)』をふまえている部分に注意しよう。
目次

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『奥の細道』の基本情報:【松尾芭蕉の紀行文】

まずは、テストで穴埋め問題としてよく出題される「奥の細道の基本データ」を確認しておこう。

成立した時代江戸時代の前期(元禄時代:江戸時代中期の華やかな文化が栄えた時代)
作者松尾芭蕉まつお ばしょう蕉風(しょうふう)と呼ばれる芸術性の高い俳諧を確立した。
文章の種類紀行文きこうぶん:旅行中の体験や見聞を書いた文章のこと。
旅の同伴者弟子の曾良そら
くまごろう
私たちが今呼んでいる「俳句」のもとになったのは、五・七・五の「長句」と七・七の「短句」を交互に連ねて作る「連歌・俳諧連歌」の最初の一句である「発句(ほっく)」だよ。江戸時代には「発句」と呼ばれていたんだ。

【現代語訳】『旅立ち(月日は百代の過客にして)』の解説

「奥の細道」の有名な冒頭部分、「旅立ち(月日は百代の過客にして…)」の現代語訳とテスト対策ポイントを見ていこう。

本文と読み方(現代仮名遣い)

 月日は百代(はくたい)の過客(くわかく)にして、行きかふ年もまた旅人なり。舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅にして旅をすみかとす。

古人(こじん)も多く旅に死せるあり。予(よ)もいづれの年よりか、片雲(へんうん)の風にさそはれて、漂泊(へうはく)の思ひやまず、海浜(かいひん)にさすらへて、去年(こぞ)の秋、江上(かうしやう)の破屋(はをく)に蜘蛛(くも)の古巣をはらひて、やや年も暮れ、春立てる霞(かすみ)の空に、白河(しらかは)の関越えむと、そぞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神(だうそじん)の招きにあひて、取るもの手につかず、股引(ももひき)の破れをつづり、笠(かさ)の緒(お)付けかへて、三里に灸(きう)すゆるより、松島(まつしま)の月まづ心にかかりて、住めるかたは人に譲りて、杉風(さんぷう)が別墅(べつしよ)に移るに、

 草の戸も住み替はる代(よ)ぞ雛(ひな)の家


面(おもて)八句を庵(あん)の柱に懸(か)け置く。

【テスト必答】現代仮名遣いに直すポイント

  • 過客(かく)
  • 行きかふ(いきこう
  • とらへて(とらて)
  • いづれ(いれ)
  • さそはれて(さそれて)
  • 漂泊(ひょうはく
  • 江上(こうしょう
  • 越えむ(こえ
  • 道祖神(どうそじん)
  • 灸(きゅう
  • 去年(こぞ
  • 別墅(べっしょ

現代語訳(意味)

月日は永遠の旅人であって、来ては去り、去っては来る年もまた旅人である。舟の上に一生を浮かべて(船頭をして)過ごす者や、馬の口をとって(馬子をして)老いを迎える者は、毎日が旅であって、旅そのものを住みかとしている。昔の優れた文人たちも、多くは旅の途中で死んでいる。

私もいつの年からか、ちぎれ雲が風に誘われて漂うように、あてもなくさすらい歩きたいという思い(漂泊の思い)がやまず、海辺をさすらい歩いて、去年の秋、(隅田川の)川のほとりにあるあばら家でクモの古い巣を払い(落ち着き)、しだいに年も暮れて、春になって霞が立つ空を見ると、(今度は)白河の関を越えようと、そぞろ神がとりついて心をそわそわさせ、道祖神(どうそじん:道の守り神)が手招きしているような気がして、何も手につかず、股引の破れを縫い合わせ、笠のひもを付け替え、膝の三里のツボに灸をすえるやいなや、早くも松島の月が心にかかって気になり、(今まで)住んでいた家は人に譲り、(弟子の)杉風の別荘に移るにあたって、

(私が住んでいたわびしい)草の戸の家も、住む人が代わる御代であって、(今度は華やかな)ひな人形を飾る家となることだ。

(この句を発句とした連歌の)面八句を、庵の柱に掛け置いた。

参考:「面八句(おもてはっく)」って何?

「面八句」とは、連歌(れんが)・俳諧連歌(はいかいれんが)の最初の八句のことだよ。
※表八句とも書くよ。

昔は、五・七・五の句と七・七の句を、みんなで交互につないで長い作品を作っていたんだ。そのはじめの部分、つまり表側に書かれる最初の八句を「面八句」と呼んだよ。

ここでは、芭蕉が作った「草の戸も 住み替はる代ぞ 雛の家」という句を発句として始まる連歌の、最初の八句を柱にかけておいた、という意味なんだね。

つまり、「ただ一句を書いた」のではなく、旅立ちの記念として、連歌のはじめの部分を残していったと考えるとわかりやすいよ。

重要語句

語句意味・解説
百代(はくたい)永遠。
過客(くわかく)旅人。「かかく」と読む。
古人(こじん)昔の人。昔の優れた文人(李白や杜甫など)のこと。
予(よ)私。作者である松尾芭蕉自身のこと。
漂泊ひょうはくの思いあてもなくさすらい歩きたいという思い。
破屋(はをく)
草の戸・庵
あばら家、わびしい家。(「江上の破屋」「草の戸」「庵」はすべて芭蕉の住んでいた家を指す)
春立てる霞の空春になって霞がたっている空。春の訪れを感じさせる表現。
白河の関昔、東北への入り口にあった有名な関所。芭蕉がぜひ越えたいと思っていた、あこがれの場所。
そぞろ神人の心を落ち着かなくさせ、旅に向かわせるかのような神。ここでは、旅に出たい気持ちが高まっていることを表す。
道祖神(どうそじん)道ばたや村の境などにまつられる、道の守り神・旅の神。
三里足のひざ下あたりにあるツボの名前。旅立ちの前に、足の疲れを防ぐために灸をすえた。
松島今の宮城県にある名勝。美しい月の景色でも知られ、芭蕉が旅の前から心ひかれていた場所。
杉風(さんぷう)松尾芭蕉の弟子。旅立ちの前、芭蕉は杉風の別荘に移った。
面八句(おもてはっく)
※表八句とも書く
連歌・俳諧連歌の最初の八句のこと。ここでは、「草の戸も…」を発句とする連歌の最初の八句を柱にかけておいた、という意味。

テスト対策ポイント

  • 作者の人生観

冒頭の「月日は百代の過客にして…」という言葉には、月日や年を旅人にたとえ、人生そのものを旅になぞらえるような芭蕉のものの見方が表れているよ。

  • 旅に出るためにとった行動

芭蕉は旅の準備として、「股引の破れをつづる(縫う)」「笠の緒を付けかえる」「三里に灸をすえる」という3つの行動をとっているね。

この3つは、旅に必要な衣服・道具・体を整えるための、具体的な旅支度としてきれいに並んでいるよ。

なお、本文にはこのあと「住める方は人に譲りて」ともあるけれど、こちらは旅先で使う物の準備というより、家を人に譲って旅に出る覚悟を示す身辺整理と考えるのが自然だよ。だから、テストで「旅の準備として取った行動を三つ」と聞かれたときは、ふつうは上の3つを答えることが多いんだ。

  • 対になる言い方(対句)

この文章では、リズムを整えるために対になる言い方(対句)として読むことができる部分があるよ。テストで「対句になっている部分を抜き出せ」と聞かれることが多いから、下のボックスで確認しておこう!

  • 対になる言い方(対句)

この文章では、リズムを整えるために対になる言い方(対句)として読むことができる部分があるよ。テストで「対句になっている部分を抜き出せ」と聞かれることが多いから、下のボックスで確認しておこう!

【対句(対になる言い方)になっている部分】

1. 「月日は百代の過客にして」と「行きかふ年もまた旅人なり」
2. 「舟の上に生涯を浮かべ」と「馬の口とらへて老いを迎ふる者は」
3. 「そぞろ神の物につきて心をくるはせ」と「道祖神の招きにあひて取るもの手につかず」
4. 「股引の破れをつづり」と「笠の緒付けかへて」

「股引の破れをつづり」と「笠の緒付けかへて」が対句としてよく取り上げられるのは、どちらも「〜の〜をどうする」という形でそろっていて、意味の上でも旅道具の手入れという同じグループだからだよ。

一方、「三里に灸をすゆる」も旅の準備として並んでいる表現の一部ではあるけれど、こちらは足のツボに灸をすえて体を整える行動で、道具の手入れではなく体の準備なんだ。そのため、テストでは「股引の破れをつづり」と一番きれいに対応する表現として、ふつうは「笠の緒付けかへて」が答えになるよ。

  • 「草の戸も〜」の句の対比

「草の戸(わびしい家)」と「雛の家(華やかな家)」が対照的に使われているよ。

【現代語訳】『平泉(夏草や兵どもが夢の跡)』の解説

奥州平泉(現在の岩手県)を訪れた場面の現代語訳とテスト対策ポイントを見ていこう。

本文と読み方(現代仮名遣い)

 三代の栄耀(ええう)一睡のうちにして、大門(だいもん)の跡(あと)は一里こなたにあり。秀衡(ひでひら)が跡は田野(でんや)になりて、金鶏山(きんけいざん)のみ形を残す。まづ、高館(たかだち)に登れば、北上川南部より流るる大河なり。衣川は、和泉が城(じやう)をめぐりて、高館の下(もと)にて大河に落ち入る。泰衡(やすひら)らが旧跡は、衣(ころも)が関を隔てて南部口をさし固め、夷(えぞ)を防ぐと見えたり。さても義臣すぐつてこの城に籠(こ)もり、功名(こうみやう)一時の草むらとなる。「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」と笠打ち敷きて、時のうつるまで涙を落としはべりぬ。

 夏草や 兵(つはもの)どもが 夢の跡

 卯(う)の花に 兼房(かねふさ)見ゆる 白毛(しらが)かな
                        曾良


 かねて耳驚かしたる二堂開帳す。経堂(きやうだう)は三将の像を残し、光堂(ひかりだう)は三代の棺(ひつぎ)を納め、三尊の仏を安置す。七宝(しつぽう)散り失(う)せて、玉の扉(とぼそ)風に破れ、金の柱霜雪(さうせつ)に朽ちて、既に頽廃(たいはい)空虚の草むらとなるべきを、四面新たに囲みて、甍(いらか)を覆ひて風雨を凌(しの)ぎ、しばらく千歳の記念(かたみ)とはなれり。

五月雨(さみだれ)の 降り残してや 光堂

【テスト必答】現代仮名遣いに直すポイント

  • 栄耀(えいよう
  • まづ(ま
  • 城(じょう
  • 功名(こうみょう
  • 兵(つわもの
  • 経堂(きょうどう
  • 光堂(ひかりどう
  • 七宝(しっぽう
  • 霜雪(そうせつ

現代語訳(意味)

藤原氏三代の栄華(栄耀)も、ひと眠りするほどの短い間にはかなく消え果てて、南大門の跡は一里(約3.9km)ほど手前にある。秀衡の館の跡は田や野原になってしまって、ただ金鶏山だけが昔のままの形を残している。まず、高館に登って見ると、北上川は南部地方から流れてくる大河である。衣川は、和泉が城(和泉三郎の居城)の跡をめぐって、この高館の下で大河(北上川)に流れ込んでいる。泰衡らの住んでいた旧跡は、衣が関を隔てて南部からの入り口を固め、蝦夷の侵入を防ぐ構えであったと思われる。それにしても、忠義な家臣たち(義経の家臣)をえりすぐってこの城(高館)に立てこもり、(奮戦した)手柄も名誉も一時のことで、今ではただの草むらとなっている。「国は破壊されても山や河は昔のままにあり、城跡には春が来て草が青々と茂っている」という杜甫の詩の文句を思い出し、笠を地面に敷いて座り、時間が経つのも忘れて涙を落としました。

(かつてこの地で戦った)武士たちが抱いた功名という夢の跡であることだ、この夏草は。

白く咲く卯の花を見ると、(義経の忠臣である)兼房の白髪が奮戦する姿が目に浮かぶことだ。(曾良の句)

以前から話を聞いて驚嘆していた二つのお堂(経堂と光堂)の扉が開いている。経堂には(藤原氏の)三将の像を残し、光堂には三代のひつぎを納めて、阿弥陀三尊(あみださんぞん:阿弥陀如来を中心とした3体の仏像)の仏像を安置している。(光堂の)七宝の飾りは散り失せて、宝玉を飾った扉は風に破れ、黄金の柱は霜や雪のために朽ちて、すでに崩れ荒れ果てた空虚な草むらとなってしまうはずのところを、四面を新しく囲んで、瓦屋根を覆って風雨をしのぎ、当分の間は千年の昔をしのぶ記念(形見)となっている。

五月雨も降り残したのだろうか、この光堂は。(それほど光堂が今なお見事に残っていることだ)

重要語句

語句意味・解説
一睡(いっすい)のうちにしてひと眠りするほどの短い間に。転じて、はかないこと。
こなた手前。一里も手前に門があったことで、館の広大さを表している。
さてもそれにしても。
すぐつてえりすぐって(慎重に選んで)。
義臣(ぎしん)忠義な家臣。源義経(みなもとのよしつね)の家臣のこと。
この城高館(源義経の居館の跡)のこと。
功名一時の草むらとなる一時は手柄や名誉を立てたものの、今はただの草むらであるということ。
かねて耳驚かしたる昔から話を聞いて驚嘆していた。
たろう
「藤原氏三代」とは、奥州藤原氏の清衡(きよひら)・基衡(もとひら)・秀衡(ひでひら)のことだよ。歴史の知識と結びつけて覚えておこう!

【テスト対策ポイント】

  • 杜甫(とほ)の詩をふまえた表現

「国破れて山河あり、城春にして草青みたり」という部分は、中国の詩人である杜甫の詩『春望(しゅんぼう)』の有名な句をふまえているよ。栄えるものも必ず滅びる(すべてははかない)という作者の思いが重なっているんだ。

  • 対になる言い方(対句)

「玉の扉風に破れ」と「金の柱霜雪に朽ちて」が対になる言い方になっているよ。「破れ」や「朽ちて」という言葉から、建物が破れ、朽ち、荒れ果てていく様子が表現されているね。

テスト頻出!俳句のルール:『季語』と『切れ字』一覧

「奥の細道」に出てくる俳句の「季語」と「切れ字」はテストで確実に問われるので、ここでまとめて覚えよう!

俳句季語(季節)切れ字
草の戸も 住み替はる代ぞ の家(春)
夏草 兵どもが 夢の跡夏草(夏)
卯の花に 兼房見ゆる 白毛かな卯の花(夏)かな
五月雨の 降り残して 光堂五月雨(夏)
※「降り残したのだろうか」という意味
くまごろう
「五月雨(さみだれ)」は、旧暦の5月に降る長雨(梅雨)のことだから、季節は「夏」になるので引っかけ問題に注意してね!

まとめ

「奥の細道」テスト対策ポイントまとめ

  • 「奥の細道」は、江戸時代前期の俳人である松尾芭蕉まつお ばしょうが書いた紀行文きこうぶん
  • 弟子の曾良そらとともに江戸を出発し、東北・北陸地方を旅し、各地を経て美濃へ向かった約150日間の旅の記録。
  • 「夏草や 兵どもが 夢の跡」など、俳句の季語切れ字をしっかり確認しておこう。
  • 対になる言い方(対句)や、中国の詩人である杜甫(とほ)の詩『春望(しゅんぼう)』をふまえている部分に注意しよう。
yumineko
松尾芭蕉の旅への強い思いや、平泉での歴史のはかなさを感じる心情は理解できたかな?
ここまで学習できたら、さっそく「奥の細道」のテスト対策練習問題に挑戦してみよう!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

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