「児のそら寝」古語の意味・現代語訳・品詞分解は?要点を解説【高校古典】

高校古典で習う宇治拾遺物語より「児のそら寝(ちごのそらね)」のテスト対策に必要になる要点を解説。現代語訳・口語訳、品詞分解、古語の意味も紹介。どんな内容のお話なのか?大学入試に向けた古典の復習にも役立ちます。

目次【本記事の内容】

「児のそら寝」あらすじと現代語訳

「児のそら寝」は宇治拾遺物語うじしゅういものがたりに収録されているお話のひとつ。

宇治拾遺物語とは?

鎌倉時代の初めの頃(1212年〜1221年)にできあがったとされる説話せつわ物語集。

「説話」とは、古くから伝わってきた物語というイメージだよ。

全部で197の話が収録されているんだ。

「児のそら寝」原文

これも今は昔、比叡ひえの山にちごありけり。僧たち、よひのつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり。さりとて、しださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方かたかたに寄りて、寝たるよしにて、で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひたり。

この児、さだめておどろかさむずらむと待ちゐたるに僧の、「もの申しさぶらはむ。おどろかせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて、いまひとこゑ呼ばれていらへむと、ねんじて寝たるほどに、「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あな、わびしと思ひて、いま一度起こせかしと思ひ寝に聞けば、ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期むごののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち、笑ふこと限りなし。

「児のそら寝」現代語訳

これも今となってはもう昔のことだが、比叡山(の延暦寺)に児がいた。僧たちが、宵の手持ちぶさたに「さあ、ぼた餅を作ろう」と言ったのを、この児が期待して聞いた。とはいっても、作り上げるのを待って寝ないでいるのも、よくないと思って、片隅に寄って、寝ているふりをして、出来上がるのを待ったところ、(僧たちは)もう作り上げたようすで、騒ぎたてている。

この児が、(僧が自分を)きっと起こそうとするだろうと待ち続けていたところ僧が、「もしもし、お目覚めになってください。」と言うのを、うれしいとは思うが、ただ一度で答えるのも、待っていたのかと(思われてしまうと)思って、もうひと声呼ばれて答えようと、がまんして寝ているうちに、「こら、起こし申し上げるな。幼い人は、寝入ってしまわれたことだよ。」と言う声がしたので、ああ、がっかりだと思って、もう一度起こしてくれと思いながら寝て聞いていると、むしゃむしゃと、ただ食べに食べる音がしたので、どうしようもなくて、長い時間が経ってから、「はい。」と返事をしたので、僧たちは笑うことが際限ない。

「児のそら寝」あらすじ(ざっくり口語訳)

昔々、比叡山の延暦寺に児がいた。

僧たちが夜中の退屈しのぎに「ぼた餅を作ろう」と言うと、児は自分も食べられると期待した。

しかし、ぼた餅食べたさに寝ないでいるのも格好が悪いと思った児は、「ぼた餅ができればきっと起こしてくれるだろう」と寝たふりをする。

ぼた餅が出来上がり、僧が「もしもし、お目覚めになってください」と児に声をかけるが、一度で起きるのも、まるでぼた餅を待っていたかのようでやはり良くないので、もう一度呼ばれてから答えようと我慢する。

すると、「幼い人(児のこと)は寝てしまったんだ。起こして差し上げるな」という声がする。

がっかりした児は「もう一度起こしてくれ」と思いながら寝たふりを続ける。

しかし、むしゃむしゃと僧たちがぼた餅を食べる音が聞こえたので、どうしようもなくなった児は声をかけられてから長い時間経って「はい。」と返事をした。

そんな児を見て、僧たちは笑い続けた。

「児のそら寝」品詞分解

これも今は昔、比叡ひえの山にちごありけり。僧たち、よひのつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり。

これ代名詞
係助詞
名詞
係助詞
名詞
比叡名詞
格助詞
名詞
格助詞
名詞
あり動詞:ラ行変格活用「あり」の連用形
けり助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の終止形
僧たち名詞
よひ名詞
格助詞
つれづれ名詞
格助詞
いざ感動詞
かいもちひ名詞
動詞:サ行変格活用「す」の未然形
助動詞:四段活用「む(意志)」の終止形
格助詞
いひ動詞:ハ行四段活用「いふ」の連用形
ける助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の連用形
格助詞
代名詞
格助詞
名詞
心寄せ名詞
格助詞
聞き動詞:カ行四段活用「きく」の連用形
けり助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の終止形

さりとて、しださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方かたかたに寄りて、寝たるよしにて、で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひたり。

さりとて接続詞
し出ださ動詞:サ行四段活用「し出だす」の未然形
助動詞:四段活用「む(婉曲)」の連体形
格助詞
待ち動詞:タ行四段活用「待つ」の連用形
接続助詞
動詞:ナ行下二段活用「ぬ」の未然形
ざら打ち消しの助動詞「ず」の未然形
助動詞:四段活用「む(仮定)」の連体形
係助詞
わろかり形容詞:ク活用「わろし」の連用形
助動詞:ナ行変格活用「ぬ(強意)」の未然形
助動詞:四段活用「む(推量)」の終止形
格助詞
思ひ動詞:ハ行四段活用「おもふ」の連用形
接続助詞
片方名詞
格助詞
寄り動詞:ラ行四段活用「寄る」の連用形
接続助詞
動詞:ナ行下二段活用「ぬ」の連用形
たる助動詞:ラ行変格活用「たり(存続)」の連体形
よし名詞
にて格助詞
出で来る動詞:カ行変格活用「出でく」の連体形
格助詞
待ち動詞:タ行四段活用「待つ」の連用形
ける助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の連体形
接続助詞
すでに副詞
し出だし動詞:サ行四段活用「し出だす」の連用形
たる助動詞:ラ行変格活用「たり(完了)」の連体形
さま名詞
にて格助詞
ひしめき合ひ動詞:ハ行四段活用「ひしめき合ふ」の連用形
たり助動詞:ラ行変格活用「たり(存続)」の終止形

この児、さだめておどろかさむずらむと待ちゐたるに僧の、「もの申しさぶらはむ。おどろかせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて、いまひとこゑ呼ばれていらへむと、ねんじて寝たるほどに、

代名詞
格助詞
名詞
さだめて副詞
おどろかさ動詞:サ行四段活用「おどろかす」の未然形
むず助動詞:サ行変格活用「むず(推量)」の終止形
らむ助動詞:四段活用「らむ(現在の推量)」の終止形
格助詞
待ちゐ動詞:ワ行上一段活用「待ちゐる」の連用形
たる助動詞:ラ行変格活用「たり(存続)」の連体形
接続助詞
名詞
格助詞
もの申し動詞:サ行四段活用「もの申す」の連用形 ※謙譲の本動詞
さぶらは動詞:ハ行四段活用「さぶらふ」の未然形 ※丁寧の補助動詞
助動詞:四段活用「む(意志)」の終止形
おどろか動詞:カ行四段活用「おどろく」の未然形
助動詞:四段活用「す(尊敬)」の連用形 ※尊敬の助動詞
たまへ動詞:ハ行四段活用「たまふ」の命令形 ※尊敬の補助動詞
格助詞
言ふ動詞:ハ行四段活用「言ふ」の連体形
格助詞
うれし形容詞:シク活用「うれし」の終止形
格助詞
係助詞
思へ動詞:ハ行四段活用「思ふ」の已然形
ども接続助詞
ただ副詞
一度名詞
格助詞
いらへ動詞:ハ行下二段活用「いらふ」の未然形
助動詞:四段活用「む(仮定)」の連体形
係助詞
待ち動詞:タ行四段活用「待つ」の連用形
ける助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の連体形
係助詞
格助詞
係助詞
係助詞
思ふ動詞:ハ行四段活用「思ふ」の連体形
格助詞 ※「とて」で格助詞とする場合もある。
接続助詞
いま名詞 ※副詞とする場合もある。
ひとこゑ名詞
呼ば動詞:バ行四段活用「呼ぶ」の未然形
助動詞:下二段活用「る(受け身)」の連用形
接続助詞
いらへ動詞:ハ行下二段活用「いらふ」の未然形
助動詞:四段活用「む(仮定)」の終止形
格助詞
念じ動詞:サ行変格活用「念ず」の連用形
接続助詞
動詞:ナ行下二段活用「ぬ」の連用形
たる助動詞:ラ行変格活用「たり(存続)」の連体形
ほど名詞
格助詞

「や、な起こしたてまつりそ。をさなき人は寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あな、わびしと思ひて、いま一度起こせかしと思ひ寝に聞けば、ひしひしと、ただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて、無期むごののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち、笑ふこと限りなし。

感動詞
副詞
起こし動詞:サ行四段活用「起こす」の連用形
たてまつり動詞:ラ行四段活用「たてまつる」の連用形 ※謙譲の補助動詞
終助詞
をさなき形容詞:ク活用「をさなし」の連体形
名詞
係助詞
寝入り動詞:ラ行四段活用「寝入る」の連用形
たまひ動詞:ハ行四段活用「たまふ」の連用形 ※尊敬の補助動詞
助動詞:ナ行変格活用「ぬ(完了)」の連用形
けり助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の終止形
格助詞
言ふ動詞:ハ行四段活用「言ふ」の連体形
名詞
格助詞
動詞:サ行変格活用「す」の連用形
けれ助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の已然形
接続助詞
あな感動詞
わびし形容詞:シク活用「わびし」の終止形
格助詞
思ひ動詞:ハ行四段活用「思ふ」の連用形
接続助詞
いま名詞 ※副詞
一度名詞
起こせ動詞:サ行四段活用「起こす」の命令形
かし終助詞
格助詞
思ひ寝名詞
格助詞
聞け動詞:カ行四段活用「聞く」の已然形
接続助詞
ひしひしと副詞
ただ副詞
食ひ動詞:ハ行四段活用「食ふ」の連用形
格助詞
食ふ動詞:ハ行四段活用「食ふ」の連体形
名詞
格助詞
動詞:サ行変格活用「す」の連用形
けれ助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の已然形
接続助詞
すべなく形容詞:ク活用「すべなし」の連用形
接続助詞
無期名詞
格助詞
名詞
格助詞
えい感動詞
格助詞
いらへ動詞:ハ行下二段活用「いらふ」の連用形
たり助動詞:ラ行変格活用「たり(完了)」の連用形
けれ助動詞:ラ行変格活用「けり(過去)」の已然形
接続助詞
僧たち名詞
笑ふ動詞:ハ行四段活用「笑ふ」の連体形
こと名詞
限りなし形容詞:ク活用「限りなし」の終止形

「児のそら寝」古語の意味

テストでは、「児のそら寝」の中で使われている古語の意味を聞かれることも多いので、それぞれよく確認しておこう。

くまごろう

特に、赤字のものは、言葉は同じなのに現在使われている意味と違うものなので、注意してね!

※古語にはいくつか違った意味を持つものがありますが、この表では「児のそら寝」で使われている意味を紹介しています。

今は昔今から考えると昔の話だが
ちご学問や行儀作法を学ぶために寺院に預けられた少年のこと。
よひ日が暮れてから夜中までの間
つれづれ何もすることがなく手持ちぶさたなこと。
かいもちひ掻い餅と書く。おはぎやぼた餅のような食べ物。そばがきのような食べ物という説もある。
心寄せ期待する様子
さりとて「然りとて」と書く。
だからといって・とはいえ
し出だす「為出だす」と書く。
作り上げる・作り出す
わろしよくない・好ましくない
片方かたかた片隅かたすみのこと。
よしふり・そぶり
「寝たるよし」で「寝ているふり」になる。
すでにもはや・とっくに・もう
ひしめく大勢が集まって騒ぎ立てる
さだめてきっと・必ず
おどろかす目覚めさせる・起こす
さぶらはむ丁寧さを表すことば。「もの申しさぶらはむ」で、「もしもし、・・・ですよ」というイメージ。
うれしうれしい
いらふ「答ふ・応ふ」と書く。
答える・返事をする
ねんがまんする
な・・・そ・・・しないでくれ
をさなし「幼し」と書く。
まだ幼少である
あな「ああ」という感嘆をあらわすことば
わびし「詫びし」と書く。
がっかりだ
ひしひしものを食べるときの音。むしゃむしゃ。
すべなくどうしようもなく
無期むご長い時間がたったことを表すことば
えい「はい」という返事をすることば
限りなし果てしない・際限がない

「児のそら寝」内容

僧たちは何を「し出だす」のか

「さりとて、し出ださむを待ちて寝ざらむも」という部分。

これは「とは言っても、作り上げるのを待って寝ないのも」という意味だけど、誰が何を作り上げるのかな?

ここより前に、“僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひける”とあるね。

つまり、「僧たち」が「かいもちひ(ぼた餅)」を作り上げるんだね。

児は何を「心寄せ」にしたのか

「心寄せ」は、期待する様子のこと。

児は何を期待したのかな?

僧たちが「いざ、かいもちひせむ。」と言ったのを聞いて、児は期待したとあるね。

つまり、「自分もぼた餅を食べられる」と思って期待しているんだね。

児はなぜ「そら寝」をしたのか

「そら寝」とは、寝たふりのこと。

なぜ児は寝たふりなんてしなくてはいけなかったのかな?

その前に「し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて」とあるね。

これは、「(僧たちが)ぼた餅を作り上げるのを待って寝ないのも、良くないと思って」という意味。

つまり、ぼた餅が出来上がるのを待って寝ないでいるなんて、食い意地がはっているみたいで良くないと思ったんだね。

だから、まるで「僕はぼた餅のことなんて気にしていませんよ」と言わんばかりに寝たふりをしていたというわけだね。

児が心の中で思った言葉

「児のそら寝」では、児が心の中で思った言葉が7カ所登場するよ。
テストでも聞かれることが多いので、どこの部分か確認しておこう。

①し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむ

②さだめておどろかさむずらむ

③うれし

④ただ一度にいらへむも、待ちけるかともぞ思ふ

⑤いまひとこゑ呼ばれていらへむ

⑥あな、わびし

⑦いま一度起こせかし

児が返事をしなかった理由

児はもともと、ぼた餅を食べたいがために寝ないでいるのは格好が悪いと思って、寝たふりをしていたんだよね。

ぼた餅が出来上がれば、きっと僧たちが自分を起こしてくれると思っていたんだよね。

そして、思った通り、僧が声をかけて起こしてくれた。

でも、児はそれに返事をしなかったね。それはどうしてかな?

「ただ一度に、いらへむも、待ちけるかともぞ思ふとて」とあるように、「たった一回声をかけられただけで返事をしてしまうと、まるで待っていたかのように思われてしまう」と思ったからだね。

僧たちが笑った理由

「一回声をかけられただけで起きたら恥ずかしい」と思った児が寝たふりを続けたので、僧たちは「児はもう寝入ってしまったから、起こすのはかわいそうだ」と思って声をかけるのをやめてしまったね。

がっかりした児は、「どうかもう一度起こしてくれ」と寝たふりを続けるんだけど、そんな中、僧たちがぼた餅をどんどん食べ始めてしまった。

「もう起こしてくれないし、このままではぼた餅が全部食べられて無くなってしまう!」と思った児は、とうとう「えい。」と返事をしたんだよね。

ではどうして僧たちが笑ったのかな?

僧たちが声をかけてすぐに返事をしたのならともかく、「無期ののち(長い時間が経ってから)」に児が返事をしたので、

「なんだ、寝たふりをしていたのか」

バレてしまって、僧たちは笑い続けたんだね。

yumineko

「児のそら寝」の定期テスト対策問題のページもあるので、ぜひ挑戦してね!

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