「因数分解」とは?因数分解の基本のやり方をわかりやすく解説
中学3年生の数学で学習する「因数分解」とは?そもそも「因数」と「素因数」とはなにかの復習から、因数分解の基本的なやり方をくわしくわかりやすく解説していくよ。
目次
因数と素因数とは
「因数分解」について学習する前に、そもそも「因数」と「素因数」とは何かを説明するよ。
1年生で「素因数分解」というのを学習したと思うからなんとなくイメージできるかな。
復習もかねて、2つの言葉の意味を簡単に説明するよ。
具体的な数字で考えてみよう。
「30」って「5×6」とも表せるよね。
この5と6のことを「30の因数」っていうよ。
つまり、因数っていうのは「〇×△」みたいになるときに〇や△のことだとイメージ出来たらOK。
「因数」の「因」は、原因の「因」だよね。「因」という漢字は、「もと」という意味があるんだ。
「その数を作っている”もと”」とイメージすると納得だよね。
30をさらに細かく考えて、2×3×5と表すと、2、3、5は素数だから、2、3、5のことを30の素因数っていうんだ。
因数、素因数についてわかったところで、いよいよ今回の学習「因数分解」についての学習をやっていこう。
因数分解をしてみよう
「因数分解」とは、「展開の逆」だと思ってもらえたらOK。
「展開」については、多項式の乗法で学習したよね。
( x+a)(x+b) みたいな形を展開してきたよね。
例えば次のような問題
(x+2)(x+3)
=x2+(2+3)x+2×3
=x2+5x+6
今までは、多項式の積(かけ算の状態)を展開するために、上から下に向かって計算をやってきたけれど、因数分解は逆で、1番下の「展開された状態」から上の「もとの多項式の積」を求めるんだ。
箱を開いて、中のものを広げて取り出すのが「展開」、
広げて出されているものをまた箱の中にしまっていくのが「因数分解」みたいなイメージかな。
因数分解の「因」は「もとになるもの」だったよね。
つまり、x2+5x+6という式の「もと」になった数や式を探し出す作業なんだね。
x2+5x+6が「因数」である(x+2)と(x+3)という式に分解される、ということだね。
展開と因数分解のイメージ
(x+2)(x+3)=x2+5x+6
(x+2)(x+3)→x2+5x+6 展開
x2+5x+6→(x+2)(x+3) 因数分解
因数分解の問題は、実際にはこんな感じで出題されるよ。
(問題)x2+5x+6を因数分解しなさい。
(答え)(x+2)(x+3)
展開の逆だと思ってもらったらOKなんだけど、教科書に書いてあるような文章では次のようになっているよ。
因数分解とは
多項式をいくつかの因数の積として表すこと
つまり、多項式(項が2つ以上の式)「◆+▲+・・・」を「○×△」のような形で表すことを因数分解と呼ぶんだよ。
実際に問題をやっていけばイメージもできると思うよ。
それでは、因数分解の問題パターンをいくつか紹介していくね。
共通な因数でくくる因数分解
因数分解の問題の中で最も簡単なものを紹介するね。ただ、学習が進むにつれて、数学が得意な人も「あっ忘れてた」と間違える内容だから、しっかりやり方を覚えておこう。
1年生で次のような展開をやったよね。
a(b+c)
=ab+ac
簡単な因数分解はab+acをa(b+c)にする問題だよ。
そう聞くと簡単に感じるんじゃないかな。
3ab(b-c)
=3ab2-3abc
この問題だったら、3ab2-3abcを3ab(b-c)にできればOK。
じゃあどうやってやるのかを説明するね。
共通な因数でくくる因数分解のやり方
簡単な因数分解の問題を解くのポイントは
「共通な因数でくくって、残りはかっこの中」
ということ。
例えば次のような問題を見てみよう。
(例)
xy+xzを因数分解しなさい。
この式には「項」が2つあるよね。「項」っていうのは〇+〇と表した時の〇のことだったよね。
※「項」について自身がなかったら「項」について解説しているページを確認しよう。
xy+xzの項は「xy」と「+xz」。2つの項に共通しているものは「x」だよね。
ここで簡単な因数分解の問題を解くポイントを確認しよう。
「共通な因数でくくって、残りはかっこの中」
xy+xzの共通な因数は「x」だったから、残りの「y+z」はかっこの中に入れてみよう。
xy+xz
=x(y+z)
これで簡単な因数分解の完成だよ。心配だったらx(y+z)を分配法則でかっこを外してみてxy+xzになるかを確認してみよう。
(問)
ab2-abを因数分解しなさい。
この式には「項」が2つあるよね。
ab2-abの項は「ab2」と「-ab」。2つの項に共通しているものは「ab」だよね。
えっどういうこと?と思う人
- ab2=a×b×b
- -ab=-a×b
→a×b=abが共通している。(共通な因数)
ここで簡単な因数分解の問題を解くポイントは
「共通な因数でくくって、残りはかっこの中」だったから、
ab2-abの共通な因数「ab」を取り除いた残りの「b-1」はかっこの中に入れてみよう。
ab2–ab
=ab(b-1)
これで因数分解の完成だよ。心配だったら分配法則でかっこを外してみて確認してみよう。
間違えやすい因数分解
ab2–abの因数分解で「ab」が共通な因数だから「ab」でくくったら「ab2–ab」の後ろの「ab」がなくなるのでは?と感じる人がいるかもしれないけど違うよ。
もしそうだったら
ab2–ab
=ab(b-0)
みたいな式になって、展開して上の式にならなくなっちゃうよね。
最後に、項が3つの因数分解に挑戦してみよう。2つの時と考え方は同じだよ。
(問)
6ab-2ac+4adを因数分解しなさい。
この式には「項」が3つあるよね。
6ab-2ac+4adの項は「6ab」と「-2ac」と「+4ad」。3つの項に共通しているものは「a」だと思うよね。ただそれだけじゃないよ。数字にも注目してみよう。
6、2、4ときたらピンと来るかもしれないけど、すべて2で割ることができるよね。
だから「2」も共通しているっていうことだよ。
まとめるとこんな感じ
- 6ab=2×3×a×b
- -2ac=-2×a×c
- +4ad=+2×2×a×d
→共通しているものは2×a=2aである(共通な因数は2a)
ここで簡単な因数分解の問題を解くポイントは
「共通な因数でくくって、残りはかっこの中」だったから、
6ab-2ac+4adの共通な因数「2a」を取り除いた残りをかっこの中に入れてみよう。
パッとできない人は次のように考えよう。
①2aは取り除くから2a( )の形になる
②( )の中は残りもの
- 6ab=2×3×a×b
- -2ac=–2×a×c
- +4ad=+2×2×a×d
③2a(3×b-c+2×d)=2a(3b-c+2d)
6ab-2ac+4adを因数分解すると
2a(3b-c+2d)になることがわかったね。本当にあっているのか心配だったら、展開してみて上の式になっているかを確認したらよかったね。
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。