平方根の計算「平方根の足し算と引き算」解き方をわかりやすく解説

中学3年生の数学で学習する「平方根」について、平方根の加法と減法(足し算と引き算)の計算のやり方を、例題を使ってくわしく解説するよ。

ルート(根号)の中の数字が違っても、計算や有理化することで計算することができるパターンもわかりやすく紹介しているよ。

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平方根の計算「平方根の足し算と引き算」 解き方をわかりやすく解説

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目次

平方根の加法

ルートの足し算は、ルートの中の数に注目しよう。ルートの中の数が同じ場合、足し算(加法)ができるんだよ。

例えば、2\(\sqrt{3}\)+4\(\sqrt{3}\)

どちらもルートの中が「3」だよね。

こういうときは

\(\sqrt{3}\)+4\(\sqrt{3}\)  ←ルートの前の数を足し算する

=(2+4)\(\sqrt{3}\)

\(\sqrt{3}\)

になるよ。

2a+4a=6aになる同類項をまとめる計算と同じかんじだね。

平方根の加法のポイント

  • ルートの中の数が同じときは、同類項をまとめる感じで足し算ができる。例:\(\sqrt{3}\)+4\(\sqrt{3}\) 
  • ルートの中の数が違うときは、これ以上計算ができない。例:\(\sqrt{2}\)+4\(\sqrt{10}\) 

なんだ、平方根の加法って簡単だ!思うかもしれないけれど、実は気をつけなくてはいけないことがあるんだ。

ルートの中の数が違っても計算できるとき

さっき、ルートの中の数が違うときは足し算ができないといったよね。

でも、計算できるときがあるんだ。それはこれから説明する2つのパターンの場合。

➀a\(\sqrt{b}\)の形に変形できるとき

たとえば、\(\sqrt{2}\)+\(\sqrt{8}\)。

たろうたろう

ルートの中の数が違うから、これ以上計算できなんでしょ。

ここで\(\sqrt{8}\)をa\(\sqrt{b}\)の形に変形してみよう。

\(\sqrt{8}\)

=\(\sqrt{2×2×2}\)

=2\(\sqrt{2}\)

だから、さっきの式は

\(\sqrt{2}\)+\(\sqrt{8}\)

=\(\sqrt{2}\)+2\(\sqrt{2}\)

と形をかえることができて、ルートの中の数が両方とも「2」になったね。

\(\sqrt{2}\)+\(\sqrt{8}\)

=\(\sqrt{2}\)+2\(\sqrt{2}\)     ←「\(\sqrt{2}\)」は「\(\sqrt{2}\)」のこと

=(1+2)\(\sqrt{2}\)

\(\sqrt{2}\)

➁有理化する

5\(\sqrt{6}\)+\(\frac{2\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)

この式を見ると、「こんなの足し算できないよ!」と思ってしまうかもしれないね。だって、ルートの中の数が「6」「2」「3」でみんなバラバラだから。

ただ、\(\frac{2\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)って分母にルートがあるから有理化できるよね。

\(\frac{2\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)の有理化

分母と分子に\(\sqrt{2}\)をかけよう

\(\frac{2\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)

\(\frac{2\sqrt{3}×\sqrt{2}}{\sqrt{2}×\sqrt{2}}\)  ←\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{2}\)=2

\(\frac{2\sqrt{6}}{2}\)  ←約分

=\(\sqrt{6}\)

\(\frac{2\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)=\(\sqrt{6}\)と有理化できたから

5\(\sqrt{6}\)+\(\frac{2\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)

\(\sqrt{6}\)+\(\sqrt{6}\)  ←「\(\sqrt{6}\)」は「\(\sqrt{6}\)」のこと

=(5+1)\(\sqrt{6}\)

\(\sqrt{6}\)

平方根の加法のポイント

ここまでで平方根の加法のポイントをもう一度確認しよう。

平方根の加法のポイント

  • ルートの中の数が同じときは、同類項をまとめる感じで足し算ができる。
    例:\(\sqrt{3}\)+4\(\sqrt{3}\) 
  • ルートの中の数が違うときは、これ以上計算ができない。
    例:\(\sqrt{2}\)+4\(\sqrt{10}\) 

【はじめはルートの中の数が違っても、工夫して計算できるとき】

  • a\(\sqrt{b}\)の形にできるものは変形する
  • 有理化できるものは有理化する

平方根の加法の練習問題

(1)

\(\sqrt{2}\)+3\(\sqrt{2}\)  ←ルートの前の数を足し算する

=(5+3)\(\sqrt{2}\)

\(\sqrt{2}\)

(2)

\(\sqrt{2}\)+3\(\sqrt{2}\)  ←「\(\sqrt{2}\)」は「」\(\sqrt{2}\)のこと

=(1+3)\(\sqrt{2}\)

\(\sqrt{2}\)

(3)

\(\sqrt{12}\)+\(\sqrt{75}\)

両方ともa\(\sqrt{b}\)の形に変形できるよね。

a\(\sqrt{b}\)の形に変形する

\(\sqrt{12}\)

=\(\sqrt{2×2×3}\)

=2\(\sqrt{3}\)

\(\sqrt{75}\)

=\(\sqrt{3×5×5}\)

=5\(\sqrt{3}\)

さっきの式は次のようになるよ。

\(\sqrt{12}\)+\(\sqrt{75}\)

=2\(\sqrt{3}\)+5\(\sqrt{3}\)

ルートの中の数が同じになったね。

\(\sqrt{12}\)+\(\sqrt{75}\)

\(\sqrt{3}\)+5\(\sqrt{3}\)

\(\sqrt{3}\)

(4)

\(\sqrt{20}\)+\(\frac{5}{\sqrt{5}}\)

分母にルートがあるから有理化しよう。

\(\frac{5}{\sqrt{5}}\)の有理化

分母と分子に\(\sqrt{5}\)をかけよう

\(\frac{5×\sqrt{5}}{\sqrt{5}×\sqrt{5}}\)

\(\frac{5\sqrt{5}}{5}\)   ←約分

=\(\sqrt{5}\)

さっきの式は次のようになるよ。

\(\sqrt{20}\)+\(\frac{5}{\sqrt{5}}\)

=\(\sqrt{20}\)+\(\sqrt{5}\)

さらに\(\sqrt{20}\)はa\(\sqrt{b}\)の形に変形すると2\(\sqrt{5}\)になるから、

\(\sqrt{20}\)+\(\frac{5}{\sqrt{5}}\)

\(\sqrt{5}\)+\(\sqrt{5}\)   ←「\(\sqrt{5}\)」は「\(\sqrt{5}\)」のこと 

\(\sqrt{5}\)

平方根の加法で間違えやすいところ

平方根の加法で間違えやすいところを紹介するね。

ルートの中の数を足し算してしまう間違い

2\(\sqrt{3}\)+4\(\sqrt{3}\) 

=6\(\sqrt{6}\)  

みたいにルートの中の数字も足し算しちゃっているね。

ルートの中の数が違うのに足し算してしまう

\(\sqrt{2}\)+\(\sqrt{3}\)

=\(\sqrt{5}\)

なんとなく足し算したくなる気持ちはわかるけど、計算できないんだ。

\(\sqrt{2}\)+\(\sqrt{3}\)がこれ以上計算できない理由

近似値(およその値)を考えよう

\(\sqrt{2}\)は1.414

\(\sqrt{3}\)は1.732

\(\sqrt{5}\)は2.236

もし

\(\sqrt{2}\)+\(\sqrt{3}\)=\(\sqrt{5}\)になるのなら

1.414+1.732=2.236になるってことだよね。

ただ

上の式は成り立たないよね。だって1.414+1.732=3.146だもの。

だから

\(\sqrt{2}\)+\(\sqrt{3}\)はこれ以上計算できないんだよ。

平方根の減法

さっきの加法がわかったら減法も同じルールで計算することができるよ。

平方根の減法のポイント

平方根の減法のポイントを確認しよう。

平方根の減法のポイント

  • ルートの中の数が同じときは、同類項をまとめる感じで引き算ができる。
    例:\(\sqrt{3}\)-4\(\sqrt{3}\) 
  • ルートの中の数が違うときは、これ以上計算ができない。
    例:\(\sqrt{2}\)-4\(\sqrt{10}\) 

【はじめはルートの中の数が違っても、工夫して計算できるとき】

  • a\(\sqrt{b}\)の形にできるものは変形する
  • 有理化できるものは有理化する

平方根の減法の練習問題

(1)

\(\sqrt{2}\)-3\(\sqrt{2}\)  ←ルートの前の数を引き算する

=(5-3)\(\sqrt{2}\)

\(\sqrt{2}\)

(2)

\(\sqrt{2}\)-4\(\sqrt{2}\)  ←「\(\sqrt{2}\)」は「\(\sqrt{2}\)」のこと

=(1-4)\(\sqrt{2}\)   

-3\(\sqrt{2}\)

(3)

\(\sqrt{12}\)-\(\sqrt{27}\)

両方ともa\(\sqrt{b}\)の形に変形できるよね。

a\(\sqrt{b}\)の形に変形する

\(\sqrt{12}\)

=\(\sqrt{2×2×3}\)

=2\(\sqrt{3}\)

\(\sqrt{27}\)

=\(\sqrt{3×3×3}\)

=3\(\sqrt{3}\)

さっきの式は次のようになるよ。

\(\sqrt{12}\)-\(\sqrt{27}\)

=2\(\sqrt{3}\)-3\(\sqrt{3}\)

ルートの中の数が同じになったね。

\(\sqrt{12}\)+\(\sqrt{27}\)

\(\sqrt{3}\)-3\(\sqrt{3}\)

(2-3)\(\sqrt{3}\)

-1\(\sqrt{3}\)   ←ルートの前の「1」は省略するよ。

=-\(\sqrt{3}\)

(4)

\(\sqrt{32}\)-\(\frac{10}{\sqrt{2}}\)

分母にルートがあるから有理化しよう。

\(\frac{10}{\sqrt{2}}\)の有理化

分母と分子に\(\sqrt{2}\)をかけよう

\(\frac{10×\sqrt{2}}{\sqrt{2}×\sqrt{2}}\)

\(\frac{10\sqrt{2}}{2}\)   ←約分

=5\(\sqrt{2}\)

さっきの式は次のようになるよ。

\(\sqrt{32}\)-\(\frac{10}{\sqrt{2}}\)

=\(\sqrt{32}\)-5\(\sqrt{2}\)

さらに\(\sqrt{32}\)はa\(\sqrt{b}\)の形に変形すると4\(\sqrt{2}\)になるから、

\(\sqrt{32}\)-\(\frac{10}{\sqrt{2}}\)

\(\sqrt{2}\)-5\(\sqrt{2}\)    

=(4-5)\(\sqrt{5}\)

-1\(\sqrt{5}\)   ←ルートの前の「1」は省略するよ。

=-\(\sqrt{5}\)

「平方根の加法と減法」まとめ

平方根の加法・減法のポイント

  • ルートの中の数が同じときは、同類項をまとめる感じで足し算・引き算ができる。
    例:\(\sqrt{3}\)+4\(\sqrt{3}\)
    例:\(\sqrt{3}\)-4\(\sqrt{3}\) 
  • ルートの中の数が違うときは、これ以上計算ができない。
    例:\(\sqrt{2}\)+4\(\sqrt{10}\)
    例:\(\sqrt{2}\)-4\(\sqrt{10}\)

ルートの中の数が違って、計算ができないと思っても以下の方法で計算できるようになることがあるので、あきらめずによく確認しよう!

  • a\(\sqrt{b}\)の形にできるものは変形する
  • 有理化できるものは有理化する

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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