「三角形の比の定理」とは?三角形の比の定理の逆の証明も解説
中学3年生の数学で学習する「三角形の比の定理」について、三角形の比の定理とは、どういうことか?なぜ成り立つのかをイラストつきでくわしく解説するよ。また、三角形の比の定理の逆が正しいのかどうか、確かめる証明についてもわかりやすく説明しているよ。
三角形と比の定理
三角形と比の定理っていうのを紹介するよ。この定理を知っていると、簡単に相似の問題を解くことができるんだ。
ぶっちゃけ知らなくても何とかなるんだけど、定理を知っていると、2倍くらい速く問題を解けると思うよ。
じゃあ、三角形と比の定理を紹介していくね。
次のような三角形を考えてみよう。

三角形が2つ合体したような図で、辺DEと辺BCが平行だとある性質があるんだ。その性質が「三角形と比の定理」だよ。
定理っていうのは「性質」だと思ってもらえればOK。
三角形と比の定理
①DE//BCならば AD:AB=AE:AC=DE:BC

②DE//BCならば AD:DB=AE:EC

なんでこの性質が成り立つのかを考える前に実際に問題を解いてみよう。
三角形と比の定理を使った問題
問1
下の図で、DE//BCのときxの値を求めなさい。

三角形と比の定理から、
AD:AB=DE:BCになって
3:5=6:x
この比例式を解いていこう。
3:5=6:x 比例式の性質 a:b=c:d → ad=bc
3×x=5×6
3x=30
x=10
問2
下の図で、DE//BCのときxの値を求めなさい。

三角形と比の定理から、
AD:DB=AE:ECになって
4:2=6:x
この比例式を解いていこう。
4:2=6:x
4×x=2×6
4x=12
x=3
三角形と比の定理をどのように使うか分かったと思うから、次に三角形と比の定理が成り立つ理由について考えてみよう。
三角形と比の定理が成り立つ理由
三角形と比の定理が成り立つ理由について考えてみよう。
三角形と比の定理
①DE//BCならば AD:AB=AE:AC=DE:BC

②DE//BCならば AD:DB=AE:EC

①と②の定理があるから順番に成り立つ理由を考えていこう。
定理①のが成り立つ理由
まずは①だよ。
下の2つの三角形は相似になるんだ。

なんで相似になるか考えよう。
まず∠Aは共通だよね。(青の三角形にも赤の三角形にも共通しているよね)

それとDE//BCだから、平行線の同位角は等しくなるから∠ADE=∠Bになるよね。

青と赤の三角形を分けて考えると、「2角がそれぞれ等しい」から相似になるといえるよ。

相似な図形の対応する辺の比は等しいから
AD:AB=AE:AC=DE:BCになって、定理の①が説明できたね。

定理②が成り立つことの説明
次に定理の②を説明するよ。
まず、点Dを通る線分ACに平行な線分DFを引こう。

そうすると、下の2つの三角形は相似になるよ。

なんで相似になるかっていうと、
DE//BCで、平行線の同位角は等しいから∠ADE=∠B

それとDF//ACで、平行線の同位角は等しいから∠BDF=∠A

青と赤の三角形を見ると、「2角がそれぞれ等しい」よね。
だから、相似なんだよ。

相似な図形の対応する辺の比とは等しくなるから
AD:DB=AE:DFになるよね。

少し話は変わるけど、
四角形DFCEって「2組の対辺がそれぞれ平行」だから平行四辺形だよね。

平行四辺形って対辺(向かい合う辺)の長さって等しくなるから
DF=ECだよね。
ということはさっきの比例式
AD:DB=AE:DF (DFの代わりにECが入れてもOKだよね)
は次のようになるよ。
AD:DB=AE:EC
これで定理の②も説明できたね。
定理①と定理②の復習をしよう。
三角形と比の定理
①DE//BCならば AD:AB=AE:AC=DE:BC

②DE//BCならば AD:DB=AE:EC

平行四辺形の定義と定理
さっき平行四辺形の性質を使ったよね。この後も性質を使うからまとめて紹介しておくね。
平行四辺形の定義と定理
①2組の対辺がそれぞれ平行 (定義)
②2組の対辺がそれぞれ等しい
③2組の対角がそれぞれ等しい
④対角線が互いに中点で交わる
⑤1組の対辺が平行で等しい
①②⑤の性質をこの単元ではよく使うからしっかり復習しておこう。
三角形と比の定理の逆
三角形と比の定理の逆について考える前に「逆」とは何だったか復習しておこう。
「逆」とは
「逆」とはどういうことだったかな?
逆とは、あることがらの仮定と結論を入れかえたもの
たとえば、「インドカレー」って、「辛い」よね。
これを、「インドカレー」ならば(仮定)、それは「辛い」(結論)というように考えてみよう。
そうすると、「逆」とは、あることがらの仮定と結論を入れかえたものだったよね。
ということは、入れかえると「辛い」ならば、それは「インドカレー」である、となるね。
どうかな?これって正解だろうか?
結論から言うと、「辛い」からって、「インドカレー」だとは限らないよね。
だから、これは正しいとは言えないね。
数学の「逆」とは、このように、あることがらについて「仮定」と「結論」があったときに、それを入れかえてもOKかどうか?ということを考えることなんだよ。
実際に数学の例題で「逆」を考えてみるよ。
例えば、「X≧3」ならば「X>1」って成り立つよね。
xが3以上なら、xは1よりも大きいからね。
この逆が正しいかどうか考えてみよう。
「X≧3」ならば「X>1」の逆は、
「X>1」ならば「X≧3」になるね。
xが1より大きいなら、xは3以上となる。
これは正しくないね。だって、「x=2」のことを考えると、xは1より大きけれど、3以上ではないからね。
インドカレーや今回の例題のように、逆の内容は、必ず正しいというわけではないから確認する必要があるんだね。
三角形と比の定理の逆
三角形と比の定理っていうのは
DE//BCならば、下の2つの比の関係が成り立つっていうものだったよね。

三角形と比の定理の逆っていうのは、さっきの矢印が逆になったバージョンのことだよ。今回は逆について考えていこう。

さっきのインドカレーでも勉強したけど、逆の内容は、必ず正しいというわけではないから確認する必要があるんだったよね。
だから本当に逆が成り立つのかを考えていこう。
三角形と比の定理の逆が成り立つ理由
三角形と比の定理の逆
①AD:AB=AE:AC=DE:BCならば、DE//BC
②AD:DB=AE:ECならば、DE//BC

①から順番に成り立つ理由を説明していこう。
定理①が成り立つことの説明
青と赤の三角形は相似になるよ。

なんでかっていうと、∠Aは共通で、AD:AB=AE:ACで対応する辺の比が等しいよね。
ということは、「2組の辺の比とその間の角が等しい」から、青と赤の三角形は相似だよね。

相似ってことは対応する角の大きさが等しいから
∠ADE=∠B、∠AED=∠Cになるよね。

赤丸と青丸の位置って同位角の位置だよね。同位角が等しかったら2直線は平行になるから、DE//BCだとわかるよ。
これで定理の①が説明できたね。
定理②が成り立つことの説明
まず、点Cを通る線分ABに平行な線分CFを引いて、DEとの延長した線との交点をFとしよう。
下の図のようになって、青と赤の三角形は相似になるよ。

なぜ相似になるかというと
AB//FCで平行線の錯角は等しいから∠A=∠ECF、対頂角は等しいから∠AED=∠CEF。
青と赤の三角形は「2角がそれぞれ等しい」から相似になるね。

相似な図形の対応する辺の比は等しくなるから
AE:EC=AD:FCになるよね。

ここからがちょっと難しいんだけど、
定理②では「AD:DB=AE:ECならば、DE//BC」を説明するんだったよね。
ということは、「AD:DB=AE:EC」という関係は使っていいってことになる。

ここまでを復習すると、
AD:FC=AE:EC AD:DB=AE:EC

2つの比例式を並べてみよう。
AD:FC=AE:EC
AD:DB=AE:EC
二つの比例式が違うのって「FC」と「DB」のところだけだよね。他が全部同じだから、FCとDBは等しくなるってことがわかるよ。
FCとDBが等しくなることがよくわからない人
3:◇=6:5
3:〇=6:5
この2つの比例式の◇と〇は同じ数が入るよね。
3+◇=5+9
3+〇=5+9
この2つの式の◇と〇には同じ数が入るよね。
FCとDBが等しくなることが分かったよね。

ということは、DBとFCは平行でその長さが等しくなるから、四角形DBCFは平行四辺形だとわかるね。
四角形DBCFは平行四辺形だから、残りの辺DEと辺BCが平行であることがわかって、定理②が説明できたね。
平行四辺形の性質
①2組の対辺がそれぞれ平行
⑤1組の対辺が平行で等しい
「三角形の比の定理」まとめ
三角形と比の定理
①DE//BCならば AD:AB=AE:AC=DE:BC

②DE//BCならば AD:DB=AE:EC

三角形と比の定理の逆
①AD:AB=AE:AC=DE:BCならば、DE//BC
②AD:DB=AE:ECならば、DE//BC
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ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

最初見る前は全然分からなかったけど、優しい言葉で書いていあったのでわかりやすく覚えられそうです。ありがとうございました