多項式の乗法「展開する」とは?多項式と多項式の乗法を解説

中学3年生の数学で学習する「多項式と多項式の乗法」について、(a+b)(c+d)の計算のやり方をわかりやすく解説するよ。

(a+b)(c+d)のように、多項式と多項式の乗法でおこなう「展開」とはどういうものかを紹介するよ。

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多項式の乗法「展開する」とは? 多項式と多項式の乗法を解説

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目次

(a+b)(c+d)を計算してみよう

今までの学習で、多項式と単項式の乗法(かけ算)はやってきたよね。
では、多項式と多項式の乗法はどうだろう。

たとえば、「(a+b)(c+d)」の計算がどうなるかを考えてみるよ。

(a+b)(c+d)という式では、( )と( )の間に「×(かける)」が省略されているよね。なので「 (a+b)×(c+d) 」というように「かけ算」をするんだよね。

今から、「多項式と多項式のかけ算」の計算をするための考え方を2つ紹介するね。

(a+b)(c+d)を計算するための考え方

①図を使う計算の考え方

②式を使う計算の考え方

(a+b)(c+d)の計算するための考え方①

(a+b)(c+d)の計算を図で考えてみよう。

(a+b)×(c+d)っていうのは、たとえば縦が(a+b)、横が(c+d)の面積を求める計算として考えることができるよね。
なぜなら「長方形の面積」は、縦×横で求まるからね。

縦がa+b横がc+dの長方形

上の長方形の縦は(a+b)、横が(c+d)なので、縦を「a」と「b」に分けて、横も「c」と「d」に分ければ、下のように「4つの長方形」に分けることができるね。

縦がa+b横がc+dの長方形

それでは、4つそれぞれの長方形の面積を順番に求めてみよう。

4つの長方形の面積

左上の長方形の面積:縦a、横cなので、面積はa×c=ac

右上の長方形の面積:縦a、横dなので、面積はa×d=ad

左下の長方形の面積:縦b、横cなので、面積はb×c=bc

右下の長方形の面積:縦b、横dなので、面積はb×d=bd

4つの長方形の面積を図に書くと次のようになるよ。

縦がa+b横がc+dの長方形の面積

ということは、4つの長方形の面積の合計は「ac+ad+bc+bd」になるよね。

ここまでをまとめると次のようになるよ。

縦がa+b横がc+dの長方形の面積

(a+b)×(c+d)とac+ad+bc+bdは同じ1つの長方形の面積を表しているから

(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd

と計算することができるよ。

この式はすごく大切な式だから覚えておこう。1年生でやった分配法則と同じように、次のように覚えるといいと思うよ。

(a+b)(c+d)の展開

順番にかけていくようなイメージだね。

(a+b)(c+d)の計算をするための考え方②

さっきは長方形の図で説明したけれど、「式で説明する」こともできるよ。

たとえば、(a+b)=Mと置いてみよう。
そうすると、

(a+b)(c+d)
=M(c+d)

Mと(c+d)の間には「×(かける)」が省略されているから、

M(c+d)
=M×(c+d)
となるよね。 

M×(c+d)は、1年生でやった分配法則を使うと次のようになるよ。

M×(c+d)
=Mc+Md

ここで、Mを元に戻そう。←Mを(a+b)にかえる

Mc+Md
=(a+b)c+(a+b)d ←分配法則でかっこをはずす。

=ac+bc+ad+bd

(a+b)(c+d)を計算すると、ac+bc+ad+bdになることが式を使って説明できたね。

(a+b)(c+d)の計算を式を、使って計考える流れ

a+b=Mとおくと

M(c+d) ←分配法則でかっこをはずす。

=Mc+Md
=(a+b)c+(a+b)d  ←分配法則でかっこをはずす。

=ac+bc+ad+bd

多項式×多項式「(a+b)(c+d)」の練習問題

(a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bdになることをふまえて、練習問題に挑戦してみよう。それぞれでよくある間違いも紹介するよ。

(1)

(a+3)(b+2)

(a+3)(b+2)の展開

=a×b+a×2+3×b+3×2
=ab+2a+3b+6

よくある間違い

ab+2a+3b+6が計算できたあと、「2a+3b=5ab」みたいにしてしまう間違いがあるよ。
中学1年生の文字の計算で学習したように、「2a」と「3b」のように違う文字同士の足し算・引き算はできないよ。

※2a×3b=6abとなって、掛け算はできるからね。

(2)

(a+3)(a-2)

(a+3)(a-2)の展開

=a×a+a×(-2)+3×a+3×(-2)

=a2-2a+3a-6 ←-2a+3aが計算できるよ。

=a2+a-6

よくある間違い

a2+a-6の後、「a2」と「a」を計算しようとする人がいるんだけど、「a2」と「a」は足し算・引き算はできないよ。

※ちなみにかけ算はできるよ。
「a2」×「a」は「a3」になるよ。

(3)

(3a-1)(2a+4)

(3a-1)(2a+4)の展開

=3a×2a+3a×4-1×2a-1×4

=6a2+12a-2a-4 ←12a-2aが計算できるよ。

=6a2+10a-4

「展開する」とは?

中学3年生の数学では、「展開する」という言葉がこれからよくでてくるよ。

「展開する」とは、「多項式の積を1つの多項式で表すこと」。

簡単に言ってしまえば、分配法則なんかを使って、「かっこ( )を外す」ことだと思ってもらえればOKだよ。

そう、実は今回学習したた「(a+b)(c+d)の計算」も「展開する」問題だったんだよ。

一問だけ、どんな感じで問題が出されるかを紹介するね。

(a+3)(a-2)を展開しなさい。

さっきやった問題と同じで、

(a+3)(a-2)

=a×a+a×(-2)+3×a+3×(-2)
=a2-2a+3a-6
=a2+a-6

つまり、(a+3)(a-2)を展開すると、a2+a-6になるよ。

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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