紀貫之『古今和歌集』和歌の現代語訳・表現技法・作者まとめ

中学3年国語で学習する「古今和歌集(こきんわかしゅう)」の和歌について、現代語訳(意味)や、テストで問われる重要語句、使われている表現技法、それぞれの和歌の作者などをわかりやすく解説するよ。

「古今和歌集」テスト対策ポイントまとめ

  • 「古今和歌集」は、平安時代にまとめられた、日本で最初の勅撰和歌集ちょくせんわかしゅう
  • 醍醐天皇だいごてんのうの命令により、紀貫之らが編集した。
  • 歌の風調(雰囲気)は、優美で繊細なたをやめぶり(手弱女ぶり)なのが特徴。
  • 和歌の内容は、自然の美しさや、はかない恋の思いなどを歌ったものが中心。
  • 係り結びの法則枕詞見立て(比喩)などの表現技法をしっかり覚えよう。
目次

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『古今和歌集』の基本情報:【平安時代・初の勅撰和歌集】

和歌の解説に入る前に、テストでよく出題される「古今和歌集の基本データ」を確認しておこう。

成立した時代平安時代の初めごろ
特徴日本で最初の「勅撰和歌集ちょくせんわかしゅう
編纂者へんさんしゃ(まとめた人)醍醐天皇だいごてんのうの命令で、紀貫之・紀友則・凡河内躬恒おおしこうちのみつね壬生忠岑みぶのただみねの4人らがまとめた。
巻数と歌の数全20巻・約1100首
歌風(雰囲気)優美で繊細な風調。これをたをやめぶり(手弱女ぶり)と呼ぶ。
くまごろう
「勅撰和歌集」というのは、「天皇の命令によってまとめられた和歌集」という意味だよ。とても名誉なことだったんだね。

『万葉集』と『古今和歌集』の比較表

平安時代の『古今和歌集』の優美な雰囲気は、奈良時代の『万葉集』の素朴な雰囲気とよく対比してテストに出るよ。セットで覚えておこう!

和歌集の名前時代歌の風調(雰囲気)
『万葉集』奈良時代ますらをぶり(益荒男ぶり)
…素朴で力強い調子
『古今和歌集』平安時代たをやめぶり(手弱女ぶり)
…優美で繊細な調子

【テスト頻出】『古今和歌集』重要和歌の現代語訳と解説

それでは、教科書に載っている3つの重要な和歌について、1つずつ現代語訳と重要語句、テスト対策ポイントを見ていこう。

紀貫之:『人はいさ…』(人の心と自然の対比)

人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香(か)ににほひける

作者:紀貫之(きのつらゆき)

【読み方(現代仮名遣い)】

人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににおいける

【現代語訳】

あなたの心は、さあどうだかわかりません。(人の心は変わりやすいものですから。)でも、昔なじみのこの里では、梅の花だけは昔のままの良い香りで咲き匂っていることですよ。

【重要語句】

語句意味・解説
昔なじみの家(宿)の主人のこと。
いさ「さあ、どうだか」「さあ(わからない)」という意味。
ふるさと昔なじみの土地(家)。
この歌では梅の花を指すと考えられている。
にほひける
(においける)
美しく咲いている、良い香りがする。

【テスト対策ポイント】

  • 歌が詠まれた背景

作者である紀貫之が、昔なじみの家を久しぶりに訪ねたときに詠んだ歌だよ。

  • 対比の表現

「変わりやすい人の心」と「変わらない自然(梅の花の香り)」の対比が、この歌の一番のポイントだよ。記述問題でもそのまま使えるフレーズだから覚えておこう。

  • 表現技法:係り結びの法則

「花昔の香ににほひける」という部分で、意味を強調する係り結びの法則(「ぞ」という係助詞を受けて、文末が「ける」という連体形になっている)が使われているよ。

在原業平:『ちはやぶる…』(枕詞と見立て)

ちはやぶる 神世(かみよ)もきかず 龍田(たつた)河 韓紅(からくれなゐ)に 水くくるとは

作者:在原業平(ありはらのなりひら)

【読み方(現代仮名遣い)】

ちはやぶる 神世もきかず 龍田川 からくれなに 水くくるとは

【現代語訳】

神々が不思議な力を持っていたという昔の神代(かみよ)の時代でも聞いたことがない。龍田川が(水面に散り浮いた紅葉によって)川の水を真っ赤な唐紅のくくり染め(絞り染め)のように見せるなどとは。

【重要語句】

語句意味・解説
ちはやぶるあとに続く「神」を引き出すための枕詞。もとは勢いが激しいという意味。
韓紅(からくれなゐ)鮮やかな濃い赤色のこと。
水くくる川の水面を、くくり染め(布を糸でくくって模様を作る染め方)のように見せる。

【テスト対策ポイント】

  • 表現技法1:枕詞(まくらことば)

「ちはやぶる」は、あとに続く「神」を引き出すための枕詞だよ。

  • 表現技法2:見立て(比喩)

龍田川の水面に真っ赤な紅葉(もみじ)が散って流れている美しい様子を、「真っ赤なくくり染め(絞り染め)の布」に見立てて(たとえて)表現しているんだ。

小野小町:『思ひつつ…』(反実仮想と恋心)

思ひつつ 寝(ぬ)ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを

作者:小野小町(をののこまち)

【読み方(現代仮名遣い)】

おもつつ ぬればや人の 見えつら 夢と知りせば 覚めざらましを

※「寝れば」は「ぬれば」と読むので要注意!

【現代語訳】

あの人のことを思いながら寝たから、夢にあの人が現れたのだろうか。もしこれが夢だとわかっていたなら、(目を)覚まさなかっただろうに。

【重要語句】

語句意味・解説
寝(ぬ)ればや寝たからだろうか。
見えつらむ(夢に)現れたのだろうか。「らむ」は、今そうである理由を推し量る気持ちを表す。
せば〜ましをもし〜だったら、〜だっただろうに。(実際にはそうならなかった残念な気持ちを表す)
覚めざらましを目を覚まさなかっただろうに。

【テスト対策ポイント】

  • 作者の切ない心情

恋しい人に「せめて夢の中でだけでも逢いたい」という、平安時代の女性の切なく情熱的な恋心が歌われているよ。

  • 夢だとわかっていたら…(反実仮想)

「夢と知りせば 覚めざらましを」は、「もし夢だとわかっていたら、目を覚まさなかっただろうに(実際には夢だと気づかず、目を覚ましてしまって悲しい)」という気持ちを表しているんだ。このように、「もし〜だったら…だっただろうに」と、実際とはちがうことを仮定する表現を反実仮想(はんじつかそう:実際とは違うことを仮定して、残念な気持ちを表す表現)と呼ぶよ。

  • 表現技法:係り結びの法則

「寝れば人の 見えつらむ」という部分で、疑問の係助詞「や」を受けて、文末が「らむ」という連体形になる係り結びの法則が使われているよ。

係り結びとは

文の中に「ぞ・なむ・や・か・こそ」などの言葉があると、文の終わりの形が変わる決まり のこと。
古文ではよく出る大切な文法だよ。

連体形とは

言葉を「〜こと」「〜もの」のように、名詞につなげやすい形 のこと。
係り結びでは、「ぞ・なむ・や・か」 があると、文末がこの形になるよ。

已然形とは

古文の言葉の特別な形のひとつ で、係り結びでは 「こそ」 があると文末がこの形になるよ。
名前は少し難しいけれど、まずは 「こそがあると已然形」 と覚えておけばOK。

『古今和歌集』で覚えるべき表現技法:係り結び・枕詞・見立て

平安時代に作られた『古今和歌集』の和歌は、知的な工夫(レトリック)がたくさん使われているのが特徴だよ。テストでよく問われる3つの技法を整理しておこう。

技法特徴と意味和歌での例
枕詞
(まくらことば)
特定の言葉にかかる決まったフレーズ(原則5音または4音)。ちはやぶる」→神 にかかる
見立て
(比喩)
あるものを、よく似た別のものにたとえて表現する技法。川の水面に散る紅葉を、「くくり染め(絞り染めの布)」に見立てた
係り結び特定の言葉(係助詞)が来ると、文末の形が変化し、意味を強調したり疑問を表したりする。「花昔の香ににほひける」(強調)
「寝れば人の見えつらむ」(疑問)

【最強の得点源!係り結びの公式】

ぞ・なむ・や・か = 文末は「連体形」になる
こそ = 文末は「已然形(いぜんけい:『こそ』とセットで使う、動詞などの形)」になる

たろう
「係り結び」は古文のテストで絶対に出るから、この公式をまるごと暗記しておこう!

まとめ

「古今和歌集」テスト対策ポイントまとめ

  • 「古今和歌集」は、平安時代にまとめられた、日本で最初の勅撰和歌集ちょくせんわかしゅう(ちょくせんわかしゅう)
  • 醍醐天皇だいごてんのう(だいごてんのう)の命令により、紀貫之らが編集した。
  • 歌の風調(雰囲気)は、優美で繊細なたをやめぶり(手弱女ぶり)なのが特徴。
  • 和歌の内容は、自然の美しさや、はかない恋の思いなどを歌ったものが中心。
  • 係り結びの法則枕詞見立て(比喩)などの表現技法をしっかり覚えよう。
yumineko
『万葉集』との違いや、それぞれの和歌の情景・表現技法は理解できたかな?
ここまで学習できたら、さっそく「古今和歌集」のテスト対策練習問題に挑戦してみよう!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

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