西尾勝彦『言の森』比喩の意味や表現技法・主題まとめ

中学3年国語で学習する西尾勝彦さんの詩『言の森』(三省堂の教科書に掲載)について、使われている表現技法、詩の形式、比喩(隠喩)の意味、「しなやかな木」や「かろやかな葉」を育てる理由など、テスト対策に必要なポイントをわかりやすく解説するよ。

たろう
「本を読むこと」や「あなたと生きていること」が、どうして「木」や「葉」を育てることになるの?全然わからないよー!
くまごろう
この詩は、私たちの「心(目に見えない抽象的なもの)」と「言葉」の関係を、自然の「森(目に見える具体的なもの)」に例えて表現しているんだ。それぞれが何の例えなのか(比喩の意味)を解き明かしていくと、作者の深いメッセージが見えてくるよ。一緒に読み解いていこう!

※このページでは、著作権に配慮し、詩の一部のみを引用して解説しています。全体はお手元の教科書などで確認してください。

『言の森』 西尾勝彦にしおかつひこ

この詩は、私たちが普段発している「言葉」が、自分の「心」という豊かな森を源にしていることを描いた作品だよ。そして、その心の森を豊かに育て、やわらかな言葉を生み出すためには、「本を読むこと」や「誰かと共に生きること」が栄養になるんだと教えてくれるんだ。

具体的な内容は、教科書に載っている詩を読みながら、これからの解説を一緒に確認してね。

目次

西尾勝彦『言の森』基本情報とテスト対策ポイントまとめ

『言の森』テスト対策ポイント

  • 作者は詩人で高校の国語教員の西尾勝彦にしおかつひこ
  • 詩の形式は口語自由詩
  • 隠喩(暗喩)を中心に、対句的・反復的な表現が使われている。
  • 詩の中の比喩(例え)の意味
    言の葉(葉)言葉
    言の木・言の森言葉の源である人のこころやその広がり
    本を読むこと
    太陽あなたと生きていること
  • 「くちびる」は声に出す言葉、「ゆびさき」は書いたり打ったりする言葉を表していると読める。
  • 「しなやかな木」とは、強さとやわらかさをあわせもつ心を表していると考えられる。
  • 「かろやかな葉」とは、相手を必要以上に傷つけない、やわらかくのびやかな言葉などを表すと読める。
  • 主題は、言葉の源である心を、読書や他者との関わりを通して豊かに育てていくことの大切さと読める。

詩『言の森(西尾勝彦)』基本情報

作者西尾勝彦にしおかつひこ
詩の形式口語自由詩こうごじゆうし
詩の構成4つのまとまり(第一連〜第四連)からなっている
使われている表現技法隠喩(暗喩)・対句的な表現・反復的な表現など

作者の西尾勝彦さんは、現役の高校の国語教員なんだ!教員として生徒たちと関わりながら、詩人として言葉をつむぐ活動をしているんだよ。だからこそ、これから大人になっていく中学生に向けて、「言葉と心を大切に育ててほしい」というあたたかいメッセージが込められていると考えられるね。

『言の森』の詩の形式:口語自由詩

『言の森』の詩の形式は、口語自由詩こうごじゆうし

口語こうご」とは?

今の私たちが普段使っている話しことばのこと。(反対は「文語」)

自由詩じゆうし」とは?

五・七・五などの決まった音数や形式にしばられずに書かれた詩のこと。(反対は「定型詩」)

口語自由詩・文語自由詩・口語定型詩・文語定型詩の詩の形式の見分け表の図解イラスト

中1や中2でも学習したよね!「現代の話しことば(口語)」で書かれ、「決まった音数や形式にしばられない(自由な)詩」だから、「口語自由詩」になるよ。基本事項として確認しておこう。

【重要】『言の森』で使われている表現技法(隠喩・対句など)

『言の森』では、作者の思いを印象的に伝えるために、いくつかの表現技法ひょうげんぎほうが効果的に使われているよ。

隠喩(いんゆ)/ 暗喩(あんゆ)

たろう
「言の森」や「言の木」って、実際には存在しない植物だよね。これはどういう表現なの?
くまごろう
これは、あるものを別のものに例える「比喩(ひゆ)」の一種で、隠喩いんゆ(または暗喩あんゆと呼ばれる技法として読めるよ。

隠喩いんゆ暗喩あんゆ)とは

「〜のようだ」「〜みたいだ」という言葉を使わずに、別のものに例える表現技法のこと。

例えば、「人の心は森のようだ」と書けば「直喩(ちょくゆ)」になるけれど、作者は「人のこころには 言の木があり 言の森がある」と表現しているね。「〜のようだ」を隠して心の世界を自然の森に例えていると考えられるんだ。
※「言の葉」については、後で詳しく解説するね。

対句的な表現

第三連と第四連には、よく似た言葉の形を並べる対句的(ついくてき)な表現が使われているよ。

第三連の対句的な表現

その森で / 深く根の張った / しなやかな / を育てていこう
その森で / 緑まぶしい / かろやかな / を育てていこう

第四連の対句的な表現

もしかすると / 僕にとって / 森を潤すは / しずかに / 本を読むことかもしれない
もしかすると / 僕にとって / 森を照らす太陽は / あなたと / 生きていることかもしれない

このように似た形の表現を並べることで、詩に心地よいリズムが生まれ、「木」と「葉」、「雨」と「太陽」というそれぞれの役割が美しく際立っているね。

反復的な表現

同じ言葉を繰り返して印象を強める反復的(はんぷくてき)な表現も使われているよ。

第三連の「その森で」「育てていこう」。
第四連の「もしかすると / 僕にとって」。
これらを繰り返すことで、作者の願いや思いの深さが読者に強く伝わってくるんだね。

『言の森』比喩の意味を解説:雨・太陽・木の正体は?

この詩を深く理解するためには、目に見える具体的なもの(具象)である「自然の森」と、目に見えない抽象的なもの(概念)である「心の世界」のリンク(つながり)を解き明かす必要があるよ。一つずつ意味を確認していこう!

「言の葉」とは何か?

第一連に「言の葉が / くちびるや / ゆびさきから / 一枚いちまい / 現れる」とあるね。
「言の葉」とは、文字通り「言葉」のことだよ。

古くから「言の葉」という言い方があり、言葉を葉にたとえて表現することがあるんだ。平安時代に書かれた『古今和歌集(こきんわかしゅう)』の仮名序(かなじょ:紀貫之が書いた序文)にも、「やまとうたは、人の心を種として、万(よろづ)の言の葉とぞなれりける」という有名な一節があるよ。昔の人も、言葉は心という種から生え出る「葉っぱ」のようなものだと考えていたんだね。

では、「くちびる」と「ゆびさき」は何を表していると考えられるかな?
くちびるから現れるのは「声に出す言葉(話し言葉)」
ゆびさきから現れるのは、ペンで書いたり、スマホやパソコンで打ったりする「文字にする言葉(書き言葉)」を表していると読めるね。

「言の森」「言の木」とは何か?

第二連には、「言の葉は / もともと / 遠く / こころから / やってきたもの」と書かれているよ。そして、「人のこころには / 言の木があり / 言の森がある」と続いているね。

つまり、「言の木」「言の森」とは、心の中にある、言葉の源や広がりを表していると考えられるんだ。
葉っぱ(言葉)が木(心)から生えて、それが集まって森(豊かな心の世界)になっているというイメージだね。

「雨」と「太陽」とは何か?

現実の森を育てるためには、水(雨)と光(太陽)が必要不可欠だよね。
作者は、心の森を育てるための「雨」と「太陽」を次のように例えているよ。

  • 森を潤す雨 = 本を読むこと
  • 森を照らす太陽 = あなたと生きていること(他者との関わり)
自然の森(具象)心の世界(抽象)
言葉(話し言葉・書き言葉)
木・森言葉の源である心・その広がり
本を読むこと
太陽あなたと生きていること

なぜこれらが栄養になるのか?
それがこの詩の最大のメッセージだよ。次の章で詳しく考えてみよう。

なぜ読書や他者との関わりが「木」や「葉」を育てるのか?

たろう
比喩の意味はわかったけど、「本を読むこと」や「あなたと生きていること」が、どうして「しなやかな木」や「かろやかな葉」を育てることになるの?
くまごろう
ここがテストや課題作文でも問われやすいポイントだよ!なぜそうなるのか、因果関係(理由)を一緒に考えてみよう。

第三連で、作者はどんな木や葉を育てたいと言っているかな?

  • 深く根の張った しなやかな木 = 自分の芯はしっかり持ちつつ、他者を受け入れる強さとやわらかさをあわせもつ
  • 緑まぶしい かろやかな葉 = 相手を必要以上に傷つけない、やわらかくのびやかな言葉

言葉(葉)は、心(木・森)から生まれるものだったよね。
だから、美しい言葉(かろやかな葉)を生み出すためには、言葉の源である心(しなやかな木)を豊かに育てる必要があるんだ。

その心を豊かにするための栄養が、「本を読むこと」と「あなたと生きること」なんだね。

「本を読むこと(雨)」が心を育てる理由

本を読むことで、自分が知らなかった新しい知識や、さまざまな人の感情、色々な考え方を知ることができるよね。それはまるで、乾いた土に静かに雨が染み渡るように、心に栄養を与え、心を深く(深く根を張るように)豊かにしてくれると考えられるよ。

「あなたと生きていること(太陽)」が心を育てる理由

人は他者との関わりの中でも心を育てていくものだよね。家族や友達、大切な人(あなた)と関わり合い、一緒に笑ったり、時には悲しんだりぶつかったりすることで、人の痛みや喜びを理解できるようになる。それはまるで、太陽が森を明るく照らし、木々を強く成長させるように、心を温かく柔軟(しなやか)に育ててくれると考えられるんだ。

だから、「本を読むこと」や「あなたと生きること」を通して心が豊かに育てば、そこから自然とあふれ出てくる言葉も、人を傷つけない優しくてのびやかなもの(かろやかな葉)になる、というわけなんだね。

作者・西尾勝彦さんが伝えたい主題と感想文のコツ

もし「言の森を豊かにするものは何か」という課題作文が出たら、次のような構成で書いてみるのがおすすめだよ。

西尾勝彦さんの「言の森」を読んで、私は、自分の言葉が自分の心の状態を表していることにハッとさせられました。イライラしている時はトゲのある言葉が出てしまい、心が穏やかな時は優しい言葉が出ます。言葉(葉)は、心(木)から生まれているという詩の表現は、まさにその通りだと感じました。

詩の中で、心の森を育てる栄養として「本を読むこと」と「他者と生きること」が挙げられています。私はこれまで、言葉を豊かにするにはただ語彙力をつければいいと思っていました。しかし、本を読んで様々な価値観に触れること(雨)や、友達と関わって人の痛みを理解すること(太陽)こそが、心を「しなやか」にし、結果として人を思いやれる「かろやかな」言葉を生み出すのだと気づきました。

私はこれから、自分の心の森を豊かにするために、たくさんの本を読み、周りの人との関わりを大切にしていきたいです。そして、相手を傷つける重い言葉ではなく、人を温かい気持ちにさせる「緑まぶしい かろやかな葉」を育てていきたいと思います。

  • 作者は高校の国語教員の西尾勝彦にしおかつひこ
  • 詩の形式は口語自由詩
  • 隠喩(暗喩)を中心に、対句的・反復的な表現が使われている。
  • 詩の中の比喩(例え)の意味
    言の葉(葉)言葉
    言の木・言の森言葉の源である人のこころやその広がり
    本を読むこと
    太陽あなたと生きていること
  • 「くちびる」は声に出す言葉、「ゆびさき」は書いたり打ったりする言葉を表していると読める。
  • 「しなやかな木」とは、強さとやわらかさをあわせもつ心を表していると考えられる。
  • 「かろやかな葉」とは、相手を必要以上に傷つけない、やわらかくのびやかな言葉などを表すと読める。
  • 主題は、言葉の源である心を、読書や他者との関わりを通して豊かに育てていくことの大切さと読める。

ここまで学習できたら、ぜひ『言の森』のテスト対策練習問題とドリルに挑戦しよう!

西尾勝彦『言の森』テスト対策練習問題と過去問まとめ
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【中学国語】西尾勝彦「言の森」語句・表現技法ドリル
【中学国語】西尾勝彦「言の森」内容理解ドリル
【中学国語】西尾勝彦「言の森」主題・表現効果ドリル

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本ページでは、西尾勝彦「言の森」(三省堂の中学3年国語教科書所収)より、学習・批評の目的で必要最小限の部分のみを引用し、明示しています。全体はお手元の教科書等でご確認ください。

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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

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