平方根の計算「平方根の掛け算と割り算」を解説(有理化とは)
中学3年生の数学で学習する「平方根の乗法と除法」について、平方根のかけ算・割り算はどのように計算をすれば良いのかを解説するよ。
平方根の変形の考え方と方法や、平方根を変形することで近似値を求めたり、有理化する方法も紹介していくよ。
目次
平方根の乗法のやり方
平方根の乗法(かけ算)のやり方は、普通のかけ算に「ルート」がついただけだと思えばOKだよ。
平方根の乗法は、ルートの中の数字をかけ合わせるだけなんだ。
たとえば、
\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{5}\)
だったら、ルートの中の数字(2と5)をかけ合わせるだけなので、
\(\sqrt{2×5}\)
=\(\sqrt{10}\)
となるよ。
もう一問やってみよう。
\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)
だったら
\(\sqrt{2×3}\)
=\(\sqrt{6}\)
となるね。
平方根の乗法のポイント
平方根の乗法は、ルートの中の数字をかけ合わせればよい
a、bが正の数のとき\(\sqrt{a}\)×\(\sqrt{b}\)=\(\sqrt{a×b}\)=\(\sqrt{ab}\)
なぜルートの中の数字をかけ合わせるだけでいいのか?
ただ「ルートの中の数字をかけ合わせるだけでよい」とはいっても、どうしてそうなるのか、理由を確かめてみよう。
\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)を例として考えてみるよ。
①\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)の計算を考えよう。
\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)を2乗してみよう
=(\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\))2
=\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)×\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)
(\(\sqrt{2}\)と\(\sqrt{3}\))の順番を入れ替えるよ。
=\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)×\(\sqrt{3}\)
=(\(\sqrt{2}\))2×(\(\sqrt{3}\))2
=2×3
つまり
(\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\))2=2×3
になるね。
②左辺と右辺の平方根を考えよう。
今求めた(\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\))2=2×3の、左辺と右辺の平方根を考えてみるよ。
平方根とは、「2乗する前の数」だったよね。
左辺(\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\))2の平方根は\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)
右辺の2×3の平方根は\(\sqrt{2×3}\)だから、
\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)=\(\sqrt{2×3}\)=\(\sqrt{6}\)という式が成り立つね。
これで、平方根の乗法は、ルートの中の数字をかけ合わせたものと等しい、ということを確かめることができたね。
平方根の除法のやり方
平方根の除法(割り算)もさっきのかけ算と同じように、ルートの中の数字を割り算するだけだよ。
例えば
\(\sqrt{10}\)÷\(\sqrt{2}\)
だったら、
\(\sqrt{10÷2}\)
=\(\sqrt{5}\)
ルートの中で10÷2をしているだけだね。
もう一問やってみよう。
\(\sqrt{14}\)÷\(\sqrt{7}\)
だったら、
\(\sqrt{14÷7}\)
=\(\sqrt{2}\)
最後にもう一問やってみよう。
\(\sqrt{5}\)÷\(\sqrt{2}\)
5÷2は割り切れないよね。そういうときは分数であらわそう。
割り算の場合、÷の後の数を分母にすればよいから
\(\sqrt{5÷2}\)
=\(\frac{\sqrt{5}}{\sqrt{2}}\)
となるよ。
分母にも分子にもルートがあるときは、まとめて次のように表すことができるよ。
\(\frac{\sqrt{5}}{\sqrt{2}}\)
=\(\sqrt{\frac{5}{2}}\)
まさに普通の割り算と同じようにできるね。
ちなみに、このように割り算で分母がルートになったとき、テストなどでは「有理化」して分母がルートにならないようにするのが安全だよ。
問題で特別指示がないのであれば、明確に「ダメ」というわけではないのだけれど、暗黙の了解(答えの分数は、約分していないとバツになる、などと同じ)で分母がルートの場合は、有理化することになっていて、そのままだと不正解や減点の対象になってしまう場合もあるんだ。
有理化については、このあとやり方を解説するので安心してね。
平方根の除法のポイント
平方根の除法(割り算)は、ルートの中の数字を割り算すればよい。
a、bが正の数のとき
\(\sqrt{a}\)÷\(\sqrt{b}\)
=\(\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}\)
=\(\sqrt{\frac{a}{b}}\)
※分母がルートになったときは、有理化すると安心。
平方根の変形のやり方
平方根は、変形することができるんだ。
今までも\(\sqrt{4}\)=2と変形させたり、3=\(\sqrt{9}\)に変形させたりしてきたよね。
今回学習する「平方根の変形」は、次の2つのパターンだよ。
平方根の変形の2パターン
- a\(\sqrt{b}\)を\(\sqrt{c}\)にする
- \(\sqrt{c}\)をa\(\sqrt{b}\)にする
それでは順番に紹介していくね。
a\(\sqrt{b}\)を\(\sqrt{c}\)にする
例えば、2\(\sqrt{3}\)を\(\sqrt{c}\)の形に変形してみるよ。
2\(\sqrt{3}\)とは、2×\(\sqrt{3}\)のことだよね。
2=\(\sqrt{4}\)だから、
2\(\sqrt{3}\)
=2×\(\sqrt{3}\)
=\(\sqrt{4}\)×\(\sqrt{3}\) ←ルートのかけ算をしよう。
=\(\sqrt{4×3}\)
=\(\sqrt{12}\)
2\(\sqrt{3}\)=\(\sqrt{12}\)になることがわかったね。
今度は、3\(\sqrt{2}\)を\(\sqrt{c}\)の形に変形してみよう。
3\(\sqrt{2}\)とは、3×\(\sqrt{2}\)のことだね。
3=\(\sqrt{9}\)だから、
3\(\sqrt{2}\)
=3×\(\sqrt{2}\)
=\(\sqrt{9}\)×\(\sqrt{2}\) ←ルートのかけ算をしよう。
=\(\sqrt{9×2}\)
=\(\sqrt{18}\)
3\(\sqrt{2}\)=\(\sqrt{18}\)になることがわかったね。
a\(\sqrt{b}\)を\(\sqrt{c}\)に変形するポイント
aを2乗してあげれば、ルートの中に入れることができるので、ルートの中の数字とかけ算してあげればよい。
(例)
4\(\sqrt{2}\)=\(\sqrt{4×4×2}\)=\(\sqrt{32}\)
4を2乗してルートの中に入れているよ。
5\(\sqrt{3}\)=\(\sqrt{5×5×3}\)=\(\sqrt{75}\)
5を2乗してルートの中に入れているよ。
\(\sqrt{c}\)をa\(\sqrt{b}\)に変形する
こんどは逆の変形をさせるよ。
\(\sqrt{25}\)=5のような変形はやってきたよね。
どういうときにルートの中から数字が出ていくかというと、ルートの中で同じ数字が2つかけ合わされているときだよね。
\(\sqrt{25}\)だったら
\(\sqrt{5×5}\)になるよね。
\(\sqrt{5×5}\)
=\(\sqrt{5}\)×\(\sqrt{5}\)だからルートの外に5が出ていくよ。
同じように考えてみよう。
\(\sqrt{12}\)をa\(\sqrt{b}\)に変形してみよう。
さっきの例のように、25は5の2乗だということはすぐに思いつくかもしれないけれど、12となると、パッとは思いつかないかもしれないね。
そんなときは、素因数分解をするといいんだ。
12を素因数分解すると、2×2×3となるよね。
つまり、「2」が2回かけ合わされていることがわかるね。
だから、「2」をルートの外に出すことができるんだ。
ということは
\(\sqrt{12}\)
=\(\sqrt{2×2×3}\)
=\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\) ←\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{2}\)=2
=2×\(\sqrt{3}\)
=2\(\sqrt{3}\)
と表すことができるね。
\(\sqrt{18}\)をa\(\sqrt{b}\)に変形してみよう。
18を素因数分解すると2×3×3になるね。
つまり、「3」が2回かけ合わされているから、「3」をルートの外に出すことができるね。
ということは
\(\sqrt{18}\)
=\(\sqrt{2×3×3}\)
=\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)×\(\sqrt{3}\) ←\(\sqrt{3}\)×\(\sqrt{3}\)=3=\(\sqrt{2}\)×3
=3\(\sqrt{2}\)
と表すことができるね。
\(\sqrt{24}\)をa\(\sqrt{b}\)に変形してみよう。
24を素因数分解すると2×2×2×3だよね。
ということは
\(\sqrt{24}\)
=\(\sqrt{2×2×2×3}\)
=\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)
\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{2}\)=2だから
=2×\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{3}\)
=2\(\sqrt{6}\)
と表すことができるね。
2×2×2×3は2×2が1セットあるから、ルートの外に出て、残った2×3はルートの中のままになるよ。
\(\sqrt{c}\)をa\(\sqrt{b}\)に変形するポイント
ルートの中で同じ数字が2回かけ合わされているとき、ルートの外に出すことができる。
同じ数字が2回かけ合わされているかどうかを見つけるには、素因数分解すればよい。
(例)
\(\sqrt{4×4×2}\)=4\(\sqrt{2}\)
\(\sqrt{5×5×3}\)=5\(\sqrt{3}\)
\(\sqrt{3×3×3×5}\)=3\(\sqrt{15}\)
\(\sqrt{c}\)をa\(\sqrt{b}\)の形にする変形はテストでもすごくよく使うんだ。
だから、速く変形するコツを紹介するね。
\(\sqrt{c}\)をa\(\sqrt{b}\)に速く変形する方法
ルートの中の数字を、次のどれかに変形できるかどうかに注目してみよう。
- 4×○
- 9×○
- 16×○
- 25×○
- 36×○
例えば、\(\sqrt{32}\)を考えよう。
\(\sqrt{32}\)のルートの中にある「32」は「16×2」で表せるよね。
\(\sqrt{32}\)
=\(\sqrt{16×2}\)
「16」は「4×4」なので、ルートが外れて
\(\sqrt{32}\)=4\(\sqrt{2}\)と変形できるよ。
平方根を変形して近似値を求めよう
平方根の近似値は以前学習したよね。
- \(\sqrt{2}\)=1.4142156
覚え方:一夜一夜に人見頃
ひと(1)よ(4) ひと(1)よ(4)に(2) ひと(1)み(3)ご(5)ろ(6) - \(\sqrt{3}\)=1.7320508
覚え方:人並みに奢れや
ひと(1)な(7)み(3)に(2) お(0)ご(5)れ(0)や(8) - \(\sqrt{5}\)=2.2360679
覚え方:富士山麓オウム鳴く
ふ(2)じ(2)さん(3)ろく(6) お(0)ーむ(6)な(7)く(9)
このように、ルートの中の数字が「2」「3」「5」の場合の近似値を求めることはできるよね。
ルートの中の数が大きくても、平方根を変形して「2」「3」「5」を作り出すことができれば、近似値を求めることができるんだよ。
\(\sqrt{12}\)の近似値を考えてみよう。
\(\sqrt{12}\)をa\(\sqrt{b}\)の形にすると、
\(\sqrt{12}\)
=\(\sqrt{2×2×3}\)
=2\(\sqrt{3}\)
になるよね。
2\(\sqrt{3}\)とは、2×\(\sqrt{3}\)のことだから、\(\sqrt{3}\)の近似値を代入することができるよ。
そうすると
2×\(\sqrt{3}\)
=2×1.7320508
=3.4641016
\(\sqrt{12}\)の近似値を求めることができたね。
\(\sqrt{27}\)の近似値を考えてみよう。
\(\sqrt{27}\)をa\(\sqrt{b}\)の形にすると、
\(\sqrt{27}\)
=\(\sqrt{3×3×3}\)
=3\(\sqrt{3}\)
になるよね。
3\(\sqrt{3}\)とは3×\(\sqrt{3}\)のことだから、\(\sqrt{3}\)の近似値を代入することができるよ。
そうすると
3×\(\sqrt{3}\)
=3×1.7320508
=5.1961524
\(\sqrt{27}\)の近似値を求めることができたね。
有理化とは
有理化とは、分母にルートを含む数を、分母にルートを含まない形にすることだよ。
平方根の暗黙のルールとして、テストで答えるときに分母にルートがついていると減点されたり、不正解になる場合もあるんだ。
だから、有理化して分母のルートをなくす作業が必要なんだよ。
\(\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)を有理化してみよう。
このままだと、分母にルートがあるよね。
分母のルートを消すためには、分母と同じ数のルートを、分母と分子にかけたらいいよ。
今回だったら分母と分子に\(\sqrt{2}\)をかけてみよう。
\(\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)
=\(\frac{\sqrt{3}×\sqrt{2}}{\sqrt{2}×\sqrt{2}}\) ←\(\sqrt{2}\)×\(\sqrt{2}\)=2
=\(\frac{\sqrt{6}}{2}\)
分母のルートがなくなったことがわかるね。これが有理化だよ。
ほとんどの場合、分母のルートと同じ数をかければOKだよ。
よくある有理化の間違い
\(\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)で\(\sqrt{2}\)を分子にかけ忘れる。
\(\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}\)
=\(\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}×\sqrt{2}}\)
=\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)
「平方根の乗法と除法」まとめ
- 平方根の乗法のポイント
平方根の乗法は、ルートの中の数字をかけ合わせればよい
a、bが正の数のとき、\(\sqrt{a}\)×\(\sqrt{b}\)=\(\sqrt{a×b}\)=\(\sqrt{ab}\) - 平方根の除法のポイント
平方根の除法(割り算)は、ルートの中の数字を割り算すればよい
a、bが正の数のとき
\(\sqrt{a}\)÷\(\sqrt{b}\)
=\(\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}\)
=\(\sqrt{\frac{a}{b}}\) - 平方根の変形の2パターン
a\(\sqrt{b}\)を\(\sqrt{c}\)にする
\(\sqrt{c}\)をa\(\sqrt{b}\)にする - a\(\sqrt{b}\)を\(\sqrt{c}\)に変形するポイント
aを2乗してあげれば、ルートの中に入れることができるので、ルートの中の数字とかけ算してあげればよい。
(例)
4\(\sqrt{2}\)=\(\sqrt{4×4×2}\)=\(\sqrt{32}\)
4を2乗してルートの中に入れているよ。
5\(\sqrt{3}\)=\(\sqrt{5×5×3}\)=\(\sqrt{75}\)
5を2乗してルートの中に入れているよ。 - \(\sqrt{c}\)をa\(\sqrt{b}\)に速く変形する方法
ルートの中の数字を、次のどれかに変形できるかどうかに注目してみよう。
4×○
9×○
16×○
25×○
36×○ - ルートの中の数が大きい場合に近似値を求める方法
ルートを変形させて、「2」「3」「5」を作り出し、それぞれの近似値を代入して求める。 - 分母にルートがある場合に、有理化する方法
分母のルートと同じ数を、分母と分子それぞれにかける。
運営者情報
ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。