連立方程式(二元一次方程式)の解き方「加減法・代入法」を解説

中学2年生の数学で学習する連立方程式の解き方「加減法」と「代入法」についてわかりやすく解説するよ。

連立方程式とは何か、二元一次方程式とは何か、加減法と代入法の解き方を問題を例にして詳しく説明するよ。

連立方程式(二元一次方程式)の解き方 「加減法・代入法」を解説のPDFをダウンロード

連立方程式(二元一次方程式)の解き方 「加減法・代入法」を解説

連立方程式(二元一次方程式)の解き方 「加減法・代入法」を解説のPDF(13枚)がダウンロードできます。

PDFを印刷して手書きで勉強したい方は以下のボタンからお進み下さい。

目次

二元一次方程式とは

中学1年生の時に習った、方程式ってどんなものだったか、覚えているかな?
方程式は、正体不明の文字のχ(エックス)が入っている等式、だったね。
※2χ+4=1のような式だったね!

では、今回登場する「二元一次方程式にげんいちじほうていしき」をひとことで言うと、「正体不明の文字が2文字(χやy、aやbなど)入っている等式」のことなんだ。

※方程式や不等式に含まれる変数(文字)の数を「げん」っていうんだ。中学1年生の時に習った方程式は、文字が1つだから、一元一次方程式、ということなんだ。

早速、二元一次方程式の次の問題について見てみよう!

例題

2χ+y=12は、χやyにいくついれると成り立つか考えよう。

この問題、答えがいくつもあることに気づいたかな?実際に解いて確認してみよう。

χの値代入した式yの値
χ=02×0+y=12y=12
χ=12×1+y=12y=10
χ=22×2+y=12y=8
χ=32×3+y=12y=6
χ=42×4+y=12y=4

こんな風に二元一次方程式の答えの組み合わせは、1つではなく複数あることが特徴なんだ。
※ちなみに方程式の答えのことを数学用語で、「かい」というんだ。覚えておこう!

テストでこの問題が出たら、答えがいくつもあって、どうやって解いたらいいかわからなくなってしまうね。

丸つけをする先生も大変になりそうなんだけれど、テストでは実際にどんな問題が出ているか見てみよう。

問題

3χ-4y=8を成り立たせる解を次から選びなさい。

ア、χ=1、y=2  イ、χ=-2、y=-2

ウ、χ=3、y=1  エ、χ=4、y=1

答えの選び方は、数字を代入するだけでOKだよ。
左辺の文字に数字を代入して、「=8」になるかを確認してみよう。

解の組合わせ左辺に代入した式〇or✕
ア、χ=1、y=23×1-4×2-5
イ、χ=2、y=23×2-4×2-2
ウ、χ=3、y=13×3-4×1
エ、χ=4、y=13×4-4×1

それぞれを代入すると、「=8」になったのは、
χ=4、y=1を代入した時だから、答えは「エ」となるんだ。

こんな風に代入して、正しい解を探す問題がテストによく出るから、覚えておこう!

連立方程式とは

実は、方程式を2つ組み合わせたものが存在するんだ。それを「連立方程式れんりつほうていしき」っていうんだ。

連立方程式の例

\begin{cases} 2χ+y=11\\χ-2y=3 \end{cases}

2つの方程式のχとyに代入して成り立つ数字の組み合わせが、連立方程式の解だよ。早速の解がいくつになるか考えてみよう。

まずは、2χ+y=11の解を考えるよ。

χの値代入した式yの値
χ=12×1+y=11y=9χ=1、y=9
χ=22×2+y=11y=7χ=2、y=7
χ=32×3+y=11y=5χ=3、y=5
χ=42×4+y=11y=3χ=4、y=3
χ=52×5+y=11y=1χ=5、y=1

次に、χ-2y=3の解を考えよう。

χの値代入した式yの値
χ=11-2y=3y=-1χ=1、y=-1
χ=22-2y=3y=-\(\frac{1}{2}\)χ=2、y=-\(\frac{1}{2}\)
χ=33-2y=3y=0χ=3、y=0
χ=44-2y=3y=\(\frac{1}{2}\)χ=4、y=\(\frac{1}{2}\)
χ=55-2y=3y=1χ=5、y=1

この2つの方程式の解の組み合わせから共通しているものは、χ=5、y=1だね。

ということで、この連立方程式の解は、χ=5、y=1となるんだ。

ここまでの内容で実際にテストに出題されたことがある問題を紹介するね。

問題

次のχ、yの値の組の中で、

\begin{cases} 3χ+2y=-15\\-4χ-y=5 \end{cases}

の解はどれですか。

ア、χ=-1、y=1  イ、χ=-3、y=-3

ウ、χ=1、y=-9  エ、χ=2、y=2

答えの選び方は、それぞれの式にχとyの値を代入して成り立つものを選らべばOKだよ。

解の組み合わせ上の式に代入した結果
「=-15」になるか
下の式に代入した結果
「=5」になるか
〇or✕
ア、χ=-1、y=1-1どちらも✕
イ、χ=-3、y=-3-1515下の式が✕
ウ、χ=1、y=-9-15どちらも〇
エ、χ=2、y=210-10どちらも✕

どちらも成り立ったのは、χ=1、y=-9の時だから、答えは「ウ」となるよ。

こうして解いてみると、すごく大変だし時間もかかるよね……。
実は、連立方程式では解き方があるんだ。それを説明していくね!

どちらかの文字を「消去」しよう

連立方程式の計算問題で、どうやったら解を出すことができるかを確認していこう。

連立方程式では、文字が2つあるから求めることができないけれど、式を変形して文字が1つだけの式にできたら、中学1年生の時の方程式のように求めることができるんだ。

では、どうしたら文字が1つだけの式にできるか、例題を使って確認してみよう!

例題

連立方程式\begin{cases}  2χ+2y=10……①\\-2χ- y=-4 ……②\end{cases}を解きなさい。

1、足したり引いたりしたら0になる文字を探す。

①と②のそれぞれの式にあるχ、yについて確認していこう。
χの場合 ①では2χ、②では-2χ
yの場合 ①では2y、②では-y
となっているね。

ここで、χは、たし算をしたら0になることに気がつくかな?
たし算をした場合 2χ+(-2χ)=0

一方で、yは、たし算をしてもひき算をしても0にはならないよね。
たし算をした場合 2y+(-y)=y
ひき算をした場合 2y-(-y)=3y

今回の問題では、①と②の式をたし算すれば、χを消すことができる、ということなんだ。

2、2つの式を筆算の形でたし算(もしくは、ひき算)する。
今回は、さっき説明したように①と②の式をたし算するよ。

   2χ+2y=10
+)-2χ- y=-4
   0 + y=6

こんな風に①と②の式をたし算をすると、χがなくなってyだけの式になったね。

3、求められたχやyの値を元の式に代入する。

求められたy=6を①か②の式に代入すると、χを求めることができるよ。今回は①の式に代入して計算をしよう。
※代入とは、文字と数字を入れ替える、と覚えておこう!

2χ+2×6=10
↓代入したら計算を進めよう。
2χ+12 =10
↓左辺のχがついていない数字だけの項を、右辺に移項しよう。
2χ    =10-12
↓移項したら計算をしよう
2χ    =-2
↓「χ=」の形に変形しよう。両辺に\(\frac{1}{2}\)をかけよう。
2χ×\(\frac{1}{2}\)     =-2×\(\frac{1}{2}\)

        χ=-1

連立方程式の解は、χ=-1、y=6

今回の問題のように、文字χをふくむ2つの方程式から、χをふくまない1つの方程式をつくることを、χを消去しょうきょする、というので覚えておこう!

では、次の問題にチャレンジしてみよう。

問題

連立方程式\begin{cases} 2χ+4y=  8……①\\2χ-2y=-10 ……②\end{cases}を解きなさい。

さっきの例題の手順に沿って考えていこう。

1、足したり引いたりしたら0になる文字を探す。

①と②のそれぞれの式にあるχ、yについて確認すると
χの場合 ①では2χ、②では2χ
yの場合 ①では4y、②では-2y
となっているね。

今回の問題では、①と②の式をひき算すれば、χを消すことができるね。

2、2つの式を筆算の形でたし算(もしくは、ひき算)する。

今回の問題では、ひき算するので、計算する時は、符号を変えるのを忘れずに!

   2χ+4y= 8
-) 2χ-2y=-10

↓下の式の符号を変える

   2χ+4y= 8
2χ2y=10
   0 +6y=18

これを整理すると、y=3と求めることができるね。

3、求められたχやyの値を元の式に代入する。

求められたy=3を①の式に代入して計算をしよう。

2χ+4×3=8
↓代入したら計算を進めよう。
2χ+12 =8
↓左辺のχがついていない数字だけの項を、右辺に移項しよう。
2χ    =8-12
↓移項したら計算をしよう
2χ    =-4
↓「χ=」の形に変形しよう。両辺に\(\frac{1}{2}\)をかけよう。
2χ×\(\frac{1}{2}\)     =-4×\(\frac{1}{2}\)

        χ=-2

連立方程式の解は、χ=-2、y=3

基本的な解き方は、これでOK!解く手順を忘れないようにしよう。

消去の方法➀加減法とは

連立方程式は、1文字を消去する、という方法で解を求めることができるけれど、細かく分けるといくつかのパターンに分かれるんだ。

例題を見ながら解き方を確認していこう。

例題

連立方程式\begin{cases}  χ+2y=5……①\\2χ+3y=8……②\end{cases}を解きなさい。

1、どちらかの文字の前の数字をそろえる

問題を見てみると、χもyも数字がそろっていないね。このままだと、①と②の2つの式を足したり、引いたりしても文字が消えないんだ。

そこで最初にやることは、分数の時の通分のように何か数字をかけて、どちらかの文字の前の数字をそろえるところからスタートしよう。

χでもyでも、自分の好きな方でOK!今回は、χをそろえていこう。

χに注目すると
①は、χ ②は、2χだから、①に2倍すると文字の前の数字がそろうね。
※χ×2=2χとなるよ。

ただし、注意しなきゃいけないのは、数字をかける時には、式全体に(左辺にも右辺にも)かける必要があるよ。

実際にかけてみると

①×2     χ+y=10
②       2χ+3y=8

と変化するよ。

2、2つの式を筆算の形でたし算(もしくは、ひき算)する。

χやyの数字がそろったから、2つの式をひき算すると1文字消去することができるね!

   2χ+4y=10
-) 2χ+3y= 8

↓ひき算をする時には、下の式の符号を変えることを忘れずに!

   2χ+4y=10
2χ3y=
   0 + y=2 

3、求められたχやyの値を元の式に代入する。

あとは、ここで求められたy=2を①の元の式(2をかける前の式)に代入してχを求めよう。
※2をかけた後の式に代入しても求めることができるけれど、計算する時の数字が大きくなって、計算ミスをする可能性があるから、元の式に代入することがおすすめだよ。
①の式は、χ+4y=10だったから、これにy=2を代入すると

χ+4×2=10
χ+ 8 =10

↓8を左辺に移項すると

χ    =10-8
    χ=2

連立方程式の解は、χ=2、y=2

では、次の問題にチャレンジしてみよう!

例題

連立方程式\begin{cases} 5χ+3y= 2……①\\9χ-2y=11……②\end{cases}を解きなさい。

さっき問題と同じ手順で解き進めていこう。

1、どちらかの文字の前の数字をそろえる

今回はyの数字をそろえて解いていくよ。(もちろんχでも解くことができるよ。)

yを見てみると①は3y、②は-2yだね。
実は今回の問題は、①か②の片方にだけ数字をかけても、数字がそろわないんだ。①と②にそれぞれ何か数字をかけてそろえていくよ。

①に×2、②に×3をすると数字がそろうね。

①×2  10χ+y= 
②×3  27χ-y=33

2、2つの式を筆算の形でたし算(もしくは、ひき算)する。

yの数字がそろったから、あとは2つの式をたし算か、ひき算をして1文字消去しよう。今回はたし算でyを消すことができるね。

  10χ+6y= 4
+)27χ-6y=33
  37χ+ 0=37

この式を整理して、χを求めるとχ=1を求めることができたね。

3、求められたχやyの値を元の式に代入する。

求めたχ=1を元の式に代入して、yを求めよう。今回は①の式に代入するよ。
※②に代入しても求めることができるよ。

5×1+3y=2
 5 +3y=2

↓5を左辺に移項すると

    3y=2-5
     y=-1

連立方程式の解は、χ=1、y=-1

この問題のように、文字の前の数字をそろえて、足したり引いたりして、1つの文字を消去して解く方法を加減法かげんほうっていうんだ。覚えておこう!

消去の方法➁代入法とは

連立方程式の解き方の2つ目のパターンを紹介するね。

例題

連立方程式\begin{cases} 2χ-3y=-8……①\\χ=4y+1  ……②\end{cases}を解きなさい。

問題を見てみると、②が見慣れない式の形をしているね。実は、この問題には2つの解き方があるんだ。

1つ目の解き方は、さっき説明した「加減法」を使った解き方だよ。その解き方から確認してみよう。

まずは、②の式を変形するところからスタートするよ。
変形方法は、右辺にある4yを左辺に移項しよう。

χ=4y+1

↓4yを左辺に移項(符号を変えるのを忘れずに)

χ-4y=1

ここまでくると、
連立方程式\begin{cases} 2χ-3y=-8\\ χ-4y= 1\end{cases}
として、これまでの問題と同じように計算すればOK!

ただ、この解き方をすると手順が増えて、計算も面倒でミスも増えてしまいそうだね……

そこで、もう少しシンプルに計算できる方法があるから紹介するね!

②の式が「χ=」の形になっているから、数字と同じように代入する方法なんだ。これを「代入法だいにゅうほう」っていうんだ。

これまでのような「χ=3」の時、χと3を入れかえればOKだったね。
今回も同じように、①の式のχを4y+1に入れかえると(代入すると)計算することができるよ。

①の式2χ-3y=-8に、②の式のχ=4y+1を代入すると

2(4y+1)-3y=-8となるんだ。
※式を代入する時は、今回のように式に(  )をつけて代入しよう!

あとは、方程式と同じように、「y=」の形に計算をしていこう。

8y+2-3y=-8
   5y+2=-8
     5y=-8-2
      y=-2

求めたy=-2を元の式に代入しよう。
元の式が「χ=」「y=」の方に代入すると計算が簡単になるよ!
※今回は、χ=4y+1に代入しよう。

χ=4×(-2)+1
 =-7

連立方程式の解は、χ=-7、y=-2

連立方程式の計算問題で、代入法が使える時は、計算手順が少ないから、積極的に利用していこう。
また、テストの時には、「加減法で解きなさい」「代入法で解きなさい」という指示が出る時もあるから、どちらの解き方もマスターしていこう!

代入法では、次のような問題もあるからチャレンジしてみよう。

例題

連立方程式\begin{cases} y=χ+1   ……①\\y=-2χ+13……②\end{cases}を解きなさい。

どちらも「y=」の形からはじまっている式だね。
見慣れない形だから、解くときに困ってしまいそうだけれど、代入法を使えば簡単に解くことができるよ。

①のy=χ+1のyに②のy=-2χ+13を代入すればOK
※yと-2χ+13を入れかえるということだよ。

代入した式は、
-2χ+13=χ+1
となるから、あとは「χ=」の形に変形していこう。

-2χ-χ=1-13
  -3χ=-12
    χ=4

これを①の式に代入しよう。

y=4+1
 =5

連立方程式の解は、χ=4、y=5

連立方程式の計算問題は、「加減法」「代入法」の2つの解き方があるけれど、どちらにも共通しているのは、「1つの文字を消去する」ということだよ。

多くの問題を解いて、早く正確に解くことができるようにしよう!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

感想や意見を聞かせてね

  1. あいら より:

    5x-2y=4
    7xー6x=-4の文字が2つと1つの時はどうすればいいのかわかんないです!

    • yumineko より:

      あいらさん

      書いていただいた式の場合は、7x-6x=-4の方は文字がxだけなので、「x=」の形で解くことができますね。
      実際に解くと、
      7x-6x=―4・・左辺を計算して、
      x=-4

      このx=-4を、「5x-2y=4」に代入します。(または、連立方程式の形で解くこともできます)
      代入すると、
      5(-4)-2y=4
      -20-2y=4・・-20を右辺へ移項します
      -2y=4+20・・右辺を計算します
      -2y=24
      y=-12

      よって、答えはx=―4、y=-12となります。

      ※連立方程式の場合
      5x-2y=4
      x   =-4・・・上の式とxを揃えるために、5をかける

      5x-2y=4
      5x   =-20・・上の式-下の式で計算する

        -2y=24

          y=-12     

  2. あいら より:

    とってもわかりやすいです!ありがとうございます