「文字式の利用(説明・等式の変形)」応用問題の解き方も紹介
中学2年数学で学習する「文字式の利用」について、式による説明の仕方、等式の変形のやりかた、文字式の利用の応用問題・カレンダーの問題などをわかりやすく解説しています。
目次
数の性質を説明してみよう(式の説明)
「数の性質を説明する」って、そもそもどういうことだろう。
たとえば、テストではこんなふうに問題が出るんだ。
問題
連続する3つの整数の和は、3の倍数になることを説明しなさい。
「説明しなさい」なんて言われると、たとえばこの問題を説明するとしたら
1+2+3=6
6は3の倍数だから成り立つよ!
・・・というように、実際の数字を使って説明したくなってしまうよね。
でも、もし一番小さい数字が、たとえば「381」だったらどうかな?
「381」か・・・。
381+382+383=1146
1146は3の倍数だからやっぱり成り立つよ!
たしかに、こんなふうに特定のパターンが決まっているのであれば、計算式をひとつひとつ書いてあげることで説明することができるけれど、実際には数字は無限にあるため、全てが成り立つような説明をすることって不可能だよね。
全部のパターンをひとつひとつ計算式で説明するなんて、不可能だよね。
そこで、役に立つのが中学数学で使うようになった「文字」なんだ。
文字を使えば、全てのパターンについて説明することができるようになるんだよ。
それでは、文字を使って説明する方法を確認しよう。
(1)文字を使う数量の表し方を確認しよう。
今回の問題では、『連続する3つの整数』や『3の倍数』という言葉がでてきたね。これらは、全て文字式を使って表すことができるんだ。
●連続する3つの整数を文字で表す方法
まずは、連続する3つの数を数字だけで考えてみよう。
例えば、≪1、2、3≫ や ≪7、8、9≫ がイメージできたかな?
では、これを文字を使って表してみよう。
連続する3つの整数のうち、一番小さい整数を『n』とした時に、残りの2つの整数はどんな風に表現できるだろう?
≪1、2、3≫ ≪7、8、9≫をそれぞれの一番小さい数字を基準に考えると
≪1、2、3≫ は
1
2…1+1
3…1+2
≪7、8、9≫ は
7
8…7+1
9…7+2
のこりの2つの整数はそれぞれ、
『一番小さい数+1』、
『一番小さい数+2』
という形になっていることに気づいたかな?
この性質を利用すると、一番小さい整数が『n』だった時、残りの2つの整数は、
n+1、n+2
と表すことができるね。
●3の倍数
3の倍数も実際の数字で考えてみよう。
たとえば、≪3、9、18、21≫などがイメージできたかな?
それぞれの数字を分解して考えてみると…
3…3×1
9…3×3
18…3×6
21…3×7
全て、≪3×□≫の形になっているね。
文字式で表す時も、同じように3×nのように表すことができるよ。
このように、問題文に出てくる数量のことを、文字を使ってどのように表現できるかを確認するところからはじめよう!
この「問題文に出てくる数量を、文字を使って表すことができるか」がかなり重要なポイント。
むずかしそうに感じるかもしれないけれど、たくさんの問題を解いているうちに、だいたいパターンやコツがつかめてくるから安心してね。
(2)説明の手順を覚えよう
さて、問題文に出てくる数量のことを、文字を使って表現できたら、次はそれを使って「説明」をしなくてはいけないよ。
例えるなら、材料(文字で表現した数量)がそろったので、問題文のとおりに料理をしていくイメージ。
「説明」には、書き方の「型」のようなものがあるので、これもたくさん問題を解いて、説明の書き方に慣れていく必要があるよ。
では、実際にさっきの問題を使って「説明の書き方」について確認しよう。
手順➀ 使う文字式について説明する
もう一度問題文を見てみるよ。
問題
連続する3つの整数の和は、3の倍数になることを説明しなさい。
問題文の最初から料理していこう。
今回の問題ではまず『連続する3つの整数』とあるので、これを文字で表現することを説明するよ。
連続する3つの整数のうち、もっとも小さい整数をnとすると、連続する3つの整数は、
n、n+1、n+2
と表される。
このように、書き始めるよ。
これは、他のパターンでも同じように書き始めるから、覚えておこう。
手順➁ 問題文にある「計算」をする
問題文の中には、必ず『計算』するところが隠れているよ。
今回の問題では『和』と書かれているね!『和』は、『足し算』をした時の答えのことだから、「連続する3つの整数を足す」ということだね。
これを揃えた材料(文字と数字)で表すと、
n+n+1+n+2=3n+3
このように計算することができるね。
説明する問題の中にある計算は、簡単な計算が多いよ。
手順③ 問題に書かれている『〇〇になること』の形へ変形する
問題の中に、『〇〇になること』を説明しなさい、と書かれているのが説明問題の特徴だよ。
説明問題では、計算した答えを『〇〇になること』の形に変形する必要があるんだ。
今回は、『3の倍数になること』と書かれているね。
②で解いた計算の答えを3の倍数の形に変形するよ。
3の倍数は、『3×□』の形で表すことができるから、今回の ≪3n+3≫ も同じように変形すると、
n+n+1+n+2=3n+3
=3×n+3×1 ※この部分は書く必要なし
=3(n+1)
このように表現することができるよ。
3n+3を『3×( )』の形に変形するところがポイントだよ。この形に変形するのが苦手な人は、途中式にある
3×n+3×1
と分解した形を書くと整理しやすくなるよ。
手順④ 式と言葉をつなげて説明を完成させる
ここまでくればもうゴールは近いよ。
①から③まで書くことができたら、あとはそれぞれをつなげて、説明を完成させよう。
また、①から③まで書いたあと、毎回書くキーワードがあるから、それも確認しよう。
連続する3つの整数のうち、もっとも小さい整数をnとすると、連続する3つの整数は、
n、n+1、n+2
と表される。
n+n+1+n+2=3n+3
=3(n+1)
n+1は整数だから、3(n+1)は3の倍数となる。
したがって、連続する3つの整数の和は、3の倍数になる。
途中にある、
n+1は整数だから、3(n+1)は3の倍数になる
これは、説明の時に必ず書くキーワードなんだ。
( )は、整数だから、△×( )は△の倍数になる
このフレーズは書き忘れないように注意しよう。書き忘れた場合には、減点される可能性があるので注意!
説明問題は、フレーズや数量の表現の仕方など暗記の要素が多い単元だよ。
最初は、書き方を確認しながら覚えるまで繰り返し取り組もう。
それでは、ほかの問題のパターンも見てみよう。
問題
2けたの自然数と、その数の一の位の数字と十の位の数字を入れかえた数の差は、9の倍数になることを説明しなさい。
2けたの自然数の問題もよく出題されるパターンだよ。
2けたの自然数がどのように表されるか、そして、一の位の数字と十の位の数字を入れかえた数の表し方について確認しよう。
2けたの自然数とは、
35、73、98のような数だね。
これらは、
35=3×10+5×1
(10円玉が3枚、1円玉が5枚のイメージ)
73=7×10+3×1
(10円玉が7枚、1円玉が3枚のイメージ)
98=9×10+8×1
(10円玉が9枚、1円玉が8枚のイメージ)
と考えるんだ。
10円玉と1円玉を使って数字を表現しているイメージを持ってもらえるといいね!
※3けたの自然数の場合は、100円玉と10円玉と1円玉と考えるようにしよう。
これを文字を使って表現すると、
十の位の数字をχ、一の位の数字をyとすると
(10円玉がχ枚、1円玉がy枚と考えよう)
10χ+y
と表すことができる。
一の位の数字と十の位の数字を入れかえた数は、
(10円玉がy枚、1円玉がχ枚になったと考えよう)
10y+χ
と表すことができる。
このように表すことができるよ。
あとは、最初の問題と同じように、手順に沿って書き進めていこう。
※問題にある『差』は引き算をした時の答えだから、「引き算」をすればいいんだよ。
2けたの自然数の十の位の数をχ、一の位の数をyとすると
元の数は、10χ+y
一の位の数と十の位の数を入れかえた数は、10y+χ
と表される。これらの差は
(10χ+y)-(10y+χ)
=10χ+y-10y-χ
=9χ-9y
=9(χ-y)
χ-yは整数だから、9(χ-y)は9の倍数となる。
したがって、2けたの自然数と、その数の一の位の数字と十の位の数字を入れかえた数の差は、9の倍数になる。
※「χ-y」が整数になる理由・・・2けたの自然数の十の位の数である「χ」も、2けたの自然数の一の位の数である「y」も整数だよね。
ということは、「χ-y」は、「整数-整数」ということになる。
整数から整数を引くだけだから、答えはかならず整数になるよね。
※9(χ-y)は9の倍数となる理由・・・「χ-y」は整数なんだよね。
そうすると、9(χ-y)は9×□とおなじことだから、かならず9の倍数になるよ。
1年生の時に学習した文字式の単元の知識(偶数や奇数など)も使うことがあるので、不安な人は復習をしておこう!
カレンダー問題
「カレンダー問題」は、文字式の利用でよく出る応用問題だよ。
カレンダーの性質を利用した問題について確認しよう。
問題
上にあるカレンダーは、ある月のカレンダーである。
上のカレンダーのように、縦2つ、横2つの正方形で囲んだとき、4つの数の和は4の倍数になることを説明しなさい。
まずは、赤い□で囲われた箇所を文字を使って表現してみよう。
上の例の場合
9 10(9+1)
16(9+7) 17(9+8)
となっているので、これを参考にして、一番小さい数字をnを使うと
n n+1
n+7 n+8
と表すことができるね。これを元に、先ほどの問題と同じように説明を書き進めていこう。
カレンダーのある箇所を縦2つ、横2つの正方形で囲んだ時、一番小さい数をnとすると、4つの数は
n、n+1、n+7、n+8と表される。
この4つの数の和は、
n+n+1+n+7+n+8=4n+16
=4×n+4×4
=4(n+4)
n+4は整数だから、4(n+4)は4の倍数となる。
したがって、カレンダーで縦2つ、横2つの正方形で囲んだとき、4つの数の和は4の倍数になる。
カレンダーの問題も数量の表し方さえ間違えなければ、大丈夫!
ぜひチャレンジしてみよう!
式を変形してみよう(等式の変形)
文字式の問題では、式の形を変形する問題が出題されるんだ。
変形する、と聞くと難しそう……と感じる人もいるかもしれないけれど、実はみんな中学1年生の時にやったことのある知識で解くことができるよ!
じゃあ、早速問題を見てみよう!
問題:2χ+4y=13をyについて解こう。
問題にある『yについて解く』とは、どういうことか説明するね。
これは、式を『y=』の形に変形する、ということなんだ。
つまり中学1年生の時に習った、『方程式』と同じように解く問題ということなんだよ。
※方程式の時は、『χ=』と変形したね!
実際に解くときの手順は、とてもシンプルだよ。
≪式を変形する時の手順≫
①移項する
②『×(かける)』でくっついている数字や文字は、逆数を掛けて消す
この手順を頭に入れて例題の解き方を見てみよう。
手順➀ 移項する
最終的に『y=』の形にしたいから、yのついた項以外は、全て『=』の右側に移項しよう。
移項する時のルールは、『移項した項の符号が変わる』だったね!
『+のものは、-に』『-のものは、+に』
このルールで、
2χ+4y=13
↓2χを移項すると
4y=-2χ+13
と変形することができたね!
手順➁ 『×(かける)』でくっついている数字は、『逆数を掛けて消す』
『y=』の形に変えるために、あと余計なものは、『4』だね!
『よし、じゃあこれを移項して…』というのはやってはいけない方法だよ。
移項をしていいのは、『+』や『-』でくっついている時だけ!
『×(かける)』でくっついている場合には、逆数をかけて消す、と覚えておこう。
≪逆数について≫
逆数とは、ある数字の分子と分母を入れ替えた数のことだよ。
例えば、\(\frac{1}{2}\)の場合、逆数は、\(\frac{2}{1}\)になるんだ。
じゃあ、5の逆数はなんだと思う?
正解は、\(\frac{1}{5}\)
5には分母の1が隠れていることを忘れずに!
5は\(\frac{5}{1}\)と考えよう。
では、このルールで、4y=-2χ+13を『y=』の形に変形してみよう。
4yは、もともと4×yの『×』を省略した形だったね。
なので、4を消すためには、\(\frac{1}{4}\)をかけて消そう。
また、左側の項だけではなく、右側の項の全てに同じ数を掛けることも忘れずに!
右側の項は、『-2χ』と『+13』だね!このどちらにも\(\frac{1}{4}\)を掛けて、実際に計算をしていくと、
4y×\(\frac{1}{4}\)=-2χ×\(\frac{1}{4}\)+13×\(\frac{1}{4}\)
↓あとは、約分をして整理していこう。そうすると…
y=-\(\frac{1}{2}\)χ+\(\frac{13}{4}\)
となるね!
ちなみに、教科書では両辺を同じ数で割って整理する、という解き方をしているよ。
この解き方でも同じ答えになるんだけれど、計算ミスをしないようにするためにも『今回説明した逆数をかける』がおすすめだよ!
では、次の問題に進もう!
問題:\(\frac{2}{3}\)ab=8をbについて解こう。
この問題で、注意してほしいのは
abが真ん中に書かれているけれど、これは分子(上側)にくっついている
ということなんだ。書き換えると……
\(\frac{2ab}{3}\)=8
これと同じ式だということなんだ。
では、ここから解き進めていこう!
この式は、全て『×(かける)』でくっついていることに気がついたかな?
つまり
\(\frac{2}{3}\)×a×b=8
ということだよ。
『×(かける)』でくっついている時は、逆数を掛けて消す
というルールなので、b以外の逆数を考えてみよう。
\(\frac{2}{3}\)の逆数は、分数だから分子と分母をそのまま入れ替えて\(\frac{3}{2}\)となるね!
aの逆数は、分母に1が隠れていて、\(\frac{a}{1}\)と考えると逆数は、\(\frac{1}{a}\)となるね!
なので、『b=』の形に変形するには、
\(\frac{3}{2}\)と\(\frac{1}{a}\)を両辺に掛けると解くことができるよ!
\(\frac{2}{3}\)ab×\(\frac{3}{2}\)×\(\frac{1}{a}\)=8×\(\frac{3}{2}\)×\(\frac{1}{a}\)
↓あとは、約分をして整理していこう。そうすると…
b=\(\frac{12}{a}\)
さあ、ここまでできたら、難問にチャレンジしてみよう!
問題:\(\frac{2χ-4y}{3}\)=5をχについて解こう。
分数だし、分子はごちゃごちゃしていて、よくわからない……となりそうだけど、一つひとつ整理して見ていくと、解くことができるよ!
まずは、みんなが気になる \(\frac{2χ-4y}{3}\) について確認しよう。
この部分は、
\(\frac{2χ}{3}\)-\(\frac{4y}{3}\)
をまとめた形なんだ。計算する時には、このバラバラの状態にするとミスなく解くことができるよ!
あとは、解き方のルールにしたがって解き進めればOK!
\(\frac{2χ-4y}{3}\)=5
↓分数のところをバラバラにする
\(\frac{2χ}{3}\)-\(\frac{4y}{3}\)=5
↓手順①:移項する(符号を変えるのを忘れない!)
\(\frac{2χ}{3}\)=\(\frac{4y}{3}\)+5
↓手順②:『×(かける)』でくっついている数字は、逆数を掛けて消す
\(\frac{2χ}{3}\)×\(\frac{3}{2}\)=\(\frac{4y}{3}\)×\(\frac{3}{2}\)+5×\(\frac{3}{2}\)
↓約分できるところは約分をして、整理する
χ=2y+\(\frac{15}{2}\)
ちなみに答えは、 χ=\(\frac{4y+15}{2}\) のようにまとめた形でも正解だよ。
式の形を変形する問題は、ミスなく正確に解くことが重要だよ。
途中式を省略して、計算ミスをすることが無いように注意しよう!
文字式の利用の応用問題
これまで学習した内容を使って、応用問題にチャレンジしよう!
応用問題1
上の図のような、直線部分がam、半円部分の半径がrm、1周の長さが400mのコースがあります。
このとき、コース1周の長さについて
2a+2πr=400
という等式が成り立ちます。このとき、次の問に答えなさい。
(1)2a+2πr=400をaについて解きなさい。
(2)(1)で変形した式を使って、半円部分の半径が25mのときの直線部分の長さを求めなさい。
(1)aについて解く、というのは『a=』の形に変形する、ということだったね。
手順通りに解き進めれば、問題なく解くことができるよ。
2a+2πr=400
↓手順①:aがついている項以外を移項しよう。
2a=-2πr+400
↓手順②:『×(かける)』でくっついている数字は、逆数を掛けて消す
2a×\(\frac{1}{2}\)=-2πr×\(\frac{1}{2}\)+400×\(\frac{1}{2}\)
↓あとは、約分して整理すればOK!
a=-πr+200
(2)は(1)を解くことができれば、代入するだけで解くことができるよ。
今回の問題では、半径が25m、ということは、r=25ということだよ。
※ちなみに、代入とは文字と数字を交換する、と覚えておこう。
今回の問題では、rと25を交換すればOKだよ。
a=-π×r+200
↓rと25を交換しよう。
a=-π×25+200
↓あとは、整理すればOK!
a=-25π+200
式の変形を使った問題だけれど、基本をマスターしていれば解くことができる問題だよ!
応用問題2
4、6、8の和は18で、6の倍数になります。
このように、連続した3つの偶数の和は6の倍数になります。
このことを、文字を使って説明しなさい。
まずは、連続する3つの偶数を文字を使って表現しよう。
ちなみに、偶数とは2で割り切れる数、のことだよ。
具体的には、2、4、6、8、10、、、の数字が偶数なんだ。
これを参考に、3つ連続した偶数を文字を使って表現してみよう。
2 4 10
4=2+2 6=4+2 12=10+2
6=2+4 8=4+4 14=10+4
連続する3つの数は、上を参考にしてnを使って表すと
一番小さい数…2n
次の偶数…一番小さい数+2⇒2n+2
その次の偶数…一番小さい数+4⇒2n+4
と表現できるよ。
※文字式で表現することが難しい場合には、実際の例を書き出して考えるようにしよう。
使う文字を表現できたら、文字式の説明の手順で書き進めていこう。
連続した3つの偶数は、整数nを使って
2n、2n+2、2n+4
と表される。
この3つの和は、
2n+2n+2+2n+4=6n+6
=6×n+6×1
=6(n+1)
n+1は整数だから、6(n+1)は6の倍数となる。
したがって、連続した3つの偶数の和は6の倍数になる。
6の倍数は、6×□の形にすることも忘れずに!
※連続する3つの偶数について、真ん中の数を2nとして、
2n-2、2n、2n+2と表現する方法もあるよ。解きやすい方を選ぶようにしよう!
応用問題3
上の図のように、おうぎ形の半径をr、中心角をa°とすると、弧の長さℓ、面積Sは、それぞれ次のように表すことができます。
ℓ=2πr×\(\frac{a}{360}\)
S=πr2+\(\frac{a}{360}\)
この2つの式から、おうぎ形の面積Sは、
S=\(\frac{1}{2}\)ℓr
と表されることを証明しなさい。
この問題は、パズルのように式を変形して証明をする問題なんだ。
数字や文字をうまくかけて、証明したい形へ変形してみよう。
問題で与えられた ℓ=2πr×\(\frac{a}{360}\)
を変形して、証明したい S=\(\frac{1}{2}\)ℓrに近づけていこう。
証明したい式の右辺(イコールの右側)を見てみると
\(\frac{1}{2}\)ℓrとなっているね。
これは、
ℓ=2πr×\(\frac{a}{360}\)
この式に\(\frac{1}{2}\)rを掛けたら同じ形になることに気づけるかどうかがポイントだよ。
両辺に\(\frac{1}{2}\)rを掛けると
\(\frac{1}{2}\)r×ℓ=\(\frac{1}{2}\)r×2πr×\(\frac{a}{360}\)
↓これを整理すると
\(\frac{1}{2}\)ℓr=πr2+\(\frac{a}{360}\)
と変形することができるよ。
右辺に注目すると、
S=πr2+\(\frac{a}{360}\)
と同じ形になっていることに気づいたかな?
ここまできたら、あとは答えを書き進めて証明を完成させよう。
おうぎ形の弧の長さを表す式の両辺に\(\frac{1}{2}\)rを掛けると、
\(\frac{1}{2}\)r×ℓ=\(\frac{1}{2}\)r×2πr×\(\frac{a}{360}\)
\(\frac{1}{2}\)ℓr=πr2+\(\frac{a}{360}\)
と表すことができる。
右辺は、S=πr2+\(\frac{a}{360}\)と同じ形になっているので
\(\frac{1}{2}\)ℓr=S
したがって、おうぎ形の面積は、
S=\(\frac{1}{2}\)ℓr
と表すことができる。
この証明で使われた、S=\(\frac{1}{2}\)ℓrの式は、実際におうぎ形の面積を求める計算に使うことができるよ。
おうぎ形の面積=\(\frac{1}{2}\)×おうぎ形の弧の長さ×おうぎ形の半径
式もシンプルだから、計算ミスの防止にもなる便利な公式だよ!
まとめ
文字式を利用した問題は、難しいと感じる人が多いんだ。
でも、出題パターンや解き方の手順が決まっているよ。
・等式の変形の手順
≪式を変形する時の手順≫
①移項する
②『×(かける)』でくっついている数字や文字は、逆数を掛けて消す
・説明問題の説明の手順
≪説明問題の説明の手順≫
①使う文字式について説明する
②問題文にある計算をする
③問題に書かれている『〇〇になること』の形へ変形する
④式と言葉をつなげて説明を完成させる
それぞれの解き方の手順を、何度も確認をして、マスターしよう!
運営者情報
ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
とても分かりやすかったです!!