山極寿一『作られた「物語」を超えて』要約・筆者の主張・意味まとめ

中学3年国語の『作られた「物語」を超えて』について、本文の要約と、論理の展開(具体と抽象)、筆者の主張(要旨)など、定期テストで必要になるポイントをわかりやすく解説するよ。

『作られた「物語」を超えて』テスト対策ポイントまとめ

  • この文章は、筋道を立てて筆者の意見を主張する論説である。
  • 論理の展開として、ゴリラの誤解という具体例から、人間社会全体の性質という抽象的なテーマへと、具体から抽象ちゅうしょう(=具体的なものから共通の性質を抜き出すこと)へと話が広がっている。
  • 人間が作った「物語」とは、事実ではなく、自分たちに都合よく解釈して作り上げたもののこと。
  • 言葉のプラスの働きは「知識を蓄積ちくせきし、発展の道を開いたこと」。マイナスの働き(危険性)は「体験を脚色きゃくしょく(=事実をおもしろくするために手を加えること)・誇張こちょうしたり、見ていないことまで体験したかのように語ったりして、誤った常識を作ってしまうこと」
  • 筆者の主張(要旨)は、「自分勝手な解釈を避け、常識を疑い、相手の立場に置き換えて考えてみること。作られた『物語』を超えて真実を知ろうとすることが大切だ」ということ。

この文章を書いた山極寿一やまぎわじゅいちさんは、人類学者・霊長類れいちょうるい学者で、ゴリラ研究でも広く知られる人物だよ。

ゴリラの本当の姿を通して、私たち人間社会の抱える問題にまで深く切り込んでいるんだ。一緒に論理の展開を読み解いていこう!

目次

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『作られた「物語」を超えて』の基本情報と本文要約

まずは、基本的な情報と、お話全体の流れ(要約)を確認しよう。

基本情報

作者山極やまぎわ 寿一じゅいち
人類学者・霊長類れいちょうるい学者。ゴリラ研究で知られ、京都大学名誉教授。現在は総合地球環境学研究所所長。
文章の種類論説(筋道を立てて意見を述べる文章)
テーマ作られた「物語」による誤解と、その向こうにある真実を知る態度
筆者の主張(要旨)自分勝手な解釈を避け、常識を疑い、相手の立場に立って真実を知ろうとすることが、新しい世界と出会うための鍵である。
たろう
映画『キング・コング』などの影響で、私たちってなんとなく「ゴリラ=胸をたたいて暴れる凶暴な動物」って思い込んでいるよね。実はそれこそが、人間が作り上げた「物語」なんだって!
くまごろう
「物語」という言葉に「 」が付けられていることに注目!ここでの「物語」とは、桃太郎のようなおとぎ話のことではなく、「人間が勝手に作り上げた誤解や思い込み、都合のよい解釈」のことを指しているんだよ。

本文の要約

【ゴリラの「物語」と悲劇】

人間は野生動物の行動を誤解し、都合のいい「物語」を作ることがある。ゴリラはその格好の例だ。

探検家たちは、ゴリラの胸をたたく行動(ドラミング)を「戦いの宣言」だと誤解し、凶暴な怪物という「物語」を作り上げた。

その結果、多くのゴリラが殺され、動物園のおりに入れられる悲劇が起きた。

【ドラミングの本当の意味】

しかし、筆者が野生のゴリラを観察すると、ドラミングは戦いではなく、自己主張や呼びかけ、不満や誘いかけなど、気持ちを伝え合う行動であることがわかった。

【言葉の働きと人間社会の悲劇】

人間は言葉で「物語」を伝えて飛躍的に発展したが、言葉には事実を脚色きゃくしょく誇張こちょうする力もある。

誤解に基づいた「物語」は、人間社会でも民族間の紛争ふんそうなどの悲劇をもたらしている。

【筆者の主張】

誤解を解くには、相手の立場に立ち、常識を疑ってみる態度が必要だ。

動物を知るには自然を知り、人を知るには文化や社会を理解しなければならない。

さまざまな人々が行き交う現代では、自分勝手な解釈を避け、作られた「物語」を超えて真実を知ろうとすることが大切である。

【論理の展開】『作られた「物語」を超えて』の構成:具体と抽象

この文章は、筆者が論理的に意見を伝える論説だよ。テストでよく狙われるのが、具体から抽象ちゅうしょうと論理が展開しているという点なんだ。

まとまり論理の展開(具体と抽象)内容
第1〜7段落【具体例の提示】
ゴリラについての事実
探検家がドラミングを誤解し、ゴリラを凶暴だと決めつけたことで起きた悲劇と、ドラミングの本当の意味。
第8〜10段落【人間社会への一般化(抽象)】
人間の性質と社会全体の問題
人間の持つ「言葉」の性質が、誤解による「物語」を広め、人間社会(紛争など)にも悲劇をもたらしているという分析。
第11〜12段落【まとめと主張】
筆者の要旨
相手を理解するための条件と、作られた「物語」を超えて真実を知ろうとすることの大切さ。
くまごろう
「具体と抽象」ってどういうこと?
「具体」とは、目に見えてわかりやすい「ゴリラ」という一つの例のこと。そこから、もっと広くて目に見えない「人間の社会全体の性質」という「抽象ちゅうしょう」へと話のスケールを大きくして、論理の根拠(論拠)を強化し、読者を納得させるテクニックなんだ!

【テスト頻出】各段落の内容解説と筆者の主張

それでは、それぞれのまとまりごとに、テストで問われやすい重要なポイントを詳しく見ていこう。

1. 具体例:ゴリラの「物語」とドラミングの真実(第1〜7段落)

最初のまとまりでは、具体的な「ゴリラ」を例にして、作られた「物語」がどうやって生まれ、どんな結果を招いたかが説明されているよ。

テスト対策ポイント1:ゴリラの「物語」はどうやって作られた?

19世紀の探検家たちが、ゴリラの「ドラミング」という行動を「戦いを宣言している」と解釈(誤解)したことが原因だね。

その結果、ゴリラは「暴力の権化ごんげ(=ある性質が具体的な形として現れたもの)、戦い好きな怪物」という「物語」を作られてしまったんだ。

テスト対策ポイント2:「物語」がもたらした悲劇とは?

凶暴な怪物だと思い込まれたことで、多くのゴリラがハンターの標的ひょうてきになって命を落としたり、子供のゴリラを捕まえるために大人のゴリラが射殺しゃさつされたり、動物園の頑丈なおりの中に鎖でつながれたりしたことだよ。

テスト対策ポイント3:ドラミングの本当の意味は?

筆者が観察した結果、ドラミングは戦いの宣言ではなく、めったに戦いにはならないことがわかったよ。本当の意味は以下の通りだね。

  • 相手に負けないことを示す自己主張
  • 出発の呼びかけ
  • 不満
  • 遊びの誘いかけ

これらはすべて、人間が言葉で気持ちを伝え合うのと同じように、ゴリラが自分の気持ちを表したり相手に誘いかけたりするための行動だったんだ。

2. 抽象化:人間の「言葉」と社会の悲劇(第8〜10段落)

ここから話が「ゴリラ」から「人間社会全体」へと大きく広がるよ(具体から抽象へ)。

なぜ誤解に基づいた「物語」が広まってしまうのか、その原因である「言葉」の性質について書かれているよ。

テスト対策ポイント4:言葉が持つ「プラスの働き」と「マイナスの働き」

ここは重要なポイント!言葉の両面をしっかり押さえよう。テストでは対比して出題されることが多いよ。

言葉の働き内容
【プラスの働き】知識を共有・蓄積ちくせきし、新しい技術や工夫をもたらして人間が飛躍的に発展する道を開いたこと。(例:地震や火事の対処法を人から学べる)
【マイナスの働き(危険性)】自分の脚色きゃくしょく(=事実を面白く見せるために手を加えること)・誇張こちょうをしたり、実際には見ていないことまで体験したかのように語ったりして、誤った常識を作ってしまうこと。

テスト対策ポイント5:人間社会への悲劇とは?

言葉のマイナスの働きによって誤解が誇張されて社会の「常識」になってしまうと、人間同士でも悲劇が起きるんだ。

何気ないうわさ話で周りに嫌われてしまうこともあるし、言葉や文化の違う民族の間では、誤解が修復されないまま敵対意識が増幅ぞうふくし、争いや紛争につながってしまうんだね。

3. まとめ:筆者の主張・要旨(第11〜12段落)

最後のまとまりでは、このような誤解を防ぐためにはどうすればいいのか、筆者の一番伝えたいこと(要旨)がまとめられているよ。

テスト対策ポイント6:相手を理解するために必要なこと

体の仕組みが違う動物を知るには「その動物が暮らしている自然」をよく知ることが必要。

同じように、この地球に生きる人々の真実を知るためには「その人々が暮らしている文化や社会」をよく理解することが必要だと筆者は述べているよ。

テスト対策ポイント7:筆者の最終的な主張(要旨)は?

【記述問題の答えにそのまま使える!】
筆者の主張を問われたら、このフレーズを使おう。

「現代はさまざまな文化の人が国境を越えて行き交う時代である。だからこそ、自分勝手な独りよがり(=自分だけが正しいと思い込むこと)な解釈を避け、常識を疑うこと、何より自分を相手の立場に置き換えて考えてみる視点が重要になる。作られた『物語』を超えて、その向こうにある真実を知ろうとすることが新しい世界と出会うための鍵である。」

『作られた「物語」を超えて』重要語句の意味・新出漢字まとめ

本文に出てくる重要語句の意味を確認しておこう。テストの語句問題でよく出るよ!

言葉意味
権化ごんげある思想や性質が、具体的な形をとって現れたもの。「悪の権化」など。
勇壮(ゆうそう)勇ましく、力強く立派なこと。
蓄積ちくせきたくさんたくわえること。たまること。
脚色きゃくしょく事実や話に手を加えて、より印象的に伝えること。
誇張こちょう実際よりも大げさに表現すること。
増幅ぞうふく物事の程度や勢いを、さらに大きくすること。感情や敵対意識がより強くなること。
格好(かっこう)の例ちょうどいい、ふさわしい例。
好戦的(こうせんてき)戦うことが好きな様子。
ドラミングゴリラが胸を手のひらでたたく行動のこと。
悲惨(ひさん)見ていられないほど痛ましく、かわいそうな様子。
飛躍的(ひやくてき)ステップをとばすように、一気に急成長・発展する様子。
修復(しゅうふく)壊れたり悪くなったりしたものを、元通りに直すこと。
独り歩き(ひとりあるき)本来の意味から離れて、言葉やうわさだけが勝手に広がっていくこと。
継承(けいしょう)前の人のものを受け継ぐこと。
しいたげられる無理におさえつけられ、苦しめられること。
排除はいじょ取り除くこと。のけ者にすること。
独(ひと)りよがり他人の意見を聞かず、自分だけが良いと思い込んでいること。

この単元で習う重要な新出漢字だよ。読み書きできるように練習しておこう!

漢字読み方使い方・意味など
キョウ凶暴(きょうぼう)、凶悪(きょうあく)、吉凶(きっきょう)
ジュウ銃(じゅう)、拳銃(けんじゅう)
ソウ勇壮(ゆうそう)、壮大(そうだい)、悲壮(ひそう)
サン
みじ(め)
悲惨(ひさん)、大惨事(だいさんじ)、惨め(みじめ)
オウ欧米(おうべい)、西欧(せいおう)
フン
まぎ(れる)
紛争ふんそう(ふんそう)、紛失(ふんしつ)、紛れもない

まとめ

『作られた「物語」を超えて』テスト対策ポイントまとめ

  • この文章は、筋道を立てて筆者の意見を主張する論説である。
  • 論理の展開として、ゴリラの誤解という具体例から、人間社会全体の性質という抽象的なテーマへと、具体から抽象ちゅうしょう(=具体的なものから共通の性質を抜き出すこと)へと話が広がっている。
  • 人間が作った「物語」とは、事実ではなく、自分たちに都合よく解釈して作り上げたもののこと。
  • 言葉のプラスの働きは「知識を蓄積ちくせきし、発展の道を開いたこと」。マイナスの働き(危険性)は「体験を脚色きゃくしょく(=事実をおもしろくするために手を加えること)・誇張こちょうしたり、見ていないことまで体験したかのように語ったりして、誤った常識を作ってしまうこと」
  • 筆者の主張(要旨)は、「自分勝手な解釈を避け、常識を疑い、相手の立場に置き換えて考えてみること。作られた『物語』を超えて真実を知ろうとすることが大切だ」ということ。

ここまで学習できたら、ぜひ『作られた「物語」を超えて』のテスト対策練習問題とドリルに挑戦しよう!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

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