三平方の定理とは?公式の証明と問題の解き方をわかりやすく解説
中学3年生の数学で学習する「三平方の定理(ピタゴラスの定理)」の公式について、どうしてその公式・定理が成り立つのかを証明する方法をくわしく解説するよ。
三平方の定理を使った問題の解き方もていねいに紹介しているよ。
目次
直角三角形の3辺の長さについて成り立つ関係の証明
直角三角形の3辺の長さには大切な関係があるんだ。
どんな関係があるかを確かめていこう。
確かめる方法はたくさんあるんだけど3つだけ紹介するね。
直角三角形の3辺の長さについて成り立つ関係の証明①
次のような直角三角形があったとしよう。
わかりやすくするために線を引いているよ。
ここで、直角三角形の3つの辺を1辺とする正方形を作っていこう。
「直角三角形の周りにできた3つの正方形」は小さい三角形が何こ分かを数えると次の通りになるよ。
赤の正方形・・・16個
青の正方形・・・16個
緑の正方形・・・32個
→赤の正方形+青の正方形=緑の正方形になっていることがわかるね。
では、直角三角形の3辺の長さがa、b、cだとしよう。
3つの正方形の面積は
赤の正方形・・・a2
青の正方形・・・b2
緑の正方形・・・c2
になるよね。
赤の正方形+青の正方形=緑の正方形だったから、
a2+b2=c2
という関係が成り立つね。
直角三角形の長さについて成り立つ関係を見つけられたね。
他の方法でも見つけてみよう。
直角三角形の3辺の長さについて成り立つ関係の証明②
1辺が(a+b)の正方形と
1辺が c の正方形を使って考えていこう。
2つの正方形を次のように重ねてみたよ。
上の図からわかる面積
- 青の正方形全体の面積・・・(a+b)2
- 黄色の正方形の面積・・・c2
- 下に示した直角三角形1つ分の面積・・・a×b÷2=\(\frac{ab}{2}\)
これらの面積を使って、3辺の長さの関係を見つけよう。
下の図の意味はわかるかな?
青の正方形から、黄色の正方形を引いたら、赤の直角三角形4こ分になることを表しているよ。
この関係を文字で表してみよう。
青の正方形-黄色の正方形=赤の直角三角形4こ分
(a+b)2-c2=\(\frac{ab}{2}\)×4 ←直角三角形4こ分だから「×4」
(a+b)2を展開して、\(\frac{ab}{2}\)×4を計算しよう。
(a+b)2-c2=\(\frac{ab}{2}\)×4
a2+2ab+b2-c2=2ab ←両辺に2abがあるから消えるよ。
a2+b2-c2=0 ←「-c2」を右辺に移項しよう。
a2+b2=c2
さっきと同じように
a2+b2=c2
という関係が導けたね。
最後にもう1つの方法でも証明してみよう。
直角三角形の3辺の長さについて成り立つ関係の証明③
合同な直角三角形を2つ組み合わせてみよう。
次のように線を引くと、新たに直角三角形が出来上がるよ。
3つの三角形の面積と全体の台形の面積を求めよう。
上の図からわかる面積
青の直角三角形と黄色の直角三角形の面積・・・a×b÷2=\(\frac{ab}{2}\)
緑の直角三角形の面積・・・c×c÷2=\(\frac{c^2}{2}\)
全体の台形の面積は下のように求められるよ
台形の面積の公式
(上底+下底)×高さ÷2
=(a+b)×(a+b)÷2
=(a+b)2÷2
=\(\frac{(a+b)^2}{2}\)
下の図の意味はわかるかな?
青の直角三角形と黄色の直角三角形と緑の直角三角形をたしたら、茶色の台形になることを表しているよ。
この関係を文字と式で表してみよう。
青の直角三角形+黄色の直角三角形+緑の直角三角形=茶色の台形 になるから、
\(\frac{ab}{2}\)+\(\frac{ab}{2}\)+\(\frac{c^2}{2}\)=\(\frac{(a+b)^2}{2}\)
すべて分母が2になっているから、両辺を2倍しよう。
\(\frac{ab}{2}\)×2+\(\frac{ab}{2}\)×2+\(\frac{c^2}{2}\)×2=\(\frac{(a+b)^2}{2}\)×2
ab+ab+c2=(a+b)2
(a+b)2を展開して式を整理しよう。
ab+ab+c2=(a+b)2
ab+ab+c2=a2+2ab+b2
2ab+c2=a2+2ab+b2 ←両辺に「2ab」があるから消すよ。
c2=a2+b2
さっきと同じように
a2+b2=c2
という関係が導けたね。
三平方の定理
直角三角形の3辺の長さについて成り立つ関係を3パターンで証明してきたね。
直角三角形の3辺の長さをa、b、cとすると
a2+b2=c2
という関係が成り立つよ。これを「三平方の定理」というんだ。
名前からしてなんとなくイメージできないかな?
「三」っていうのは、「3辺」のこと
「平方」っていうのは、「2乗」のこと
だから、3辺の2乗の性質ってことだね。
ちなみにだけど、「四平方の定理」っていうのもあるんだよ。
「四」だから、「4辺」になるんだよ。
イメージ 〇2=△2+◇2+▽2
三平方の定理
- 直角三角形の3辺の長さをa、b、cとすると
a2+b2=c2 - ギリシャの数学者ピタゴラスにちなんで、「ピタゴラスの定理」とも言われている(ピタゴラスが発見したかは定かではない)
三平方の定理を覚えることは簡単だよね。
テストでもこの定理を使った問題が出るので、次の練習問題にチャレンジしてできるようにしておこう。
三平方の定理を使った問題
次の直角三角形でxの長さを求めなさい。
三平方の定理a2+b2=c2に数字や文字を当てはめて
42+32=x2
2乗の計算をしてxを求めよう。
42+32=x2
16+9=x2
25=x2
x2=25
x=-5、+5
長さにマイナスはないから、xの長さは5と求めることができるよ。
直角三角形の場合、2辺がわかったら残りの1辺が求められるというすごい性質なんだよ。
三平方の定理a2+b2=c2に数字や文字を当てはめて
52+22=x2
2乗の計算をしてxを求めよう。
52+22=x2
25+4=x2
29=x2
x2=29
2乗して29になる整数はないから、ルートを使って表そう。
x2=29
x=-\(\sqrt{29}\)、\(\sqrt{29}\)
長さにマイナスはないから、xの長さは\(\sqrt{29}\)と求めることができるよ。
今までは斜辺がxだったんだけど、今度は違う辺がxになっているよ。ただやることは同じだよ。
三平方の定理a2+b2=c2に数字や文字を当てはめて
52+x2=72
2乗の計算をしてxを求めよう。
52+x2=72
25+x2=49
x2=49-25
x2=24
x=±\(\sqrt{24}\)
x=±2\(\sqrt{6}\)
長さにマイナスはないから、xの長さは2\(\sqrt{6}\)と求めることができるよ。
三平方の定理の問題の解き方
- 直角三角形の3辺の長さをa、b、cとして、
a2+b2=c2に当てはめる - cは直角三角形の斜辺になる
三平方の定理は直角三角形にしか使えないから、他の三角形で使ったりしないようにしようね。
三平方の定理(ピタゴラスの定理)まとめ
三平方の定理
- 直角三角形の3辺の長さをa、b、cとすると
a2+b2=c2 - ギリシャの数学者ピタゴラスにちなんで、「ピタゴラスの定理」とも言われている(ピタゴラスが発見したかは定かではない)
三平方の定理の問題の解き方
- 直角三角形の3辺の長さをa、b、cとして、
a2+b2=c2に当てはめる - cは直角三角形の斜辺になる
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ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。