文字式の利用(数の表し方)等式・不等式とは?わかりやすく解説
中学1年の数学で学習する「文字式の利用」について、数の表し方と、どうしてその表し方ができるのかをわかりやすく解説するよ。
等式・不等式とは何か、どうやって数量の間の関係を表すのかをくわしく説明するよ。
目次
数の表し方
「文字式の利用」って、言葉だけだとなんのことかピンとこないよね。
中学数学に入ると、aとかxとかいろんな文字を使う「文字式」を学習したよね。
その「文字式」を利用して、いろいろ出来るようになろう、というのがこの単元「文字式の利用」だよ。
今回は文字を使って、「3の倍数」や「奇数」や「偶数」といった数字を表す方法を学習するよ。
文字を使って数字を表すってどういうこと?
先に答えを言ってしまうと、次の通りになるよ。
整数をnとすると、数字は次のように表すことができる
- 3の倍数は「3n」と表せる
- 偶数は「2n」と表せる
- 奇数は「2n+1」や「2n-1」と表せる
この3つをそのまま覚えてしまってもいいけれど、なんでこうなるかを考えることで理解が深まるよ。
3の倍数は「3n」と表せる
まず3の倍数がどんな数かを考えよう。3の倍数の例をあげると、
3、6、9、12、・・・
だよね。
3、6、9、12って、こんな感じで、別の書き方でも表すことができるよね?
3=3×1
6=3×2
9=3×3
12=3×4
つまり、
3の倍数=3×(整数)って書き方でも表すことができるよね。
3の倍数のことは、「3×整数」と表すことができることがわかったね。
数学では、整数のことを表すのに、一般的に「n」という文字を使うんだ。
「n」は、数字(number)の頭文字の「n」だよ。
そうすると、
3の倍数=3×(整数)は
3×nになって、文字式のルールで×(かける)は省略するので、
=3n
と、表せるというわけなんだ。
偶数は「2n」と表すことができる
まず、偶数って「2で割り切れる数」のことなんだから、つまり「2の倍数」だよね。
だから、3の倍数のときと、同じような感じで、2の倍数(偶数)を考えよう。
2の倍数(偶数)ってどんな数か例をあげると、
2、4、6、8、10、・・・だよね?
2、4、6、8、10ってこんな感じで別の書き方でも表すことができるよね?
2=2×1
4=2×2
6=2×3
8=2×4
2の倍数=2×(整数)って表現できるよね。
3の倍数のときと同じように、「整数n」を使うと
2の倍数=2×(整数)
=2×n
=2n
と表せるよ。
奇数は「2n+1」や「2n-1」と表すことができる
奇数ってどんな数かを例をあげると、
1、3、5、7、・・・だよね。
偶数と奇数は、かわりばんこに並んでいるので、奇数はかならず偶数より1少ないか、偶数より1多くなっているよね。
ということは、奇数って次のように表せることがわかるかな?
- 奇数=偶数+1
- 奇数=偶数-1
当たり前だね。偶数に1を足したり、1引いたりしたら奇数になるよね。
そうすると、さっき説明したように、「偶数」は「2n」と表すことができるんだったから、奇数のことは次のように表すことができるんだ。
- 2n+1
- 2n-1
2つあるんだけれど、どちらでも好きなほうを使ってOK。
それでは、ちょっと練習問題を考えてみて、より深く理解できるようにしよう!
【問題】どんな数を表しているでしょうか?
整数をnとしたとき、次の数はどんな数を表しているかな?
(1)5n
答えは「5の倍数」だよ。なんでかというと、5nって5×nのことだからね。
確かめるために、実際に「n」に整数を入れてみよう。
n=1だったら5×1=5
n=2だったら5×2=10
n=3だったら5×3=15
5、10、15って5の倍数だよね。だから、5nは5の倍数を表すよ。
(2)9n
答えは「9の倍数」だよ。なんでかというと、9nって9×nのことだから。実際に「n」に整数を入れてみよう。
n=1だったら9×1=9
n=2だったら9×2=18
n=3だったら9×3=27
9、18、27って9の倍数だよね。だから、9nは9の倍数を表すよ。
文字式を利用して整数の性質をあらわそう
さっき説明した「文字式を利用して数を表す方法」は次の3つだったよね。
整数をnとすると次のように表すことができる
- 3の倍数は「3n」
- 偶数は「2n」
- 奇数は「2n+1」や「2n-1」
これらの方法を利用して、今度は「整数の性質」を表してみよう。
「整数の性質をあらわす」というのはどういうことかというと、「○○な数は、どんな数になるか」を説明するということだよ。
考えてみてもらいたい問題は下の問題だよ。
問1
2つの続いた整数の和はどんな数になるか?
2つの続いた整数っていうと、たとえば次のような数だよね。
1と2
2と3
5と6
10と11
その和はどうなるかというと、実際に計算してみるとこうなるよ。
1+2=3
2+3=5
5+6=11
10+11=21
3、5、11、21を見てなにか気づいたかな?
全部奇数になっているね!
そう、2つの続いた整数の和は奇数になる性質があるんだ!
これが、「〇〇な数はどんな数か」ということだね。「2つの続いた整数の和は奇数」ということ。これが「整数の性質」。
今回学習するのは、この「整数の性質」を、文字式を使って表そう、ということだったね。
整数の性質を文字式を使ってあらわすには、「なんでそうなるか?」を文字を使って考えてみればいいんだよ。
問2
2つの続いた整数の和は奇数になることを文字で考えてみよう。
2つの続いた整数の和が奇数になることを説明してみよう。次の2つのステップに分けて説明するね。
①2つの続いた整数を文字「n」であらわそう。
例えば、3と4っていう「2つの続いた整数」で考えてみよう。
3と4ってこんな風に言い換えられるよね。
「3と、3+1」
なぜなら、2つ整数は続いているんだから、小さい方の整数に1を足せば、もうひとつの整数になるよね。
なので、小さい方の3に1を足したら大きい方の4になるよね。
だから、「3と、3+1」と表すことができるんだね。
じゃあ、ここに整数を表す「n」を使ってみよう。
2つあるうち、小さい方をnってすると、大きい方はn+1になるよね。
②2つの和を考えよう。
「2つの続いた整数の和」がどんな数かをもとめるんだから、この2つの整数の和を考えてみるよ。
小さい方の数がn、大きい方の数がn+1だから、
その和は
n+(n+1)
=n+n+1
=2n+1
になるね。
ここで、2n+1ってどんな数だったかというと、そう、「奇数」だったよね。
だから、2つの続いた整数の和は奇数になるんだよ。
「○○な整数は✖✖な数になる」という整数の性質を、どうしてそうなるのか、文字式を使って説明することができたね。
数量の間の関係の表し方
「数量の間の関係」なんて言葉を急に言われても、頭に「?」が浮かぶ人が多いと思うから、中学校レベルの問題の前に、小学校の問題を紹介するよ。
りんご3個がありました。4個買いました。合わせると7個になります。この数量の関係を表しなさい。
答えは、
3+4=7
これが小学生レベルの問題だよ。
「数量の関係」というのは、それぞれの数量の間に、「関係がある」ということ。
「3+4」と、「7」は、「おんなじ」という関係だよね。
「3+4」と、「6」だったらどう?
ことばで関係を説明するなら、「3+4」は、「6」よりも大きくなる、とかかな。
これから学習するのは、こういった数量の関係を、文字やいろいろな記号で説明するようにしよう、ということなんだ。
小学生と中学生の違い
- 文字が登場する
- 「=」だけでなく「<、≦、>、≧」が登場する。
ちなみにこの「=(イコール)」のことは「等号」と呼ぶよ。
そして、「=(イコール)」で結ばれた式のことを「等式」っていうよ。
「等号」の「等」は、「等しい」という意味だよね。
つまり、「おんなじ」ということを表す記号と、式ということだね。
中学生になると「等号」を使った「等式」だけではなく、
不等号「<」「>」を使った「不等式」というのを勉強するようになるんだ。
等式と不等式を順番に紹介していくね。
等式とは
等式っていうのは、数や文字、式などが等号「=」で結ばれた式のことだよ。
例えば、こういうのを等式っていうよ。
・50x+30=930
・4x=3y
「=」で結ばれた式を等式というんだね。
じゃあ、等式を作る練習をしていこう。
(1)120円のリンゴx個と180円のバナナ1個を買ったら1000円になった。
①120円のリンゴx個だから、リンゴだけで120x円
②リンゴx個の値段120x円とバナナ180円の値段を足したら120x+180円になる
③120x+180が1000円になるから
120x+180=1000
という等式が完成するよ。
「右辺」と「左辺」とは
ここで、ひとつ新しく登場することばがあるよ。それは「右辺」と「左辺」。
等式の、「=(イコール)」の右側のことを、「右辺」、左側のことを「左辺」と呼ぶんだ。
たとえば、この等式の場合、「=(イコール)」の右側にある、1000が「右辺」だね。
「=(イコール)」の左側にある、120x+180が「左辺」だよ。
(2)1冊x円のノート3冊と、60円の鉛筆1本を買ったとき、代金の合計は120円だった。
①1冊x円のノート3冊だから、3x円
②ノート3冊の値段3xと鉛筆60円の値段を足したら3x+60になる
③3x+60が120になるから
3x+60=120
という等式が完成するよ。
右辺は「120」
左辺は「3x+60」だね。
(3)120円のカレーパンx個と200円の牛乳を買ったときの代金は160円のコロッケパンy個を買ったときの代金と等しい。
①120円のカレーパンx個だから、120x円
②カレーパンx個の値段120x円と200円の牛乳の代金を足したら120x+200になる
③160円のコロッケパンy個だから、160y円
④120x+200が160yになるから
120x+200=160y
という等式が完成するよ。
右辺は「160y」
左辺は「120x+200」だね。
不等式とは
数の大小関係を示す「不等号」(>・<・≧・≦)を使って表した式のことを不等式という
不等号の確認をしよう!
不等号は大きい方に開くんだったよね。
たとえば、「5は3よりも大きい」ことを表すには、「3<5」というように使うんだったね。
では、「<」と「≦」はなにが違うんだろう?
ポイントは「その数を含むかどうか」だよ。
(例)太郎の身長を「x」だとして、x<100 と x≦100の違いを考えよう(単位cm)
①x<100だと「xは100より小さい」「100未満」
100は入らないということだね。
「太郎の身長は100cmより小さい」から、100cmということはなくなるよ。
②x≦100だと「xは100以下」
この場合は、100も入るんだ。
太郎の身長は100以下だから、100cmということもありえるね。
不等号の確認が終わったところで、不等号を使った「不等式」で表す練習をしていこう。
(1)1本a円の鉛筆3本と1個b円の消しゴム2個の代金の合計は300円より高かった。
①1本a円の鉛筆3本だから3a円
②1個b円の消しゴム2個だから2b円
③代金の合計は3a+2b円になる。
④代金の合計が300円より高いので
3a+2bが300より大きい。
つまり
3a+2b>300
となるよ。
(2)長さxmのテープを5等分したら、1本分の長さは3m以下になった。
①長さxmのテープを5等分すると1本分はx÷5=\(\frac{a}{5}\)mになる
②1本分の長さが3m以下なので
\(\frac{a}{5}\)は3以下
つまり
\(\frac{a}{5}\)≦3
となるよ。
まとめ
「等式」や「不等式」とは何かわかったかな。
等式で表すことは、このあと学習する方程式でも使う知識だよ。だから、今のうちに完璧にしておこう。
今回のポイントを下にまとめたよ。
今回のポイントまとめ
- 整数をnとすると、3の倍数は3n、偶数は2n、奇数は2n+1や2n-1と表す
- 等号で結ばれた式を等式と呼ぶ
- 等式の「=」の右側を「右辺」と呼ぶ。「=」の左側を「左辺」と呼ぶ。
- 不等号を使って表された式を不等式と呼ぶ。
- 「100<」は100未満なので、100は入らない。「≦100」は、「100以下」なので、100が入る。
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ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。