いろいろな方程式(小数・かっこ・分母を払う方程式)の解き方とは

中学1年生の数学で学習する「いろいろな方程式の解き方」について、

  • かっこ( )をふくむ方程式の解き方
  • 小数をふくむ方程式の解き方
  • 分数をふくむ方程式の解き方

を解説。分母を払うやり方など、くわしく説明していくよ。

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いろいろな方程式 (小数・かっこ・分母を払う方程式)の解き方

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目次

かっこ( )をふくむ方程式の解き方

かっこ( )をふくむ方程式は、たとえばこんなパターンの問題で出てくるよ。

2(x-5)+1=7

難しそうに感じるかもしれないけど、ポイントは落ち着いて「かっこを外す」だけだね。

上の方程式の2(x-5)に注目しよう。

分配法則を使うと

 2(x-5)
=2×x+2×(-5)
=2x-10

になるよね。

じゃあ、分配法則ができたところで2(x-5)+1=7の方程式を解いていこう。

2(x-5)+1=7   ←分配法則を使って、かっこ( )を外すよ。
2x-10 +1=7   ←計算できるところは計算しよう
2x -9   =7   ←文字の項は左辺に、数字の項は右辺に移項
2x      =7+9
2x      =16  ←両辺を2で割ろう。
2x ÷2   =16÷2
 x      =8

なんか計算が長いな~と感じるかもしれないけど、慣れたら4行くらいでできるようになると思うよ。

じゃあ、もう少し慣れるために練習問題に挑戦しよう。

かっこ( )を含む方程式の練習問題

(問)方程式4x-7(x+2)=-5を解きなさい。

4x-7(x+2)=-5      ←分配法則を使って、かっこ( )を外そう
4x-7x-14 =-5      ←計算できるところは計算しよう
 -3x -14 =-5      ←数字の項は右辺に移項
 -3x     =-5+14
 -3x     =9       ←両辺を3で割ろう
 -3x ÷ 3 =9 ÷3
 -x      =3       ←両辺に(-1)をかけよう
 -x ×(-1)=3 ×(-1)
  x      =-3

ちょっとワンポイント

方程式を解いていると、「-x=3」みたいな形になることがあるよ。求めたいのは「x=」だから「-(マイナス)」がじゃまだよね。

そんな時は両辺に(-1)をかけることを覚えておこう。
-x     =3
-x×(-1)=3×(-1)
 x     =-3
となって、「x」が求まるよ。

かっこ( )をふくむ方程式の注意点

かっこ( )をふくむ方程式を解くポイントは、「かっこ( )を外すこと」なんだけど、注意しなくてはいけないことがあるよ。

それは分配法則での計算ミス

2x-3(x-1)=4の左辺に注目してみよう。

左辺を正しく計算すると次のようになるよ。

 2x-3(x-1)
=2x-3x+3

じゃあ、間違いの例を2つ紹介するね。

分配法則での計算ミスの例

  • ①「-3」を「x」にかけただけになって、「-1」にかけていない。
      2x-3(x-1)
      =2x-3x-1    
  • ②「-3」と「-1」をかけるので「+(プラス)」になるのに、
     -3にしてしまう。

      2x-3(x-1)
      =2x-3x-3

かっこ( )をふくむ方程式のミスのほとんどは、分配法則が正しくできていないところにあるんだよ。

だから、慎重にかっこ( )を外してから、方程式を解いていこうね。

小数をふくむ方程式の解き方

小数をふくむ方程式の解き方のポイントは「小数を整数にするために、両辺を10倍や100倍すること」

例えば、0.1を整数にするためには10倍したらいいよね。

同じように、0.01を整数にするためには100倍したらいいよね。

方程式も同じ考えでできるから、小数を含む方程式は簡単だよ。

(例1)0.4x+2=0.3x

0.4と0.3は小数だから、整数にするために両辺を10倍するよ。

 0.4x   +2   =0.3x   ←すべての項を10倍しよう。
 0.4x×10+2×10=0.3x×10
 4x   +20    =3x     ←文字の項は左辺に数字の項は右辺に移項
 4x   -3x    =-20
        x    =-20

(例2)0.25x=0.2x-0.1

0.25と0.2と0.1が小数だから、さっきの問題と同じように、整数にするために両辺にある数をかけるんだけど、この問題の場合では「いくつをかければいいのか」わかるかな?

「10をかけて10倍にする」と考えた人は要注意。
10倍しただけだと、0.25が2.5になるだけで、まだ小数のままになってしまうね。

答えは、両辺を100倍するんだ。
100倍だったら、0.25も0.2も0.1も整数になるよね。
つまり、式の中に小数点第何位まであるかを確認して、それに合わせて10倍するのか、100倍するのか、もしくは1000倍するのかを決めればいいね。

 0.25x     =0.2x    -0.1   ←すべての項を100倍しよう。
 0.25x×100 =0.2x×100-0.1×100
 25x     =20x   -10  ←文字の項は左辺に、数字の項は右辺に移項
 25x-20x =      -10
  5x     =      -10
  5x÷5   =      -10÷5  ←両辺を5で割ろう
   x     =   -2

小数をふくむ方程式の注意点

小数をふくむ方程式の注意点は、「すべての項」に10や100をかけるということ。

例えば、方程式0.4x+2=0.3xについて間違いやすいことを確認してみよう。

正しく計算すると、次の通りになるよね。

 0.4x   +2     =0.3x
 0.4x×10+2×10=0.3x×10

では、間違いの例を紹介するね。

小数をふくむ方程式の間違いの例

 0.4x   +2     =0.3x
 0.4x×10+2   =0.3x×10

どこが間違っているかわかるなかな?

方程式では、すべての項を10倍しなくてはいけないよね。
なのに、「2」が10倍されていないままになってしまっているよね。

これはよくある間違いなんだ。
「小数を整数にすればいい」って考えていると、整数も10倍することを忘れてしまうことがあるよ。

だから、「すべての項を10倍する」と覚えておこうね。

分数をふくむ方程式の解き方

中学1年生で学習する方程式の中でもっともやっかいなのが、分数をふくむ方程式なんだ。難しいので、ていねいに説明していくね。

分数をふくむ方程式を解くときのポイントは「分母を払う」ということ。
これさえできてしまえば、あとは今までと一緒なので安心してね。

では、「分母を払う」とは一体どういうことかを見ていこう。

「分母を払う」とは

分母を払うとは「等式の両辺に同じ数をかけて分母をなくすこと」だよ。

イメージはこんな感じだよ。

分母の払い方を説明する画像

では、実際にできるように練習してみよう。

分母を払う練習①

①\(\frac{1}{3}\)の分母3をなくすには何倍したらいいだろう?

「3」倍すれば、\(\frac{1}{3}\)×3=1で分母がなくなるよ。

②\(\frac{2}{5}\)の分母5をなくすには何倍したらいいだろう?

「5」倍すれば、\(\frac{2}{5}\)×5=2で分母がなくなるね。

たろうたろう

ということは、分母の数をかけたらよいのかな?

分数がひとつだけだったら、そのイメージでよいかもしれないね。
でも、分数が2つ以上だったらどうだろう? 

分母を払う練習

①\(\frac{1}{3}\)x=\(\frac{1}{4}\)の分母「3」と「4」をなくすには何倍したらいい?

→両方の分母をなくさなくてはいけないよ。だから、「3」をかけてもだめだし、「4」をかけてもだめだよね。

答えは「12」

\(\frac{1}{3}\)x   =\(\frac{1}{4}\)

\(\frac{1}{3}\)x×12=\(\frac{1}{4}\)×12

4x   =3

になって、分母がなくなっているよね。      

くまごろうくまごろう

2つ以上の分数の場合は、分母の最小公倍数をかけたら、分母を払えるよ。

 

分母を払う練習

次の方程式の分母を払うためには何倍すればよいだろう?

①\(\frac{1}{5}\)x=\(\frac{1}{2}\)

分母「5」と「2」の最小公倍数は「10」だから、10倍

②\(\frac{2}{7}\)x=\(\frac{1}{2}\)

分母「7」と「2」の最小公倍数は「14」だから、14倍

①\(\frac{1}{5}\)x=\(\frac{1}{2}\)+\(\frac{1}{3}\)

分母「5」と「2」と「3」の最小公倍数は「30」だから、30倍

では、実際に分母を払う方程式を解いていこう。

分数をふくむ方程式を解く練習

分数をふくむ方程式を解いていこう。ポイントは分母を払うことだったね。

例えば、次の問題を考えてみよう。

(問1)方程式\(\frac{5}{6}\)x-2=\(\frac{1}{3}\)xを解きなさい。

分母を払うために、分母の最小公倍数をかけよう。この方程式の場合、分母は「6」と「3」だから最小公倍数は「6」だよね。

\(\frac{5}{6}\)x  -2  =\(\frac{1}{3}\)x    ←分母を払うために最小公倍数「6」をかける。

\(\frac{5}{6}\)x×6-2×6=\(\frac{1}{3}\)x×6  

5x  -12 =2x

5x   -2x+12

3x      =+12

3x÷3    =+12÷3

 x      =4

(問2)方程式\(\frac{1}{2}\)x=\(\frac{2}{5}\)x-1を解きましょう。

分母を払うために、分母の最小公倍数をかけよう。この方程式の場合、分母は「2」と「5」だから最小公倍数は「10」だよね。

\(\frac{1}{2}\)x   =\(\frac{2}{5}\)x   -1     ←分母を払うために最小公倍数「10」をかける。

\(\frac{1}{2}\)x×10=\(\frac{2}{5}\)x×10-1×10

5x    =4x        -10

5x -4x =          -10

 x     =          -10 

分数をふくむ方程式の注意点

分数をふくむ方程式の注意点は、「すべての項に最小公倍数をかける」ということ。
小数の時とおなじだね。

例えば、方程式\(\frac{5}{6}\)x-2=\(\frac{1}{3}\)xについて間違いやすいことを確認してみよう。

正しく計算すると、次の通りになるよ。

 \(\frac{5}{6}\)x   -2 =\(\frac{1}{3}\)x
 \(\frac{5}{6}\)x×6-2×6=\(\frac{1}{3}\)x×6

では、間違いの例を紹介するね。

分数をふくむ方程式の間違いの例

  \(\frac{5}{6}\)x -2=\(\frac{1}{3}\)x
 \(\frac{5}{6}\)x×6-2=\(\frac{1}{3}\)x×6

どこが間違っているかわかるかな?

方程式では、すべての項を6倍しなくてはいけないよ。なのに、「2」が6倍されていないよね。

小数と同じで、分数をふくむ方程式でもよくある間違いなんだ。分母を払えばいいって考えてやると、どうしても整数にもかけることを忘れてしまうんだ。

だから、「すべての項に最小公倍数をかける」と覚えておこうね。

まとめ

かっこ( )や小数や分数をふくむ方程式の解き方はわかったかな?

いろいろな方程式を解くためのポイントを下にまとめるよ。

いろいろな方程式を解くためのポイント

  • かっこ( )をふくむ方程式はかっこ( )をはずす
     ※分配法則のミスに気を付けよう!
  • 小数をふくむ方程式は、両辺を10倍・100倍して整数にする。
     ※すべての項を10倍・100倍したか確認しよう!
  • 分数をふくむ方程式は、分母を払うために、分母の最小公倍数を両辺にかける。
    ※すべての項に最小公倍数をかけたか確認しよう!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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