一次式の加法・減法・乗法・除法の解き方を解説(項と係数とは)
中学1年の数学で学習する「一次式」について、「項」とは何か、「係数」とは何か、一次式の加法と減法のやり方と注意点、乗法・除法の解き方を実際に例題を使って解説するよ。
目次
項とは
項とは+で結ばれた数のこと
「+で結ばれた数」なんて言われても、ピンとこないよね。
実際に、式を例に説明するよ。
【例1】
3+4x
この式の項は「3」と「4x」だよ。
【例2】
2x+3
この式の項は「2x」と「3」だよ。
【例3】
4x+1
この式の項は「4x」と「1」だよ。
たしかに、教科書の説明どおり、それぞれ「+で結ばれた数」だね。
「なんだ、項を見つけるのなんてカンタンじゃん」と思った人もいるんじゃないかな?
では、たとえば次の場合はどうだろう。
項で間違えやすい問題
次の式の項は何になるかな?
7x-2y
7xと2yじゃないの?
それは間違いなんだ。
だって、項は「+で結ばれた数」のことだったよね。
この式は、「-(マイナス)」で結ばれていて、「+(たす)」で結ばれていないから、項ではないんだ。
でも、項を探さなきゃいけないよね。
なので、この式をちょっとアレンジして、項がある状態にするよ。
項は、「+で結ばれた」ものなんだから、この式を「-(マイナス)」ではなく「+(プラス)」で結びなおせばいいんだよ。
次のように式をアレンジすれば、「+で結ばれている」状態にすることができるよ。
7x -2y
=7x+(-2y)
何が起きたかわからない!と思ったら読もう
たとえば「7-2」を考えてみよう。
答えは5だね。
7ー2って、「7」から「2を引く」とも考えられるけれど、「7」に「-2を足す」という風に考えることもできるよね。
たとえるなら、カードゲーム。プラスポイントのカードと、マイナスポイントのカードがあって、配られたカードの合計ポイントで勝負するとゲームがあるとしよう。
もしそのゲームをしていて、「プラス7」と、「プラス2」のカードがあったのに、「プラス2」のカードを相手に取られちゃったら、ポイントはどうなる?
そう、「7-2=5ポイント」になるよね。
では、「プラス7」のカードを持っていたところに、もう一枚カードを受け取ったら「マイナス2」のカードだったらポイントはどうなる?
そう、「7-2=5ポイント」という計算をするよね。
これって、つまりは「7+(-2)」をしているんだよ。だって、「-2」のカードを「加えて」いるでしょ。
「プラスの数を引く(7-2)」と、「マイナスの数を足す(7+(-2)」は答えが一緒になるね。
なので、項を作り出すために、式をアレンジすることができるんだよ。
7x-2y
=7x+(-2y)
という形にできたら、もう項を見つけるのはカンタンだね。
「プラスで結ばれた数」を探せばいいんだから。
項は「7x」と「-2y」ということがわかるね。
「-」で結ばれているときには、式をアレンジする必要があるから要注意だね。
係数とは
係数とは、文字に係っている(かけられている)数字のことだよ。
「係」という漢字は、糸で結びついている様子を表しているんだ。
「項」は、その場(式の中)に一緒にいる別々の家族だったとしたら、
「係数」は結婚して家族になっているイメージかな。
例えば、
3xだったら、係数は3。
-2yだったら、係数は-2。
という感じ。項よりもわかりやすいね。
じゃあ、少しレベルアップしてみよう。
係数で間違えやすい問題
係数で間違えやすい問題を3問紹介するね。
①xの係数は?
②-yの係数は?
③\(\frac{x}{3}\)の係数は?
文字に係っている数字が係数だったよね。
①は・・・「あれ?数字なんてないよ」と思う人もいるんじゃないかな?
だけど「x」は丁寧に書くと「1x」のことだったね。
だから係数は「1」になるよ。
同じように②を考えてみよう。「-y」を丁寧に書くと「-1y」だから、係数は「-1」だね。
じゃあ、③の分数の場合はどうなるのかな?
\(\frac{x}{3}\)も同じように、丁寧に書くと\(\frac{1x}{3}\)だから、係数は\(\frac{1}{3}\)だよ。
項と係数を組み合わせた問題
「項と係数、両方求めてみよう」という問題を紹介するね。
【例1】x-3yの項と係数を求めよう。
「-」で結ばれているから注意が必要だったね。
まず
x-3y
=x+(-3y)
という形にすると、項は「x」と「-3y」であることがわかるよね。
係数は、文字にかけられている数だから、
「x」の係数は「1」
「-3y」の係数は「-3」
だね。
一次式とは
一次式とは、次のどちらかを満たしている式のこと。
①「一次の項」だけの式(例:2x、3y)
②「一次の項」と「数の項」の和(例:5x-2、-4x+2)
1年生で勉強する一次式とは何だろう?
ひとことで説明すると、「文字が1つだけかけられている式」のことだよ。
一次式があるなら・・・そう、文字が2つかけられている二次式とか、文字が3つかけられている三次式もあるよ。
中学2年生で二次式、高校生で三次式を学習するよ。
教科書に書いてある「一次の項」とは何かというと、
「2x」や「3y」のように文字が1つだけの項のことなんだ。
「数の項」とはなにかというと、そのまま「数字だけの項」のこと。
さっきの「一次式の条件」をもう一度確認してみるよ。
①「一次の項」だけの式(例:2x、3y)
②「一次の項」と「数の項」の和(例:5x-2、-4x+2)
①は、文字が1つだけの「一次の項」だけの式なら、文字は1つしかかけられていないからセーフだね。
②ももちろん、一次の項と、数の項だけの式なら、文字は1つしかかけられていないからセーフだね、
一次式に関する問題
次のうちで一次式はどれですか?
ア:-8x
イ:x2+1
ウ:2a+8
エ:\(\frac{2}{5}\)a-2
オ:xy+4
【解答】
ア・ウ・エ
【解説】
イは「x2」という項があるので、二次式になるよ。
オも、「xとy」の2つの文字がかけられているので、二次式になるよ。
※x+y+4だったら一次式だけどね。
一次式の加法と減法
ここまでで、一次式とはどんな式かがわかったかな?
それでは、実際に一次式の加法や減法の計算をしてみよう。
まず次の問題を考えてみよう。
2a+3a
先に答えを言ってしまうと
2a+3a=5a
なんで2a+3a=5aになるの?
2a+3a=5aになる理由
図形を使って①~③の順に考えてみよう。
①2aってa×2だよね。
たとえば、「縦がa」で「横が2」の長方形の面積は「2a」ということになるよね。
②3aってa×3だよね。
たとえば、「縦がa」で「横が3」の長方形の面積は「3a」ということになるよね。
③2a+3aは2つの長方形の面積を足したらいいよね。そうすると、下の図のように、縦aで横が2+3=5の長方形になるから、面積はa×5=5aだね。
2a+3a=5aになることが説明できるね。
同じように計算してみよう。
【例1】3x+4x=(3+4)x=7x
【例2】7a+3a=(7+3)a=10a
文字の前の係数を足せばいいんだね。
2a+3bや2a+3は計算できない
さっき2a+3a=5aになることはわかったんだけど、次の計算はどうなるだろうか?
2a+3b
答えは「これ以上計算できない」だよ。
なんで計算できないの?
2a+3bが計算できない理由
さっきは2aと3aで縦の長さが両方ともaの長方形だったけど、2a+3bは縦の長さがaとbでバラバラだから、面積を合計することできないよね。
同じ理由で2a+3も計算できないよ。
一次式の加法と減法のポイント
一次式の加法と減法のポイントは次の通りだよ。これだけはしっかり頭にいれておこう。
一次式の加法と減法のポイント
同じ文字の前の係数を足し算・引き算すればよい。
2x+4x=(2+4)x=6x
7x-3x=(7-3)x=4x
文字の部分が同じ項だけが足し算・引き算できる。
2x+4x +3
=(2+4)x +3
= 6 x +3
※文字の部分が同じ項のことを「同類項」っていうよ。
一次式の加法と減法の計算練習
次の問題に挑戦してみよう。
(1)4x+7+5x-6
=4x+5x+7-6
=(4+5)x+1
=9x+1
(2)-3a+1-2a-3
=-3a-2a+1-3
=(-3-2)a-2
=-5a-2
できたかな?じゃあ次は( )がある計算に挑戦だ!
( )+( )の場合は( )の中身をそのまま書くだけでいいよ。
(3)(2x+3)+(-2x+4)
=2x+3-2x+4 ←「+」を省くだけ
=2x-2x+3+4
=(2-2)x+7
=0x+7←0x=0
=7
( )-( )の場合は「+」に変えて考えよう。
(4)(2x+3)-(-2x+4)
=(2x+3)+(+2x-4)
※「-」を「+」に変えたら、後ろの符号が変わるよ。
=2x+3+2x-4
=2x+2x+3-4
=(2+2)x-1
=4x-1
一次式の乗法と除法
一次式の乗法と除法は簡単だよ。ポイントは「数字同士、文字同士かけたり、割ったりする」だけ。
(例1)4a×3=12a
(例2)8x÷(-2)=-4x
(例3)4x÷(-\(\frac{2}{3}\))
=4x×(-\(\frac{3}{2}\))
=-6
分配法則を使った問題
一次式の乗法は簡単なんだけど、分配法則がかかわってくると難易度がアップするよ。
例えば次の問題を考えてみよう。
【例】2(x+3)
2(x+3)は、丁寧に書いたら2×(x+3)だよね。
これを図形で考えると、縦が「2」で横が「(x+3)」の長方形の面積を求めることと同じ計算になるね。
下の図を見てわかるように、面積は「2×x」+「2×3」になるよ。
さっきの分配法則の式と比べてみると、同じだということがわかるね。
2(x+3)
=2×x+2×3
=2x+6
一次式の問題例
一次式の問題に挑戦してみよう。
一次式の基本問題
(1)2x+3-5x+2
=2x-5x+3+2
=(2-5)x+3+2
=-3x+5
(2)(-2x+1)+(x+1)
=-2x+1+x+1
=-2x+x+1+1
=(-2+1)x+1+1
=-x+2
(3)(-2x+1)-(x+1)
=(-2x+1)+(-x-1)←「-」を「+」にすると符号が変わる
=-2x+1-x-1
=-2x-x+1-1
=(-2-1)x+1-1
=-3x
(4)3x×(-4)
=-12x
(5)-3x×(-2)
=6x
(6)3(x-4)
一次式の応用問題
2(x+1)-3(x-2)
この問題を解くときは、前半と後半に分けよう。
①まず前半は2(x+1)。
分配法則で( )を外すと
2(x+1)
=2x+2になるね。
②後半は-3(x-2)。
分配法則で( )を外すと
-3(x-2)
=-3x+6になるね。←-3×(-2)だから「+6」になるよ。
準備が完了したので計算してみよう。
2(x+1)-3(x-2)
=2x+2-3x+6
=2x-3x+2+6
=-x+8
まとめ
「項」や「係数」とは何かわかったかな。
一次式の計算のやり方は中学2年生と3年生はもちろん、高校でも使う知識だよ。
だから、今のうちに完璧にしておこうね。
一次式の計算で気を付けるポイントを下にまとめたよ。
一次式の計算で気を付けるポイント
・同じ文字どうしは足し算・引き算ができる。
違う文字どうしは足し算・引き算はできない。
・足し算・引き算をするときは、同じ文字の前の係数を
足し算・引き算すればよい。
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。