【中学公民】社会権とは?生存権・教育を受ける権利・勤労の権利・労働基本権をわかりやすく解説
中学3年生の公民では、「社会権」について学習するよ。
社会権とは、私たちが人間らしい生活を送るために、国に対して生活・教育・労働などの保障を求めることができる権利のことだよ。
前に学習した自由権は、国や権力からむやみに干渉されないための権利だったね。一方で、社会権は、生活に困ったときや、学ぶ機会・働く機会を必要とするときに、国が制度を整えて支えることと深く関係しているんだ。
この記事では、社会権を生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、労働基本権に分けて、わかりやすく解説するよ。
この記事で分かること
- 社会権とは何か
- 社会権が生まれた理由
- 生存権とは何か
- 教育を受ける権利とは何か
- 勤労の権利とは何か
- 労働基本権とは何か
- 社会権と社会保障制度の関係
目次
1. 社会権とは何か

社会権とは、私たちが人間らしい生活を送るために、国に対して生活・教育・労働などの保障を求めることができる権利のことだよ。
たとえば、病気や失業、老齢、障がいなどによって生活が苦しくなったとき、すべてを本人や家族だけの責任にしてしまうと、人間らしい生活を続けることが難しくなる場合があるよね。
また、教育を受ける機会が十分に保障されなかったり、働く人が不当な条件で働かされたりすると、一人ひとりが自分らしく生きることも難しくなってしまうよ。
そこで、社会権は、国が制度を整え、人々の生活や学び、労働を支えることを求める権利として大切にされているんだ。
たろう
くまごろう
2. 社会権が生まれた理由

近代になると、自由権が保障されるようになり、人々は自由に職業を選んだり、経済活動を行ったりできるようになったよ。
しかし、経済活動の自由が広がる一方で、貧富の差が大きくなったり、労働者が厳しい条件で働かされたりする問題も起こったんだ。
自由に働ける社会であっても、病気や失業で収入がなくなったり、長時間労働や低い賃金に苦しんだりすれば、人間らしい生活を送ることは難しいよね。
そこで、国が人々の生活を支え、教育や労働の条件を整える必要があるという考え方が広がったんだ。
このように、社会権は、自由権だけでは解決しにくい生活上の問題に対応するために重視されるようになった権利なんだよ。
日本国憲法では、社会権として、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、労働基本権などが保障されているよ。
3. 日本国憲法に定められた社会権

社会権は、日本国憲法の中で次のように整理できるよ。
| 社会権の種類 | 内容 | 憲法の条文 |
|---|---|---|
| 生存権 | 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利。 | 第25条 |
| 教育を受ける権利 | すべての国民が、能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利。 | 第26条 |
| 勤労の権利 | 人々が働く機会を求めることに関係する権利。 | 第27条 |
| 労働基本権 | 労働者が団結し、労働条件の改善を求めるための権利。 | 第28条 |
テストでは、どの権利が何条に定められているか、また、それぞれの権利の内容がよく問われるよ。
特に、生存権=第25条、教育を受ける権利=第26条、勤労の権利=第27条、労働基本権=第28条の組み合わせは整理しておこう。
4. 生存権とは

生存権とは、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利のことだよ。
日本国憲法第25条第1項では、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利をもつことが定められているよ。
「健康で文化的な最低限度の生活」とは、ただ生きていられればよいという意味ではないんだ。
食べるものや住む場所があることだけでなく、病気のときに医療を受けられること、子どもが学べること、社会の一員として安心して生活できることなども関係しているよ。
たとえば、病気や失業、障がい、老齢などで収入が少なくなったときに、生活を支える制度がなければ、人間らしい生活を続けることは難しくなるよね。
そのため、生存権は、生活保護制度や社会保障制度と深く関係しているんだ。
また、日本国憲法第25条第2項では、国が社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上や増進に努めなければならないことも定められているよ。

たろう
くまごろう5. 教育を受ける権利とは

教育を受ける権利とは、すべての国民が、能力に応じて、ひとしく教育を受けることができる権利のことだよ。
日本国憲法第26条では、すべての国民が、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利をもつことが定められているよ。
この権利は、特に子どもが学ぶ機会を保障するうえで大切な権利なんだ。
教育は、子どもたちが社会で生きていくために必要な知識や判断力、協調性などを身につけるために大切だよね。
もし、家庭の経済状況や住んでいる地域などによって、学ぶ機会が大きく左右されてしまうと、子どもが将来の可能性を広げることが難しくなってしまうよ。
だから、教育を受ける権利は、一人ひとりの成長を支え、社会の中で自立して生きていく力を育てるために大切な権利なんだ。
また、日本国憲法第26条では、保護者は子どもに普通教育を受けさせる義務を負うことも定められているよ。これを教育を受けさせる義務というよ。
ここで注意したいのは、「教育を受ける権利」は国民がもつ権利であり、特に子どもが学ぶ機会を保障するうえで重要な権利だということだよ。一方で、「教育を受けさせる義務」は保護者が負う義務なんだ。
また、義務教育は無償とされているよ。ただし、これは国公立の義務教育学校で授業料を徴収しないという意味で、給食費や教材費など、学校生活に関わる費用がすべて無料という意味ではないよ。
たろう
くまごろう6. 勤労の権利とは

勤労の権利とは、人々が働く機会を求めることに関係する権利のことだよ。
日本国憲法第27条では、すべての国民は勤労の権利をもち、勤労の義務を負うことが定められているよ。
働くことは、収入を得て生活を安定させるために大切だよね。また、仕事を通して社会に参加し、自分の力を生かすことにもつながるよ。
ただし、「勤労の権利」があるからといって、必ず希望する仕事に就けることが保障されているわけではないよ。
国は、職業紹介、雇用対策、職業訓練、労働条件の整備などを通して、人々が働きやすくなるように制度を整えることが求められているんだ。
また、日本国憲法第27条では、賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律で定めることも示されているよ。
働く人が長時間労働や低い賃金などで苦しまないように、労働時間や賃金、休日などに関するルールが必要なんだ。
このような労働条件の基本を定める法律として、労働基準法があるよ。
さらに、日本国憲法第27条では、児童を酷使してはならないことも定められているよ。子どもを過酷な労働に使って、成長や学びを妨げることは許されないんだ。
7. 労働基本権とは

労働基本権とは、働く人たちがまとまって労働条件の改善を求めるための権利のことだよ。
日本国憲法第28条では、勤労者の団結する権利、団体交渉その他の団体行動をする権利が保障されているよ。
労働者が一人だけで使用者に賃金や労働時間の改善を求めても、なかなか対等に話し合うことが難しい場合があるよね。
そこで、労働者が労働組合をつくり、使用者と交渉したり、必要に応じて団体で行動したりする権利が保障されているんだ。
労働基本権は、次の3つに分けて整理されるよ。
| 労働基本権 | 内容 |
|---|---|
| 団結権 | 労働者が団結して労働組合をつくる権利。 |
| 団体交渉権 | 労働組合が使用者と労働条件について交渉する権利。 |
| 団体行動権 | 労働条件の改善を求めて、ストライキなどの団体行動をする権利。 |
この3つの権利を合わせて、労働三権ということもあるよ。
ただし、公務員などには、公共サービスとの関係から労働基本権の一部が制限されている場合があるよ。すべての働く人に、まったく同じ形で労働基本権が認められているわけではないこともおさえておこう。
また、働く人を守るための重要な法律として、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法があるよ。この3つをまとめて、労働三法というよ。
労働基本権と労働三法は、働く人が不利な立場に置かれすぎないようにし、よりよい労働条件を実現するために重要なんだ。

たろう
くまごろう8. 社会権と社会保障制度

社会権は、社会保障制度とも深く関係しているよ。
社会保障制度とは、病気、失業、老齢、障がい、介護などによって生活に困ることがある人々を、社会全体で支える制度のことだよ。
たとえば、医療保険、年金、介護保険、雇用保険、生活保護などは、社会保障制度に関係しているよ。
社会保障制度は、生存権の考え方と深く結びついているんだ。
病気になったとき、年をとって働けなくなったとき、失業して収入がなくなったときなどに、制度による支えがあれば、生活を立て直しやすくなるよね。
ただし、社会保障制度を維持するには、税金や保険料などの負担も必要になるよ。
社会権を学ぶときは、「支えられる権利」だけでなく、社会全体でどのように支え合うかという視点も大切なんだ。
9. 社会権を自分の生活と結びつけて考えよう
社会権は、教科書の中だけの難しい言葉ではなく、私たちの生活と深くつながっているよ。
たとえば、教育を受けられること、病気のときに医療を受けられること、将来働くときに最低限の労働条件が守られることは、すべて人間らしく生きることに関係しているよね。
社会権があることで、生活に困ったときに必要な支援を受けたり、教育を受ける機会が保障されたり、働く人が安心して働けるようにしたりする制度が整えられているんだ。
もちろん、社会権があるからといって、すべての生活上の問題がすぐに解決するわけではないよ。制度の内容や支え方をどうするかは、社会全体で考え続ける必要があるんだ。
だから、社会権を学ぶことは、「人間らしい生活とは何か」、「社会で支え合うとはどういうことか」を考えることにつながるんだよ。

10. 重要語句のまとめ
この単元で特に大切な語句を整理しておこう。
| 重要語句 | 意味 |
|---|---|
| 社会権 | 人間らしい生活を送るために、国に対して生活・教育・労働などの保障を求めることができる権利。 |
| 生存権 | すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利。 |
| 健康で文化的な最低限度の生活 | ただ生きていられればよいということではなく、人間らしく生活できる最低限度の生活。 |
| 社会福祉 | 高齢者、障がいのある人、子どもなど、生活上の支援を必要とする人々を支えるしくみ。 |
| 社会保障 | 病気、失業、老齢、障がい、介護などによって生活に困ることがある人々を、社会全体で支えるしくみ。 |
| 公衆衛生 | 人々が健康に生活できるように、病気の予防や生活環境の改善などを行うこと。 |
| 生活保護制度 | 生活に困っている人に対して、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障し、自立を助ける制度。 |
| 教育を受ける権利 | すべての国民が、能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利。 |
| 教育を受けさせる義務 | 保護者が子どもに普通教育を受けさせる義務。 |
| 義務教育の無償 | 義務教育について、授業料を無償とすること。 |
| 勤労の権利 | 人々が働く機会を求めることに関係する権利。 |
| 勤労の義務 | 国民が勤労する義務を負うこと。 |
| 労働条件 | 賃金、就業時間、休息、休日など、働くときの条件。 |
| 児童酷使の禁止 | 子どもを過酷な労働に使ってはならないという憲法上の定め。 |
| 労働基本権 | 労働者が団結し、労働条件の改善を求めるための権利。 |
| 労働三権 | 団結権、団体交渉権、団体行動権の3つの権利。 |
| 団結権 | 労働者が団結して労働組合をつくる権利。 |
| 団体交渉権 | 労働組合が使用者と労働条件について交渉する権利。 |
| 団体行動権 | 労働条件の改善を求めて、ストライキなどの団体行動をする権利。 |
| 労働組合 | 労働者が労働条件の改善などを目的としてつくる団体。 |
| 労働三法 | 労働基準法、労働組合法、労働関係調整法の3つの法律。 |
| 労働基準法 | 賃金、労働時間、休息など、労働条件の最低基準を定める法律。 |
| 労働組合法 | 労働者が団結し、労働組合をつくって活動することを保障する法律。 |
| 労働関係調整法 | 労働争議を調整し、労働関係を安定させるための法律。 |
社会権とは、人間らしい生活を送るために、国に対して生活・教育・労働などの保障を求めることができる権利だよ。
社会権には、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、労働基本権などがあるよ。
生存権は、日本国憲法第25条で保障されていて、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利だよ。
教育を受ける権利は、日本国憲法第26条で保障されていて、すべての国民が、能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利だよ。保護者には、子どもに普通教育を受けさせる義務があるよ。
勤労の権利は、日本国憲法第27条で保障されていて、働く機会を求めることに関係する権利だよ。また、労働条件の基準は法律で定められ、児童を酷使してはならないことも定められているよ。
労働基本権は、日本国憲法第28条で保障されていて、団結権、団体交渉権、団体行動権の3つに分けられるよ。ただし、公務員などには一部制限がある場合もあるよ。
社会権を学ぶときは、「人間らしい生活を国がどのように支えるか」という視点をもつことが大切だよ。
この単元のポイント
- 社会権とは、人間らしい生活を送るために、国に対して生活・教育・労働などの保障を求めることができる権利である。
- 社会権は、経済活動の自由が広がる一方で、貧富の差や労働問題が大きくなったことを背景に重視されるようになった。
- 日本国憲法第25条は、生存権を保障している。
- 生存権とは、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利である。
- 日本国憲法第25条第2項は、国が社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上や増進に努めることを定めている。
- 日本国憲法第26条は、教育を受ける権利を保障している。
- 教育を受ける権利とは、すべての国民が、能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利である。
- 保護者には、子どもに普通教育を受けさせる義務がある。
- 義務教育の無償とは、国公立の義務教育学校で授業料を徴収しないという意味である。
- 日本国憲法第27条は、勤労の権利と勤労の義務を定めている。
- 賃金、就業時間、休息などの勤労条件に関する基準は、法律で定められる。
- 日本国憲法第27条は、児童を酷使してはならないことも定めている。
- 日本国憲法第28条は、労働基本権を保障している。
- 労働基本権は、団結権、団体交渉権、団体行動権の3つに分けられる。
- 団結権とは、労働者が団結して労働組合をつくる権利である。
- 団体交渉権とは、労働組合が使用者と労働条件について交渉する権利である。
- 団体行動権とは、労働条件の改善を求めてストライキなどの団体行動をする権利である。
- 公務員などには、公共サービスとの関係から労働基本権の一部が制限されている場合がある。
- 労働三法とは、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法のことである。
- 社会権は、社会保障制度と深く関係している。
参考文献
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』
- 日本国憲法
- 厚生労働省「社会保障」関連資料
- 厚生労働省「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」関連資料
- 文部科学省「義務教育」関連資料
- 人事院「国家公務員の労働基本権」関連資料
ここまで学習できたら、ぜひ「社会権」のテスト対策練習問題とドリルに挑戦しよう!
『社会権』テスト対策練習問題と過去問まとめ
【中学公民】「社会権」重要語句ドリル
【中学公民】「生存権と社会保障」内容理解ドリル
【中学公民】「教育を受ける権利と勤労の権利」内容理解ドリル
【中学公民】「労働基本権と労働三法」内容理解ドリル
運営者情報
yumineko
詳しいプロフィールを見る

