【中学公民】平等権とは?共生社会・部落差別・アイヌ民族・外国人の人権をわかりやすく解説
中学3年生の公民では、「平等権① 共生社会を目指して」について学習するよ。
平等権とは、人種、信条、性別、社会的身分、門地などによって、不当に差別されない権利のことだよ。
日本国憲法第14条では、すべて国民は法の下に平等であり、人種、信条、性別、社会的身分、門地によって、政治的、経済的、社会的関係において差別されないと定められているんだ。
でも、法律で「差別してはいけない」と決められていても、社会の中には今もなお、偏見や差別が残っている場合があるよ。
この記事では、平等権、共生社会、部落差別、アイヌ民族への差別、在日韓国・朝鮮人への差別、ヘイトスピーチについて、身近な例も使いながらわかりやすく解説するよ。
この記事で分かること
- 平等権とは何か
- 法の下の平等と個人の尊重の関係
- 共生社会とは何か
- 部落差別とは何か
- アイヌ民族への差別と文化を尊重する取り組み
- 在日韓国・朝鮮人への差別
- ヘイトスピーチと外国人の人権
- 差別をなくすために大切なこと
目次
1. 平等権とは何か

平等権とは、人種、信条、性別、社会的身分、門地などによって、不当に差別されない権利のことだよ。
日本国憲法第14条には、すべて国民は法の下に平等であり、人種、信条、性別、社会的身分、門地によって差別されないことが定められているよ。
ここで大切なのは、「人はみんな同じだから、違いを見ないようにする」ということではないんだ。
人には、性別、出身地、国籍、民族、文化、考え方、生活の状況など、さまざまな違いがあるよね。平等権は、そうした違いを理由に、不当に不利益を受けたり、社会から排除されたりしないための権利なんだ。
たとえば、出身地や民族、国籍などを理由に、結婚や就職、学校生活、地域での生活で不当に扱われたらどう感じるかな。自分では変えられないことや、個人の価値とは関係ないことを理由に差別されるのは、とてもつらいことだよね。
平等権は、一人ひとりが個人として尊重され、安心して社会の中で生活するために大切な権利なんだ。
たろう
くまごろう2. 共生社会とは何か

共生社会とは、さまざまな立場や背景をもつ人々が、互いを尊重しながら、ともに生きる社会のことだよ。
日本には、さまざまな民族的・文化的背景をもつ人が暮らしているよ。また、性別、年齢、障がいの有無、病気の経験、出身地、国籍、考え方なども人によって違うよね。
共生社会を目指すということは、そうした違いを理由に人を遠ざけるのではなく、互いの人権を尊重しながら、同じ社会の一員として生活できるようにすることなんだ。
たとえば、学校でも、得意なことや苦手なこと、家庭の事情、考え方、文化的な背景が違う人がいるよね。その違いをからかったり、決めつけたりするのではなく、「その人を一人の人間として尊重する」ことが大切なんだ。
共生社会は、だれか一部の人のためだけのものではないよ。自分も、相手も、安心して生活できる社会をつくるための考え方なんだ。
3. まだ残っている差別

日本国憲法では平等権が保障されているけれど、社会の中から差別がすべてなくなったわけではないよ。
今もなお、性別、出身地、民族、国籍、病気、障がいなどを理由とする偏見や差別が問題になることがあるんだ。
差別は、直接ひどい言葉を言うことだけではないよ。うわさや思い込みによって人を避けたり、就職や結婚などで不利に扱ったり、インターネット上で相手を傷つける言葉を広げたりすることも、人権を傷つける行為につながるんだ。
だから、平等権を学ぶときは、「憲法14条を覚える」だけで終わらせず、なぜ差別が人を傷つけるのか、どうすれば差別をなくしていけるのかを考えることが大切だよ。
たろう
くまごろう4. 部落差別とは

部落差別とは、被差別部落の出身であることや、そこに関係があるとみなされることを理由に、不当に差別される問題のことだよ。
部落差別は、江戸時代に身分制度のもとで差別されていた人々への偏見が、その後も残ったことと関係しているよ。明治時代には、法律の上ではこうした身分は廃止されたけれど、就職や結婚などの場面で差別が続いてきたんだ。
たとえば、本人の努力や人柄とは関係のない「出身地」を理由に、結婚に反対されたり、就職で不利に扱われたりしたらどうだろう。それは、その人を一人の個人として見ていないことになるよね。
部落差別は、法の下の平等や個人の尊重に反する重大な人権問題なんだ。
また、インターネット上で特定の地域や人について差別的な情報を広げることも、深刻な問題になっているよ。差別をなくすには、正しい知識をもち、偏見や思い込みで人を判断しないことが大切なんだ。
5. 部落差別をなくすための取り組み

部落差別をなくすために、国や自治体ではさまざまな取り組みが行われてきたよ。
1965年には、同和対策審議会が、同和問題の解決は国の責務であり、国民的な課題であるとする答申を出したよ。
その後、同和対策事業などが進められ、生活環境の改善や教育・啓発の取り組みが行われてきたんだ。
しかし、部落差別は今もなお解消されたとはいえず、2016年には部落差別解消推進法が制定されたよ。
部落差別解消推進法は、現在も部落差別が存在することをふまえ、部落差別のない社会を実現することを目的とした法律だよ。
この法律は、相談体制の充実や教育・啓発などを進めることを定めているんだ。
部落差別をなくすためには、法律や制度だけでなく、私たち一人ひとりが、うわさや偏見に流されず、相手を個人として尊重することが大切だよ。
6. アイヌ民族への差別と文化の尊重

アイヌ民族は、独自の言葉や文化をもち、古くから北海道などを中心に生活してきた民族だよ。
しかし、明治時代以降、国の政策によって、アイヌ民族の人々は土地を失ったり、伝統的な生活や文化を続けることが難しくなったりしたよ。また、差別や偏見に苦しんできた歴史もあるんだ。
アイヌ民族の人々への差別は、第二次世界大戦後も残ったとされているよ。
その後、アイヌ文化を尊重し、継承していくための取り組みが進められてきたよ。1997年にはアイヌ文化振興法が制定され、アイヌの伝統や文化を守ることが求められたんだ。
2019年にはアイヌ施策推進法が制定され、アイヌ民族を先住民族として位置づけたうえで、アイヌ文化の振興や地域づくりなどが進められているよ。

2020年には、北海道白老町に、アイヌ文化を伝える国立施設である民族共生象徴空間、愛称ウポポイが開業したよ。
アイヌ民族について学ぶときに大切なのは、「昔の文化」として見るだけではないことだよ。今もアイヌ民族としての文化や誇りを大切にしている人々がいることを理解し、差別や偏見をなくしていくことが大切なんだ。
たろう
くまごろう7. 在日韓国・朝鮮人への差別

日本には、在日韓国・朝鮮人の人々も暮らしているよ。
在日韓国・朝鮮人とは、日本に住んでいる韓国籍・朝鮮籍の人々や、その子孫の人々などを指す言葉として使われることがあるよ。
1910年の韓国併合による日本の植民地支配の時期に、朝鮮半島から日本に渡ってきた人々や、その子孫が日本で生活してきた歴史があるんだ。
戦後も、在日韓国・朝鮮人の人々は、就職や住まい、学校生活、社会生活などで差別や偏見を受けることがあったよ。
現在の日本社会には、さまざまな国籍や民族的背景をもつ人々が暮らしているよ。国籍や民族、名前、言葉、文化などを理由に不当に差別することは、個人の尊重や平等権に反することなんだ。
歴史的な背景を知り、今を生きる一人ひとりの人権を尊重することが大切だよ。
8. 外国人の人権とヘイトスピーチ

外国人や外国にルーツをもつ人々への差別も、共生社会を考えるうえで重要な問題だよ。
外国人に対して、国籍や民族を理由に、地域社会から排除しようとしたり、差別的な言葉で攻撃したりすることは、人権を傷つける行為につながるよ。
特定の民族や国籍の人々を排除したり、差別をあおったりするような言動は、ヘイトスピーチと呼ばれるよ。
2016年には、外国人などに対する不当な差別的言動をなくすため、ヘイトスピーチ解消法が施行されたよ。
ヘイトスピーチは、言われた本人だけでなく、同じルーツをもつ人々や、その地域で暮らす人々にも不安や恐怖を与えることがあるよ。
たとえば、学校やインターネット上で、国籍や民族を理由にからかわれたり、「この社会から出ていけ」というような言葉を向けられたりしたら、安心して生活することは難しくなるよね。
共生社会をつくるためには、違いを理由に人を排除するのではなく、互いの人権を尊重し、同じ社会でともに暮らすための姿勢が必要なんだ。
9. 差別をなくすために大切なこと

差別をなくすためには、法律や制度だけでなく、私たち一人ひとりの考え方や行動も大切だよ。
まず大切なのは、正しい知識をもつことだよ。よく知らないまま、うわさや思い込みで人を判断すると、偏見や差別につながることがあるんだ。
次に大切なのは、相手を「集団のイメージ」だけで決めつけず、一人の個人として見ることだよ。
たとえば、「この地域の出身だから」「この国にルーツがあるから」「この文化をもっているから」といった理由で、その人の性格や能力、考え方を決めつけるのはおかしいよね。
そして、差別的な言葉や情報にふれたときには、それをそのまま広げないことも大切だよ。特にインターネットでは、何気なく拡散した言葉が、だれかの人権を深く傷つけることがあるんだ。
共生社会を目指すには、「自分とは違うから遠ざける」のではなく、「違いがあっても、同じ社会でともに生きる」という考え方が必要だよ。
たろう
くまごろう
10. 重要語句のまとめ
この単元で特に大切な語句を整理しておこう。
| 重要語句 | 意味 |
|---|---|
| 平等権 | 人種、信条、性別、社会的身分、門地などによって不当に差別されない権利。 |
| 法の下の平等 | すべての人が、法のもとで平等に扱われるという考え方。 |
| 個人の尊重 | 一人ひとりをかけがえのない個人として大切にする考え方。 |
| 共生社会 | さまざまな立場や背景をもつ人々が、互いを尊重しながら、ともに生きる社会。 |
| 部落差別 | 被差別部落の出身であることや、そこに関係があるとみなされることを理由に不当に差別される問題。 |
| 同和問題 | 部落差別に関する人権問題。 |
| 部落差別解消推進法 | 部落差別のない社会を実現することを目的として、2016年に制定された法律。 |
| アイヌ民族 | 独自の言葉や文化をもち、古くから北海道などを中心に生活してきた民族。 |
| アイヌ文化振興法 | アイヌの伝統や文化を尊重し、保存・振興するために1997年に制定された法律。 |
| アイヌ施策推進法 | アイヌ民族を先住民族として位置づけ、アイヌ文化の振興や地域づくりなどを進めるため、2019年に制定された法律。 |
| 民族共生象徴空間 | 北海道白老町にある、アイヌ文化を伝える国立施設。愛称はウポポイ。 |
| 在日韓国・朝鮮人 | 日本に住んでいる韓国籍・朝鮮籍の人々や、その子孫の人々などを指す言葉として使われることがある。 |
| ヘイトスピーチ | 特定の民族や国籍の人々を排除したり、差別をあおったりするような言動。 |
| ヘイトスピーチ解消法 | 外国人などに対する不当な差別的言動をなくすため、2016年に施行された法律。 |
平等権とは、人種、信条、性別、社会的身分、門地などによって、不当に差別されない権利だよ。
日本国憲法第14条では、法の下の平等が定められているよ。これは、一人ひとりを個人として尊重するためにも、とても大切な考え方なんだ。
しかし、社会の中には今もなお、部落差別、アイヌ民族への差別、在日韓国・朝鮮人への差別、外国人への差別など、さまざまな人権問題が残っているよ。
差別をなくすには、法律や制度を整えるだけでなく、私たち一人ひとりが正しい知識をもち、偏見や思い込みで人を判断しないことが大切なんだ。
共生社会とは、違いのある人々が、互いの人権を尊重しながら、ともに生きる社会のことだよ。
自分の人権が大切にされる社会は、他の人の人権も大切にされる社会だよ。平等権を学ぶことは、だれもが安心して暮らせる社会を考えることにつながるんだ。
この単元のポイント
- 平等権とは、人種、信条、性別、社会的身分、門地などによって不当に差別されない権利である。
- 日本国憲法第14条では、法の下の平等が定められている。
- 共生社会とは、さまざまな立場や背景をもつ人々が、互いを尊重しながら、ともに生きる社会である。
- 部落差別とは、被差別部落の出身であることなどを理由に不当に差別される問題である。
- 1965年、同和対策審議会は、同和問題の解決は国の責務であり国民的な課題であるとする答申を出した。
- 2016年、部落差別解消推進法が制定された。
- アイヌ民族は、独自の言葉や文化をもち、古くから北海道などを中心に生活してきた民族である。
- 1997年、アイヌ文化振興法が制定された。
- 2019年、アイヌ施策推進法が制定され、アイヌ民族が先住民族として位置づけられた。
- 北海道白老町には、アイヌ文化を伝える民族共生象徴空間、愛称ウポポイがある。
- 在日韓国・朝鮮人への差別には、日本の植民地支配などの歴史的背景が関係している。
- ヘイトスピーチとは、特定の民族や国籍の人々を排除したり、差別をあおったりするような言動である。
- 2016年、ヘイトスピーチ解消法が施行された。
- 差別をなくすためには、正しい知識をもち、相手を一人の個人として尊重することが大切である。
参考文献
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』
- 日本国憲法
- 法務省「同和問題(部落差別)」関連資料
- 法務省「ヘイトスピーチ、許さない。」関連資料
- 内閣官房アイヌ総合政策室「アイヌ政策」関連資料
- 公益財団法人アイヌ民族文化財団「ウポポイ」関連資料
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