【中学公民】平等権②とは?男女平等・性の多様性・障がいのある人・外国人との共生を解説
中学3年生の公民では、「平等権② 共生社会を目指して」について学習するよ。
前の単元では、平等権や共生社会、部落差別、アイヌ民族、在日韓国・朝鮮人、ヘイトスピーチなどについて学んだね。
この単元では、さらに、男女平等、性の多様性、障がいのある人への理解、在留外国人への理解、インクルージョンについて学習するよ。
社会には、性別、性のあり方、障がいの有無、国籍や文化など、さまざまな違いをもつ人がいるよね。平等権を考えるうえで大切なのは、その違いを理由に不当に差別されず、一人ひとりが個人として尊重されることなんだ。
この記事では、だれもが自分らしく生きられる共生社会を目指すために、どのような取り組みや考え方が大切なのかを、身近な例も使いながらわかりやすく解説するよ。
この記事で分かること
- 男女平等とは何か
- 男女共同参画社会とは何か
- 性の多様性とは何か
- LGBTとは何か
- 障がいのある人への差別と合理的配慮
- 障害者基本法・障害者差別解消法とは何か
- 在留外国人への理解と配慮
- インクルージョンとは何か
目次
1. 平等権②で学ぶこと

平等権とは、人種、信条、性別、社会的身分、門地などによって、不当に差別されない権利のことだよ。
この単元では、特に、性別、性のあり方、障がいの有無、国籍や文化の違いなどに注目して、共生社会について考えるよ。
たとえば、こんな場面を考えてみよう。
- 「女性だから」「男性だから」と決めつけられる。
- 性的少数者であることを理由に、からかわれたり不利に扱われたりする。
- 障がいがあるために、施設やサービスを利用しにくい。
- 外国にルーツがあることを理由に、言葉や文化の違いで困る。
こうした問題は、すべて「自分らしく生きること」や「一人の個人として尊重されること」と関係しているよ。
たろう
くまごろう2. 男女平等とは何か

男女平等とは、男性も女性も、性別によって不当に差別されず、個人として能力や希望を生かせるようにする考え方だよ。
日本国憲法第14条では、すべて国民は法の下に平等であり、性別によって差別されないことが定められているよ。
しかし、社会の中には今もなお、「男性は仕事、女性は家庭」「男性は理系、女性は文系」「女性は管理職に向いていない」などのような、性別による固定的な見方が残っていることがあるんだ。
このような考え方は、本人の希望や能力を見ずに、性別だけで役割を決めつけてしまうことにつながるよ。
たとえば、将来なりたい職業を考えるときに、「女の子だからこの仕事は向いていない」「男の子だから育児に関わらなくてよい」と決めつけられたらどう感じるかな。
本来は、その人がどのような力をもち、どのように生きたいのかを大切にするべきだよね。男女平等は、男性と女性を対立させる考え方ではなく、性別にかかわらず一人ひとりの生き方を尊重する考え方なんだ。
3. 男女共同参画社会とは

男女共同参画社会とは、男女が、社会の対等な構成員として、自分の意思によって社会のあらゆる分野の活動に参加する機会が確保され、政治・経済・社会・文化などの利益を受け、ともに責任を担う社会のことだよ。
少しむずかしい言い方だけれど、簡単にいうと、男性も女性も、家庭・学校・職場・地域・政治などで、性別にしばられずに力を発揮できる社会のことなんだ。
1985年には、雇用の面での女性への差別をなくすために、男女雇用機会均等法が制定されたよ。
また、1999年には、男女が対等な立場で活躍できる社会をつくるために、男女共同参画社会基本法が制定されたよ。
近年は、仕事と子育てや介護を両立しやすい環境づくりも大切にされているよ。育児や介護は女性だけの役割でも、男性だけが仕事をするものでもないよね。
家族の中でも、学校でも、職場でも、「これは男性の役割」「これは女性の役割」と決めつけるのではなく、互いに協力しながら、それぞれの希望や力を生かせる社会を目指すことが大切なんだ。
たろう
くまごろう4. 性の多様性への理解

性のあり方は、男性と女性だけに単純に分けられるものではなく、人によってさまざまだよ。
たとえば、好きになる相手の性に関わる性的指向や、自分の性をどのように認識しているかに関わる性自認、またはジェンダーアイデンティティなどには、多様なあり方があるんだ。
LGBTとは、性的少数者を表す言葉の一つとして使われることがあるよ。Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアル、Tはトランスジェンダーを表しているよ。
ただし、性のあり方はLGBTの4つだけで説明しきれるものではないよ。人によって、さまざまな性的指向や性自認があることを理解することが大切なんだ。
性的少数者の人々は、周囲の無理解や偏見によって、からかわれたり、学校や職場で自分らしく過ごしにくかったりすることがあるよ。
大切なのは、相手の性のあり方を勝手に決めつけたり、本人の同意なく他の人に話したりしないことだよ。一人ひとりが安心して生活できるように、理解を深めることが求められているんだ。
2023年には、性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進法が制定されたよ。正式には、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律というよ。
この法律は、性的指向やジェンダーアイデンティティの多様性について理解を深め、互いに人格と個性を尊重し合う社会を目指すことと関係しているよ。
性の多様性を学ぶことは、特定の人だけのためではなく、すべての人が自分らしく生きられる社会を考えることにつながるんだ。
5. 障がいのある人への理解と合理的配慮

障がいのある人もない人も、同じ社会の一員として生活しているよ。
しかし、社会の中には、障がいのある人にとって利用しにくい場所やしくみが残っていることがあるんだ。
たとえば、建物に階段しかなければ、車いすを使う人や足が不自由な人は入りにくいよね。音声だけの案内しかなければ、耳が聞こえにくい人には情報が伝わりにくいことがあるよ。逆に、文字だけの案内では、目が見えにくい人には分かりにくいこともあるね。
このように、社会のしくみや環境の側にある「利用しにくさ」をなくしていくことが大切なんだ。
合理的配慮とは、障がいのある人から、社会の中の障壁を取り除くための対応を必要としているという意思が示されたときに、負担が重すぎない範囲で、必要で合理的な対応を行うことだよ。
たとえば、筆談で説明する、簡易スロープを用意する、別の通りやすい経路を案内する、資料を読みやすい形にする、座席や案内の方法を工夫するなどが考えられるよ。
一方で、建物の段差をなくしたり、設備を使いやすく整えたりすることは、バリアフリーや環境の整備とも関係しているよ。合理的配慮は、個々の場面で必要な対応を考えることが中心なんだ。
合理的配慮は、「特別扱い」ではないよ。障がいのある人が、ほかの人と同じように学んだり、サービスを利用したり、社会に参加したりするために必要な調整なんだ。
たろう
くまごろう6. 障害者基本法と障害者差別解消法

障がいのある人の人権を守るために、日本では法律も整えられてきたよ。
障害者基本法は、障がいのある人の自立や社会参加を支援し、障がいの有無によって分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し合う社会を目指すための基本となる法律だよ。
また、2013年には障害者差別解消法が制定され、2016年に施行されたよ。
障害者差別解消法は、障がいを理由とする不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮の提供を求めることで、共生社会を実現することを目指す法律だよ。
さらに、2024年4月1日からは、事業者による合理的配慮の提供も義務になったよ。
たとえば、店、学校、公共施設、交通機関などで、障がいのある人が利用しにくい状況があるとき、可能な範囲で必要な工夫をすることが求められているんだ。
なお、雇用や就業の場面での障がいのある人への差別解消や合理的配慮については、障害者雇用促進法など、別の法律でも定められているよ。
もちろん、どんな要望でも必ずそのまま実現しなければならないという意味ではないよ。大切なのは、困っていることを話し合い、過重な負担にならない範囲で、どうすれば参加しやすくなるかを考えることなんだ。
7. 在留外国人への理解と配慮

日本で暮らす外国人の数は増えているよ。出入国在留管理庁の統計では、在留外国人数は2022年末に初めて300万人を超え、その後も増加し、2025年末には約412万5千人となって初めて400万人を超えたよ。

在留外国人とは、出入国在留管理庁の統計では、中長期在留者と特別永住者を合わせた人々を指すよ。仕事や留学、家族との生活など、さまざまな背景をもつ人が日本で暮らしているんだ。
日本で暮らす外国人や外国にルーツをもつ人々は、言葉、文化、宗教、生活習慣の違いなどによって、生活の中で困ることがあるよ。
たとえば、役所や病院、学校からの大切なお知らせが日本語だけだと、内容を十分に理解できない人もいるかもしれないよね。災害が起きたときに、避難情報が分からなければ、命に関わることもあるんだ。
だから、多言語で情報を出したり、やさしい日本語を使ったり、文化や宗教の違いに配慮したりすることが大切なんだ。
外国人への配慮は、「日本人と外国人を分ける」ためではないよ。同じ地域で暮らす人どうしが、安心して生活できるようにするための工夫なんだ。
国籍や文化が違っても、一人ひとりは同じ社会で生活する個人だよ。相手を「外国人」という大きなくくりだけで決めつけず、その人自身を見ることが大切なんだ。
8. インクルージョンとは何か

インクルージョンとは、さまざまな違いを認め、だれもが参加して支え合うことができるようにする考え方だよ。
英語の「include」には、「含める」「仲間に入れる」という意味があるよ。インクルージョンは、違いのある人をあとから特別に入れてあげるというより、最初からだれもが参加できる社会をつくろうとする考え方なんだ。
たとえば、駅や学校、図書館、公園、インターネットの情報などが、さまざまな人にとって使いやすいように設計されていれば、より多くの人が安心して利用できるよね。
この考え方は、バリアフリーやユニバーサルデザインとも関係しているよ。
バリアフリーとは、生活の中にある障壁を取り除くことだよ。段差をなくす、案内表示を分かりやすくする、情報を音声や文字など複数の方法で伝えることなどが例になるよ。
ユニバーサルデザインとは、年齢、障がいの有無、国籍などにかかわらず、できるだけ多くの人にとって使いやすいように、はじめから設計する考え方だよ。
インクルージョンを考えるときに大切なのは、「困っている人だけの問題」と考えないことだよ。
たとえば、段差が少ない道は、車いすを使う人だけでなく、ベビーカーを押す人、けがをしている人、高齢者、重い荷物を持っている人にとっても使いやすいよね。読みやすい案内や、やさしい日本語は、外国人だけでなく、子どもや高齢者にとっても助けになることがあるよ。
インクルージョンは、一部の人だけを助ける考え方ではなく、だれもが暮らしやすい社会をつくる考え方なんだ。
たろう
くまごろう9. 共生社会をつくるために大切なこと

共生社会をつくるためには、法律や制度を整えることが大切だよ。
男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法、障害者基本法、障害者差別解消法、性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進法などは、だれもが自分らしく生きられる社会を目指すためのしくみなんだ。
でも、法律だけで社会がすぐに変わるわけではないよ。私たち一人ひとりが、無意識の決めつけや偏見に気づくことも大切なんだ。
たとえば、「男だから」「女だから」「障がいがあるから」「外国人だから」「このような性のあり方だから」と、相手を一つの属性だけで判断していないか考えてみよう。
その人には、その人自身の考え、希望、得意なこと、苦手なこと、生活の背景があるよね。共生社会を目指すには、集団のイメージではなく、一人ひとりを個人として見ることが大切なんだ。
また、困っている人がいるときに、「その人の問題」として片づけるのではなく、社会のしくみや環境の側に変えられるところはないか考えることも大切だよ。
共生社会は、特別なだれかのためだけの社会ではないよ。自分も、相手も、安心して自分らしく生きるための社会なんだ。

10. 重要語句のまとめ
この単元で特に大切な語句を整理しておこう。
| 重要語句 | 意味 |
|---|---|
| 平等権 | 人種、信条、性別、社会的身分、門地などによって不当に差別されない権利。 |
| 男女平等 | 男性も女性も、性別によって不当に差別されず、個人として能力や希望を生かせるようにする考え方。 |
| 男女雇用機会均等法 | 雇用の面での女性への差別をなくすため、1985年に制定された法律。 |
| 男女共同参画社会 | 男女が対等な構成員として、社会のあらゆる分野の活動に参加し、ともに責任を担う社会。 |
| 男女共同参画社会基本法 | 男女が対等な立場で活躍できる社会をつくるため、1999年に制定された法律。 |
| 性の多様性 | 性的指向や性自認など、性のあり方にはさまざまな形があるという考え方。 |
| 性的指向 | どのような性の人を好きになるか、またはならないかに関わる性のあり方。 |
| 性自認 | 自分の性をどのように認識しているかということ。 |
| ジェンダーアイデンティティ | 自分の性をどのように認識しているかに関わる考え方。 |
| LGBT | 性的少数者を表す言葉の一つ。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字。 |
| 性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進法 | 性的指向やジェンダーアイデンティティの多様性について、国民の理解を深めるため、2023年に制定された法律。 |
| 障害者基本法 | 障がいのある人の自立や社会参加を支援し、互いに人格と個性を尊重し合う社会を目指すための基本となる法律。 |
| 障害者差別解消法 | 障がいを理由とする不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮の提供を求めることで、共生社会を目指す法律。 |
| 合理的配慮 | 障がいのある人が社会の中の障壁を取り除くための対応を必要としているときに、負担が重すぎない範囲で必要な対応を行うこと。 |
| 在留外国人 | 出入国在留管理庁の統計では、中長期在留者と特別永住者を合わせた人々。 |
| インクルージョン | さまざまな違いを認め、だれもが参加して支え合うことができるようにする考え方。 |
| バリアフリー | 生活の中にある障壁を取り除くこと。 |
| ユニバーサルデザイン | 年齢、障がいの有無、国籍などにかかわらず、できるだけ多くの人にとって使いやすいように、はじめから設計する考え方。 |
平等権とは、違いを理由に不当に差別されない権利だよ。
この単元では、男女平等、性の多様性、障がいのある人への理解、在留外国人への理解、インクルージョンなどを学習したね。
共生社会を目指すには、「みんなを同じにする」のではなく、違いがあっても、一人ひとりが個人として尊重され、安心して社会に参加できるようにすることが大切なんだ。
法律や制度を知ることも大切だけれど、それだけではなく、私たち一人ひとりが偏見や決めつけに気づき、相手を一人の個人として見ることが必要だよ。
インクルージョンは、だれか一部の人のためだけの考え方ではないよ。だれもが暮らしやすい社会をつくるための、大切な考え方なんだ。
この単元のポイント
- 男女平等とは、男性も女性も、性別によって不当に差別されず、個人として能力や希望を生かせるようにする考え方である。
- 1985年、男女雇用機会均等法が制定された。
- 1999年、男女共同参画社会基本法が制定された。
- 男女共同参画社会とは、男女が対等な構成員として社会のあらゆる分野に参加し、ともに責任を担う社会である。
- 性の多様性とは、性的指向や性自認など、性のあり方にはさまざまな形があるという考え方である。
- LGBTは、性的少数者を表す言葉の一つである。
- 2023年、性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進法が制定された。
- 障害者基本法は、障がいのある人の自立や社会参加を支援し、互いに人格と個性を尊重し合う社会を目指す法律である。
- 障害者差別解消法は、障がいを理由とする不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮の提供を求める法律である。
- 合理的配慮とは、障がいのある人が社会の中の障壁を取り除くための対応を必要としているときに、負担が重すぎない範囲で必要な対応を行うことである。
- 2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供も義務になった。
- 出入国在留管理庁の統計では、在留外国人は中長期在留者と特別永住者を合わせた人々を指す。
- 2025年末の在留外国人数は約412万5千人となり、初めて400万人を超えた。
- 外国人や外国にルーツをもつ人々には、言葉や文化、生活習慣の違いへの配慮が必要である。
- インクルージョンとは、さまざまな違いを認め、だれもが参加して支え合うことができるようにする考え方である。
- バリアフリーは障壁を取り除くこと、ユニバーサルデザインはできるだけ多くの人にとって使いやすいように、はじめから設計する考え方である。
- 共生社会を目指すには、相手を一つの属性だけで決めつけず、一人の個人として尊重することが大切である。
参考文献
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』
- 日本国憲法
- 内閣府男女共同参画局「男女共同参画社会基本法」関連資料
- 厚生労働省「男女雇用機会均等法」関連資料
- 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」関連資料
- 内閣府「性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進」関連資料
- 出入国在留管理庁「在留外国人統計」関連資料
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