「君待つと『万葉集』」を解説!和歌の意味・表現技法・作者まとめ
中学3年国語で学習する「万葉集(まんようしゅう)」の和歌について、現代語訳(意味)や、テストで問われる重要語句、使われている表現技法、それぞれの和歌の作者などをわかりやすく解説するよ。
「万葉集」テスト対策ポイントまとめ
- 「万葉集」は、奈良時代の終わりごろにまとめられたとされる、現存する日本最古の和歌集。
- 全20巻で、約4500首(正確には4516首前後)が収められている。作者は天皇から貴族、防人、庶民まで幅広い。
- ひらがなが無かった時代のため、漢字の音を借りて日本語を表した万葉仮名で書かれている。
- 歌の風潮(雰囲気)は、素朴で力強い(ますらをぶり)のが特徴。
- 枕詞や序詞、体言止めなどの表現技法、反歌の役割をしっかり覚えよう。
目次
- 『万葉集』の基本情報:【奈良時代・日本最古】
- 【テスト頻出】『万葉集』重要和歌の現代語訳と語句解説
- 持統天皇:『春過ぎて…』(枕詞・体言止め)
- 柿本人麻呂:『東の野に…』(対比の表現)
- 額田王:『君待つと…』(心情の変化)
- 山部赤人:『田子の浦ゆ…』(長歌と反歌)
- 山上憶良:『憶良らは…』(家族愛・押韻)
- 東歌:『多摩川に…』
- 防人歌:『父母が…』
- 大伴家持:『新しき…』(万葉集最後の歌)
- 『万葉集』で覚えるべき表現技法まとめ
- まとめ
『万葉集』の基本情報:【奈良時代・日本最古】
和歌の解説に入る前に、テストで必ずと言っていいほど出題される「万葉集の基本データ」を確認しておこう。
| 成立した時代 | 奈良時代の終わりごろ |
| 特徴 | 現存する日本最古の和歌集 |
| 巻数と歌の数 | 全20巻・約4500首(正確には4516首前後) |
| 作者の階層 | 天皇から、貴族、庶民、そして九州を守る兵士(防人)まで、幅広い身分の人々の歌が収められている。 |
| 文字と歌風 | 漢字の音を借りて日本語を表した万葉仮名(まんようがな)で書かれている。 歌の風調は素朴で力強い(ますらをぶり)。 |
くまごろうまた、この素朴で力強い「ますらをぶり(=男性的な、力強く素朴な歌風のこと)」という歌の雰囲気は、平安時代にまとめられた『古今和歌集』の優美な「たをやめぶり(=女性的で、優美・繊細な歌風)」と対比してテストでよく出るよ!
ますらをぶりは、漢字だと「益荒男振り」。たをやめぶりは、「手弱女振り」と書くよ。漢字だとイメージしやすいね。
【テスト頻出】『万葉集』重要和歌の現代語訳と解説
それでは、教科書に載っている重要な和歌について、ひとつずつ現代語訳と重要語句、テスト対策ポイントを見ていこう。
持統天皇:『春過ぎて…』(枕詞・体言止め)
春過ぎて 夏来(きた)るらし 白たへの 衣干したり 天(あめ)の香具(かぐ)山
作者:持統天皇(じとうてんのう)
【読み方(現代仮名遣い)】
春過ぎて 夏きたるらし 白たえの 衣干したり 天の香具山
【現代語訳】
春が過ぎて、夏が来たらしい。真っ白な衣が干してある、天の香具山に。
【重要語句】
| 語句 | 意味・解説 |
|---|---|
| 来るらし | 夏が来たらしい(推定の表現)。 |
| 白たへの | あとに続く「衣」にかかる枕詞。真っ白な布のこと。 |
| 衣(ころも) | 着物。「白たへの」という修飾を受けている。 |
| 天の香具山 | 大和三山(奈良県にある3つの山)の一つ。 |
【テスト対策ポイント】
- 表現技法1:枕詞(まくらことば)
「白たへの」が、あとに続く「衣(ころも)」を引き出すための枕詞になっているよ。 - 表現技法2:体言止め(たいげんどめ)
歌の最後が「香具山」という名詞(体言)で終わっているね。これを体言止めといい、余韻を残す効果があるよ。 - 和歌の情景
前半は作者が「夏が来たらしい」と感じ取ったこと、後半は「白い衣が干してある」と実際に目にした景色を歌っているよ。山に干された白い衣の鮮やかな印象が美しい歌だね。
柿本人麻呂:『東の野に…』(対比の表現)
東(ひむがし)の野に 炎(かぎろひ)の 立つ見えて かへり見すれば 月傾(かたぶ)きぬ
作者:柿本人麻呂(かきもとのひとまろ)
【読み方】
ひんがしの野に かぎろいの 立つ見えて かえり見すれば 月かたぶきぬ
※「ひんがし」は「ひむがし」から変化した形。「かたぶく」は昔の言葉の形で、現代語では「かたむく」と言うよ。
【現代語訳】
東の野に明け方の光(かぎろい)が立っているのが見えて、ふり返って見ると、月は傾いていたことだ。
【重要語句】
| 語句 | 意味・解説 |
|---|---|
| ひむがし (ひんがし) | 東。読みに注意しよう。 |
| 炎(かぎろひ) | 夜明け前の、東の空に見える光。あけぼのの光。 |
| かへり見すれば | (西の空を)ふり返って見ると。 |
| 傾(かたぶ)きぬ | 傾いていることだ。「ぬ」は完了(〜してしまった)の意味。 |
【テスト対策ポイント】
- 作者のいる場所・向きは?
作者は東の空に明け方の光を見ているので、「月を背にして、東の空に向いている」状態だよ。「かへり見すれば(ふり返ると)」西の空に月が傾いているのが見えた、という位置関係をしっかりイメージしよう。 - 対比の表現
朝になり昇ってくる太陽の光(東)と、沈んでいく月(西)を見事に対比させて、朝の雄大な情景を歌っているんだ。
額田王:『君待つと…』(心情の変化)
君待つと 我(あ)が恋ひ居(を)れば 我が屋戸(やど)の すだれ動かし 秋の風吹く
作者:額田王(ぬかたのおおきみ)
【読み方(現代仮名遣い)】
君待つと あがこいおれば 我がやどの すだれ動かし 秋の風吹く
【現代語訳】
あなたを待って恋しく思っていると、家のすだれを動かして秋の風が吹いてくる。(あなたが来てくれたのかと思ったのに、ただの風だった)
【重要語句】
| 語句 | 意味・解説 |
|---|---|
| 恋ひ居れば (こいおれば) | 恋しく思っていると、待つ気持ちの中心。 |
| 屋戸(やど) | 家。住まい。 |
| すだれ | 日よけや目隠しのために軒などに吊るすもの。 |
| 秋の風 | 秋に吹く少し肌寒い風。作者の心情と重なる言葉。 |
【テスト対策ポイント】
- 作者の心情の変化
恋人が来るのを待っている「期待」
↓
すだれが動いて、恋人が来たのかもしれないと思う「高まり(期待)」
↓
でも、すだれを動かしたのはただの秋の風だったとわかる「寂しさ」
この心境の変化がテストでよく狙われるよ。 - 情景の重ね合わせ
恋人を待つ切ない思いと、少し肌寒い秋の風の物悲しさが重ね合わせて表現されているね。
山部赤人:『田子の浦ゆ…』(長歌と反歌)
天地(あめつち)の 分かれし時ゆ…(中略)…語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は
【反歌】
作者:山部赤人(やまべのあかひと)
田子(たご)の浦ゆ うち出(い)でて見れば 真白(ましろ)にそ 富士の高嶺に 雪は降りける
【長歌の大意(ざっくりした意味)】
天地が分かれた時から、ずっと高く尊くそびえている富士の山。(中略)この素晴らしい富士の山のことは、ずっと後の世まで語り継いでいこう。
【反歌の現代語訳】
田子の浦を通って出て見れば、真っ白に富士の高い峰に雪が降り積もっていることだ。
【重要語句】
| 語句 | 意味・解説 |
|---|---|
| 天地(あめつち) | 天と地。 |
| 時ゆ | 〜から。(天地が分かれた時から) |
| 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ | ずっと後の世まで語り伝えていこう。 |
| 田子の浦ゆ | 田子の浦を通って。「ゆ」は「〜から」「〜を通って」の意味。 |
| うち出でて | 見晴らしのよいところへ出て。 |
| 真白にそ | 真っ白に。白さを強調している。 |
| 高嶺(たかね) | 高い峰。ここでは富士山のこと。 |
| 反歌(はんか) | 長歌の後に添えられ、意味を要約したり補足したりする歌。 |
【テスト対策ポイント】
- 長歌と反歌の関係
長歌とは、5音と7音を何度も繰り返し、最後に7音・7音で結ぶ長い和歌のこと。その長歌のあとに、長歌の意味を要約したり補足したりするために添えられる和歌のことを反歌と呼ぶよ。
山上憶良:『憶良らは…』(家族愛・押韻)
憶良らは 今は罷(まか)らむ 子泣くらむ それその母も 我(わ)を待つらむそ
作者:山上憶良(やまのうえのおくら)
【読み方(現代仮名遣い)】
憶良らは 今はまからん 子泣くらん それその母も わを待つらんそ
【現代語訳】
私、憶良は今は退出しましょう(お暇しましょう)。家では子どもが泣いているだろう。そしてその母親(私の妻)も、私を待っているだろうから。
【重要語句】
| 語句 | 意味・解説 |
|---|---|
| 憶良らは | 私、憶良は。「ら」は自分の名に添えて言う言い方。 |
| 今は罷(まか)らむ | 今はもう退出しましょう(お暇しましょう)。時間の切なさが表れている。 |
| 子泣くらむ | 子どもが泣いているだろう。 |
| 母待つらむ | その母親(妻)も私を待っているだろう。 |
| らむ | 「〜だろう」という推量の意味。 |
【テスト対策ポイント】
- 歌が詠まれた背景(宴の席)
この歌は、作者である憶良が、宴(うたげ)の席を立って家に帰ろうとするときに詠まれた歌だよ。 - 思いの広がり
「子どもが泣いているだろう」→「母親(妻)も待っているだろう」→「自分も早く帰りたい」というように、家族への思いが広がっていく様子が読み取れるね。 - 表現技法:押韻(=同じ言葉を並べてリズムを作ること)
「罷らむ」、「泣くらむ」、「待つらむ」と、「らむ」という言葉を繰り返すことによって、歌に心地よいリズムが生まれているよ。
東歌:『多摩川に…』
多摩(たま)川に さらす手作り さらさらに 何そこの児(こ)の ここだ愛(かな)しき
作者:未詳(東歌)
【読み方(現代仮名遣い)】
多摩川に さらすてづくり(たづくり) さらさらに 何そこの子の ここだかなしき
※「手作り」の読み方は教科書や学校によって扱いが異なるので、先生の指示に従おう。
【現代語訳】
多摩川の水にさらしている手織りの布のように、さらにさらに(ますます)、どうしてこの子がこんなにも可愛いのだろう。
【重要語句】
| 語句 | 意味・解説 |
|---|---|
| 多摩川 | 現在の東京都や神奈川県を流れる川。 |
| さらす | 水で洗って日光に当てて白くすること。歌の情景を理解する核になる言葉。 |
| 手作り(てづくり/たづくり) | 手織りの布のこと。 |
| さらさらに | さらにさらに(ますます)。 |
| ここだ愛(かな)しき | こんなにも可愛い。「ここだ」は「こんなにも・たいそう」の意。 |
【テスト対策ポイント】
- 東歌(あずまうた)とは?
東国地方(現在の関東を中心とした地域)の人々によって詠まれた、地方の暮らしや素朴な感情を歌ったものを東歌というよ。 - 表現技法:序詞(じょことば)
「多摩川に さらす手作り」が、あとに続く「さらさらに」という言葉を引き出すための序詞になっているよ。 - 音の響き合い
「さらさらに」は、布を水に「さらす」という言葉の音と、「さらにさらに(ますます)」という意味が響き合って使われているよ。
防人歌:『父母が…』
父母が 頭(かしら)かき撫(な)で 幸(さ)くあれて 言ひし言葉(けとば)ぜ 忘れかねつる
作者:未詳(防人歌)
【読み方(現代仮名遣い)】
父母が かしらかきなで さくあれて いいしけとば(ことば)ぜ 忘れかねつる
【現代語訳】
お父さんとお母さんが私の頭をなでて、「どうか無事でいてください」と言ってくれたあの言葉が、どうしても忘れられない。
【重要語句】
| 語句 | 意味・解説 |
|---|---|
| 父母が | お父さんとお母さんが。 |
| 頭(かしら) | あたま。 |
| 幸(さ)くあれて | どうか無事でいてください、という意味。 |
| 言ひし言葉 | 言ってくれた言葉。親の愛情を思い出す核心の部分。 |
| 防人(さきもり) | 九州地方の沿岸を守るために集められた兵士。 |
【テスト対策ポイント】
- 防人歌(さきもりのうた)とは?
防人(さきもり)とは、奈良時代に、九州地方の沿岸を守るために東国地方から集められた兵士のこと。遠く離れた地へ向かう不安の中で、故郷や家族を思って詠まれた歌だよ。
大伴家持:『新しき…』(万葉集最後の歌)
新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事(よごと)
作者:大伴家持(おおとものやかもち)
【読み方(現代仮名遣い)】
新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけよごと
【現代語訳】
新しい年の初めである今日の初春に降る雪のように、良いことがいよいよ重なれ(重なりますように)。
【重要語句】
| 語句 | 意味・解説 |
|---|---|
| 新しき | 新しい。新年の歌であることがわかる。 |
| 年の初めの 初春の | 新しい年の初めである今日の初春に。 |
| 降る雪のいやしけ吉事 | 降る雪のように良いことが重なってほしい。結句の核となる意味。 |
| いやしけ | いよいよ重なれ。 |
| 吉事(よごと) | 良いこと、おめでたいこと。 |
【テスト対策ポイント】
- 万葉集の最後の歌
この歌は、全20巻ある「万葉集」のいちばん最後を飾る歌として有名だよ。 - 「雪」と「吉事(よごと)」の関係
昔は、新年に降る雪は吉兆(=よいことが起こる前ぶれ)と考えられていたんだ。「いやしけ」は「いよいよ重なれ」という意味。降る雪がどんどん積もっていくように、良いこと(吉事)もいよいよ重なってほしいという願いが込められているよ。
『万葉集』で覚えるべき表現技法まとめ
テストで得点源になる和歌の表現技法のうち、とくに混同しやすい「枕詞」と「序詞」の違いを整理しておこう。
| 技法 | 特徴と違い | 万葉集での例 |
|---|---|---|
| 枕詞 (まくらことば) | 特定の言葉にかかる決まったフレーズ。 原則として5音または4音と短い。 | 「白たへの」→衣(ころも)にかかる |
| 序詞 (じょことば) | あとに続く言葉を引き出すために、歌ごとに作られる創作フレーズ。 文字数に制限がなく、内容も具体的。 | 「多摩川に さらす手作り」→さらさらに を引き出す |
くまごろうまとめ
「万葉集」テスト対策ポイントまとめ
- 「万葉集」は、奈良時代の終わりごろにまとめられたとされる、現存する日本最古の和歌集。
- 全20巻で、約4500首(正確には4516首前後)が収められている。作者は天皇から貴族、防人、庶民まで幅広い。
- ひらがなが無かった時代のため、漢字の音を借りて日本語を表した万葉仮名で書かれている。
- 歌の風潮(雰囲気)は、素朴で力強い(ますらをぶり)のが特徴。
- 枕詞や序詞、体言止めなどの表現技法、反歌の役割をしっかり覚えよう。
yuminekoここまで学習できたら、さっそく「万葉集」のテスト対策練習問題に挑戦してみよう!
- 「君待つと『万葉集』」テスト練習問題と過去問まとめ①
- 「君待つと『万葉集』」テスト練習問題と過去問まとめ②
- 【中学国語】「万葉集」漢字ドリル
- 【中学国語】「万葉集」語句ドリル
- 【中学国語】「万葉集」内容理解ドリル
- 【中学国語】「万葉集」構成・表現技法ドリル
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

