後鳥羽上皇『新古今和歌集』解説!和歌の現代語訳・幽玄・表現技法まとめ

中学3年国語で学習する「新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)」の和歌について、現代語訳(意味)や、テストで問われる重要語句、使われている表現技法、それぞれの和歌の作者などをわかりやすく解説するよ。

「新古今和歌集」テスト対策ポイントまとめ

  • 「新古今和歌集」は、鎌倉時代の初めごろにまとめられた、8番目の勅撰和歌集ちょくせんわかしゅう
  • 後鳥羽上皇ごとばじょうこうの命令により、藤原定家ふじわらのていからが編集した。
  • 歌の風調(雰囲気)は、絵画的で余情を重んじる幽玄ゆうげん(=言葉に表せない奥深い趣のこと)・有心うしん(=優雅で繊細な美しさを求める心)なのが特徴。
  • 係り結びの法則体言止め本歌取りほんかどりなどの表現技法をしっかり覚えよう。
目次

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『新古今和歌集』の基本情報:【鎌倉時代・『幽玄』の美】

和歌の解説に入る前に、テストで必ずと言っていいほど出題される「新古今和歌集の基本データ」を確認しておこう。

成立した時代鎌倉時代の初めごろ(1205年)
特徴8番目の勅撰和歌集ちょくせんわかしゅう
編纂者へんさんしゃ(まとめた人)後鳥羽上皇ごとばじょうこうの命令で、藤原定家ふじわらのていからがまとめた。
巻数と歌の数全20巻・約1980首
歌風(雰囲気)絵画的・象徴的で、言葉の裏にある深い余情(あじわい)を重んじる。これを幽玄ゆうげん有心うしんと呼ぶ。
くまごろう
鎌倉時代は武士の世の中になったけれど、文化の中心はまだ京都の貴族たちだったんだ。『古今和歌集』とはまたちがう、いっそう余情を重んじる美しさが表現されているよ。

【テスト頻出】『新古今和歌集』重要和歌の現代語訳と解説

それでは、教科書に載っている3つの重要な和歌について、ひとつずつ現代語訳と重要語句、テスト対策ポイントを見ていこう。

西行法師:『道の辺に…』(『係り結び』と余情)

道の辺に 清水(しみづ)流るる 柳かげ しばしとてこそ 立ちどまりつれ

作者:西行法師(さいぎょうほうし)

【読み方(現代仮名遣い)】

道の辺に しみ流るる 柳かげ しばしとてこそ 立ちどまりつれ

※作者「西行」の歴史的仮名遣いは「さいぎゃう」だよ。

【現代語訳】

道のほとりに清らかな水が流れている、この柳の木陰で、「ほんのしばらくの間」と思って立ち止まったのだが。

【重要語句】

語句意味・解説
道の辺(べ)道のほとり、道ばた。
清水(しみづ)清らかに澄んだ水。「しみず」と読むよ。
しばしとてこそ「ほんの少しの間だけと思って」という意味。
立ちどまりつれ立ち止まったのだが。

【テスト対策ポイント】

  • 表現技法:係り結びの法則

「しばしとてこそ立ちどまりつ」という部分で、強意(意味を強める)の係助詞「こそ」を受けて、文末が已然形いぜんけい(=「こそ」とセットで使う形)の「つれ」で結ばれているね。

  • 歌に込められた余情(あじわい)

「立ち止まったのだが」で言い切らずに終わることで、「ほんの少しのつもりが、あまりの心地よさに、つい時間を忘れて長く休んでしまった」という、言葉の裏にある深い余韻(よいん)を感じさせる歌になっているんだ。

藤原定家:『見わたせば…』(『三夕の歌』と『体言止め』)

見わたせば 花も紅葉(もみぢ)も なかりけり 浦の苫屋(とまや)の 秋の夕暮(ゆふぐれ)

作者:藤原定家(ふじわらのていか)

【読み方(現代仮名遣い)】

見わたせば 花ももみも なかりけり 浦のとまやの 秋のゆぐれ

※作者の読みは「ていか」と呼ばれることが多いけれど、本名は「さだいえ」だよ。
歴史的仮名遣いでは、「ふぢはらのさだいへ」と書くよ。

【現代語訳】

見渡してみると、花も紅葉もないことだなあ。あるのはただ、海辺の粗末な小屋のあたりに広がる、寂しい秋の夕暮れの景色だけだ。

【重要語句】

語句意味・解説
なかりけりないことだなあ。
浦(うら)海辺、入り江。
苫屋(とまや)「苫(菅や茅などで編んだもの)」で屋根をふいた、粗末な小さな家(小屋)のこと。

【テスト対策ポイント】

  • 三夕(さんせき)の歌

この歌は、『新古今和歌集』の中で「秋の夕暮れ」という言葉で終わる3つの有名な和歌、通称「三夕(さんせき)の歌」のひとつとして知られているよ。
(他の2つは、寂蓮法師の歌と、西行法師の歌だよ。)

  • 表現技法1:体言止め

歌の最後が「夕暮れ」という名詞(体言)で終わっているね。これを体言止めといい、秋の夕暮れの寂しさや余情を深く残す効果があるよ。倒置的な言い方として読むこともできるね。

  • 表現技法2:本歌取りほんかどり

この歌は、『源氏物語』などにある古い有名な歌(本歌)をベースにして、新しい情景や思いを重ねて詠む本歌取りほんかどり(=有名な古歌を引用して表現を深める技法)」が使われているんだ。新古今和歌集の特徴的な技法のひとつだよ。

式子内親王:『玉の緒よ…』(命を懸けた忍ぶ恋)

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする

作者:式子内親王しょくしないしんのう

【読み方(現代仮名遣い)】

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらば 忍ぶることの 弱りもぞする

※作者は「しきしないしんのう」とも呼ばれるよ。

【現代語訳】

私の命よ、絶えるのなら絶えてしまえ。このまま生き長らえていると、心に秘めて耐え忍ぶ恋心が弱まって、周囲に知られてしまいそうだから。

【重要語句】

語句意味・解説
玉の緒(たまのお)「命」のこと。魂をつなぎとめる緒(ひも)という意味。
絶えね絶えてしまえ(命令形)。
ながらえば生き長らえていると。
忍ぶること恋心を(人に知られないように)心に秘めて耐えること。
弱りもぞする弱って(秘めきれなくなって)しまうと困るから。

【テスト対策ポイント】

  • 作者の心情(最も避けたいこと)

この歌は、「命が続くことで、心に秘めている恋心を隠しきれなくなってしまうこと(忍ぶことが弱ること)」を恐れている歌だよ。だから、作者が最も望んでいないのは「忍ぶることが弱ること(=恋心がバレてしまうこと)」なんだ。

  • 「もぞ」の表現

「~もぞする」は、「~すると困る」「~したら大変だ」という強い不安や心配を表す表現だよ。「命より大切な、秘めた恋」という、情熱的で切ない心情が表れているね。

【完全攻略】『万葉集』『古今和歌集』『新古今和歌集』の比較まとめ

【定期テストで絶対出る!】三大和歌集の比較ポイント
テストで必ず聞かれる、3つの和歌集の時代や特徴の違いを完璧にしておこう!

和歌集の名前時代編纂者へんさんしゃ(まとめた人)歌の風調(雰囲気)
『万葉集』奈良時代大伴家持などますらをぶり
素朴で力強い
『古今和歌集』平安時代紀貫之ら
醍醐天皇だいごてんのうの命)
たをやめぶり
優美で繊細
『新古今和歌集』鎌倉時代藤原定家ら
後鳥羽上皇ごとばじょうこうの命)
幽玄・有心
絵画的で余情がある
たろう
天皇や上皇の命令でまとめられた和歌集を「勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)」と呼ぶよ。『古今和歌集』は最初の勅撰和歌集、『新古今和歌集』は8番目の勅撰和歌集だね。

まとめ

「新古今和歌集」テスト対策ポイントまとめ

  • 「新古今和歌集」は、鎌倉時代の初めごろにまとめられた、8番目の勅撰和歌集ちょくせんわかしゅう
  • 後鳥羽上皇ごとばじょうこうの命令により、藤原定家ふじわらのていからが編集した。
  • 歌の風調(雰囲気)は、絵画的で余情を重んじる幽玄ゆうげん有心うしんなのが特徴。
  • 係り結びの法則体言止め本歌取りほんかどりなどの表現技法をしっかり覚えよう。
yumineko
それぞれの和歌の情景や、言葉に込められた深い思い(余情)は理解できたかな?
ここまで学習できたら、さっそく「新古今和歌集」のテスト対策練習問題に挑戦してみよう!

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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

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