「幻の魚は生きていた」あらすじと期末テスト対策ポイントまとめ
中学1年国語で学ぶ「幻の魚は生きていた」について、そのあらすじと、テストで必要になるポイントを解説するよ。
「幻の魚は生きていた」
目次【本記事の内容】
- 1.「幻の魚は生きていた」あらすじ
- 2.ポイント①重要な語句を確認しよう
- 3.ポイント②進出漢字は読み書きできるようにしよう
- 4.ポイント③筆者は何を伝えようとしているのか?
- 5.ポイント④書かれている事実について
- 6.ポイント⑤全体の構成について
- 7.まとめ
「幻の魚は生きていた」
あらすじ
田沢湖周辺の人々にとってクニマスはお祝いやお見舞いに贈られるような特別な魚で、捕りすぎないように節度を守っていた。
しかし1934年の東北地方を襲った大凶作により、食糧の増産が切実な課題となり、農業用水を確保するために、近くを流れてはいるものの強い酸性で農業用水として利用できなかった玉川を、田沢湖に引き入れることで酸性を弱め、農業用水として使うことにした。
さらに電力の供給を増やすため、田沢湖の水を水力発電に利用することも計画された。
酸性の水が引き入られたことで、1940年頃になると田沢湖に住むクニマスは絶滅してしまった。
こうしてクニマスは「幻の魚」となった。
しかし2010年3月、山梨県の西湖でクニマスと思われる魚が発見された。
実は、絶滅前の1935年に、クニマスの卵が西湖に譲渡されていたのだ。
発見された魚の特徴を懸命に調べ、やはりクニマスだったことが判明した。
「幻の魚」は生きていた。
西湖の水温は田沢湖と同じだったため、クニマスは命をつなぐことができていた。
これからもクニマスが生き続けるためには、今度こそ湖全体の環境を守り、人と生き物とがつながり合った関係を維持することが必要だ。
田沢湖は未だ酸性のため、クニマスは今はまだ戻ることはできない。
環境を変えてしまうのはとても簡単だが、元に戻すのはとても難しい。
再び田沢湖でクニマスを見られる日を願い、人々は歩いていかなければならない。
この文章は、幻の魚「クニマス」について
1.「実際にあったこと」をもとに
2.「それはなぜか」、「どんなことが分かるのか」、そして
3.「まとめ」について書いているよ。
これはそれぞれ
1.【序論】「こんなことがあった」
「それは一体ナゼか?」
2.【本論】「調べたら、こんなことが分かった!」
3.【結論】「だから、これからは気をつけよう」
という3つの大きなカタマリに分かれているんだ。
テスト対策のポイントとしては、
「著者は何を伝えたいのか?」
「文章から読み取れることは何か?」
「出てくる言葉の意味」
「出てくる漢字の読み書き」
が重要になってくるよ!
ポイント①
重要な語句を確認しよう!
テストでは、語句の意味が出題されることもあるので、しっかり確認しておこう!
節度 | 【意味】度をこさない適度な程度のこと。 【例】あまり長い時間ゲームをするとお母さんに怒られるので、怒られないくらいの時間でやめておく →節度を守ってゲームをする |
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保全 | 【意味】安全に保護すること。 【例】絶滅してしまいそうな野生動物のために、その動物が住んでいる土地の環境を守ったり、密猟者から守ったりする →野生動物を保全する |
切実 | 【意味】自分の身に直接に差し迫ってくること。 【例】成績表が配られ、その成績によってはゲームがお父さんに没収されてしまうかもしれない →成績の結果は僕にとってゲームが出来なくなるかどうかの切実な問題だ |
かて | 【意味】食べ物のこと。活動するための源。エネルギー源。 【例】畑で採れた野菜を毎日食べている →この畑の野菜は我が家にとって日々のかてだ 【例】学校でたくさんのことを学んで成長し、その経験を活かして仕事を頑張る →学校での経験をかてに仕事をがんばる |
根ざす | 【意味】もとづくこと。物事が定着すること。 【例】戦後になると、日本では着物に代わって洋服を着るのが定着した →洋服文化が根ざした |
幻 | 【意味】実際には存在しないけれど、あるように見えるもの 【例】マッチ売りの少女には、目の前に食べ物があるように見えた →少女は温かい食べ物の幻を見た |
譲渡 | 【意味】財産や権利などを、他人に与えること 【例】人気アイドルのチケットが当たったが、その日は都合が悪いので友達にあげた →チケットを友人に譲渡する |
脈々 | 【意味】長く続いて絶えないこと 【例】日本では、天皇制がずっと続いている →脈々と受け継がれる天皇制 |
過度 | 【意味】程度を超すこと 【例】調子にのって長い時間ゲームをしていたら、お母さんに怒られた →過度にゲームをしてしまい、お母さんに怒られる |
里帰り | 【意味】故郷に帰ること 【例】東京でひとり暮らしをしていたが、生まれ育った村に帰る →村へ里帰りする |
生息 | 【意味】生き物が生き続けること、ある場所に住むこと 【例】コアラはオーストラリアに住んでいる →コアラはオーストラリアに生息している |
供給 | 【意味】要求や、必要に合わせて与えること 【例】地震で被災した町へ、必要な物資を届ける →被災地へ物資を供給する |
改変 | 【意味】内容を変えて、違ったものにすること 【例】4月になると、テレビ番組の内容が変わる →テレビ番組の改変が行われる |
解析 | 【意味】物事を細かくわけて、組織的、論理的に調べること 【例】事件現場の様子を細かく論理的に調べて犯人を探し出す →事件現場を解析して犯人を探す |
悠然と | 【意味】落ち着いて、ゆったりしていること 【例】学校に遅刻しそうなのに、A君は慌てずゆっくりと歩いていた →A君は悠然と歩いていた |
ポイント②
新出漢字は読み書き出来るようにしよう!
漢字ひとつに、いくつかの熟語のパターンがあるよ。
どのパターンで問題が出ても、読み書きができるようにしておこう!
- 幻(幻覚)
- 絶滅(消滅・滅びる・撲滅)
- 頃(頃合い)
- 山梨県(梨のつぶて)
- 見舞い(舞台・鼓舞)
- 江戸時代(江湖)
- 巡る(巡回・巡行)
- 凶作(凶悪)
- 与える(関与・貸与)
- 携わる(提携)
- 譲渡(親譲り)
- 祈る(祈願)
- 産卵(遺産)
- 盛ん(旺盛)
- 一致(致命傷)
- 丁寧(安寧)
- 解析(分析)
- 悠然(悠々自適)
- 含める(含意)
- 喪失(喪中)
まずは、ヒントなしで全部の漢字が書けるか試してみよう。
そして答え合わせをしたら、練習するのは「書けなかった漢字」だけでOK!
いきなり「全部の漢字を何度も書き取りする」のはあまり効率が良くないよ。
答え合わせをするときは、「止め」「はらい」「はね」がしっかり合っているかもキチンととチェックするのを忘れずに!
ポイント③
筆者は何を伝えようとしているのか?
テストで良く出るのは、
「次の中から、筆者の考えとして当てはまるものを選びなさい」というタイプの問題。
「筆者の考え」なのかどうかは、文章の中で筆者が「自分の意見」として書いているかどうかがポイント。
「人々はこう言っていた」というように、自分の意見として書いているのではなかったり、「〇〇はこうだった」というように、ただ事実を書いているだけのものは「筆者の考え」ではない時があるよ。
「幻の魚は生きていた」で筆者が伝えていること
クニマスが西湖でこれからも生き続けるためには、湖全体の環境を守ることが必要だ。- クニマスだけを過度に保護するのではなく、他の生き物と、人間とがバランスを保って共存していくことが大切だ。
- かつての田沢湖でのように、人と生き物とがつながり合った関係を維持すること、それがクニマスの保全にもつながる。
- 一つの種の喪失は、そこに暮らす人々の生活や文化にも影響を与える。
- 環境を変えてしまうのは一瞬だが、元にもどすのは気の遠くなるような時間と労力が必要だ。
- 環境を元に戻すのは大変だが、現実を踏まえて少しずつ歩いていかなければならない。
次のようなものは、文章中に書かれてはいるけれど、「筆者の考え」とまでは言えないということを確認しておこう。
- クニマスを田沢湖に里帰りさせることが大切だ。
→これは「田沢湖」にクニマスがまだいた時のことを知る人や、その話を聞かされて育った次の世代の人々の考えだから。つまり、作者がそう思っているワケではないよ。 - 環境を変えてしまうと、その関係は修復できない。
→とても大変だけれど、修復できないとまではいっていない。 - 一度環境を変えてしまっても、人間が努力をすることで、その環境をじきに戻すことができる。
→合っているようにも思えるけれど、「じきに」というのが合わない。
筆者は「気の遠くなるような時間」と言っているね。
ポイント④
書かれている事実について
この文章の序論の部分での「何があったのか」、
そして本論の部分で書かれている「どんなことが分かったのか」などを詳しく答える問題が良く出るよ!
覚える必要はないけれど、テストでは「本文に書かれていることをもとに答えなさい」というように出題されるよ。
- クニマスは世界中で秋田県の田沢湖だけに生息していた
- クニマスは1940年頃に姿を消した
- 70年後、田沢湖から遠く離れた山梨県の西湖でクニマスが発見された
- 田沢湖周辺に住む人々にとって、クニマスはお祝いや見舞いに贈られるような特別な魚だった
- 田沢湖の南に広がる一帯は、農業用水を確保するのが難しかった
- 田沢湖の近くを流れる玉川は、強い酸性の水で農業にも、生物の生活にも適さなかった
- 1934年に、東北地方を大凶作が襲い、食糧の増産が人々にとって切実な課題になった
- 1940年、玉川の水の酸性を弱めるために、玉川の水が田沢湖に引き入れられた
- 田沢湖の環境が変えられたことで、クニマスは田沢湖から姿を消した
- 1935年に、山梨県の西湖と本栖湖にクニマスの卵が譲渡されていた
- 1939年に、滋賀県の琵琶湖にクニマスの卵が譲渡されていた
- 三浦久兵衛さんが移植先でクニマスが生きていないか探し始めた
- 1990年代、田沢湖周辺に住む人々を中心にクニマス探しの運動が起こった
- クニマスは「幻の魚」として広く知られるようになった
- 2010年3月に、西湖でクニマスと思われる魚が発見された
(当時はヒメマスの可能性も?と考えられていた)
- ヒメマスの産卵期は秋だが、その魚の産卵期は3月で、クニマスの産卵も冬〜早春
- ヒメマスは水深2〜15mの場所で産卵するが、とれた魚は水深30〜40mのところでとれた。
- とれた魚の産卵時期と産卵場所は、クニマスとほぼ同じだった。
- とれた魚の「えら」と「消化器官」には、クニマスにだけに見られるものとおなじ特徴があった。
- とれた魚の遺伝子を解析したら、ヒメマスとは別の魚と分かった。
- 田沢湖の水深は423.4メートルで、日本一深い
- 西湖の水深は71・7メートルで、田沢湖よりも浅い
- 田沢湖と西湖の採卵場所の水温は、どちらも4度で同じだった
- 産卵場所の水温が同じだったことで、クニマスが生存できる条件を備えていた
- 絶滅前のクニマスを知る人や、その話を聞かされて育った次世代の人々はクニマスが田沢湖へ復帰(里帰り)することを願っている
- 田沢湖の水は今でも酸性のため、クニマスの復帰は難しい
ポイント⑤
全体の構成について
「幻の魚は生きていた」は、田沢湖で絶滅したと思われていたクニマスが遠く離れた西湖で発見されたことについて、
【序論】「なにが起きたのか」(問題提起)
【本論】「どうしてそうなったのか」(問題提起の答え)
【結論】「これからはどうしなければいけないのか」(筆者の考え)
という大きな3つのカタマリで書かれているよ。
そして、それぞれのカタマリで「中心となる内容」があるんだ。
テストでは、ココをしっかり押さえておくことが大切になるよ。
問題提起① クニマスはなぜ絶滅したのか?
問題提起②クニマスはなぜ西湖で生きていたのか?
人間が酸性である玉川の水を田沢湖に引き入れたか
問題提起②についての答え
絶滅前に、クニマスの卵は西湖へ譲渡されていて、産卵場所は田沢湖と同じ水温4度だったから
一つの種の絶滅は、人々の生活や文化に影響を与える。
変えてしまった環境は簡単には戻らない。
種を保存するためには、その生物全体の保護と、人間と生き物との共存が大切だ。
「幻の魚は生きていた」まとめ
- あらすじを確認して、全体の流れをつかもう
- 出てくる言葉の意味を答えられるようにしよう
- 出てくる漢字の読み書きができるようにしよう
- 筆者の伝えたいことは何か確認しよう
- 書かれている事実には、どんなものがあるか確認しよう
- 文章の構成と、その中心になる内容を確認しよう
「幻の魚は生きていた」テスト対策問題ページを用意したので、ぜひチャレンジしてみてね!
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
わかりやすかった