「高瀬舟」テスト練習問題と過去問まとめ④
中学3年国語「高瀬舟」のテストで良く出る問題をまとめています。
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「高瀬舟」テスト対策問題③はコチラ
「高瀬舟④」
テスト対策問題
以下の本文の部分について、答えなさい。
喜助はひどく恐れ入った様子で、「かしこまりました。」と言って、小声で話しだした。「どうもとんだ心得違いで、恐ろしいことをいたしまして、(3)なんとも申しあげようがございませぬ。あとで思ってみますと、どうしてあんなことができたかと、自分ながら不思議でなりませぬ。全く夢中でいたしましたのでございます。私は小さいときに二親が(ア)時疫でなくなりまして、弟と二人あとに残りました。初めは、ちょうど(イ)軒下に生まれた犬の子にふびんをかけるように町内の人たちがお恵みくださいますので、近所中の走り使いなどをいたして、飢え凍えもせずに育ちました。次第に大きくなりまして職を探しますにも、なるたけ二人が離れないようにいたして、いっしょにいて、助け合って働きました。去年の秋のことでございます。私は弟といっしょに、西陣の織り場に入りまして、空引きということをいたすことになりました。そのうち、(4)弟が病気で働けなくなったのでございます。その頃私どもは、北山の掘っ立て小屋同様の所に寝起きをいたして、紙屋川の橋を渡って織り場へ通っておりましたが、私が暮れてから食べ物などを買って帰ると、弟は待ち受けていて、私を一人で稼がせてはすまないすまないと申しておりました。ある日、いつものように何心なく帰ってみますと、弟はふとんの上に突っ伏していまして、周りは血だらけなのでございます。私はびっくりいたして、手に持っていた(6)竹の皮包みや何かを、そこへおっぽり出して、そばへ行って『どうしたどうした。』と申しました。すると弟は真っ青な顔の、両方の頬から顎へかけて血に染まったのを上げて、私を見ましたが、(7)ものを言うことができませぬ。息をいたす度に、傷口でヒュウヒュウという音がいたすだけでございます。私にはどうも様子がわかりませんので、『どうしたのだい、血を吐いたのかい。』と言って、(8)そばへ寄ろうといたすと、弟は右の手を床について、少し体を起こしました。左の手はしっかり顎の下の所を押さえていますが、その指の間から黒血の塊がはみ出しています。弟は目で私のそばへ寄るのを止めるようにして口をききました。ようようものが言えるようになったのでございます。『すまない。どうぞ(ウ)堪忍してくれ。どうせ治りそうにもない病気だから、早く死んで少しでも兄貴に楽がさせたいと思ったのだ。笛を切ったらすぐ死ねるだろうと思ったが、息がそこから漏れるだけで死ねない。深く深くと思って力いっぱい押し込むと、横へ滑ってしまった。刃はこぼれはしなかったようだ。これをうまく抜いてくれたらおれは死ねるだろうと思っている。ものを言うのが切なくっていけない。どうぞ手を貸して抜いてくれ。』と言うのでございます。
問1
下線【ア】〜【ウ】の漢字の読みを答えなさい。
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答え:
【ア】じえき
【イ】のきした
【ウ】かんにん
問2
「ふびんをかける」の意味として適切なものを、次の中から選びなさい。
ア:愛情をかける
イ:情けをかける
ウ:気にかける
エ:ちょっかいをかける
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答え:イ
問3
「何心なく」の意味として適切なものを、次の中から選びなさい。
ア:なにげなく
イ:安心して
ウ:遠慮なく
エ:急いで
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答え:ア
問4
「刃がこぼれる」の意味として適切なものを、次の中から選びなさい。
ア:刃が抜け落ちる
イ:刃が錆びる
ウ:刃が欠ける
エ:刃の切れ味が落ちる
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答え:ウ
問5
「なんとも申しあげようがございませぬ」とあるが、その理由として最も適切なものを次の中から選びなさい。
ア:心得違いでしてしまったので、自分に罪はないと思っているから
イ:お役人である庄兵衛に向かって話をすることが恐れ多いから
ウ:自分でもなぜそんなことをしてしまったか不思議でならないから
エ:自分のしてしまったことが恐ろしくて、思い出したくないから
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答え:ウ
問6
「弟が病気で働けなくなった」とあるが、病気になった弟は兄に対してどのように思っていたか。本文から14字で書き抜いて答えなさい。
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答え:私を一人で稼がせてはすまない
問7
喜助と弟の暮らしが余裕のあるものではなかったことがうかがえることを本文の言葉を使って「〜こと」と続くように答えなさい。
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答え:掘っ立て小屋同様の所に寝起きをしていた(こと)
問8
「竹の皮包み」には何が包まれていたと考えられるか。本文から書き抜いて答えなさい。
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答え:食べ物
問9
「ものを言うことができませぬ」とあるが、その理由を「〜から」と続くように、本文から書き抜いて答えなさい。
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答え:笛を切った(から)
【解説】ここでの「笛」とは、「のどぶえ」のことで、つまり声帯なので、声帯を切ってしまったため声が出ず、「ものが言えない」と考えることができる。
問10
「そばに寄ろうといたすと」とあるが、喜助がそのようにした理由として最も不適切なものを次の中から選びなさい。
ア:弟の様子がよくわからなかったから
イ:弟の喉にある刃を抜こうと思ったから
ウ:弟を抱き起こそうと思ったから
エ:弟の手当てをしようと思ったから
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答え:イ
【解説】イは、喜助はこの時まだ「弟の喉に刃がある」ことは知らないため不適切。
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ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
これ以降の文章の問題はありますでしょうか。