高校漢文「句法一覧」読み方・訳し方を種類別にわかりやすく解説
高校漢文で学習する「句法」について、目印となる漢字、読み方、現代語訳を種類別に一覧でまとめるよ。
漢文の句法には、否定・使役・受け身・疑問・反語のほかにも、再読文字・比較・選択・限定・累加・仮定・抑揚・願望・詠嘆など、さまざまな種類があるんだ。
この記事は、一つ一つの句法を初めから詳しく学ぶための記事というより、授業で習った句法を探したり、テスト前に読み方と訳し方を確認したりするための一覧記事だよ。
否定・使役・受け身・疑問・反語を初めて学ぶ場合は、先に「高校漢文『基本句法』をわかりやすく解説」の記事で、句法の見分け方から確認するのがおすすめだよ。
この記事で分かること
- 高校漢文で学ぶ主な句法の種類
- 再読文字の読み方と訳し方
- 否定・使役・受け身・疑問・反語の基本
- 比較・選択・限定・累加の形
- 仮定・譲歩・抑揚・願望・詠嘆の読み方
- 句法の形から該当する説明を探す方法
- 同じ漢字を使う句法の見分け方
- 定期テスト前に優先して覚えたい句法
目次
1.漢文の句法一覧の使い方
漢文の句法を確認するときは、次の順番で考えよう。
句法一覧の使い方
- 白文の中から、目印となる漢字や組み合わせを見つける。
- 早見表から、同じ形や似た形を探す。
- 句法の形をクリックし、詳しい説明へ移動する。
- 読み方を確認して、書き下し文に直す。
- 前後の文脈に合うように現代語訳する。
たとえば、白文の中に「未」があったら、再読文字の一覧を確認するよ。
| 白文 | 句法 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|---|
| 未成 | 再読文字「未」 | 未だ成らず | まだ完成していない |
句法の形を見つけたら、一覧表の訳をそのまま当てはめるだけでなく、文章全体の意味に合うかも確認しよう。
句法の分類名や書き下し文の表記は、教科書や参考書によって少し異なることがあるよ。定期テストでは、学校で使用している教科書やワークの表記を優先しよう。
2.漢文の句法の種類
高校漢文で学ぶ主な句法を、大きく分けると次のようになるよ。
| 句法の種類 | 主な働き | 代表的な形 |
|---|---|---|
| 再読文字 | 一つの漢字を二度読む。 | 未・将・且・当・応・宜・須・猶・盍 |
| 否定 | 動作・状態・判断などを打ち消す。 | 不・未・無・非 |
| 使役 | 人に何かをさせる。 | 使・令・遣・教 |
| 受け身 | ほかの人や物から動作を受ける。 | 見・被・為A所B |
| 疑問 | 分からないことを問いかける。 | 何・安・孰・乎・哉 |
| 反語 | 問いかける形で判断を強く表す。 | 豈~哉・安~哉 |
| 比較・比況 | 二つを比べたり、似ていることを表したりする。 | A於B・A不如B・A如B |
| 選択 | 二つのうち、どちらかを選ぶ。 | 与其A寧B |
| 限定 | 範囲を「~だけ」に限る。 | 唯~耳・但~耳・~而已 |
| 累加 | 「AだけでなくBも」と内容を付け加える。 | 不唯A、又B |
| 仮定・譲歩 | 条件や、「たとえ~ても」という関係を示す。 | 若A則B・苟A則B・雖A、B |
| 抑揚 | 軽い事柄から重い事柄へ、内容を強めて述べる。 | A且B、況C乎 |
| 願望 | 願いや希望を表す。 | 願・欲・請・幸 |
| 詠嘆 | 感動・驚き・感慨を表す。 | 嗚呼・~哉・何其~也 |

3.形から探す漢文句法早見表
白文で見つけた漢字や句法の形から、詳しい説明を探してみよう。
「句法の形」をクリックすると、記事内の該当する説明へ移動できるよ。
同じ漢字でも、前後の語や使われ方によって句法が変わることがあるんだ。漢字一字だけでなく、できるだけ前後を含めた形で確認しよう。
| 種類 | 句法の形 | 基本の意味 |
|---|---|---|
| 再読文字 | 未~ | まだ~ない |
| 再読文字 | 将・且~ | 今にも~しようとする |
| 再読文字 | 当・応~ | 当然~すべきだ・~するはずだ |
| 再読文字 | 宜・須・猶・盍~ | ~すべきだ・~のようだ・~したらどうか |
| 基本の否定 | 不・未・無・非 | ~しない・まだ~ない・~がない・~ではない |
| 禁止 | 勿~・無~・莫~ | ~してはいけない |
| 不可能 | 不能~・不得~・不可~ | ~することができない |
| 部分否定 | 不必~・不皆~ | 必ずしも~とは限らない・すべてが~するわけではない |
| 全部否定 | 必不~・皆不~ | 必ず~しない・すべて~しない |
| 二重否定 | 不可不~・無不~ | ~しなければならない・すべて~する |
| 使役 | 使A B・令A B | AにBさせる |
| 受け身 | 見~・被~・為A所B | ~れる・~られる |
| 疑問 | 何・安・孰・乎 | ~か・~だろうか |
| 反語 | 豈~哉・安~哉 | どうして~だろうか、いや~ない |
| 比較 | A於B | AはBより~だ |
| 比較 | A不如B・莫如B | AはBに及ばない・Bが最もよい |
| 比較疑問 | A孰与B C | AとBではどちらがCか |
| 比況 | A如B・A若B・A猶B | AはBのようだ |
| 選択 | 与其A寧B | Aするより、むしろBする方がよい |
| 限定 | 唯~耳・~而已 | ただ~だけだ |
| 累加 | 不唯A、又B | AだけでなくBも |
| 仮定 | 若A、則B・苟A、則B | もしAならばB |
| 仮定 | 使A B・微A・今A | もしAがBするとしたら・もしAがなければ・文脈により「もし今Aならば」 |
| 譲歩・逆接 | 雖A、B・縦A、猶B | AではあるがB・たとえAでもB |
| 抑揚 | A且B、況C乎 | AでさえBなら、ましてCはなおさらだ |
| 願望 | 願~・請~・欲~ | ~したい・どうか~させてほしい・~しようとする |
| 詠嘆 | ~哉・何其~也 | なんと~なことか |
4.再読文字一覧
再読文字とは、訓読するときに、同じ漢字を二度読む文字のことだよ。
最初に副詞のように読み、返ってから助動詞などとして、もう一度読むんだ。

| 再読文字 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 未 | 未だ~ず | まだ~ない |
| 将・且 | 将に・且に~んとす | 今にも~しようとする |
| 当 | 当に~べし | 当然~すべきだ・きっと~だろう |
| 応 | 応に~べし | 当然~すべきだ・~するはずだ |
| 宜 | 宜しく~べし | ~するのがよい・~すべきだ |
| 須 | 須らく~べし | ぜひ~する必要がある・~しなければならない |
| 猶 | 猶ほ~ごとし | ちょうど~のようだ |
| 盍 | 盍ぞ~ざる | どうして~しないのか・~したらどうか |
再読文字「未」
| 白文 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 未成 | 未だ成らず | まだ完成していない |
「未」は、最初に「未だ」と読み、返ってから「ず」と読むよ。
再読文字「将・且」
| 形 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 将行 | 将に行かんとす | 今にも行こうとする |
| 且行 | 且に行かんとす | 今にも行こうとする |
再読文字「当・応」
「当」「応」は、当然・推量・予定などを表し、文脈に応じて「~すべきだ」「~するはずだ」「きっと~だろう」などと訳すよ。
| 形 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 当学 | 当に学ぶべし | 当然学ぶべきだ |
| 応知 | 応に知るべし | 知っているはずだ |
そのほかの再読文字
- 宜:宜しく~べし
- 須:須らく~べし
- 猶:猶ほ~ごとし
- 盍:盍ぞ~ざる
再読文字は、普通の漢字として使われる場合もあるため、決まった形や文脈を確認しよう。
5.否定の句法一覧
否定とは、動作・状態・判断・存在などを打ち消す表現だよ。
基本の否定
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 不~ | ~ず | ~しない |
| 未~ | 未だ~ず | まだ~ない |
| 無~ | ~無し | ~がない |
| 非~ | ~に非ず | ~ではない |
| 莫~ | ~莫し・~無し | ~するものはない |
禁止
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 勿~ | ~すること勿かれ | ~してはいけない |
| 無~ | ~すること無かれ | ~してはいけない |
| 莫~ | ~すること莫かれ | ~してはいけない |
| 不可~ | ~すべからず | ~してはいけない |
不可能
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 不能~ | ~する能はず | ~することができない |
| 不得~ | ~するを得ず | ~することができない |
| 不可~ | ~すべからず | ~することができない |
「不可~」は、禁止にも不可能にもなるよ。能力や状況の面でできないのか、規則や命令によって認められないのかを、文脈から判断しよう。
部分否定
| 形 | 訳し方 |
|---|---|
| 不必~・未必~ | 必ずしも~とは限らない |
| 不常~ | いつも~するとは限らない |
| 不皆~ | すべてが~するわけではない |
全部否定
| 形 | 訳し方 |
|---|---|
| 必不~ | 必ず~しない |
| 常不~ | いつも~しない |
| 皆不~ | すべて~しない |
二重否定
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 無不~ | ~せざるは無し | ~しないものはない・すべて~する |
| 莫非~ | ~に非ざるは莫し | ~でないものはない・すべて~である |
| 非不~ | ~せざるに非ず | ~しないのではない |
| 非無~ | ~無きに非ず | ~がないのではない |
| 不可不~ | ~せざるべからず | ~しなければならない |
| 未嘗不~ | 未だ嘗て~ずんばあらず | これまで~しなかったことはない |
6.使役・受け身の句法一覧
使役
使役は、ある人物が、別の人物に何かをさせる表現だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 使A B | AをしてBせしむ | AにBさせる |
| 令A B | AをしてBせしむ | AにBさせる |
| 遣A B | AをしてBせしむ | AにBさせる |
| 教A B | AをしてBせしむ | AにBさせる |
| 白文 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 使人行 | 人をして行かしむ | 人に行かせる |
受け身
受け身は、主語が、ほかの人や物から動作や作用を受ける表現だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 見~ | ~る・~らる | ~れる・~られる |
| 被~ | ~る・~らる | ~れる・~られる |
| 為A所B | AのBする所と為る | AにBされる |
| 動詞B+於+動作主A | AにBせらる | AにBされる |
| 白文 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 制於人 | 人に制せらる | 人に支配される |
使役では「誰が誰に何をさせるのか」、受け身では「誰が誰に何をされるのか」を整理しよう。
7.疑問・反語の句法一覧
疑問
疑問は、分からないことについて、相手や自分に問いかける表現だよ。
| 形 | 主な読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 何 | 何ぞ・なにをか | どうして~か・何を~か |
| 安 | 安くにか・安くんぞ | どこに~か・どうして~か |
| 孰 | 孰か・孰れか | 誰が~か・どちらが~か |
| 誰 | 誰か | 誰が~か |
| 何以 | 何を以て~か | 何によって~か・どうして~か |
| 如何・奈何 | いかん | どのようであるか・どうしたらよいか |
| 乎・耶・邪・与・歟・哉 | ~か・~や | ~か |
反語
反語は、問いかける形を使って、話し手が当然だと考えている判断を強く表すよ。
| 形 | 主な読み方 | 主な訳し方 |
|---|---|---|
| 豈~哉 | 豈に~んや | どうして~だろうか、いや~ない |
| 安~哉 | 安くんぞ~んや | どうして~だろうか、いや~ない |
| 何~哉 | 何ぞ~んや | どうして~だろうか、いや~ない |
| 誰~哉 | 誰か~んや | 誰が~するだろうか、いや誰も~しない |
| 独~哉 | 独り~んや | どうして~だけだろうか、いや~だけではない |
| 何必~哉 | 何ぞ必ずしも~んや | どうして必ず~する必要があるだろうか、いや必要はない |
疑問と反語には、同じ疑問詞や助字が使われることがあるんだ。語尾だけで決めず、話し手が本当に答えを求めているかを確認しよう。
8.比較・比況の句法一覧
比較
比較は、二つの人物や物事を比べ、どちらが上か、同じか、及ばないかを表す句法だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| A於B | AはBより~ | AはBより~だ | 「於」の後ろが比較の基準。 |
| A不如B | AはBに如かず | AはBに及ばない | Bの方が優れている。 |
| 莫如B | Bに如くは莫し | Bに及ぶものはない・Bが最もよい | Bが最も優れていることを表す。 |
| A孰与B C | AはBと孰れかCなる | AとBでは、どちらがCか | AとBを、性質や状態Cについて比較する。 |
| A与B孰C | AとBと孰れかCなる | AとBでは、どちらがCか | 「孰」が比較する点を尋ねる。 |
「孰与」や「与~孰」の後ろには、「美」「賢」「優」など、何について比べるのかを示す言葉が続くことが多いよ。
| 白文 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 我孰与城北徐公美 | 我は城北の徐公と孰れか美なる | 私と城北の徐公とでは、どちらが美しいか |
比況
比況は、あるものを別のものにたとえ、「~のようだ」と表す句法だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| A如B | AはBの如し | AはBのようだ |
| A若B | AはBの若し | AはBのようだ |
| A猶B | Aは猶ほBのごとし | AはちょうどBのようだ |
「如」「若」は、比況だけでなく、仮定を表すこともあるため、文中での働きに注意しよう。

9.選択の句法一覧
選択は、二つの行動や考えのうち、どちらか一方を選ぶ句法だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 与其A寧B | 其のAせんよりは、寧ろBせよ | Aするよりは、むしろBする方がよい |
| 寧A無B | 寧ろAすとも、Bすること無かれ | むしろAしても、Bしてはいけない |
| 寧A不B | 寧ろAすとも、Bせず | むしろAしても、Bしない |
| 寧A乎、将B乎 | 寧ろAせんか、将たBせんか | Aする方がよいか、それともBする方がよいか |
「与其A寧B」の考え方
- AとBという二つの選択肢がある。
- 「其のAせんよりは」と、Aを退ける。
- 「寧ろBせよ」と、Bを選ぶ。
10.限定の句法一覧
限定は、物事の範囲を「ただ~だけ」と限る句法だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 唯~耳 | 唯~のみ | ただ~だけだ |
| 惟~耳 | 惟~のみ | ただ~だけだ |
| 但~耳 | 但~のみ | ただ~だけだ |
| 直~耳 | 直~のみ | ただ~だけだ |
| 徒~耳 | 徒~のみ | ただ~だけだ |
| ~而已 | ~のみ | ~だけだ |
| ~而已矣 | ~のみ | ~だけだ・~にすぎない |
| ~耳矣 | ~のみ | ~だけだ・~にすぎない |
| 白文 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 直不百歩耳 | 直百歩ならざるのみ | ただ百歩までは逃げなかっただけだ |
11.累加の句法一覧
累加は、「Aだけでなく、さらにBも」と内容を付け加える句法だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 不唯A、又B | 唯にAのみならず、又B | Aだけでなく、さらにBも |
| 非唯A、亦B | 唯にAのみに非ず、亦B | Aだけでなく、Bもまた |
| 不独A、又B | 独りAのみならず、又B | Aだけでなく、さらにBも |
| 非独A、亦B | 独りAのみに非ず、亦B | Aだけでなく、Bもまた |
| 不但A、亦B | 但にAのみならず、亦B | Aだけでなく、Bもまた |
| 非惟A、抑亦B | 惟にAのみに非ず、抑も亦B | Aだけでなく、さらにBでもある |
限定と累加の違い
- 限定:ただAだけだ。
- 累加:Aだけでなく、Bもある。

12.仮定・譲歩の句法一覧
仮定は、「もし~ならば」と条件を示す句法だよ。
譲歩は、「たとえ~ても」「~ではあるが」と、前の内容を認めながら、後ろに別の内容を続ける表現なんだ。
仮定を表す基本的な形
| 形 | 読み方 | 訳し方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 若A、則B | 若しAならば、則ちB | もしAならば、B | 一般的な仮定。 |
| 如A、則B | 如しAならば、則ちB | もしAならば、B | 一般的な仮定。 |
| 苟A、則B | 苟もAならば、則ちB | もし本当にAならば、B | 条件を強く示す。 |
| 誠A、則B | 誠にAならば、則ちB | もし本当にAならば、B | 事実であることを強く仮定する。 |
仮定を表す特殊な形
| 形 | 読み方 | 訳し方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 使A B | AをしてBせしめば | もしAがBするとしたならば | 使役の形を用い、事実とは異なる状況を仮定することがある。 |
| 微A | A微かりせば | もしAがなかったならば | Aが存在しなかった場合を仮定する。 |
| 今A | 今Aせば・今Aならば | もし今Aならば | 文脈によって仮定として扱われることがある。 |
「使」は通常、使役を表す字だよ。ただし、文全体で現実とは異なる状況を仮に想定している場合は、仮定の意味で訳すことがあるんだ。
「微」は「もし」と直接読むのではなく、「A微かりせば」という特殊な形で読むよ。
「今」は基本的には「今・現在」という意味だけれど、文脈によって「もし今~ならば」という仮定になる場合があるんだ。
譲歩・逆接を表す形
| 形 | 読み方 | 訳し方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 縦A、猶B | 縦ひAとも、猶ほB | たとえAであっても、それでもB | 仮の条件を認める譲歩。 |
| 雖A、B | Aと雖も、B | Aではあるが、B | 実際の事実を認める確定的な逆接。 |
| 雖A、B | たとひAとも、B | たとえAであっても、B | 仮の条件を示す逆接仮定。 |
| 雖A、然B | Aと雖も、然れどもB | Aではあるが、しかしB | 前の内容を認めながら、後ろで逆の内容を述べる。 |
「雖」を「Aと雖も」と読むか、「たとひAとも」と読むかは、Aが実際の事実なのか、仮に想定した条件なのかで判断しよう。
13.抑揚の句法一覧
抑揚は、程度の軽い事柄について述べたあと、程度の重い事柄ならなおさらだと強く述べる句法だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| A且B、況C乎 | Aすら且B、況んやCをや | AでさえBなのだから、ましてCはなおさらだ |
| A尚B、況C乎 | Aすら尚ほB、況んやCをや | AでさえBなのだから、ましてCはなおさらだ |
- まず、程度の軽いAについて述べる。
- Aでさえ、そのような結果になると示す。
- 程度の重いCなら、なおさら同じ結果になると強調する。

14.願望の句法一覧
願望は、「~したい」「どうか~してほしい」と、願いや希望を表す句法だよ。
| 形 | 読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 願~ | 願はくは~せん | どうか~したい・どうか~してほしい |
| 欲~ | ~んと欲す | ~したいと思う・~しようとする |
| 請~ | 請ふ~せん | どうか私に~させてください |
| 幸~ | 幸ひに~ | どうか~していただきたい |
| 庶幾~ | 庶幾はくは~ | どうか~であってほしい |
| 白文 | 書き下し文 | 現代語訳 |
|---|---|---|
| 請以戦喩 | 請ふ戦ひを以て喩へん | どうか戦いを用いて、たとえさせてください |
「請」は、「どうか私に~させてください」と、自分の行動について許可を求める場合にも使われるよ。
「欲」は「~したい」という願望だけでなく、「~しようとする」という意志や、動作が始まる直前の状態を表すこともあるんだ。
15.詠嘆の句法一覧
詠嘆は、感動・驚き・嘆きなどの強い気持ちを表す句法だよ。
| 形 | 主な読み方 | 訳し方 |
|---|---|---|
| 嗚呼 | 嗚呼 | ああ |
| ~哉 | ~かな | ~だなあ・なんと~なことだ |
| ~夫 | ~かな | ~だなあ |
| 何其~也 | 何ぞ其れ~や | なんとまあ~なことか |
| 善哉 | 善いかな | なんとすばらしいことか |
「哉」の見分け方
- 本当に答えを求めている:疑問
- 話し手の中で答えが決まっている:反語
- 感動・驚き・嘆きを表している:詠嘆
16.同じ漢字を使う句法の見分け方
漢文では、同じ漢字が複数の意味や句法に使われることがあるよ。
| 漢字・形 | 働き | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| 未 | 基本の否定・再読文字 | 「未だ~ず」と二度読みし、「まだ~ない」を表す。 |
| 無 | 存在の否定・禁止 | 「~無し」なら存在の否定、「~すること無かれ」なら禁止。 |
| 莫 | 存在の否定・禁止 | 「~するものはない」か、「~するな」かを文脈で判断する。 |
| 不可 | 不可能・禁止 | 能力や状況としてできないのか、行為が認められないのかを考える。 |
| 使 | 使役・仮定 | 通常は使役。文全体で事実とは異なる状況を想定していれば、仮定として訳すことがある。 |
| 見 | 見る・受け身 | 直後に動詞があり、主語がその動作を受ける場合は受け身を疑う。 |
| 与 | 与える・疑問の助字・比較 | 文末なら疑問の助字、二つを並べる場合は比較に関わることがある。 |
| 如・若 | 比況・仮定 | 「~のようだ」なら比況、「もし~ならば」なら仮定。 |
| 雖 | 確定的な逆接・逆接仮定 | 実際の事実なら「~ではあるが」、仮の条件なら「たとえ~ても」。 |
| 哉 | 疑問・反語・詠嘆 | 答えを求めるか、判断を強調するか、感動を表すかで見分ける。 |
| 於 | 場所・対象・比較・受け身の動作主 | 前後の語の関係から、「に」「より」「において」などを補う。 |

漢字一字だけで句法を決めるのではなく、漢字の位置・後ろに続く語・主語と動作主の関係・文章全体の意味を確認することが大切だよ。
17.句法の総まとめ一覧
高校漢文で特に重要な句法を、最後に一つの表で確認しよう。
| 種類 | 代表的な形 | 基本の読み方・訳し方 |
|---|---|---|
| 再読文字 | 未 | 未だ~ず・まだ~ない |
| 再読文字 | 将・且 | 将に・且に~んとす・今にも~しようとする |
| 再読文字 | 当 | 当に~べし・当然~すべきだ |
| 否定 | 不・無・非 | ~しない・~がない・~ではない |
| 禁止 | 勿・無・莫 | ~すること勿かれ・~してはいけない |
| 不可能 | 不能・不得 | ~する能はず・~することができない |
| 使役 | 使A B | AをしてBせしむ・AにBさせる |
| 受け身 | 為A所B | AのBする所と為る・AにBされる |
| 疑問 | 何・安・乎 | ~か・~だろうか |
| 反語 | 豈~哉 | 豈に~んや・どうして~だろうか、いや~ない |
| 比較 | A於B | AはBより~ |
| 比較 | A不如B | AはBに如かず・AはBに及ばない |
| 比況 | A如B | AはBの如し・AはBのようだ |
| 選択 | 与其A寧B | Aするよりは、寧ろBする方がよい |
| 限定 | 唯~耳 | 唯~のみ・ただ~だけだ |
| 累加 | 不唯A、又B | Aだけでなく、さらにBも |
| 仮定 | 若A、則B | 若しAならば、則ちB |
| 譲歩 | 縦A、猶B | 縦ひAとも、猶ほB |
| 抑揚 | A且B、況C乎 | AでさえBなのだから、況んやCはなおさらだ |
| 願望 | 願~・請~ | 願はくは~せん・請ふ~せん |
| 詠嘆 | ~哉 | ~かな・なんと~なことか |
18.テスト対策ポイント
最後に、定期テスト前に優先して確認したいポイントをまとめるよ。
- 再読文字は、同じ漢字を二度読む。
- 「未」は「未だ~ず」、「将・且」は「将に・且に~んとす」と読む。
- 否定は、基本・禁止・不可能・部分否定・二重否定に分けて整理する。
- 使役は「AにBさせる」、受け身は「AにBされる」。
- 疑問と反語は、話し手が本当に答えを求めているかで見分ける。
- 「A不如B」は「AはBに及ばない」。
- 「唯~耳」「~而已」は「ただ~だけだ」という限定。
- 「不唯A、又B」は「AだけでなくBも」という累加。
- 「若A、則B」は「もしAならばB」という仮定。
- 「A且B、況C乎」は「ましてCはなおさらだ」という抑揚。
句法を覚えるときは、一覧表を眺めるだけでなく、短い白文を使って、書き下し文と現代語訳を自分で考えてみよう。
否定・使役・受け身・疑問・反語の見分け方を詳しく確認したい場合は、「高校漢文『基本句法』をわかりやすく解説」の記事に戻って復習しよう。
ここまで学習できたら、漢文の句法一覧のテスト対策練習問題やドリルで力試ししてみよう!
高校漢文「句法一覧」テスト対策練習問題|再読文字・比較・選択・仮定・抑揚
【高校漢文】「句法一覧」重要語句ドリル
【高校漢文】「再読文字・否定の応用」内容理解ドリル
【高校漢文】「比較・選択・限定・累加」内容理解ドリル
【高校漢文】「仮定・譲歩・抑揚・願望・詠嘆」内容理解ドリル
19.参考文献・確認事項
この記事は、高等学校国語科教科書・学習参考書で扱われる漢文の主な句法を確認しながら作成しているよ。
- 代ゼミサテライン予備校「単元マスターRote」
- Z会「共通テスト分野別対策 ベーシックマスター 国語 古文・漢文」
- 誰でも古典塾「漢文句法『選択』確認テスト」
- 高等学校国語科教科書・漢文学習参考書
- 句法の分類名、形の示し方、送り仮名、書き下し文は、教科書や参考書によって異なる場合がある。
- 定期テストでは、学校で使用している教科書・ワークの表記を優先して確認しよう。
運営者情報
yumineko
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。

