徒然草「丹波に出雲といふ所あり」現代語訳と品詞分解・古語を解説
高校古文で学習する徒然草の「丹波に出雲といふ所あり」について、現代語訳、文法の重要ポイント、品詞分解などテスト対策に役立つポイントを解説するよ。
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」
テスト対策ポイントまとめ
- 徒然草の成立は鎌倉時代
- 作者は兼好法師(吉田兼好)
- ジャンルは「随筆」
随筆…心に浮かんだことや、見聞きしたことを筆にまかせて書いた文章。二百四十三段から成る。三大随筆は「枕草子」「方丈記」「徒然草」 - 丹波の領主に出雲へ誘われた聖海上人が、背中合わせの獅子と狛犬を見て何か深い理由があるのだろうと感動するものの、実はただの子供のイタズラだったという面白い話。
目次
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」解説
「丹波に出雲といふ所あり」は「徒然草」に収録されているお話。
そこでまずは「徒然草」について最低限知っていて欲しいことを紹介するよ。
日本で「三大随筆」と呼ばれているのが、
- 清少納言が書いた「枕草子」
- 鴨長明が書いた「方丈記」
- 吉田兼好が書いた「徒然草」
の3つなんだ。
「随筆」というのは物語とは違って登場人物が何かしなければならないということはなく、作者が自分の思うままを好きに書くことができるジャンルだね。
「枕草子」は清少納言が宮中生活に関係することが多く書かれていて中高生にもおなじみのもの。
「方丈記」は鴨長明が仏教観をベースにして書いていることから暗い話も多いもの。
「徒然草」吉田兼好が書いた庶民の考え方、生活感が溢れている話から道徳教育、趣味、おもしろ小話など幅広く入っているものという特徴があるよ。
あまりにも有名な書き出しである
「つれづれなるまゝに、日くらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。」
は、中学の国語でも学習したね。
「特にやることがないまま暮らしていて、硯に向かって心に思いついたなんでもないことをなんとなく書きつけていると、なんだか正気を失ったような気分になる。」
という現代語訳からも、作者が特にリラックスした状態で書いていることがよくわかるね。
序段を含めて243段で成り立っており、成立は鎌倉時代末期~室町時代初期とされているよ。
それまで作者が書き溜めていた文章をそのころにまとめたというのが最近の有力な説とされているね。
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」あらすじ
「丹波に出雲といふ所あり」のあらすじをまとめたよ。
丹波に出雲と呼ばれているところがあった。出雲大社の神を移動させて立派に作られた場所である。しだのなにがしとかいう、そこの領主は聖海上人をはじめたくさんの人を誘って拝みに行った。
社の前の獅子と狛犬が背中合わせに立っているのを見た上人は、「なんて珍しいんだ。きっと深い理由があるのだろう」と感動して涙し、ほかの人に「これに気がつかないなんて」と言い、神官に理由を聞いた。
「それ、けしからん子供のいたずらなんですよ」と神官が言う。
上人の流した涙は一体・・・
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」原文
徒然草 第二百三十六段
「丹波に出雲といふ所あり」
丹波に出雲といふ所あり。大社(おほやしろ)を移して、めでたく造れり。しだのなにがしとかや領(し)る所なれば、秋のころ、聖海上人(しやうかいしやうにん)、そのほかも、人あまた誘ひて、「いざ給(たま)へ、出雲拝みに。かいもちひ召させん。」とて、具しもて行きたるに、おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。
御前(おまへ)なる獅子(しし)・狛犬(こまいぬ)、背きて、後さまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、「あなめでたや。この獅子の立ちやう、いとめづらし。深きゆゑあらん。」と涙ぐみて、「いかに殿ばら、殊勝のことは御覧じとがめずや。むげなり。」と言へば、おのおのあやしみて、「まことに他に異なりけり。都のつとに語らん。」など言ふに、上人なほゆかしがりて、おとなしくもの知りぬべき顔したる神官(じんぐわん)を呼びて、「この御社(みやしろ)の獅子の立てられやう、定めて習ひあることに侍(はべ)らん。ちと承らばや。」と言はれければ、「そのことに候(さうら)ふ。さがなき童部(わらはべ)どものつかまつりける、奇怪に候うことなり。」とて、さし寄りて、すゑ直していにければ、上人の感涙いたづらになりにけり。
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」現代語訳
丹波の国に出雲と呼ばれているところがある。その場所に出雲大社の神を移動させて立派に造られている場所がある。しだのだれそれとかという人が領有しているところであって、季節は秋のころになって、この人が聖海上人やその他の人も大勢誘って「さあいらっしゃい、出雲大社の参拝に。ぼたもちをごちそうしますよ」と言って、それらの人をみんな連れて行ったところ、それぞれが出雲大社を拝んで、たいそう信心の心を起こした。
出雲大社の社殿の前にある獅子と狛犬が人々に背を向けて後ろ向きになって立っていたので、その姿に上人はひどく感動して「ああなんと素晴らしいことだ。この獅子や狛犬の立ち方は非常に珍しい。なにか深い理由があるのであろう。」と涙ぐんで、「なんとみなさま、この素晴らしいものを見てお気づきになりませんか?気づかないとはあんまりです。」と言うので、おのおのが不思議がって「ほんとうに他とは違っているなあ。都への土産話としよう」と言うと、上人はその理由をたいそう知りたがって年配で主だったもので物事を心得ているにちがいない神官を呼んで「このお社の獅子の立たれ方はきっとなにかいわれがあるのでしょう。ぜひそのいわれを聞いてみたいものです。」と言われたところ、「そのことでございます。それはいたずらな子どもたちがいたしましたことで、けしからんことでございます。」と言って、獅子に近寄って獅子と狛犬を正しく据えなおして立ち去っていったので、上人の感涙はむだになってしまった。
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」口語訳
丹波の国に、出雲と呼ばれているところがある。出雲大社の神を移動させて、立派に造られた場所なのだ。「しだのだれそれ」とかいう人が領有しているところで、秋になるとその人が聖海上人や他のたくさんの人を「ぼたもちをご馳走するので、出雲大社の参拝に行きましょう」と誘って連れて行った。みなそれぞれが出雲大社を拝んだ。
出雲大社の社殿の前の獅子と狛犬がおたがい背中合わせで立っており、それを見た上人はとても感動して「なんて素晴らしく珍しいのだ。きっとなにか深い理由があるのだろう」と涙ぐみ、「みなさんはこのすばらしいものに気がつかないのですか?それはあんまりですよ。」と言ったので、みんな不思議がって「確かに違うなぁ。都への土産話にしよう」と言うと、理由を知りたがった上人は神官を呼んで「このお社の獅子の立ち方にはきっとなにか理由があるのでしょう。」と聞くと、「それなんです。子供のイタズラなんです。けしからんですよね。」と神官は言い、獅子と狛犬を元の向きに直していった。
上人の涙はむだとなったのだ。
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」古語の意味
「丹波に出雲といふ所あり」に出てくる古語の意味をまとめたよ。
「丹波に出雲といふ所あり」で使われている意味なので、注意してね。
古語 | 意味 |
---|---|
丹波 | 現在の京都府中部と兵庫県東部。 |
出雲 | 現在の京都府亀岡千歳町のあたり。丹波国一宮の出雲大神宮がある。 |
大社 | 島根県にある出雲大社のこと。 |
移して | 勧請して。神様の霊を申し請けて、迎え祀ること。 |
めでたく | 立派に・すばらしく |
しだのなにがし | 「しだの誰それ」という意味。 名前がよく分かっていないということ。このお話の中では、丹波を領有していて、聖海上人を出雲へ誘う。 |
領る | 領有する |
聖海上人 | 詳しくは分かっていない。このお話の中では、偉くて学識のある人として登場している。 |
あまた | たくさん |
いざ給へ | さあ、いらっしゃい。 |
かいもちひ | ぼたもち |
召させん | ごちそうしましょうという意味。 |
具しもて行きたるに | 連れていったところ |
ゆゆしく | たいそう |
信 | 信仰すること。信心。 |
獅子・狛犬 | お社前に置く、一対の魔除けのための像。拝殿に向かったとき、右が獅子で左に狛犬が来るように向かい合わせで置く。 |
いみじく | すばらしく |
あな | ああ |
ゆゑ | 理由 |
いかに | なんと |
殿ばら | 複数の男性に対する敬称。 |
殊勝 | すばらしい |
御覧じ | ご覧になって |
とがめずや | お気づきになりませんか |
むげなり | まったくひどい |
あやしむ | 不思議に思って |
つと | 土産 |
ゆかしがりて | 知りたがって |
おとなしく | 思慮分別のある年配ものらしく |
定めて | きっと |
習ひ | 由緒・言い伝え |
侍らん | ございましょう |
ちと | ちょっと |
承る | お聞きする |
さがなき | いたずらな |
奇怪 | けしからん |
つかまつる | 「行う」の謙譲語・丁寧語。 |
さし寄る | そばに寄る |
いたづら | むだになる。役に立たない。 |
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」内容とポイント
ここではテストにでやすいポイント、物語を理解するうえで重要となるポイントについて紹介していくよ。
だれがだれを誘ったのか、場所はどこか
「丹波に出雲といふ所あり」で重要となるのは「だれが」「だれを」誘ったのかということだよ。
古文では主語が省略されることも多いので「だれが」という主語の判別がテストに出されることが多いんだ。
このお話では「しだのだれそれ」というその辺り(丹波)を領有している人が「聖海上人やその他の大勢の人」を誘って出雲大社の参拝に行ったということをまず押さえておこう。
ただ、重要なのはこの場所がいったいどこなのか。
地理が得意な人だったら、「出雲大社なのに丹波の国?」となっているかもしれないね。
出雲大社は現在の島根県で、当時なら「石見の国」「出雲の国」の方にあるよね。
「丹波の国」は現在の京都府と兵庫県の境目辺りなので、本当ならこの「丹波」に出雲大社があるはずがないんだ。
ここでのポイントは「出雲大社の神を移動させて社を造った場所」と言っているところ。
つまりここは島根県の辺りではなく、京都府の出雲と呼ばれている場所ということになるんだよ。
この地理感覚は必ず押さえておこうね。
なにに対して「むげなり。」と言ったのか。
獅子と狛犬が背中合わせに立っていたことに、きっとなにかすばらしい理由があるのだろうと涙ぐんだ上人は、一緒にいた人々に「いかに殿ばら、殊勝のことは御覧じとがめずや。むげなり。」と言ったね。
「むげなり」は「まったくひどい」という意味。
なにが「まったくひどい」のだろう。
それは、「獅子と狛犬が他では見ないように、背中合わせに立っていることに気がつかないなんて、まったくひどい!」ということ。
自分はそれに気がついて、きっとすばらしい理由があるのだろうとまで思っているのに、他の人が気がつきもしないことに「まったくひどい」と言っているんだね。
上人はなぜ「なほゆかしがりて」と思ったのか
獅子と狛犬が背中合わせなことを他の人々に伝えると、みな「本当だ、ふしぎだなぁ、都へ帰ったら土産話にしよう」と言ったね。
みんなは「不思議だ」で終わってしまったけれど、上人は「きっとすばらしい理由があるはず」と感動して涙までしていたので、そのまま帰ることはできず「理由が知りたい」と思ったんだね。
どうして「上人の感涙いたづらになりにけり」なのか
「上人の感動して流した涙は無駄になった」という意味だよね。
上人が感動して流した涙が無駄になったなんて、どうしてそんな手厳しいことを兼好法師が書いたのかというと、「獅子と狛犬が背中合わせに立っていたのは、ただの子供たちのイタズラで、特別な理由なんて何もなかった」からだね。
ただのイタズラなんだから、「きっとすばらしい理由があるのだろう」と感動して流した涙は、たしかに無駄だよね。
この話のおもしろさはどこにあるのか
物語を理解していく上では、「どの点がおもしろいポイントなのか」を押さえることが何よりも重要だよ。
このお話では、本来はお互い向き合っているはずの獅子と狛犬が、後ろ向きになっておたがい背中合わせになっているということ、
そしてそれを聖海上人という「偉い人」が「何か尊い理由があるはずだ」と思って涙ぐんだりまでしたのに、その理由を神官に尋ねたところ、実はただ子どもたちがイタズラをして向きが変えられただけだったということ。
ここがおもしろポイントだよ。
とくに、一般の人が勘違いしたのではなくて、「聖海上人」という偉くて学識豊かな人が勘違いしたというところを押さえておこう。
上人は調子にのってしまったのか
上人にとっては知らない土地に来たんだから、本当ならもっと慎重になるべきだったのかもしれないね。
でも上人は一緒に来た人たちに「反対向きになっている獅子や狛犬を見て、あなたたちは何も気づかないのか?気づかないとしたらあんまりじゃね?」と今で言う「煽っている」ともいえるセリフを言っているよね。
まるで「おまえたち一般人は気づかないかもしれないが、偉い僧侶である自分は気づくのだよ」とでも言いたげだよね。
そしてそれを確認するために地元の神官に聞いてみたら、なんと深い理由なんてなくて、ただの子どものイタズラだったんだ。
感動して涙まで流していた上人はめちゃくちゃ恥ずかしかっただろうね。
「知らない場所に行って、知ったかぶりをするな」という吉田兼好(兼好法師)の皮肉が込められた文章なのかもしれないね。
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」文法
全体的な品詞分解については後で紹介するけれど、まずはこのお話の中でも特に重要な文法表現について紹介していくよ。
大社を移して、めでたく作れり。の「り」
この「り」は文法上重要となる単語だよ。
完了・存続の助動詞「り」の終止形なんだけれど、「完了」なのか「存続」なのかをすぐに判断できるようにしておきたいところなんだ。
「完了」とは、すでに終わった、もうやらない、ということ。
「存続」とは、その行動がずっと続いているということ。
ここで使われている「り」は、建物に関することなので、その場所に存在し続けていることとなるよね。
なので、この「り」は存続の意味だと判断できるんだよ。
敬語「召させん」について
「かいもちひ召させん」の「召させん」は、「食う」の尊敬語のサ行四段活用「召す」の未然形に+使役の助動詞「す」の未然形+意志の助動詞「む」の終止形になっている。
尊敬語の「召す」は、「しだのなにがし」から「聖海上人」に対して敬意を示しているよ。
しだのなにがしとかやしる所なればの「ば」
この接続助詞の「ば」はセンター試験、現在の共通テストでも頻出の文法なんだ。
「ば」は未然形接続と已然形接続で意味が大きく変わってくるよ。
未然形接続は仮定を表し、「もし~ならば」となるよ。
已然形接続は原因・偶然を表し、「~なので」「~すると」となるんだ。
ここでは直前が「なれ」という断定の助動詞「なり」の已然形なので、「領有している場所だったので」という意味になるよ。
この「ば」は頻出表現なので必ず押さえておこう。
徒然草「丹波に出雲といふ所あり」品詞分解
丹波に出雲といふ所あり。
丹波 | 名詞 |
に | 格助詞:場所 |
出雲 | 名詞 |
と | 格助詞:引用 |
いふ | 動詞:ハ行四段活用「いふ」の連体形 |
所 | 名詞 |
あり | 動詞:ラ行変格活用「あり」の終止形 |
大社を移して、めでたく造れり。
大社 | 名詞 |
を | 格助詞:動作の対象 |
移し | 動詞:サ行四段活用「移す」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
めでたく | 形容詞:「めでたし」の連用形 |
作れ | 動詞:ラ行四段活用「作る」の已然形 |
り | 助動詞:存続「り」の終止形 |
しだのなにがしとかや領(し)る所なれば、
しだのなにがし | 名詞 |
と | 格助詞:引用 |
か | 係助詞:疑問 |
や | 間投助詞 |
しる | 動詞:ラ行四段活用「しる」の連体形 |
所 | 名詞 |
なれ | 助動詞:断定「なり」の已然形 |
ば | 接続助詞:原因、理由 |
秋のころ、聖海上人(しやうかいしやうにん)、そのほかも、人あまた誘ひて、
秋 | 名詞 |
の | 格助詞:連体修飾格 |
ころ | 名詞 |
聖海上人 | 名詞 |
その | 連体詞 |
ほか | 名詞 |
も | 係助詞:並列 |
人 | 名詞 |
あまた | 副詞 |
誘ひ | 動詞:ハ行四段活用「誘ふ」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
「いざ給(たま)へ、出雲拝みに。かいもちひ召させん。」とて、
いざ | 感動詞 |
たまへ | 動詞:ハ行四段活用「たまふ」の命令形 |
出雲 | 名詞 |
拝み | 動詞:マ行四段活用「拝む」の連用形 |
に | 接続助詞:動作の目的 |
かいもちひ | 名詞 |
召さ | 動詞:サ行四段活用「召す」の未然形 |
せ | 助動詞:使役「す」の未然形 |
ん | 助動詞:意志「む」の終止形 |
とて | 格助詞:引用 |
具しもて行きたるに、おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。
具し | 動詞:サ行四段活用「具す」の連用形 |
もて行き | 動詞:カ行四段活用「もて行く」の連用形 |
たる | 助動詞:完了「たり」の連体形 |
に | 接続助詞:単純接続 |
おのおの | 副詞 |
拝み | 動詞:マ行四段活用「拝む」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
ゆゆしく | 形容詞:「ゆゆし」の連用形 |
信 | 名詞 |
おこし | 動詞:サ行四段活用「おこす」の連用形 |
たり | 助動詞:完了「たり」の終止形 |
御前(おまへ)なる獅子(しし)・狛犬(こまいぬ)、背きて、後さまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、
御前 | 名詞 |
なる | 助動詞:存在「なり」の連体形 |
獅子 | 名詞 |
狛犬 | 名詞 |
背き | 動詞:カ行四段活用「背く」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
後ろさま | 名詞 |
に | 格助詞:状態、状況 |
立ち | 動詞:タ行四段活用「立つ」の連用形 |
たり | 助動詞:存続「たり」の連用形 |
けれ | 助動詞:過去「けり」の已然形 |
ば | 接続助詞:原因、理由 |
上人 | 名詞 |
いみじく | 形容詞:「いみじ」の連用形 |
感じ | 動詞:サ行変格活用「感ず」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
「あなめでたや。この獅子の立ちやう、いとめづらし。深きゆゑあらん。」と涙ぐみて、
あな | 感動詞 |
めでた | 形容詞:「めでたし」の語幹 |
や | 間投助詞:詠嘆 |
この | 連体詞 |
獅子 | 名詞 |
の | 接続助詞:連体修飾格 |
立ちやう | 名詞 |
いと | 副詞 |
めづらし | 形容詞:「めづらし」の終止形 |
深き | 形容詞:「探し」の連体形 |
ゆゑ | 名詞 |
あら | 動詞:ラ行変格活用「あり」の未然形 |
ん | 助動詞:推量「む」の終止形 |
と | 接続助詞:引用 |
涙ぐみ | 動詞:マ行四段活用「涙ぐむ」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
「いかに殿ばら、殊勝のことは御覧じとがめずや。むげなり。」と言へば、
いかに | 感動詞 |
殿ばら | 名詞 |
殊勝 | 名詞 |
の | 接続助詞:連体修飾格 |
こと | 名詞 |
は | 係助詞:主題の提示 |
御覧じとがめ | 動詞:マ行下二段活用「御覧じとがむ」の未然形 |
ず | 助動詞:打消「ず」の終止形 |
や | 係助詞:疑問 |
むげなり | 形容動詞:「むげなり」の終止形 |
と | 格助詞:引用 |
言へ | 動詞:ハ行四段活用「言ふ」の已然形 |
ば | 接続助詞:原因、理由 |
おのおのあやしみて、「まことに他に異なりけり。都のつとに語らん。」など言ふに、
おのおの | 副詞 |
あやしみ | 動詞:マ行四段活用「あやしむ」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
まことに | 副詞 |
他 | 名詞 |
に | 格助詞:比較の基準 |
異なり | 形容動詞:「異なり」の連用形 |
けり | 助動詞:詠嘆「けり」の終止形 |
都 | 名詞 |
の | 格助詞:連体修飾格 |
つと | 名詞 |
に | 格助詞:動作の対象 |
語ら | 動詞:ラ行四段活用「語る」の未然形 |
ん | 助動詞:意志「む」の終止形 |
など | 副助詞:引用 |
言ふ | 動詞:ハ行四段活用「言ふ」の連体形 |
に | 接続助詞:単純接続 |
上人なほゆかしがりて、おとなしくもの知りぬべき顔したる神官(じんぐわん)を呼びて、
上人 | 名詞 |
なほ | 副詞 |
ゆかしがり | 動詞:ラ行四段活用「ゆかしがる」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
おとなしく | 形容詞:「おとなし」の連用形 |
もの | 名詞 |
知り | 動詞:ラ行四段活用「知る」の連用形 |
ぬ | 助動詞:強意「ぬ」の終止形 |
べき | 助動詞:当然「べし」の連体形 |
顔 | 名詞 |
し | 動詞:サ行変格活用「す」の連用形 |
たる | 助動詞:存続「たり」の連体形 |
神官 | 名詞 |
を | 格助詞:動作の対象 |
呼び | 動詞:バ行四段活用「呼ぶ」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
「この御社(みやしろ)の獅子の立てられやう、定めて習ひあることに侍(はべ)らん。
この | 連体詞 |
御社 | 名詞 |
の | 格助詞:連体修飾格 |
獅子 | 名詞 |
の | 格助詞:連体修飾格 |
立て | 動詞:タ行下二段活用「立つ」の未然形 |
られ | 助動詞:尊敬「らる」の連用形 |
やう | 接尾語 |
さだめて | 副詞 |
ならひ | 名詞 |
ある | 動詞:ラ行変格活用「あり」の連体形 |
こと | 名詞 |
に | 助動詞:断定「なり」の連用形 |
侍ら | 動詞:ラ行変格活用「侍り」の未然形 |
ん | 助動詞:推量「む」の終止形 |
ちと承らばや。」と言はれければ、
ちと | 副詞 |
承ら | 動詞:ラ行四段活用「承る」の未然形 |
ばや | 終助詞:願望 |
と | 格助詞:引用 |
言は | 動詞:ハ行四段活用「言ふ」の未然形 |
れ | 助動詞:尊敬「る」の連用形 |
けれ | 助動詞:過去「けり」の已然形 |
ば | 接続助詞:偶然条件 |
「そのことに候(さうら)ふ。さがなき童部(わらはべ)どものつかまつりける、奇怪に候うことなり。」とて、
その | 連体詞 |
こと | 名詞 |
に | 助動詞:断定「なり」の連用形 |
候ふ | 動詞:ハ行四段活用「候ふ」の終止形 |
さがなき | 形容詞:「さがなし」の連体形 |
童べども | 名詞 |
の | 格助詞:主格 |
つかまつり | 動詞:ラ行四段活用「とかまつる」の連用形 |
ける | 助動詞:過去「けり」の連体形 |
奇怪に | 形容動詞:「奇怪なり」の連用形 |
候ふ | 動詞:ハ行四段活用「候ふ」の連体形 |
こと | 名詞 |
なり | 助動詞:断定「なり」の終止形 |
とて | 格助詞:引用 |
さし寄りて、すゑ直していにければ、上人の感涙いたづらになりにけり。
さし寄り | 動詞:ラ行四段活用「さし寄る」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
据ゑ直し | 動詞:サ行四段活用「据ゑ直す」の連用形 |
て | 接続助詞:単純接続 |
いに | 動詞:ナ行変格活用「いぬ」の連用形 |
けれ | 助動詞:過去「けり」の已然形 |
ば | 接続助詞:原因、理由 |
上人 | 名詞 |
の | 格助詞:連体修飾格 |
感涙 | 名詞 |
いたづらに | 形容動詞:「いたづらなり」の連用形 |
なり | 動詞:ラ行四段活用「なる」の連用形 |
に | 助動詞:完了「ぬ」の連用形 |
けり | 助動詞:過去「けり」の終止形 |
運営者情報
ゆみねこ
詳しいプロフィールを見る
青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
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