「展開の公式」をわかりやすく解説(ポイントは2つ)

高校数学Ⅰ 展開

いよいよ「整式の乗法」の中ボス、
「展開」の登場だよ。

yuminekoyumineko

まだ整式というものにも慣れないところに、「展開」という強敵が合わさって、「無理!と感じてしまう子が多いよね。
でも、ここで重要なポイントになるのは2つだけなんだ!

では、丁寧にひとつずつ確認していこう。

「展開の公式」をわかりやすく解説(ポイントは2つ)のPDFをダウンロード

「展開の公式」をわかりやすく解説(ポイントは2つ)

「展開の公式」をわかりやすく解説(ポイントは2つ)のPDF(4枚)がダウンロードできます。

PDFを印刷して手書きで勉強したい方は以下のボタンからお進み下さい。

そもそも展開ってなんだっけ?

ザックリいうと
「かけ算で出来ている式」を、「実際に計算しちゃう」こと!

実は中学3年の数学で「展開」についてはもう勉強しているんだ。

覚えているかな?

「展開」について、教科書にはこう書いてあるよ。

教科書くん教科書くん

単項式や多項式の積の形で表された式を計算して単項式の和の形に表すことを、もとの式を展開するという。

さっぱり分からない・・

くまごろうくまごろう

カンタンな言葉にすると、かけ算で書いてある式を、たし算やひき算の形に書き直す、ということだよ。


※ひき算も、「-2」を加えるという考え方をすれば、「和」だからね。

でもそれでもまだピンと来ないよね。

まぁ、つきつめて言うと、
「かけ算の式を、実際に計算しちゃって」
という言い方でどうかな。

例えば、\((x+4)(y-9)\)という
「かけ算の式」がある。

えっ
それって、かけ算なの・・・?

くまごろうくまごろう

だってこの式の意味は\((x+4)\)×\((y-9)\)だからね。
つまり、\((x+4)\) に\((y-9)\)をかける「かけ算」だね。

さて、これってまだ計算できる よね。

というわけで、実際に計算してみようというのが「展開」なんだ。

分配法則で計算すると、

\(xy-9x+4y-36\)

になるね。

ほら、「単項式」の「和」の形になった。
\(xy\)\(9x\)+\(4y\)\(36\)

「展開」=ひろげる
という言葉通り、

「かけ算」として小さくまとまっている式があるんだけど、
まだ計算できる部分があるから
実際に計算して広げてしまおう!

という作業なんだね。

くまごろうくまごろう

ちなみに、「展開」の完成のサインは、
「それ以上は計算できない!」
状態になったらだよ。

では展開の公式って?何のために覚えるの?

展開の公式って、中学で覚えた気がする

くまごろうくまごろう

そうだよ。この3つだね。

中学で習った展開の公式


\((x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab\)


\((x+a)^2=x^2+2ax+a^2\)

\((x-a)^2=x^2-2ax+a^2\)


\((x+a)(x-a)=x^2-a^2\)

そもそも、展開の公式ってなんで覚えるのかな?


くまごろうくまごろう

それは「ショートカット」の一言につきるね。
たとえば、上の③の式を、公式なしで計算してみて。

えっと・・
\((x+a)(x-a)\)
=\(x^2-ax+ax-a^2\)
=\(x^2-a^2\)
かな??


くまごろうくまごろう

そうだね。
でも、
③のような式の形のときは、\(-ax+ax\)が必ず出来て、どうせ打ち消しあう(無くなる)ということが分かっているんだ。
それなら、はじめから最後までいちいち計算せず、分かりきっている形にしちゃおう
というのが「公式」の目的だよ。

※この展開の公式はショートカットだけでなく、
「因数分解」するようになったときにも役立つよ。それはまた次回。

話は戻って、この展開の公式が高校数学では
こう変身するよ。

高校で習う展開の公式


\((x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab\)


\((a+b)^2=a^2+2ab+b^2\)
\((a-b)^2=a^2-2ab+b^2\)


\((a+b)(a-b)=a^2-b^2\)

えっと・・・
間違い探しかな?(汗)

くまごろうくまごろう

それだよね(笑)
ちょっとところどころ文字が変わってるけど、結局、公式の形は変わってない から安心して。

でもここで一つ目のポイント

ポイント①
展開の公式が一つ増える!

この3つの公式に新しい仲間が増えるんだ


\((ax+b)(cx+d)\)\(=acx^2+(ad+bc)x+bd\)

ちょっと事情が変わった!(汗)


くまごろうくまごろう

そう。
なんかレベルアップしてるよね(汗)

今までの公式とは決定的に違うところがあるよ。
それは、\(x\)の係数が、\(a\)と\(c\)、というように
「異なる数字」だということ。

今までの公式は、「xの係数部分は同じ」という、
いわば条件つきだったんだ。

でも、今回新たに加わった公式は、
「\(x\)の係数が違っても大丈夫!」という
ある意味頼りになるヤツなんだよ。

これで新たに4人メンバーになった
展開の公式だけど、
高校数学ではすっっごく重要なので、
とにかく必死に覚えよう!

ポイント②
3つ以上の項がある式には
「カタマリ」で対応する!

この「カタマリ」のワザも実は中学数学で
すでに勉強しているよ。

何がしたいかというと、

「展開の公式」はショートカットに便利、
と話したよね。

便利だから、なるべく使いたいんだ。

でも、公式①~④の式の形に当てはまって
くれていないと、「使えない」よね。

仕方なく地道に展開の計算をするしかない・・
と思いきや、

くまごろうくまごろう

なんか微妙に公式のカタチと似てる・・!?

ということもある。

例えば、
\((x+y+2)^2\)
という式があったとするよ。

展開の公式の②

教科書くん教科書くん

\((a+b)^2=a^2+2ab+b^2\)
\((a-b)^2=a^2-2ab+b^2\)


の形に似ているような・・

でも項が3つもある時点でダメだよね‥

と諦めかけたところに、

あれ?「\(x+y\)」をひとまず「カタマリ」にしてみたらいけるかも?

と、ひらめかないかな?

※教科書などでは、「カタマリ」を\(X\)(大文字の\(x\))で表すよ。

そうすると、
\((X+2)^2\)
になって、

なんと②の公式と同じ形になるんだ!

そうすると、公式を使って
簡単に計算ができるね。

まずは\(X^2+4X+4\)となるね。

そして、ここでカタマリを
元に戻すんだ。

\(X\)は「\(x+y\)」のことだから、
\((x+y)^2+4(x+y)+4\)
になるね。
\((x+y)^2\)の部分は、これまた
公式②が使えるね。

なので、
\(x^2+2xy+y^2\)になるね。
\(4(x+y)\)も計算して、
最終的には
\(x^2+2xy+y^2+4x+4y+4\)

これ以上計算できないね。
というわけで、展開完了!

くまごろうくまごろう

こうして、「カタマリ」を使うことでパッと見 公式が使えなさそうな式でも、公式と同じ形にすることができる んだ。

高校数学I 展開の公式
まとめ

まとめ
  • 中学との違い① 公式がひとつ増える!!
  • 「カタマリ」を使うことで、公式と同じ形に直せるときがある!
yuminekoyumineko

高校数学Iの展開についての基礎ができたら、次は「展開の工夫」について解説するよ!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

感想や意見を聞かせてね