江戸幕府のゆらぎと『大塩平八郎の乱』飢饉・打ちこわし・百姓一揆とは?
前回は、町人が主役の「文化」や「新しい学問」について勉強したね。
平和で豊かな時代が続いて、面白い文化がたくさん生まれた江戸時代。
でも、江戸時代の後半になると、その様子が少し変わってくるんだ。
あれほど強かった幕府の力が弱まり、人々の不満が爆発する事件があちこちで起きるようになるよ。
「平和だったはずなのに、どうして?」と、思うよね。
今回は、次の「明治維新(新しい時代の幕開け)」へとつながる、幕府のゆらぎと人々の抵抗について見ていこう!

苦しくなる生活と幕府の財政難
江戸時代の初めは、新田開発などで農業が発展したけれど、後半になると困ったことが起きるようになったんだ。
たび重なる『飢饉(ききん)』と冷害
一つは「飢饉」だよ。
火山の噴火や、夏なのに寒い日が続く「冷害」、イナゴ(虫)の大量発生などが原因で、お米がまったく育たない年が何度もあったんだ。
食べるものがなくなってしまい、多くの人が餓死(お腹が空いて死んでしまうこと)するような悲しい出来事が起きたんだよ。
(「享保・天明・天保」の三大飢饉などが有名だね)
お米がとれないと、農民の人は大変だね。
大変なのは農民だけじゃないんだ。
武士の給料は「お米」だったよね。
お米がとれないということは、武士にとっても「給料が出ない」のと同じ。
だから、支配する側の幕府や藩も、どんどん貧乏になっていったんだ。

人々の抵抗!『百姓一揆』と『打ちこわし』
生活が苦しくなると、人々はどうするかな?
「なんとかしてくれ!」と声を上げるよね。
それが、「百姓一揆」と「打ちこわし」だよ。
この2つは、起きる「場所」と「相手」が違うから、整理して覚えよう。
村が団結して訴える「百姓一揆」
農村で、お百姓さんたちが団結して、領主(武士)に対して起こしたのが「百姓一揆」だよ。
「今年の年貢を減らしてください!」
「不正をしている代官(役人)を辞めさせてください!」
と訴えたんだ。
もちろん、ただ暴れることが目的ではなくて、どうしようもなくて命がけで訴えたんだね。
都市で米屋をおそう「打ちこわし」
一方、都市(江戸や大阪)の町人たちが起こしたのが「打ちこわし」だよ。
飢饉でお米が足りなくなると、お米の値段がものすごく高くなるよね。
そんな中、「お米を倉庫に隠しておいて、もっと値段が上がってから売ろう」とするズルい商人がいたんだ(買い占め)。
これに怒った人々が、米屋の家や倉庫を壊して、お米を取り戻そうとしたんだよ。
「百姓一揆」と「打ちこわし」の違い
| 名前 | 場所 | 誰がおこした? | 目的 |
| 百姓一揆 | 農村 | 農民(百姓) | 年貢を減らしてほしい! |
| 打ちこわし | 都市 | 町人 | 米の値段を下げろ! (米屋をおそう) |

幕府に衝撃!『大塩平八郎の乱』
各地で一揆や打ちこわしが増える中、1837年、幕府にとって一番ショッキングな事件が起きたんだ。
それが「大塩平八郎の乱」だよ。
なぜ元役人が反乱を起こしたのか?
事件が起きたのは、「天下の台所」である大阪。
このころ、日本中がひどい飢饉(天保の飢饉)で苦しんでいて、大阪でも餓死する人がたくさん出ていたんだ。
なのに、大阪の奉行所(役所)は、人々を助けるどころか、江戸へお米を送ったりしていた。
これを見て「許せない!」と立ち上がったのが、大塩平八郎だよ。
彼はもともと、「大阪町奉行所の元役人(与力)」だったんだ。
ええっ!? 幕府側の役人が反乱を起こしたの?
そうなんだ。彼はとても正義感が強くて、学校の先生もしていたから、教え子や農民たちと一緒に立ち上がったんだ。
反乱そのものはすぐに鎮圧(たおされること)されたけど、「幕府の元役人が反乱を起こすなんて、もう幕府はダメなんじゃないか?」という衝撃が、全国に広まったんだよ。
この事件をきっかけに、「幕府は頼りにならない」と考える人が増えて、幕府の力はますます弱まっていったんだ。

差別に立ち向かう人々と『渋染一揆』
最後に、もう一つ重要な「戦い」を紹介するよ。
それは、不当な「差別」に対する戦いだよ。
身分制度の記事で、江戸時代には厳しく差別された身分の人々がいたことを勉強したね。
幕府や藩は、生活が苦しくなると、そのストレスを弱い立場の人に向けるような命令を出すことがあったんだ。
岡山藩では、「差別された身分の人々は、渋染(地味な色)の着物しか着てはいけない」などという、理不尽な命令が出された(倹約令)。
これに対して、人々は「人間としての誇り」を守るために立ち上がったんだ。
これを「渋染一揆」というよ(1856年)。
彼らは、武器を持って暴れるのではなく、「道理(正しい理屈)」で粘り強く話し合い(強訴)をして、ついにこの差別的な命令を撤回させたんだ。
自分たちの権利を守るために団結した、重要な出来事なんだよ。

江戸幕府のゆらぎと『大塩平八郎の乱』飢饉・打ちこわし・百姓一揆まとめ
6年生はここを押さえればOK!「幕府のゆらぎ」まとめ
※赤いキーワードは必ず覚えよう!
- 天候不順などで作物が育たず、飢饉がたびたび起きた
- 農村では、年貢の引き下げを求めて百姓一揆が起きた
- 都市では、米の安売りを求めて打ちこわしが起きた
- 元役人の大塩平八郎が大阪で反乱を起こした(大塩平八郎の乱)
→幕府への信用が大きく揺らいだ
国内がボロボロになり、幕府の力が弱まっている。
そんなピンチの時に、海の向こうから「黒い船」に乗ったあの人物がやってくるんだ。
次回、いよいよ江戸時代の終わり、「黒船来航と明治維新」について解説するよ!
日本が新しい時代へどう変わっていくのか、お楽しみに!
運営者情報
檜垣 由美子(ゆみねこ)
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。


