中島敦「山月記」解説!あらすじ・李徴が虎になった理由・主題をわかりやすく解説
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中島敦「山月記」は、高校国語で学習することの多い近代文学作品だよ。
主人公の李徴は、才能に恵まれながらも、詩人として成功できず、やがて虎になってしまう人物なんだ。
「人が虎になる」という不思議な物語だけれど、李徴の自尊心や羞恥心、才能への執着、人間としての心を失っていく恐怖など、さまざまな問題が描かれているんだよ。
この記事では、「山月記」のあらすじ、登場人物、李徴が虎になった理由、「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」の意味、作品の主題をわかりやすく解説するよ。

この記事で分かること
- 「山月記」のあらすじ
- 李徴と袁傪の人物像
- 李徴が虎になった理由
- 「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」の意味
- 李徴が詩にこだわった理由
- 最後に虎が咆哮する場面の意味
- 「山月記」の主題
目次
1. 「山月記」とは?作者・ジャンル・作品の特徴
「山月記」は、中島敦によって書かれた小説だよ。
唐代の伝奇小説「人虎伝」を主な典拠として、中島敦が独自の心理描写や主題を加えて創作した作品で、唐の時代を舞台に、詩人を目指していた李徴が虎になってしまう物語なんだ。
ただし、「山月記」はただの怪奇小説ではないよ。人が虎になるという不思議な出来事を通して、人間の自尊心、羞恥心、才能へのこだわり、努力できない弱さが描かれているんだ。
「山月記」の基本情報
| 作者 | 中島敦 |
|---|---|
| ジャンル | 小説 |
| 舞台 | 中国・唐の時代 |
| 主な典拠 | 唐代の伝奇小説「人虎伝」 |
| 主人公 | 李徴 |
| 主な論点 | 自尊心・羞恥心・才能への執着・孤独・人間性の喪失 |
たろう
くまごろう2. 「山月記」の登場人物
「山月記」の中心人物は、李徴と袁傪の二人だよ。
| 人物 | 読み方 | 人物像 | 物語での役割 |
|---|---|---|---|
| 李徴 | りちょう | 才能に恵まれたが、自尊心が高く、人と交わることを避けた人物 | 虎になった主人公。自分の弱さを語る |
| 袁傪 | えんさん | 李徴の旧友。温和で、李徴と親しかった人物 | 虎になった李徴の話を聞き、詩や願いを受け取る |
| 李徴の妻子 | りちょうのさいし | 李徴の家族 | 李徴が後から気にかける存在。李徴の自己中心性を示す手がかりにもなる |

李徴は、もともととても優秀な人物だったよ。若くして役人になり、詩人として名を残したいという夢も持っていたんだ。
一方、袁傪は李徴の旧友で、虎になった李徴の言葉を受け止める聞き手として登場するよ。
「山月記」は、李徴が袁傪に自分の過去や後悔を語る形で進んでいくんだ。
3. 「山月記」のあらすじ
「山月記」のあらすじを、まずは大まかに確認しよう。
「山月記」のあらすじ
李徴は、若くして役人になった優秀な人物だった。しかし、自尊心が高く、低い役職に甘んじることを嫌って官を辞め、詩人として名を残そうとする。
ところが、詩人としての名声はなかなか上がらず、生活も苦しくなっていく。李徴は再び役人になるが、かつて自分が見下していた人々の下で働くことに耐えられず、不満と焦りを募らせ、もともとの激しい性情をますます抑えられなくなっていく。
ある夜、旅先で李徴は突然姿を消し、その後、人喰い虎になってしまう。
翌年、旧友の袁傪が旅の途中でその虎と出会う。虎は袁傪を襲いかけるが、相手が旧友だと気づき、姿を隠したまま自分が李徴であることを明かす。
李徴は、自分が虎になった本当の理由は分からないとしながらも、過去を振り返り、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」が自分の生き方をゆがめてしまったのではないかと語る。
最後に李徴は、自分の詩を袁傪に伝えてほしいと頼み、さらに妻子のことを頼む。そして別れ際、虎の姿を袁傪に見せ、月に向かって咆哮し、草むらの中へ消えていく。
あらすじだけ見ると、「人が虎になった話」に見えるよね。
でも、テストや読解で大事なのは、李徴が虎になったことを、李徴の内面の問題と結びつけて読むことなんだ。
4. 場面ごとの流れを確認しよう
「山月記」は、場面の流れをつかむと読みやすくなるよ。
| 場面 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 李徴の過去 | 若くして役人になるが、自尊心の高さから官を退く | 優秀だが、他人の下で働くことを嫌う |
| 詩人としての挫折 | 詩作に打ち込むが、名声は得られず生活が苦しくなる | 才能への自信と現実のずれに苦しむ |
| 再び役人になる | 妻子のために再び官職につく | 自尊心が傷つき、心が荒れていく |
| 発狂と失踪 | 旅先で突然姿を消す | 李徴が虎になるきっかけ |
| 袁傪との再会 | 虎になった李徴が旧友の袁傪と出会う | 人間の心を残した李徴が自分を語る |
| 李徴の告白 | 虎になった理由として自分に思い当たることを振り返る | 「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」が重要 |
| 詩と妻子の依頼 | 自分の詩を伝えること、妻子の世話を頼む | 詩への執着と自己中心性が表れる |
| 最後の咆哮 | 虎の姿を見せ、月に向かって吠える | 人間性を失っていく悲しみが表れる |
この流れの中で、とくに大事なのは、李徴が「自分の弱さ」を自分で分析していることだよ。
5. 李徴はどんな人物?
李徴は、単純な悪人でも、ただのかわいそうな人でもないよ。
李徴はとても才能があり、若くして役人になった人物なんだ。けれど、自分の才能を強く信じていたため、低い役職に甘んじることを嫌った。
さらに、詩人として名を残したいと思いながら、他人に教えを求めたり、詩友と交わって努力したりすることはしなかったんだ。
李徴の人物像
- 才能に恵まれている
- 自尊心が高い
- 人に頭を下げることを嫌う
- 失敗して才能のなさが明らかになることを恐れている
- 師に学び、詩友と切磋琢磨しながら才能を磨かなかったことを、後から深く後悔している
- 妻子よりも詩業を先に気にかけてしまう自己中心性がある
つまり李徴は、詩作そのものには打ち込んでいたけれど、師に学び、詩友と切磋琢磨しながら、自分の才能を客観的に磨くことを避けてしまった人物だと考えられるよ。
たろう
くまごろう6. 李徴はなぜ虎になったのか

「山月記」で一番大切なのは、李徴がなぜ虎になったのかを考えることだよ。
物語の中では、李徴が虎になった理由は、はっきりと一つに決められているわけではないんだ。
李徴自身も、最初は「なぜこんな運命になったか分からない」と語るよ。けれど、だんだん自分の過去を振り返る中で、思い当たることを語り始めるんだ。
李徴が虎になった理由として、本人が思い当たっていること
- 自尊心が高く、人に学ぼうとしなかった
- 失敗を恐れて、師に学び、詩友と切磋琢磨することを避けた
- 他人を見下し、俗物と交わることを嫌った
- 人と離れ、自分の内側にこもってしまった
- 自分の中の「猛獣」を育ててしまった
李徴は、虎になった本当の理由は分からないと語っているよ。
ただし、自分の過去を振り返り、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」が自分の性情をゆがめ、内面にふさわしい虎の姿へ変えてしまったのではないかと考えているんだ。
つまり、虎になったことは、ただ体が変化したというだけではないんだ。
李徴の内側にあった高慢さ、弱さ、孤独、怒り、後悔が、外側の姿として虎になって現れたと読むことができるよ。
7. 「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」とは?

「山月記」で最重要といってよい言葉が、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」だよ。
少し難しい言葉だけれど、テストでも読書感想文でもとても大切なポイントなんだ。
| 言葉 | 意味 | 李徴の行動との関係 |
|---|---|---|
| 臆病な自尊心 | 自分を優れた存在だと思いたい一方、自分の才能が本物ではないと明らかになることを恐れる心 | 師に学び、詩友と切磋琢磨する中で、自分の実力が明らかになることを避ける |
| 尊大な羞恥心 | 自分の弱さや未熟さを他人に知られることを恥じるあまり、他者を見下して遠ざけようとする心 | 他人と交わることを避け、俗物と一緒になることを嫌う |
李徴は、詩人として成功したかった。けれど、努力しても成功できなかったら、自分の才能が大したことないと分かってしまう。それが怖かったんだ。
だから、詩作には打ち込みながらも、師に学ぶことや、仲間と切磋琢磨して自分の実力を磨くことはしなかった。
一方で、「自分は特別な才能を持っているはずだ」という思いは捨てられなかった。そのため、普通の役人として生きることにも満足できなかったんだ。
この矛盾した心が、李徴を苦しめていったんだね。
たろう
くまごろう8. 袁傪はどんな役割をもつ人物?
袁傪は、李徴の旧友だよ。
李徴は友人が少ない人物だったけれど、袁傪とは親しかった。袁傪が温和な性格だったため、李徴のきびしい性格ともぶつからなかったと説明されているよ。
袁傪は、虎になった李徴を怖がるだけでなく、旧友として話を聞く。李徴の詩を書き取らせ、妻子への願いも引き受けるんだ。
袁傪の役割
- 李徴の過去を知る旧友
- 李徴の告白を聞く相手
- 李徴の詩を後世に残すための伝録を引き受ける
- 李徴の妻子を助ける約束をする
- 読者が李徴の悲しみを理解するための聞き手になる
袁傪がいるからこそ、李徴は自分の後悔や苦しみを言葉にできるんだ。
その意味で、袁傪はただの脇役ではなく、李徴の内面を読者に伝えるために大切な人物なんだよ。
9. 李徴が詩を伝録してほしいと頼んだ理由
虎になった李徴は、袁傪に自分の詩を伝録してほしいと頼むよ。
「伝録」とは、言葉を伝えて書き記すことだよ。李徴は、まだ覚えている詩を語り、袁傪の部下に書き取らせて、自分の作品を後世に残そうとするんだ。
李徴は、詩人として名を成すことに人生をかけていた。だから、虎になった今でも、自分の詩が世に残らないまま消えてしまうことに耐えられなかったんだ。
李徴が詩にこだわる理由
- 詩人として名を残したかったから
- 自分の人生をかけたものだったから
- 虎になっても、詩人としての自分を捨てきれなかったから
- 自分が生きた証を後世に残したかったから
ただし、この場面は李徴の悲しさだけでなく、李徴の自己中心性も表しているよ。
一方で、詩は李徴に残された「人間として生きた証」でもあるんだ。
なぜなら李徴は、妻子のことよりも先に、自分の詩のことを袁傪に頼んでいるからなんだ。
そこには、自己中心性だけでなく、人間としての自分が消えてしまう前に、その存在を残したいという切実さも表れていると考えられるよ。
10. 妻子より詩を先に頼んだことの意味
李徴は、袁傪に詩の伝録を頼んだあと、妻子のことも頼むよ。
しかし李徴は、その順番に自分で気づき、自分を責めるんだ。
本当なら、まず妻子のことを頼むべきだった。それなのに、李徴は先に自分の詩のことを頼んでしまった。
この場面は、李徴が自分の欠点を深く理解していることを示しているよ。
この場面で分かること
- 李徴は、妻子への思いがないわけではない
- しかし、それ以上に詩人としての名声に執着してしまう
- その自己中心性を、李徴自身も分かっている
- だからこそ、自分を「こんな獣に身を堕とす」男だと責めている
ここは、李徴の人間らしさと弱さが同時に表れる、とても重要な場面だよ。
11. 最後に虎が咆哮する場面の意味
物語の最後、李徴は袁傪に、自分の虎の姿を見せるよ。
それは、自分の姿を誇るためではない。袁傪が再びここを通って、自分に会おうと思わないようにするためなんだ。
李徴は、自分が完全に虎に戻ってしまえば、旧友である袁傪のことも分からずに襲ってしまうかもしれないと恐れているんだね。
そして最後に、虎は月を仰いで二声三声咆哮し、再び草むらの中へ消えていくよ。
最後の咆哮から読み取れること
- 人間としての李徴の悲しみを表している
- 自分の苦しみを誰にも理解されない孤独を表している
- もう人間には戻れない絶望を表している
- 李徴が獣の世界へ戻っていくことを印象づけている
李徴は、自分の苦しみを言葉で伝えたいと思っている。けれど、最後には人間の言葉ではなく、虎の咆哮だけを残して草むらへ消えていく。
人間の言葉ではない咆哮として響くことで、李徴と人間世界との隔たりが強く感じられるんだ。
この咆哮は、人間としての李徴の悲しみや孤独、別れの叫び、そして獣の世界へ戻っていく姿を印象づけるものとして読むことができるよ。
12. 「山月記」の主題
「山月記」の主題は、いくつかの角度から考えることができるよ。
「山月記」の主題には、いくつもの読み方があるよ。
学校の学習では、特に自尊心や羞恥心のために他者から学ぶことができず、自分の才能を十分に磨けなかった李徴の悲劇が重要になるんだ。
「山月記」の主題
- 才能にこだわりすぎた人間の悲劇
- 失敗を恐れて、他者に学び、自分の実力を客観的に磨くことを避けてしまう弱さ
- 自尊心と羞恥心によって孤独になっていく人間の姿
- 人間の中にある猛獣のような性情
- 自分の弱さに気づいたときには、もう取り返しがつかない悲しみ
李徴は、自分の才能を信じ、詩作そのものには打ち込んでいた。けれど、その才能を客観的に磨くために師に学び、詩友と切磋琢磨することはしなかった。
自分の実力が明らかになることを恐れ、他者に学ぶことを避けた。人に弱さを知られるのが怖くて、人と交わることも避けた。
その結果、李徴は人間としての生活も、詩人としての夢も失ってしまうんだ。
「山月記」は、李徴という人物を通して、自分の弱さと向き合わないことの怖さを描いた作品だと考えられるよ。
そのほかにも、人間としての心が失われていく恐怖、詩や言葉によって自分の存在を残そうとする願い、他者と関わらず孤独になっていく人間の姿などを読み取ることができるんだ。
13. 重要語句と新出漢字
「山月記」は難しい語句が多い作品だよ。テストでは、読み方や意味が問われやすいので、重要語句を確認しておこう。
重要語句
| 語句 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 博学才穎 | はくがくさいえい | 学問が広く、才能がすぐれていること |
| 狷介 | けんかい | 自分の考えにこだわり、人と合わないこと |
| 自ら恃む | みずからたのむ | 自分の才能や力を頼みにすること |
| 賤吏 | せんり | 身分の低い役人 |
| 帰臥 | きが | 故郷に帰って静かに暮らすこと |
| 詩作に耽る | しさくにふける | 詩を作ることに熱中すること |
| 焦躁 | しょうそう | あせっていらだつこと |
| 怏々 | おうおう | 不満で楽しくないようす |
| 狂悖 | きょうはい | 心や行いが常識から外れて荒々しいこと |
| 畏怖嫌厭 | いふけんえん | 恐れ、嫌がること |
| 愧赧 | きたん | 恥じて顔を赤らめること |
| 記誦 | きしょう | 覚えていて、そらで言えること |
| 伝録 | でんろく | 言葉を伝えて記録すること |
| 格調高雅 | かくちょうこうが | 品格が高く、上品であること |
| 意趣卓逸 | いしゅたくいつ | 考えや趣向がすぐれていること |
| 臆病な自尊心 | おくびょうなじそんしん | 自分を優れていると思いたいが、失敗を恐れる心 |
| 尊大な羞恥心 | そんだいなしゅうちしん | 傷つくのを恐れる心を隠すため、偉そうにしてしまう心 |
| 切磋琢磨 | せっさたくま | 仲間と励まし合いながら学問や技芸を磨くこと |
| 倨傲 | きょごう | おごり高ぶっていること |
| 慙恚 | ざんい | 恥じて怒ること |
| 空費 | くうひ | むだに使うこと |
| 咆哮 | ほうこう | 獣などが大声でほえること |
新出漢字・読み方
※漢字の読みは、使用している教科書の読み仮名がある場合は、そちらを優先して確認しよう。
| 漢字 | 読み方 | ポイント |
|---|---|---|
| 隴西 | ろうせい/ろうさい | 中国の地名。教科書や資料によって読み方が異なる場合があるため、授業の表記を確認しよう |
| 李徴 | りちょう | 主人公の名 |
| 袁傪 | えんさん | 李徴の旧友 |
| 虎榜 | こぼう | 進士の合格者名簿 |
| 江南尉 | こうなんい | 官職名 |
| 狷介 | けんかい | 性格説明で重要 |
| 賤吏 | せんり | 低い役人 |
| 故山 | こざん | 故郷の山、故郷 |
| 帰臥 | きが | 故郷に帰って暮らすこと |
| 焦躁 | しょうそう | あせり、いらだち |
| 容貌 | ようぼう | 顔かたち、姿 |
| 登第 | とうだい | 試験に合格すること |
| 歯牙 | しが | 「歯牙にもかけない」で問題にされやすい |
| 儁才 | しゅんさい | すぐれた才能のある人。教科書の読み仮名も確認しよう |
| 怏々 | おうおう | 不満なようす |
| 狂悖 | きょうはい | 荒々しく常識から外れること |
| 汝水 | じょすい | 地名 |
| 猛虎 | もうこ | 荒々しい虎 |
| 驚懼 | きょうく | 驚き恐れること |
| 咄嗟 | とっさ | 一瞬のうち |
| 久闊 | きゅうかつ | 久しぶりであること |
| 畏怖 | いふ | 恐れること |
| 嫌厭 | けんえん | 嫌うこと |
| 愧赧 | きたん | 恥じること |
| 残虐 | ざんぎゃく | むごいこと |
| 記誦 | きしょう | 覚えてそらで言うこと |
| 高雅 | こうが | 品が高いこと |
| 卓逸 | たくいつ | 非常にすぐれていること |
| 自嘲 | じちょう | 自分で自分をあざけること |
| 薄倖 | はっこう | 不幸であること |
| 倨傲 | きょごう | おごり高ぶること |
| 羞恥心 | しゅうちしん | 恥ずかしく思う心 |
| 切磋琢磨 | せっさたくま | 互いに励まし合って磨くこと |
| 憤悶 | ふんもん | 悩みもだえること |
| 慙恚 | ざんい | 恥じて怒ること |
| 暴露 | ばくろ | 隠れていたことが明らかになること |
| 卑怯 | ひきょう | 勇気がなく正々堂々としていないこと |
| 危惧 | きぐ | 心配すること |
| 咆哮 | ほうこう | 獣がほえること |
| 慟哭 | どうこく | 声をあげて激しく泣くこと |
14. テストで問われやすいポイント

最後に、「山月記」でテストに出やすいポイントを整理するよ。
「山月記」テストで大事なポイント
- 「山月記」は、中島敦の小説で、唐代の伝奇小説「人虎伝」などをもとにしている。
- 李徴は、才能に恵まれながらも自尊心が高く、人と交わることを避けた人物である。
- 李徴は詩作には打ち込んでいたが、師に就いたり詩友と切磋琢磨したりして、自分の才能を客観的に磨くことはしなかった。
- 「臆病な自尊心」は、才能のなさが明らかになることを恐れる心である。
- 「尊大な羞恥心」は、傷つくのを恐れる心を隠すために偉そうにふるまう心である。
- 李徴にとって、虎は自分の内側にあった猛獣のような性情が外形化したものと読める。
- 袁傪は、李徴の旧友であり、李徴の告白を聞き、詩の伝録や妻子への願いを引き受ける役割をもつ。
- 李徴が妻子より先に詩を頼んだことは、李徴の自己中心性と詩への執着を示している。
- 最後の咆哮は、李徴の悲しみや孤独、人間性を失っていく苦しみ、獣の世界へ戻っていく姿を印象づけるものとして読むことができる。
- 主題には、自尊心や羞恥心のために他者から学べず、自分の才能を十分に磨けなかった人間の悲劇、人間性を失っていく恐怖、孤独など、さまざまな読み方がある。
「山月記」は、難しい語句が多い作品だけれど、中心にあるテーマはとても身近だよ。
「自分には才能があるはずだ」と思いながら努力できないこと、失敗が怖くて挑戦しきれないこと、人に弱さを見せられないこと。こうした弱さは、李徴だけでなく、私たちの中にも少しあるかもしれないね。
だからこそ「山月記」は、李徴という一人の人物の悲劇を通して、自分の弱さとどう向き合うかを考えさせてくれる作品なんだ。
中島敦「山月記」テスト対策練習問題と過去問まとめ
【高校現代文】中島敦「山月記」漢字ドリル
【高校現代文】中島敦「山月記」語句ドリル
【高校現代文】中島敦「山月記」内容理解ドリル
【高校現代文】中島敦「山月記」主題・表現効果ドリル
中島敦「山月記」読書感想文の書き方!高校生向けにテーマと例文を解説
参考文献・参考資料
この記事は、中島敦「山月記」の本文、作品の典拠に関する資料、文学研究・教材研究などを確認して作成しています。
- 中島敦「山月記」(青空文庫。新潮文庫『李陵・山月記』を底本とした本文)
- 国立国会図書館サーチ「山月記」書誌情報
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース「『山月記』の原典といわれる『人虎伝』の口語訳を探している」
- 中村良衛「李徴とは誰か―『山月記』私論」『日本文学』第49巻第2号、2000年
- 高橋博史「読むこと・教えること―中島敦『山月記』に即して」『日本文学』第52巻第8号、2003年
- 前田角藏「文学教材『山月記』の可能性について」『日本文学』第65巻第1号、2016年
※「山月記」の主題や、李徴が虎になった理由、最後の咆哮の意味には、複数の読み方があります。この記事では、作品本文を基本としながら、学校で重視される代表的な読みと、文学研究で示されている異なる解釈の両方をふまえて説明しています。
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。 ※サイト全体の運営実績についてはこちらにまとめています。


