『大政奉還』と倒幕運動!坂本龍馬の『薩長同盟』や無血開城を解説

前回は、黒船来航による開国と、生活の混乱について勉強したね。
外国の言いなりになって不平等な条約を結び、人々の生活を苦しくしてしまった幕府。

そんな頼りない幕府に対して、ついに人々が立ち上がった!
「もう幕府には任せられない! 新しい日本を作るんだ!」

今回は、坂本龍馬や西郷隆盛など、歴史を変えたヒーローたちが活躍する「倒幕運動と大政奉還」について見ていこう!
260年以上続いた江戸時代が、いよいよ終わりを迎えるよ。

大政奉還と討幕運動、坂本龍馬と薩長同盟、無血開城を説明する図解インフォグラフィック

高まる幕府への不満と「西の雄藩」

開国によって物価が上がり、生活が苦しくなった人々は、「幕府を倒そう(倒幕)」と考えるようになったね。

その中心となったのが、九州や中国地方にある「西の雄藩ゆうはん(力の強い藩)」だったんだ。
特に力が強かったのが、この2つの藩だよ。

  • 薩摩さつま藩(鹿児島県):中心となって活躍したのは、西郷隆盛さいごうたかもり大久保利通おおくぼとしみち
  • 長州ちょうしゅう藩(山口県):中心となって活躍したのは、桂小五郎かつらこごろう(のちの木戸孝允きどたかよし)や高杉晋作。

なぜ薩摩と長州は強かったの?

この2つの藩が幕府に対抗できるほど強かったのには、ちゃんとした理由があるんだ。

  • 薩摩藩(鹿児島):琉球(沖縄)を通じて中国と密貿易をしたり、サトウキビの販売を独占どくせんしたりして、莫大ばくだいなお金を持っていたんだ。そのお金で、イギリスから最新の軍艦や武器を買っていたよ。
  • 長州藩(山口):吉田松陰の「松下村塾」のように、身分に関係なく優秀な人材じんざいを育てる教育が盛んだったんだ。だから、賢くて行動力のある若者がたくさん育っていたんだよ。
くまごろうくまごろう

実は薩摩も長州も、最初は「外国を追い払え!(攘夷じょうい)」と言って外国と戦争をしたんだ(薩英戦争・下関戦争)。でも、ボロ負けして「外国の力はスゴイ…仲良くして学ばなきゃダメだ」と気づいて、方針を変えたんだよ。

最初は仲が悪かった薩摩と長州

「幕府を倒したい」という目的は同じはずの2つの藩だけど、実はめちゃくちゃ仲が悪かったんだ。

過去の事件(京都での戦いなど)で、長州藩は薩摩藩に仲間をたくさん殺されていた。
だから長州藩の人たちは、「薩摩のやつらだけは絶対に許せない!くつの裏に『薩賊(さつぞく)』と書いて踏みつけてやる!」というくらいうらんでいたんだ。

江戸時代の薩摩と長州が仲悪いことについて説明する4コマ漫画

余裕があったら読もう!薩摩と長州が戦った「蛤御門の変」

薩長同盟の2年前(1864年)、京都で大きな事件が起きたんだ。
勢い余った長州藩が、京都御所ごしょ(天皇の住まい)へ攻め込んだ事件だよ(蛤御門はまぐりごもんの変)。

この時、幕府側の味方をして、長州藩をコテンパンにやっつけたのが薩摩藩(西郷隆盛たち)だったんだ。
この戦いで長州藩は優秀なリーダー(久坂玄瑞など)を失い、さらに「朝廷に弓を引いた反逆者はんぎゃくしゃ」として追い詰められてしまった。

だから長州藩にとって、薩摩藩は「仲間を殺したにくき敵」だったんだね。

たろうたろう

えーっ! そんなに仲が悪かったら、協力なんて無理じゃない?

くまごろうくまごろう

そうなんだ。でも、この2つの強力な藩が手を組まないと、強大な幕府を倒すことはできない。
そこで登場するのが、あの有名なヒーローなんだ!

歴史を変えた仲介者!坂本龍馬と『薩長同盟』

坂本龍馬の登場

犬猿けんえんの仲だった薩摩と長州の手を結ばせたのが、土佐藩(高知県)出身の坂本龍馬さかもとりょうまだよ。
(同じ土佐藩には、のちに自由民権運動で活躍する板垣退助いたがきたいすけなどもいたよ)

彼はもともと土佐藩の武士だったけれど、堅苦かたくるしいルールが嫌いで藩を飛び出してしまった(脱藩だっぱん)。
そして、日本で初めての株式会社ともいわれる亀山社中かめやましゃちゅう(のちの海援隊)」という貿易会社を作ったんだ。

龍馬は、細かいことにこだわらない豪快ごうかいな性格で、誰とでも友達になれる不思議な魅力を持っていた。
そんな広い視野しやを持っていたからこそ、敵対する2つの藩の間に入ることができたんだね。

龍馬は、「日本という国がピンチなのに、日本人同士で喧嘩している場合じゃないぜよ!」と考えた。
そして、お互いのメリットを提案して説得したんだ。

  • 長州へのメリット:幕府と戦うための「武器」が欲しいけど、幕府に邪魔されて買えない。
    →「薩摩の名義めいぎで武器を買ってあげるよ!」
  • 薩摩へのメリット:お腹が空いて困っている。
    →「長州からお米を分けてあげるよ!」

秘密の約束「薩長同盟」

こうして1866年、坂本龍馬の仲介ちゅうかいによって、薩摩藩の西郷隆盛と、長州藩の桂小五郎かつらこごろう(木戸孝允)が京都で秘密の会談かいだんを行い、ついに手を組むことになった。
これが薩長同盟さっちょうどうめいだよ。

最強の2チームがタッグを組んだことで、「倒幕(幕府を倒す)」への準備は整ったんだ!

江戸時代の薩長同盟について説明する4コマ漫画

江戸幕府の最期!『大政奉還』と無血開城

最後の将軍・徳川慶喜の決断

「薩摩と長州が手を組んだらしいぞ…」
その情報を聞いた幕府側は焦った。
「このまま戦争になったら負けるかもしれない。日本国内で大戦争になったら、外国にそこを付け込まれて、日本が乗っ取られてしまうかもしれない」

そこで、江戸幕府の最後の将軍(15代)、徳川慶喜とくがわよしのぶは、ある重大な決断をしたんだ。

「戦争になる前に、政権(政治を行う権利)を朝廷(天皇)にお返しします」

最後の将軍・徳川慶喜ってどんな人?

彼は歴代の将軍の中でもトップクラスに頭が良く、「天才」と呼ばれていたんだ。
だからこそ、「このままでは幕府は持たない」といち早く気づいて、潔く政権を返す決断ができたんだね。

ちなみに、新しいもの好きで多趣味な人としても有名。
引退後はカメラやサイクリングを楽しんだり、「豚肉」が大好きで「豚一様」というあだ名をつけられたりしていたそうだよ。

これが1867年に行われた大政奉還たいせいほうかんだよ。
これによって、鎌倉時代から約700年も続いてきた「武士が政治を行う時代」が終わり、江戸幕府は滅びたんだ。

言葉の意味

「大政(たいせい)」=政治を行う権限
「奉還(ほうかん)」=(天皇へ)お返しすること

江戸城の無血開城

大政奉還のあと、新政府軍(西郷隆盛たち)と旧幕府軍の間で戦いが始まった(戊辰戦争)。
新政府軍は、幕府の本拠地ほんきょちである「江戸城」へ攻め込もうとしたんだ。

なぜ政権を返したのに戦争になったの?(戊辰戦争)

慶喜は、政権を返したあとも「新しい政府の中で、自分がリーダーになれる」と考えていたんだ。
でも、薩摩や長州はそれを許さなかった。

「徳川家の領地もお金も全部没収ぼっしゅうだ! 慶喜を政治から追い出せ!」と厳しく迫ったんだ。
これに怒った旧幕府軍(慶喜の家来けらいたち)が、「殿様をいじめるな!」と暴発ぼうはつしてしまい、戊辰戦争ぼしんせんそうという大きな内戦ないせんが始まってしまったんだよ。

「江戸で戦争になったら、たくさんの人が死んで、町が火の海になってしまう…」

そこで、幕府側の勝海舟かつかいしゅうと、新政府軍の西郷隆盛が話し合いを行い、「江戸城を戦わずにわたす」ことを決めたんだ。
これを「江戸城の無血開城むけつかいじょうというよ。
ギリギリのところで、江戸の町と人々は守られたんだね。

くまごろうくまごろう

戊辰戦争は、京都(鳥羽・伏見の戦い)から始まって、最後は北海道(五稜郭の戦い)まで、約1年半も続いたんだよ。無血開城は、その中の「江戸」での出来事だったんだね。

勝海舟かつかいしゅうってどんな人?

幕府側のリーダーで、アメリカまで船(咸臨丸)で渡ったこともある国際派だよ。
実は、坂本龍馬の先生でもあったんだ。

敵である西郷隆盛とも、「おい、西郷どん!」と腹を割って話せる信頼関係しんらいかんけいがあった。
「江戸の町を火の海にしたくない」という彼の熱い思いが、西郷の心を動かしたんだね。

江戸時代の大政奉還と江戸城の無血開城について説明する4コマ漫画

新しい時代の幕開け『明治維新』へ

こうして江戸幕府は倒れ、天皇を中心とする新しい政府が誕生した。
そして、年号も「明治(めいじ)」と改められたよ。

新しい政府は、1868年に五箇条の御誓文ごかじょうのごせいもんという、新しい国の方針ほうしんを発表したよ。
「これからは会議を開いて、みんなで話し合って決めよう」「外国と仲良くして知識を広めよう」という、新しい時代のルールを神様にちかったんだ。

「一世一元の制」の始まり

それまでは、良いことがあるようにと願いを込めたり、災害さいがいが起きたりするたびに、コロコロと年号を変えていたんだ。
でも、明治からは「天皇ひとりにつき、年号はひとつ(一世一元の制)」という新しいルールが決まったんだよ。
「これからは新しい天皇のもとで、新しい国を作るぞ!」という決意の表れだね。

明治維新とは?

江戸時代の終わりから明治時代の初めにかけて行われた、政治や社会の大きな改革かいかく(リニューアル)のことを明治維新めいじいしんというよ。

※言葉の意味
「維新(いしん)」=「これまでの古いものを改めて、新しくすること」という意味だよ。

坂本龍馬たちが夢見た「新しい日本」が、いよいよスタートするんだね。

坂本龍馬や西郷隆盛たちが命がけで駆け抜けたのは、「外国から日本を守りたい」「日本を今一度せんたくして、良い国にしたい」という熱い思いがあったからなんだ。

彼らの頑張りがあったからこそ、日本は植民地にならずに独立を守り、今の私たちの平和な暮らしにつながっているんだね。

さあ、いよいよ新しい「明治時代」がスタートするよ!

江戸時代の明治維新について説明する4コマ漫画

『大政奉還』と倒幕運動!坂本龍馬の『薩長同盟』や無血開城まとめ

『倒幕運動と大政奉還』年表まとめ

1866年薩長同盟さっちょうどうめいが結ばれる
(仲介:坂本龍馬さかもとりょうま
1867年大政奉還たいせいほうかん
(15代将軍・徳川慶喜とくがわよしのぶが政権を朝廷に返す)
1868年戊辰戦争ぼしんせんそうが始まる
江戸城の無血開城むけつかいじょう
(話し合い:西郷隆盛さいごうたかもり勝海舟かつかいしゅう
五箇条の御誓文ごかじょうのごせいもんが出され、明治時代へ

6年生はここを押さえればOK!「倒幕と大政奉還」まとめ

※赤いキーワードは必ず覚えよう!

  • 幕府を倒そうとする2つの強い藩があった
    薩摩さつま西郷隆盛さいごうたかもり大久保利通おおくぼとしみち
    長州ちょうしゅう桂小五郎かつらこごろう/のちの木戸孝允)
  • 仲の悪かった2つの藩を、坂本龍馬さかもとりょうまが仲直りさせて手を組ませた(薩長同盟さっちょうどうめい
  • 15代将軍徳川慶喜とくがわよしのぶが、政権を朝廷(天皇)に返した(大政奉還たいせいほうかん
    江戸幕府の終わり
  • 西郷隆盛と勝海舟かつかいしゅうの話し合いで、江戸城での戦争を回避かいひした(無血開城むけつかいじょう
  • 明治天皇が五箇条の御誓文ごかじょうのごせいもんを発表し、新しい国の方針を示した

ついに新しい時代「明治」がやってきたね!
ちょんまげを切って、洋服を着て……日本はどう変わっていくのかな?

次回からは、いよいよ「明治時代」に突入!
まずは「富国強兵と文明開化」について解説するよ!

運営者情報

「ゆみねこの教科書」を運営しているゆみねこの教科書教育メディア合同会社代表の檜垣由美子のプロフィール写真

檜垣 由美子(ゆみねこ)
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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