元禄文化の特徴と化政文化との違い(代表人物と作品まとめ)
「元禄文化」とは?化政文化とは何が違うの?人物や代表作がいっぱいあって、混乱してしまう・・そんな元禄文化を、中学歴史で必要な知識にしぼってわかりやすく解説するよ!
元禄文化の代表的な人物の覚え方もあるので、ぜひチェックしてみてね!
目次【本記事の内容】
元禄文化とは?
「元禄文化」とか「化政文化」とか、言葉だけで拒否反応が・・
たしかに、言葉だけだとピンとこないし、あんまり興味がわかないよね。
かんたんな言葉にしながら、身近なことに例えて解説してみるよ。
ザックリいうと
「元禄」という時代に、こんなエンターテイメントが流行ったり、登場したよ!ということ。
たとえば、今キミたちの時代にだって、
「ボカロ」が流行ったとか、
ユーチューバーのヒカキンが人気になったとか、
漫画だったら、「鬼滅の刃」が空前の大ヒット!とか・・
新しいエンターテイメントが生まれたり、流行ったりしているよね。
もしずっと未来の子が、歴史を勉強していたとして、「令和文化」なんて言葉があって、「ユーチューバー」とかのことを勉強する・・なんて想像してみたら、なんだか身近に感じないかな?
つまり,歴史の「○○文化」の学習は、
「どんなエンターテインメントがその頃あって」、
「なんでそれが流行ったのか?」とか、
「どんな有名人がいたか?」それを学習しようね、というだけのことなんだね。
では、さっそく詳しく解説していくよ。
元禄文化っていつの文化?
「元禄文化」というのは、さっき「令和文化」とたとえたのと同じで、
「元禄」という元号の時代に流行った文化のことだから「元禄文化」と呼ぶんだ。
年代にすると、17世紀末から18世紀にかけてのころ。
江戸幕府の徳川将軍でいうと、徳川綱吉の時代なんだ。
元禄に流行ったワケがある!
なんで「元禄」に色々なエンターテイメントが生まれたり流行ったかには、ワケがあるよ。
徳川綱吉は江戸幕府第5代将軍。
幕府ができてから80年くらいがたって、このころになると幕府の政治が安定したんだ。
世の中が安定しているので、商売も発展して、「お金持ち」になる人が出てきたんだよ。
「元禄文化」は、そんなお金持ちの人たちの間で流行った文化なんだ。
なるほど。もう戦争とかもないし、ゆっくりエンターテインメントを楽しむ余裕ができたということだね。
たしかに、もし今だって、戦争の真っ只中だったら、ユーチューブ見たりしている余裕なんてないよね。
元禄文化の担い手は?
担い手?
つまり、どんな人たちを中心に、この文化が広まったのか?ということ。
元禄文化の担い手は、「上方の町人(豪商)」なんだ。
上方とは??
上方とは、幕府からみたときの「お上のほう」のこと。
つまり、「天皇のいるところ」だよ。
このころは、天皇は京都にいたよね。
だから「上方」とは、「京都や大阪」のことを指すんだよ。
「町人」といっても、「商売に成功して、お金持ちになった豪商」のことだよ。
元禄文化が「リッチな人たちの文化」というのは、このあと詳しく見ていくと納得できるよ。
元禄文化と化政文化って何が違うの?
中学歴史では、江戸時代の文化として「元禄文化」と「化政文化」を習うよね。
このふたつの違いは何かというと、
カンタンに言えば、まずひとつめは「流行った時代が違う」こと。
元禄文化は「元禄」という元号の時代の文化。
化政文化は「文化」と「文政」という2つの元号の時代の文化。
例えば、「昭和のアイドル」と、「令和のアイドル」だと,歌のスタイルとか、衣装とか、音楽とか、メイクだって違うよね。
漫画だって、昭和と令和だと大分違うよね。
絵のタッチとか、使う道具(紙とペンが、ペンタブレットになるとか)とか、変わるよね。
時代が違えば、文化の内容もかなり変わってくるんだ。
「元禄」と「文化・文政」の時代の差は100年。これだけ違うなら、変わるのも当たり前だね。
ふたつ目は「流行った場所」。
元禄文化は「上方」と呼ばれる「京都・大阪」だったね。
化政文化は、「江戸」で流行った文化のことなんだ。
そしてみっつめの違いは、「担い手」。
元禄文化は「リッチな豪商」だったよね。
化政文化は、「一般市民」の間で流行った文化なんだ。
元禄文化 | 化政文化 | |
時代 | 元禄 17世紀後半〜18世紀 |
文化・文政 19世紀 |
場所 | 上方(京都・大阪) | 江戸 |
担い手 | 町人(豪商) | 町人 |
くわしくは、また「化政文化」の解説ページで紹介するね。
元禄文化にはどんな種類があるの?
「文化(エンターテインメント)」とひとことで言っても、実際にはいろんな種類のエンターテインメントがあるよね。
今の時代でたとえても、「漫画」とか「アイドル」とか「映画」とか色々あるよね。
テスト対策として、どんな種類の文化があって、それぞれの文化ではどんな作品や人物が有名か、というのを整理して覚えなくてはいけないんだ。
まず、どんな文化があったかというと
元禄文化の種類
元禄文化を大きく分けると、次の3つになるよ。
①文学
②美術
③芸能
①〜③の文化それぞれに、有名な人や作品があるんだ。
ヒカキンは「ユーチューブ」で人気なんだし、
吾峠呼世晴は「漫画」で人気、
米津玄師は「歌」で人気というのと一緒だね。
中学歴史の元禄文化では、この人を必ず覚えよう!!
元禄文化では、たくさんのエンターテインメントが登場したり流行ったりしたんだけど、中学歴史で絶対覚える必要があるのは以下の人たち。
「文学」の井原西鶴
「文学」の松尾芭蕉
「文学」の近松門左衛門
「美術」の尾形光琳
「美術」の菱川師宣
というわけで、覚え方を考えてみたよ。
※竹本義太夫は、上のリストにはないけど、ちょうど良いのでプラスしてるよ。
覚え方の説明
元禄文化は、「上方のリッチな町人の間で生まれた文化」だよね。
①「上方」というのは、天皇のいる京都に近いところのことなので・・
近松門左衛門
井原西鶴
「ちかい」からこの2人を思い出そう!
②「リッチな町人」のリッチという言葉から・・
松尾芭蕉
竹本義太夫
「リッチなまつたけ」から2人を思い出そう!
菱川師宣
「菱形=ダイヤ」で思い出そう!
③「上方」の「がた」から・・
尾形光琳
「おがたこうりん」を思い出そう!
それじゃあ早速、それぞれの文化について詳しく解説していくけれど、上の人たちは特に意識して覚えていこう!
元禄文化「文学」
浮世草子
浮世草子って何?
浮世草子とは、「一般庶民や町人の生活について書いた作品」のことだよ。
平安時代にも、「枕草子」ってあったでしょ?
草子とは、「冊子とか本」という意味なんだ。
「浮世のことを書いた本」だから、浮世草子と呼ぶんだね。
誰が有名なの?
浮世草子の代表的な人物は、「井原西鶴」というひと。
というか、井原西鶴が浮世草子を生み出したようなものなんだ。
井原西鶴は、もともとは俳句の道を目指してたけんだど、「好色一代男」という物語を書いて華々しくデビューしたんだよ。
「好色一代男」はどんな物語かというと,
お父さんの莫大な遺産を相続した主人公「浮世之介」が京都・大阪・江戸のものすごい数の女性と恋愛するストーリー。
「たくさんの女の人にモテモテ!」という男の人の夢がつまっている本ということで、当時人気が爆発したんだ
どんな作品があるの?
井原西鶴の作品で有名なのは、以下の作品。
・日本永代蔵 :「どうすればお金持ちになれるか?」を書いたお金儲けハウツー本
・好色一代男 :モテモテ男のものがたり
・世間胸算用 :借金を踏み倒す人と、取り立てる人のハラハラストーリー
なんか、今でもありそうな内容だね。
「世間胸算用」なんて、まるで「闇金ウシジマくん」みたい(笑)
俳諧
俳諧って何?
俳諧とは、つまり「俳句」のことだよ。
誰が有名なの?
俳諧の代表的な人物は、「松尾芭蕉」。
松尾芭蕉はあまりに有名だね。
そうか、元禄文化の人だったんだね。
どんな作品があるの?
これもあまりにも有名だよ。
松尾芭蕉の代表作は、「奥の細道」。
松尾芭蕉が江戸から、奥羽・北陸の各地をめぐって大垣へ着くまでの旅の中で詠んだ俳句をまとめたものだよね。
人形浄瑠璃の脚本
人形浄瑠璃って何?
まず、浄瑠璃というのは何かというと、「三味線を伴奏に、物語を歌のように語る劇場音楽」のこと。ミュージカルのイメージかな。
で、人形浄瑠璃は、物語を演じるのが「操り人形」なんだ。
脚本って?
現代でも、ドラマの脚本家っているよね。
つまり、人形浄瑠璃で演じる物語の内容を考える人のことだね。
誰が有名なの?
人形浄瑠璃の脚本家の代表は、「近松門左衛門」。
東洋のシェークスピアと言われているんだよ。
どんな作品があるの?
近松門左衛門の作品はたくさんあるけれど、代表作は「曽根崎心中」。
江戸時代では、身分の違う男女が結婚するのはとても難しいことだったんだ。
まわりに認めてもらえない男女が、心中(一緒に死んでしまうこと)した事件が本当にあって、それをもとにした物語だよ。
この曽根崎心中は大ヒットして、なんとマネして心中してしまうカップルが続出してしまって、社会問題になったんだ。
物語に影響を受けて、マネして社会問題になる・・なんだかこれも現代とおんなじだね。
元禄文化「美術」
装飾画
装飾画って何?
装飾画とは、つまり「インテリア」のための絵画作品のことだよ。
たとえば、屏風とかふすまに絵が描かれたりするよね。
誰が有名なの?
装飾画の代表的な人物は「尾形光琳」。
尾形光琳の絵に使われている文様は、今でも「光琳文様(模様)」といって人気があるんだ。
海外の芸術家にも影響を与えたと言われているくらいスゴイ人なんだよ。
どんな作品があるの?
中学歴史でおさえるべき尾形光琳の代表的な作品を紹介するよ。
八橋蒔絵螺鈿硯箱
舌をかみそうな名前だよね。
「八橋」というのは、平安時代に書かれた「伊勢物語」に登場するシーンのことなんだ。
そのシーンでは、川がいくつにも枝別れしていて、8つの橋がかけられているところに、「かきつばた」の花が咲いているんだ。
この情景をテーマに、尾形光琳はたくさんの作品を残しているんだよ。
「蒔絵」とは、漆を塗ったところに金粉や銀粉を「まきつけて」模様を作る技法のこと。
「螺鈿」は、貝殻の内側の光沢のある部分を切り出して、作品の表面にはめ込む技法のこと。かきつばたの花びらに、螺鈿が使われているね。
「八橋」のことをテーマに、「蒔絵」と「螺鈿」技法で作った「硯箱」だから「八橋蒔絵螺鈿硯箱」というワケか。
燕子花図屏風
これも「かきつばた」が描かれていて、「八橋」の情景がテーマになっているね。
紅白梅図屏風
真ん中に水流があって、左右には白梅と紅梅が描かれているね。
この水流の中が、特徴的な文様になっているね。
こういうデザインが「光琳文様」と呼ばれるものだよ。
紅白梅図屏風は、「風神雷神図屏風」とどこか構図が似ているよね。
尾形光琳は、「風神雷神図屏風」の作者の俵屋宗達の影響を受けたと言われているんだ。
そして、尾形光琳も後世の画家に大きな影響を与えたんだけど、その中には海外の画家も含まれるよ。
クリムトの「接吻」という作品なんか、光琳の影響を受けていると言われているね。
本当だ!金の使いかたが特徴的だね。
海外にも影響を与えるなんて、すごい画家だったんだね。
浮世絵
浮世絵って何?
「浮世草子」は「一般庶民や町人の生活について書いた作品」のことだったよね。
おんなじで、「浮世絵」は、「一般庶民や町人の生活について描いた絵」のことだよ。
誰が有名なの?
元禄文化の浮世絵の代表的な人物は「菱川師宣」。
浮世絵の祖と呼ばれているんだ。
菱川師宣の影響を受けて、次に学習する「化政文化」では、江戸の町で錦絵が大流行することになったんだよ。
錦絵というのは、浮世絵の種類のひとつ。
それまでモノトーンだったり、少し色がついたくらいのものだったのが、すごくカラフルな作品が登場したんだ。それが錦絵なんだよ。
どんな作品があるの?
見返り美人図
とても有名な作品だよね。教科書とかで見たことあるんじゃないかな?
ちなみに、この「見返り美人図」は「肉筆」で描かれているんだ。
「肉筆」というのは、「実際に描いている一点もの」という意味。
版画で刷ったものではないということだね。
一点ものだから、誰でも気軽に見られるわけではないということだよね。
装飾画も、浮世絵も、高価なものだから、「リッチな人が文化の担い手」だというのが納得だね。
元禄文化「芸能」
歌舞伎
歌舞伎って何?
歌舞伎は、今でもあるからわかるね。
音楽と踊りが一体になった演劇のことだね。
誰が有名なの?
元禄文化での歌舞伎で有名だったのは2人。
大阪で人気のあった「坂田藤十郎」と、
江戸で人気のあった「市川團十郎」だよ。
どちらも、襲名されて、現代まで続いているね。
人形浄瑠璃
人形浄瑠璃の「脚本」で代表的なのは「近松門左衛門」だったけど、「語り」の代表的な人物は「竹本義太夫」だよ。
元禄文化「その他」
中学歴史では詳しくは学習しないけれど、他にもこんな文化が発展したよ。
ざっと目を通しておこう。
※高校歴史では詳しく覚えることになるよ!
学問
・中江藤樹らによって、実践を重んじる陽明学が発展した
・水戸光圀が歴史書「大日本史」を編纂した
染め物
・宮崎友禅が、好みの模様を染め出す友禅染を考案した
仏教
・円空による仏像彫刻
建築
・東大寺大仏殿(燃えてしまったのを再建した。)
陶器
野々村仁清による「色絵藤花図茶壺」など
元禄文化まとめ
- 元禄文化とは、17世紀末から18世紀にかけて上方の町人(豪商)によって流行った文化
- 文学では、井原西鶴が浮世草子の「日本永代蔵」「好色一代男」をあらわした。
- 文学では、近松門左衛門が人形浄瑠璃の脚本として「曽根崎心中」を書いた
- 文学では、松尾芭蕉が俳諧で活躍し、「奥の細道」を書いた
- 美術では、尾形光琳が「八橋蒔絵螺鈿」、装飾画として「燕子花図屏風」「紅白梅図屏風」を描いた
- 美術では、菱川師宣が浮世絵「見返り美人図」を描いた
- 芸能では、歌舞伎の坂田藤十郎が大阪で、市川團十郎が江戸で人気を博した。
- 芸能では人形浄瑠璃の語りとして、竹本義太夫が人気を博した。
元禄文化を中心にしたテスト練習問題のページもあるので、ぜひチャレンジしてみてね!
元禄文化につづいて、化政文化の特徴(代表人物と作品まとめ)化政文化について学習したい場合は「化政文化」解説ページをチェックしてみよう!
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ゆみねこ
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青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。
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わかりやすい
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この単元が苦手だったので、面白く学べて良かったです!おかげで覚えることが出来ました!!
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江戸の政治の仕組みや鎖国についてのやつも作ってほしいです!!
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