化政文化の特徴(代表人物と作品まとめ)

化政文化とは?元禄文化と化政文化の違いは?化政文化の特徴と代表的な人物・作品をくわしく解説。人物と作品をゴロ合わせで覚えるためのマンガもあります。

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化政文化について学習するには、まず元禄文化について説明しているページから読んでもらえると、理解しやすいよ!

元禄文化の解説ページはコチラ

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化政文化の特徴(代表人物と作品まとめ)

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目次【本記事の内容】

化政文化とは

ザックリいうと

江戸時代の終わりごろに江戸で流行った文化のこと

化政文化っていつの文化?

化政文化は、江戸時代後期に流行った文化。

年代にすると、19世紀はじめのころだよ。
(教科書によっては、18世紀末から19世紀はじめとしているものもあるよ)

「化政文化」という言葉は、その文化が流行っていたころの元号をもとに名前がつけられているんだ。

化政文化は、1804年〜1830年の「文化」と「文政」という2つの元号の時代にまたがって流行った文化だから、「文化」と「文政」という2つの元号の名前が合体しているんだ。

化政文化の特徴

化政文化の特徴は、ひとことで言うと「江戸一般庶民のあいだで流行った文化」。

くまごろうくまごろう

ポイントは「江戸」と「一般庶民」だよ。

元禄文化げんろくぶんかは、「上方かみがたのリッチな町人」の間で生まれた文化だったよね。

“上方”とは、天皇がいるところに近い「京都」や「大阪」のこと。
そして「リッチな町人」、つまり「お金持ち」のあいだで流行った文化だった。

化政文化と元禄文化の違い

化政文化と元禄文化には、3つの大きな違いがあるよ。

元禄文化と化政文化の違い①
文化が生まれた時代

元禄文化は、元禄という元号の時代、17世紀末から18世紀はじめのころ。

化政文化は、19世紀の前半。

つまり、その差は100年もあるんだ。

たろうたろう

100年も経てば、文化は大きく変わるのも当たり前だよね

元禄文化と化政文化の違い
ポイント②文化が生まれた場所

元禄文化は、天皇のいるところに近い京都や大阪の町で文化が生まれたよね。

それはなぜかというと、京都や大阪は、平安時代からずっと栄えてきた町だよね。

だから町人がたくさん集まっていたし、さらに政治が安定して、商売が繁盛して余裕が出た人たちが芸術を楽しんだり芸能を楽しんだりした結果生まれた文化だったんだね。

たろうたろう

余裕があるから、華やかで豪華な美術品なんかが多かったよね。

それから100年経って、今度はどんどん江戸が発展したんだ。
だって、江戸幕府が政治の中心だったからね。

江戸が政治の中心ということは、
そう、たくさんの人が江戸に移り住んできたんだ。

たろうたろう

なるほど、そうか!
だから今度は江戸でいろいろな文化が誕生したんだね!

元禄文化と化政文化の違い
ポイント③文化の担い手

化政文化は、そんな江戸の町の、今度は一般庶民の人々の間で生まれた文化なんだよ。しかも、最終的には江戸だけでなく地方にまで文化が広まっていったよ。

化政文化の特徴

元禄文化は、「華やかなもの」が多く誕生したよね。
化政文化にも、その時代背景によって2つの特徴があるんだ。

特徴その1 皮肉がこめられている!

化政文化のころになると、幕府の財政が悪化していて、「行きづまり(もうこれ、無理ゲーじゃない??というイメージ)」のムードがただよっていたんだ。

だから、化政文化には、幕府の政治や世の中のことを「風刺ふうしする(皮肉ひにくをこめて遠回しに批判すること)」ものが誕生したりしたよ。

特徴その2 旅や名所の風景がテーマになっている!

さらに、このころは技術や交通の便も発展していたので、人々は旅行を楽しむようになっていたよ。
だから、化政文化には「旅」とか「名所の風景」をテーマにしたものが多くあるよ。

このあたりを意識して、それぞれチェックしていくと、わかりやすくなるよ。

化政文化の代表人物と作品

中学歴史で学習する化政文化では、「文学」と「美術」についてまずは覚えよう!

中学歴史の化政文化では、この人を必ず覚えよう!

「文学」の十返舎一九じっぺんしゃいっく(作品:東海道中膝栗毛)
「文学」の滝沢馬琴たきざわばきん(作品:南総里見八犬伝)
「文学」の与謝蕪村よさぶそん

「文学」の小林一茶こばやしいっさ

「美術」の喜多川歌麿きたがわうたまろ
「美術」の東洲斎写楽とうしゅうさいしゃらく
「美術」の葛飾北斎かつしかほくさい(作品:富嶽三十六景)
「美術」の歌川うたがわ(安藤)広重ひろしげ(作品:東海道五十三次)

代表人物と作品を覚えやすくするマンガを考えたよ!

化政文化の人物と作品を覚えるためのマンガイラスト
化政文化の人物と作品を覚えるためのマンガイラスト
化政文化の人物と作品を覚えるためのマンガイラスト
化政文化の人物と作品を覚えるためのマンガイラスト

化政文化「文学」

化政文化のころには、「寺子屋」という庶民の子供たちが読み書きやソロバンを学ぶことができる所が普及したんだ。
今でいう「学校」だね。(でも、幕府や朝廷が管理していたわけではないよ。どちらかというと、ボランティア的な所もあったんだ。)

そのおかげで、一般庶民の識字率しきじりつがあがったんだ。
つまり「読み書きができる」人がとても増えた、ということだね。

だから、江戸の一般庶民の間で「本を読む」ことが増えて、その結果、いろいろな文学作品が流行ったというわけなんだ。

では、化政文化ではどんな文学作品が流行ったのか紹介していくよ。

滑稽本こっけいぼん

滑稽本って何?

滑稽本というのは、庶民の生活を面白おかしく描いたもので、下ネタとか、ギャグとかまで使われている本のことだよ。「滑稽こっけい」って、「面白い」という意味だよね。
ヒトコトで言えば「ゲラゲラ笑える本」。

誰が有名なの?

滑稽本の代表的な人物は、十返舎一九じっぺんしゃいっく」というひと。
東海道中膝栗毛とうかいどうちゅうひざくりげという作品を書いたんだ。

東海道中膝栗毛とは?

たろうたろう

なんだか、長くて難しい題名だね。
覚えるのが難しそう…

くまごろうくまごろう

言葉の意味を考えると覚えやすいよ。

「東海道」というのは、現在でも使われる言葉だね。「江戸から大阪まで」続く道のことだね。

「道中」というのは、「旅の間のこと」という意味だよね。
だから「東海道中」というのは、「東海道を旅する間のこと」という意味。

そして「膝栗毛」の「栗毛」というのは、馬のことなんだ。
馬の毛って、栗のような色をしているでしょ。

じゃあ「膝栗毛」っていったい何かというと、
「膝を栗毛にする」ということで、つまり、膝を馬の代わりにする、「自分の足で歩いて旅をする」という意味なんだ。

たろうたろう

なるほど。
ということは、「東海道を、自分で歩いて旅をした間のできごとの話」という意味の題名なんだね!

東海道中膝栗毛は、「弥次郎兵衛やじろべえ」と「喜多八きたはち」という2人の凸凹でこぼこコンビが、東海道を江戸から大阪まで旅する話なんだ。

各地の名物が登場したり、ユーモアたっぷりの内容で、あっという間に大人気になって、毎年1・2冊のペースで販売されたんだ。
そしてなんと、全43冊まで出たということだよ。

今では、子供にも読みやすいように、現代語で書かれているものが販売されているよ。

十返舎一九とは?

ちょっと不思議な名前だよね。これはペンネームなんだ。

十返舎一九は、作品もユーモアたっぷりだけど、作者自身も面白い人だよ。

たとえば、十返舎一九の「辞世じせい(人が、まもなく死んでしまうというときに詠む詩のようなもの)」なんか、

「この世をば どりゃおいとまに せんこうの 煙とともに 灰さようなら」

というものなんだ。

「おいとまにせん」とは、「おいとまにする」つまり、この世からいなくなってしまうという意味だね。
「おいとまにせん」の「せん」と、「線香」をかけているんだね。
さらに「はい、さようなら」の「はい」が「灰」になっていて、これも線香とかけているね。

くまごろうくまごろう

もう死んでしまう、という時の詩なのに、ダジャレまで使うなんて、なんだかまさに大物!という感じだね。

読本よみほん

読本って何?

読本というのは、「ストーリーで勝負する」物語本のこと。

誰が有名なの?

読本の代表的な人物は、滝沢馬琴たきざわばきんというひと。
南総里見八犬伝なんそうさとみはっけんでんを書いたんだ。
壮大そうだいな冒険ファンタジーもので、なんと98巻(全106冊)も出ているんだよ。

南総里見八犬伝とは?

舞台は室町時代。安房国あわのくにの武将の里見さとみ家の娘(伏姫ふせひめ)が、呪いによってなんと飼犬かいいぬ八房やつふさ)と結婚することになってしまうんだ。
その伏姫が死ぬ時に、8つの数珠じゅずの玉が飛び散って、関八州かんはっしゅう(江戸時代の関東8ヶ国のこと)に八犬士はっけんしが生まれて、それぞれ旅をして、最後は集結して敵と戦うストーリーなんだ。

たろうたろう

ちょっと聞いただけで、なんだか壮大そうだいなストーリーだね・・・!

くまごろうくまごろう

実は、なんとあの大ヒット作「ドラゴンボール」のアイデアのもとになったとも言われているよ。
・・確かに、「7つのドラゴンボールが飛び散って、集めると願いがかなう」というところなんかが似ているね。

ちなみに、このころの読本はまだ高価なものだったので、江戸の人々は「貸本屋かしほんやさん」で借りて読んでいたんだって。

この南総里見八犬伝も、現代の子供向けのものが販売されているよ。

俳諧はいかい

俳諧はいかいとは、俳句のことだったね。
化政文化の俳諧で代表的な人物は2人いるよ。

与謝蕪村よさぶそん

与謝蕪村よさぶそんは、「俳句で風景を表現する」作風で人気だったんだ。
実際、与謝蕪村は俳人だけではなくて、絵描きでもあったんだよ。
菜の花が好きで、菜の花をテーマにした句をたくさん詠んでるいるんだ。

作品例:「菜の花や 月は東に 日は西に」
意味:菜の花が見える春、のぼる月と沈む太陽が同時に見える

小林一茶こばやしいっさ

小林一茶こばやしいっさは、庶民や農民の感情を俳句で詠んだよ。
温かくて、親しみを感じる作風が特徴。

なんと生涯で2万の俳句を詠んだと言われているんだ。

作品例:「雀の子 そこのけそこのけ 御馬おうまが通る」
意味:スズメさんたち、馬が通るから、そこをどかないとぶつかるよー。

なんだか、そのシーンを思い浮かべるだけでほっこりするような作品だね。

化政文化「美術」

化政文化の美術といえば、何といっても「錦絵にしきえ」。
4人の有名な画家が登場したよ。

錦絵にしきえ

錦絵って何?

元禄文化でも少し説明したけれど、錦絵にしきえとは、カラフルな浮世絵のことだよ。

化政文化のころになると、多彩たさいな色彩を表現できる技術が向上したんだ。
その結果、それまでモノトーンや、シンプルな色合いで描かれていた浮世絵が、色鮮やかなものになって、それらを「錦絵」と呼ぶようになったんだよ。

くまごろうくまごろう

「錦」が、「色鮮やか」という意味の言葉なんだ。
錦鯉にしきごい」とかでも使うよね。

元禄文化の浮世絵で有名だった「見返り美人図」は手で描かれた一点ものだったことは覚えているかな?

錦絵は、「版画」だよ。
絵師がもとになる絵を描いて、それをもとに彫師が彫って、そして摺師という摺り専門の人が摺って完成。

けっこう手間はかかるものの、大量に刷ることができたので、錦絵は安く手に入れることができたんだ(今の価値で一枚500円くらいとか)。

だから、江戸の一般庶民の間で錦絵が人気になったんだね。

喜多川歌麿の美人画

化政文化で有名な錦絵の画家のひとりは、喜多川歌麿きたがわうたまろ
美人画で人気があったよ。

美人画というのは、当時の江戸の町で評判の美人さんを描いたりしたもの。

ポッピンを吹く女の画像

今でいう「アイドルのポスター」が人気あるのと同じイメージかな。
この絵は、「ポッピン(ガラス製の笛)を吹く女」というタイトルの錦絵だよ。

東洲斎写楽の大首絵

東洲斎写楽とうしゅうさいしゃらくは、そのころの江戸で人気のあった歌舞伎役者や、相撲力士なんかの錦絵を描いたよ。

東洲斎写楽の奴江戸兵衛の画像

東洲斎写楽の絵は、胸から上の部分のアップの絵なのが特徴的で、大首絵おおくびえと呼ばれているよ。
なんだか証明写真みたいな構図だね(笑)
この絵は、歌舞伎のお話に出てくる奴江戸兵衛やっこえどべえ」というキャラクターを演じている三代目大谷鬼次おおたにおにじの絵だよ。

今でいう、「人気俳優のプロマイド」が人気あるのと同じイメージだね。

風景画

化政文化のころは、江戸の一般庶民の間で旅や名所巡めいしょめぐりが流行ったと説明したよね。

なので、錦絵でも「風景」や「各地の名所」をテーマにしたものが人気になったんだ。

富嶽三十六景の画像

これはあまりにも有名だね。
葛飾北斎かつしかほくさいの、富嶽三十六景ふがくさんじゅうろっけいと呼ばれるものの一枚だね。
富士山の見える景色をテーマに描いた錦絵だね。

本来はタイトルどおり、36枚の予定だったんだけど、あまりに人気だったので、結局10枚多く描いて、全部で46枚の風景画があるんだって。

東海道五十三次の日本橋の画像

こちらも、一度は見たことがあるんじゃないかな?

歌川うたがわ(安藤)広重ひろしげの、東海道五十三次とうかいどうごじゅうさんつぎというシリーズの錦絵だね。

タイトル通り、江戸から大阪へ続く「東海道」の、53箇所の宿場の景色をテーマに描いたものだね。

このような風景画は、今でいう「ガイドブック」とか、「有名地のポストカード」的なイメージかな。

ところで、この錦絵もやっぱり海外の画家にも影響を与えているんだよ。
特に、あのゴッホなんかは、日本の錦絵にとても興味をもって、たくさん集めていたんだって。
錦絵を模写した作品もたくさん残しているんだよ。

ゴッホによる浮世絵模写の画像

これは歌川(安藤)広重の絵を模写した作品だね。

化政文化「芸能」

化政文化のころになると、歌舞伎がますます盛んになったよ。
チケット代も安くなって、一般庶民でも観られるようになったんだ。

そうして、ますます江戸の人々の間で歌舞伎の人気が出たんだね。

化政文化まとめ

化政文化 まとめ
※赤いキーワードは必ず覚えよう!
  • 化政文化とは、(18世紀末から)19世紀に江戸の町人(一般庶民)によって流行った文化
  • 文学では、十返舎一九滑稽本「東海道中膝栗毛」をあらわした
  • 文学では、滝沢馬琴読本「南総里見八犬伝」をあらわした
  • 文学では、与謝蕪村俳諧で活躍し、絵画的な俳句を残した
  • 文学では,小林一茶が俳諧で活躍し、一般庶民や農民の感情を俳句で表現した
  • 美術では、喜多川歌麿「美人画」などの錦絵を描いた
  • 美術では、東洲斎写楽が歌舞伎役者や相撲力士などの大首絵を描いた
  • 美術では、葛飾北斎が富士山の景色をテーマに「富嶽三十六景」を描いた
  • 美術では、歌川広重が東海道の宿場五十三次をテーマに、「東海道五十三次」を描いた
  • 芸能では、歌舞伎を一般庶民も楽しめるようになった。
yuminekoyumineko

ここまで学習できたら、化政文化のテスト練習問題のページにもぜひチャレンジしてみてね!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

感想や意見を聞かせてね

  1. より:

    とけえお

  2. ガキ より:

    わかりやすかった!

  3. 社会苦手な人。 より:

    特徴、特色をまとめてくれるといいなと思いました。

  4. 明日テストで英語と地理ノー勉の人ちな今午後10:30 より:

    めっちゃわかりやすかったです!!!
    参考になりました!!

  5. 匿名 より:

    わかりやすかったけど学問が無かったの残念

  6. 夏休み前の人 より:

    良きです
    16コマ漫画特によかったです(すげえ)
    もうちょっとくわしく書いてくれたらいいな

  7. 期末テスト90以上取る人 より:

    イラストや赤文字があってめっちゃわかりやすかった。テスト頑張ります。