「ちいちゃんのかげおくり」内容とあらすじ・ポイントを解説

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「ちいちゃんのかげおくり」 内容とあらすじ・ポイントを解説

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目次

「ちいちゃんのかげおくり」あらすじ

「ちいちゃんのかげおくり」のあらすじ・作者(さく しゃ)登場(とうじょう)人物(じんぶつ)をかくにんしよう。

作者について

「ちいちゃんのかげおくり」は、あまん きみこさんが 書いた 絵本だよ。あまん きみこさんは、ほかにも 「車のいろは空のいろ」「おにたのぼうし」小学4年生の国語でならう「白いぼうし」などの 絵本を かいているよ。

登場人物(とうじょうじんぶつ)

  • 【ちいちゃん】
    この お話の 主人公の 女の子。くうしゅうから ひなんするときに、お母さんとお兄ちゃんと はぐれて ひとりぼっちになってしまうよ。
  • 【お父さん】
    ちいちゃんの お父さん。ちいちゃんに かげおくりを 教えてくれたよ。体が 弱いけれど いくさに行ったよ。
  • 【お母さん】
    ちいちゃんの お母さん。くうしゅうが来て ひなんしているときに お母さんとお兄ちゃんは、ちいちゃんと はなればなれに なってしまうよ。
  • 【お兄ちゃん】
    ちいちゃんの お兄ちゃん。ちいちゃんと いっしょに、かげおくりをして遊んだよ。
  • 【知らないおじさん】
    くうしゅうが来て ひなんしているときに、お母さんとお兄ちゃんと はぐれた ちいちゃんを だいて ひなんしてくれたよ。
  • 【はすむかいのうちのおばさん】
    ななめむかいに 住んでいた おばさん。くうしゅうの つぎの日、ちいちゃんを 見つけて 声をかけてくれるよ。

あらすじ

ちいちゃんのかげおくり

作:あまん きみこ

せい()の前の日、青い空を 見上げたお父さんは ちいちゃんに かげおくりを 教えてくれました。
お父さん、お兄ちゃん、ちいちゃん、お母さんは 手をつないで、十びょう間 かげぼうしを 見つめ、空を 見上げました。
白い 四つの かげぼうしが 空に上がり、お父さんは「今日の記念写真だなあ。」と 家族の かげぼうしを ながめました。
お父さんが いくさに行ってからも ちいちゃんとお兄ちゃんは、かげおくりをして 遊びました。
けれども、ばくだんを つんだひこうきが とんでくるようになり、かげおくりが できなくなりました。

ある夜、くうしゅうが来て ひなんするとちゅうで、ちいちゃんは お母さんとお兄ちゃんと はぐれてしまいました。
知らないおじさんが ちいちゃんを だいて ひなんしてくれました。
次の日の朝、ひとりぼっちの ちいちゃんを見つけて、はすむかいのうちのおばさんが いっしょに ちいちゃんの家に もどってくれました。
家は やけてなくなっていましたが、ちいちゃんは「お母さんとお兄ちゃんは、きっと帰ってくるよ。」と、一人で こわれかかった ぼうくうごうの中で ねむりました。

目がさめたちいちゃんに 「かげおくりのよくできそうな空だなあ。」というお父さんの 声がきこえ、かげおくりを しました。
一つの かげぼうしを見つめて 空を見上げると 白いかげが 四つ。
家族の名前を よんだ ちいちゃんは すうっと すきとおって 空に すいこまれていきました。
ちいちゃんは 空の上で お父さんとお母さん、お兄ちゃんに会えました。
こうして、小さな 女の子の命が 空に 消えたのです。

「ちいちゃんのかげおくり」内容とポイント

「ちいちゃんのかげおくり」の場面分けごとに、内容(ないよう)とポイントを かくにんしよう。

登場人物の セリフや行動から、「登場人物がどんな気持ちだったか」を 考えてみよう。

だい1の場面 家族でかげおくりをする

だい1の 場面では、ちいちゃんが お父さんやお母さん、お兄ちゃん といっしょに かげおくりを したよ。少しずつ かくにんしよう。

家族でかげおくりをする

(せい)(せんそうに行くこと)する前の日、お父さんとお母さん、お兄ちゃん、ちいちゃんは、先()のはかまいりに行ったね。
「いくさに行きます」「お父さんがぶじでありますように」とご先祖さまに あいさつをしたのかもしれないね。

帰り道、お父さんは 「かげおくりのよくできそうな空だなあ。」と言ったね。
なぜかというと、「青い空」だったからだね。

「かげおくり」とは、まばたきをしないで かげぼうし(じぶんの かげのこと)を 十びょう 見つめて 空を見上げると、かげぼうしが そっくり空に うつって見える という遊びだよね。

どうして そんな ふしぎなことが おこるかというと、まばたきしないで ずっと 見つめると、目の中の「もうまく」という ところに、うつったものが しばらく きえずに のこるんだ。

その「もうまく」に のこっている「かげのかたち」が しばらく みえるように なるんだよ。
きれいな 青い空を見ると、とくに そのかたちが はっきり わかるから、空を見上げるんだよ。

だから、かげおくりは くもりや雨の日ではなく、よく晴れた 青い空のときに できるんだね。

お父さんが かげおくりの やり方を 教えてくれて、家族四人で やってみたね。

「ひとうつ、ふたあつ、みいっつ。」と お父さんが 数えはじめると、お母さんも 数えはじめて、それから ちいちゃんとお兄ちゃんも みんなで 数えたね。
家族で なかよく たのしい時間を すごしている感じがするね。

「とお。」と十まで数えると、目の動きといっしょに 白い四つの かげぼうしが、すうっと 空に上がったね。

「目の動き」は、地面のかげぼうしから 空へと 見ている方向を かえたということだね。
「白い四つのかげぼうし」とは、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、ちいちゃんの かげぼうしのことだね。

お兄ちゃんもちいちゃんも 「すごうい。」と言ったね。
なぜかというと、かげおくりをはじめてやったから 空にかげがうつって、びっくりしたんじゃないかな。

お父さんは 「今日の記(ねん)写真だなあ。」と言ったね。
お話と いっしょに かかれている絵を見ると、手をつないで 立っている 家族四人の すがたが そっくり 空にうつっていて、たしかに 写真を とったみたいだよね。

いくさに行くと、しばらく 家族と会えないし きけんな目にあうと もう帰ってこられないかも しれないんだ。

だから きっと お父さんは 「家族と はなれるのは つらいなあ」「家族との 楽しい思い出を わすれたくないな」という気持ちで、空のかげを ながめて いたんじゃないかな。
お父さんにとって、このときのかげおくりは もう会えないかもしれない 家族との 思い出が こめられた とくべつなもの だったんだね。

お父さんがいくさに行く

次の日、お父さんは 日の丸のはたに送られて、列車に乗ったね。
お父さんは「いくさ(せんそう)に行った」んだね。

お母さんは、「体の弱いお父さんまで、いくさに行かなければならないなんて。」と ぽつんと 言ったね。
このセリフから、お母さんは「本当は お父さんに いくさに いってほしくない」と 思っていることが わかるね。

いくさに行ったら、命を落とすきけんがあるから、お母さんは ふあんな気持ちだったんじゃないかな。
でも 昔は 「国みんはみんな日本のために たたかうべきだ」と かんがえられたり、おしえられたりしていたので、いくさに行くのは「よろこばしいこと」「おめでたいこと」とされていて「いくさによばれたのに、行かないのはゆるされないこと」だったんだ。
だから、お母さんは 本当の気持ちがばれないように こっそりとつぶやいたんだね。

くまごろうくまごろう

はじめは 体がじょうぶな人が へいたいになったけれど、せんそうが つづいて、へいたいの数が 足りなくなってくると、体のよわい人も いくさによばれたんだ。 お父さんが いくさに行ったころは、だんだんと いくさがはげしくなってきたころだったんだね。

ちいちゃんとおにいちゃんは、いっしょに いろいろな かげおくりをしたね。
けれど かげおくりができなくなった
ね。

なぜかというと、「しょういだんやばくだんを つんだ ひこうきが とんでくるようになって」きたからだね。
ちいちゃんやお兄ちゃんにとって かげおくりをしていた空は 楽しい所だったけれど、「とてもこわい所へかわった」んだね。

お父さんが いくさに行く前よりも、もっと いくさが はげしくなってきたことが わかるね。

だい2の場面 くうしゅうが来てひなんする

だい2の 場面では、くうしゅうが来て ちいちゃんたちは ひなんするよ。

「くうしゅう」とは、ひこうきで ばくだんを おとしたりして、てきの 国を せめることだよ。

ちいちゃんが お母さんとお兄ちゃんとひなんする

くうしゅうが来て ちいちゃんたちが 外に出ると 赤い火が あちこちに上がっていたね。
「赤い火」は、てきが 空から ばくだんを 落として 町が もえていたということだね。

お母さんは ちいちゃんと お兄ちゃんと 手をつないで 走ったけれど、とちゅうで ちいちゃんを だき上げて 走ったね。
なぜかというと、「風があつくなって、ほのおのうずが 追いかけてきた」からだね。

「風があつくなって、ほのおのうずが 追いかけてきた」とは 火が どんどん 広がって、風が あつくなり、火が どんどん 近くにせまってきた ということだね。

だから お母さんは「このままでは にげおくれる」から、「ちいちゃんを だっこして走った方が早い」と 思ったんだね。

ところが 今度は お兄ちゃんが ころんでしまったから、お母さんは お兄ちゃんを おんぶしながら 走ったね。
だから ちいちゃんは だっこじゃなくて お母さんと 走ったね。

でも ちいちゃんは お母さんと はぐれてしまうね。
なぜかというと「たくさんの人に 追いぬかれたり、ぶつかったり」したからだね。
みんなひっしで にげて、町が こんらんしていたことが わかるね。

ちいちゃんは ひとりぼっちになる

知らないおじさんが「お母ちゃんは、後から来るよ。」と言って、ちいちゃんを だいて 走ってくれたね。

もし ちいちゃんが 「お母さんはどこ?」と さがしていたら にげおくれていた かもしれないよね。
きっと おじさんは ちいちゃんを安心させて にげることを ゆうせんさせるために「お母ちゃんは 後から来るよ。」と 言ったんじゃないかな。

ちいちゃんは お母さんらしい人を見つけて、おじさんと わかれるよね。
きっと、おじさんにだっこされながら ちいちゃんは「お母さんはどこかな?」と 思っていたんだね。

でも、その人は お母さんでは なかったね。
ちいちゃんは ひとりぼっちに なって、たくさんの人の中でねむったね。

ちいちゃんは たくさんの人の中にいたのに どうしてひとりぼっちだったのかな。

くまごろうくまごろう

「たくさんの人」と「ひとりぼっち」は、反対のいみの言葉だよね。

たくさんの人は ひなんしてきた 人たちで、ちいちゃんにとっては 知らない人だよね。
ちいちゃんにとって、大切で たよれるのは 家族だよね。

お母さんとお兄ちゃんと はぐれて しまったから、たくさんの人の中 にいても ちいちゃんの 心の中は さびしくて ひとりぼっちだったんだね。

だい3の場面 ちいちゃんは一人でお母さんとお兄ちゃんを待つ

だい3の 場面では、ちいちゃんは 家があった所へもどって お母さんとお兄ちゃんが 帰ってくるのを 待つよ。

次の日の朝 町の様子は すっかりかわっていたね。
「あちこち、けむりがのこっている」ということは 町が ひとばん中 もえ続けて 何が どこにあったか わからないほど 何もない ぼろぼろの町が 広がっていたんじゃないかな。
たったひとばんで 町の様子が すっかりかわるなんて、くうしゅうは とてもおそろしいね。

はすむかい(ななめまえの いえのこと)の うちのおばさんが ちいちゃんを見つけて、「お母ちゃんは。お兄ちゃんは。」と 声を かけてくれたね。
ちいちゃんは なくのを やっとこらえて「おうちのとこ。」と言ったね。

ちいちゃんは なきそうだったけれど、がんばって なくのを がまんしたんだね。

ちいちゃんは ひとりぼっちだったから、きっと 心細い気持ちで いっぱいだったよね。
知っているおばさんに 会えたから 少しほっとして がまんしていた 心細い気持ちが あふれてきたのかもしれないね。

どうして ちいちゃんは 「わからない」や「はぐれちゃった」ではなく、「おうちのとこ」と言ったのかな。
きっと ちいちゃんは 「おうちにもどれば お母さんとお兄ちゃんに 会える」「おうちに帰りたい」と 思っていたんじゃないかな。

でも、家は なくなっていたね。
お母さんとお兄ちゃんも 家には いなかったね。

家は もうないのに ちいちゃんは「ここがお兄ちゃんとあたしの部屋。」と言ったね。
昨日まで あった 家を 思い出して、まるで 家で すごしているかのように しゃがんでいたんだね。
そして、おばさんに「お母ちゃんたち、ここに帰ってくるの。」と聞かれて、深く うなずいたね。

なぜかというと、「お母ちゃんとお兄ちゃんは、きっと帰ってくるよ。」と思っていたからだね。 
ちいちゃんは お母さんやお兄ちゃんと 会いたかったんだね。

何さいかは 書いていないけれど、ちいちゃんは 小さな子どもだよね。
だから くうしゅうで 今までどおりの 生活が できなくなったことや 家族が 死んでしまったかもしれない ということが よくわからなくて、「家で 待っていたら 家族に会える」と まっすぐな 気持ちで しんじていたのかも しれないね。

だい4の場面 ちいちゃんは空の上で家族を見つける

だい4の 場面では、かげおくりをした ちいちゃんは 空に すいこまれて 空の上で 家族に会うよ。
少しずつ かくにんしよう。

ちいちゃんが かげおくりをする

こわれかかった ぼうくうごうの中で ねた ちいちゃんが 目をさますと、明るい光が 顔に当たって、太陽が 高く上っていたね。
ということは だい1の場面で 家族四人で かげおくりを したときのように よく 晴れていたんだね。

ちいちゃんは 「暑いような寒いような気がして」「ひどくのどがかわいていた」ね。
あまり元気ではなくて、ぼんやりしている感じが するね。
だい3の場面で、ほしいい(ほした おこめのこと)を 少ししか 食べていなかったもんね。

すると、「かげおくりのよくできそうな空だなあ。」という お父さんの声と、「ね。今、みんなでやってみましょうよ。」という お母さんの声が 青い空から ふってきたね。

くまごろうくまごろう

「青い空」や 「お父さんとお母さんのセリフ」は、だい1の 場面で 家族で かげおくりをする場面と 同じだね。


だい1の 場面と だい4の 場面の かげおくりの ちがうところを くらべてみよう。

だい1の場面だい4の場面
地面のかげぼうし四つの かげぼうしたった一つの かげぼうし
かげおくりのやり方四人は、手をつないで、みんなで かげぼうしに 目を落としたちいちゃんは、ふらふらする足を かみしめて 立つ
数え方お父さん→お母さん→お兄ちゃんとちいちゃん のじゅん番で 数えだすちいちゃんが 数えると、お父さん→お母さん→お兄ちゃんの声が かさなる

だい1の 場面では 四つのかげぼうし だったけれど、だい4の 場面では、たった一つの かげぼうしだね。
なぜかというと だい1の 場面は 家族四人だったけれど、だい4の 場面は ちいちゃんは ひとりぼっちだからだね。

だい1の 場面では 家族で 手をつないで いたけれど、だい4の 場面では ちいちゃんは ふらふらする 足をふみしめて 立ち上がったね。
やっぱり ちいちゃんは 体が弱っていたんだね。

だい1の 場面では お父さん、お母さん、お兄ちゃんとちいちゃん のじゅん番で 数えたけれど、だい4の 場面では ちいちゃんが数えると、お父さん、お母さん、お兄ちゃんの声が かさなっていったね。

だい4の 場面で かげぼうしをしたのは ちいちゃん一人だけなのに、ちいちゃんには 家族の声が 聞こえていたんだね。
きっと、ちいちゃんは ずっと 家族に会いたい と思っていたから、青い空を見て 家族でやった たのしい かげおくりを 思い出して いたんじゃないかな。

空を見上げると 白いかげが 四つあったね。
だい1の場面で、家族で かげおくりをしたときと 同じだね。

ちいちゃんは 「お父ちゃん。」「お母ちゃん、お兄ちゃん。」と よんだね。
なぜかというと、かげが四つあったから ちいちゃんは 「お父さんと お母さんと お兄ちゃんが いる!」と思ったんじゃないかな。

ちいちゃんが空の上で家族と会う

ちいちゃんの体は すうっとすきとおって、空にすいこまれたね。
「空にすいこまれた」って、いったいどういうことだろう?

だい4の 場面の さいごの文は 「こうして、小さな女の子の命が、空にきえました」とあるね。
ちいちゃんは 命を落としてしまったんだね。

くまごろうくまごろう

ちいちゃんの「死因しいん(なくなって しまった りゆう)は なにかは かいていないね。

はっきりとは 書かれていないけれど、ちいちゃんは「ほしいい」を 少ししか 食べていなかったし、のども かわいていたと 書かれているので、「えいようしっちょう(えいようが たりなくて かかってしまう びょうき)」だったのでは ないかと かんがえられているよ。

「体がすきとおって、空にすいこまれた」というのは きっと「ちいちゃんのたましいが空に帰った」 ということじゃないかな。
空の上は 一面の空の色で 空色の 花ばたけが 広がっていたとあるから、 天国かな?と そうぞうできるね。

ちいちゃんは 空の上で「きらきらわらいだし」「わらいながら花ばたけの中を走りだした」ね。
なぜかというと、空の上で「お父さんとお母さんとお兄ちゃんが、わらいながら 歩いてくるのが見えた」からだね。

ちいちゃんは ひとりぼっちで お母さんやお兄ちゃんに 会えるのを 待っていたよね。
だから 空の上のちいちゃんは お父さんやお母さん、お兄ちゃんに 会えて とても うれしい気持ち だったんじゃないかな。

お父さんやお母さん、お兄ちゃんも 空の上にいた ということは、ちいちゃんたち 家族は みんな いくさによって 命を 落としてしまったのかもしれないね。
それは とても悲しい できごとで、みんなも 読みながら 悲しい気持ちに なったかも しれないね。

でも 「きっと、ここ、空の上よ。」という ちいちゃんのセリフや 家族に会えて「きらきら笑って」いる様子から ちいちゃんたちは、空の上で いっしょに いれることを よろこびながら 私たちを 見守ってくれている感じが するね。

だい5の場面 何十年後の町の様子

だい5の 場面では、ちいちゃんが 空に行ってから 何十年後の 町の様子が 書いてあるよ。

だい1から だい4の いくさをしていた場面と だい5の 何十年後の場面は どんなところが ちがうか くらべてみよう。

いくさを していた 場面(だい1~だい4の 場面)何十年後の 場面(だい5 の場面)
【だい1の 場面】
・お父さんと 会えなくなった
・かげおくりが できなくなった
【だい2の 場面】
・お母さんとお兄ちゃんと 会えなくなった
・ひとりぼっちになった
【だい3の 場面】
・町の様子は、すっかり変わった
・家が なくなった
【だい4の 場面】
・命が 空にきえた
・いっぱい 家がたっている
・小さな公園が できた
・子どもたちが、きらきらわらい声を上げて、遊んでいる

だい1の 場面では ちいちゃんは「お父さんと 会えなく」なって、ひこうきが とんでくるから 楽しい「かげおくりが できなくなった」ね。
だい2の 場面では 「お母さんとお兄ちゃんと 会えなく」なって、だい3の 場面では 「家がなくなって」、だい4の 場面では ちいちゃんの「命が空にきえた」よね。

いくさによって ちいちゃんは たのしいことや 大事な家族、大事なものを たくさん うしなってしまったね。
そして いくさに 行っていないのに 町で くらしていた 小さな子どもである ちいちゃんも 命を 落としてしまったよね。

反対に だい5の 場面では、「いっぱい家がたって」、「小さな公園」もできて「子どもたちが、きらきらわらい声を上げて、遊んでいる」ね。

ということは 何十年後の 場面では、いくさが 終わっているんだね。
ちいちゃんたちは いないけれど、町が元気になり 人が 安心して くらしているね。
「きらきらわらい声を上げて」という 言葉から、平和で たのしい様子が 伝わってくるね。

わたしたちは いくさを けいけんしたことはないけれど、このお話を 読むと いくさの おそろしさを 感じたり、そうぞうしたりすることが できるよね。

今 わたしたちは 家族や友だちなどの 大切な人や 大すきな人と 会いたい時に 会ったり、話したり、遊んだり できるよね。
でも ちいちゃんたちにとって それが あたり前では なかったと考えると、大切な人と すごせる毎日が とてもしあわせなことだと 気づかされるよね。

作者は きっと このお話をとおして 「いくさは とてもおそろしい」「いくさのない世界は 平和でしあわせで 安心してくらせる」ということを わたしたちに 伝えたかったんじゃないかな。
そして 「これからも 平和で しあわせな毎日が ずっと続いていってほしい」と ねがっているんじゃないかな。

ことばの意味

「ちいちゃんのかげおくり」で つかわれている ことばのいみと、お話の中で どうつかわれているか「れい」でまとめているよ。
※「ちいちゃんのかげおくり」の中で つかわれている いみなので、ちゅうい してね。

ことばいみ
かげおくりよくはれた日に、地面のじぶんのかげを10びょう じっとみつめ、青い空を見上げることで、かげぼうしを空にうつす遊び
れい:かげおくりのよくできそうな空
出征
(しゅっせい)
ぐんたいの ひとりとして、せんそうを している ばしょへいくこと
れい:出征する前の日
先祖
(せんぞ)
すでになくなった なんだいか前の ちのつながった人のこと。おばあちゃんの おばあちゃんなど。
れい:先祖のはかまいり
つぶやくちいさなこえで ひとりごとを言うこと
れい:お父さんが、つぶやきました
かげぼうし人の かげのこと
れい:かげぼうしをじっと見つめる
目を落とす目を下にむけること
れい:かげぼうしに目を落とす
記念写真おいわいや きろくなど、なにかを記念してとる写真のこと
れい:今日の記念写真
たすきめじるしとして体にかける布のこと
このころは、せんそうに いくとき、たすきを かけた。
れい:たすきをかたからななめにかける
いくさせんそうのこと
れい:いくさに行かなければならない
しょういだんてきの たてものを やくために、もやす くすりを いれて なげおとす ばくだんなどのこと
れい:しょういだんやばくだん
くうしゅうけいほうてきが 空から おそってくることを ちゅういして しらせるための けいほう
れい:くうしゅうけいほうのサイレン
サイレン大きな音を出して ちゅういするように よびかけるための そうち
れい:くうしゅうけいほうのサイレン
うずはげしく うごいて まじりあっている ようす 
れい:ほのおのうず
はぐれるいっしょに いた人が どこにいたか わからなくなって はなればなれに なること
れい:お母さんとはぐれる
あちこちあっちや こっちの いろいろな ばしょのこと
れい:あちこち、けむりがのこっている
はすむかいななめまえのこと
れい:はすむかいのうちのおばさん
こらえるがまんすること
れい:なくのをやっとこらえて
やけ落ちるひどく やけて、くずれおちること
れい:家は、やけ落ちてなくなっていた
ざつのういろいろなものを入れて かたや こしに さげる ぬので できた かばんのこと
れい:ざつのうの中に入れてある
ほしいいほした おこめのこと
れい:ほしいいを、少しかじる
ぼうくうごうくうしゅうから にげて かくれるために 地面に ほられた あなや、たてもののこと
れい:ぼうくうごうの中でねむる
ふみしめるちからを 入れて、しっかりと ふむこと
れい:足をふみしめて立ち上がる
一面あたりいっぱいのこと
れい:一面の空の色

新しい漢字(新出漢字)

「ちいちゃんのかげおくり」で新しく出てきた漢字を紹介するよ。
なぞりがきプリントも よういしたので、たくさん なぞりがきの れんしゅうを しよう。

漢字音読み・訓読み・使い方
カン
感じる・感心(かんしん)する・直感(ちょっかん)
ソウ・おも(う)
空想(くうそう)・想ぞう(そうぞう)
ソウ・おく(る)
送信(そうしん)・放送(ほうそう)・見送る(みおくる)
レツ
列車(れっしゃ)・行列(ぎょうれつ)
ジョウ・の(る)
乗車(じょうしゃ)・乗り物(のりもの)
お(う)
後を追う(あとをおう)・追いかける(おいかける)
ケツ・ち
出血(しゅっけつ)・鼻血(はなぢ)
キョウ・はし
鉄橋(てっきょう)・日本橋(にほんばし)
ショ・あつ(い)
猛暑(もうしょ)・暑い夏(あついなつ)
カン・さむ(い)
寒波(かんぱ)・冬の寒さ(ふゆのさむさ)
ヨウ・ひ
太陽(たいよう)・陽の当たる(ひのあたる)
ケイ・かる(い)
軽食(けいしょく)・軽い食事(かるいしょくじ)
メイ・いのち
命日(めいにち)・命を守る(いのちをまもる)

全文を確認しよう

教科書の「ちいちゃんおかげおくり」の全文ぜんぶんが かくにんできる どうがを しょうかいするよ。

おんどくの おてほんにして、たくさん れんしゅうしよう。

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

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