小野妹子とはどんな人物かわかりやすく解説(完全版)

「遣隋使」といえばまず1番に思い浮かぶ人物が「小野妹子」だね。
「妹子」なんて名前のせいで「女の人なんでしょ?」と誤解されやすい彼は、遣隋使として仕事をしていたときにも最大級の「とばっちり」で絶体絶命のピンチに立たされたりもしているよ。

今回は、「遣隋使」「面白い名前」というイメージばかりになりがちな小野妹子について詳しく解説するよ!

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小野妹子とはどんな人物かわかりやすく解説 (完全版)

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小野妹子をザックリ表すと?

ザックリいうと

ずいへ使いに行って日本を認めてもらうという重大任務じゅうだいにんむ聖徳太子から任されてしまったけど、とばっちりで絶体絶命ぜったいぜつめいの大ピンチに。運よく切り抜けて大出世だいしゅっせ

小野妹子の基本情報
小野妹子の基本情報
誕生:不明(6世紀後期)
没:不明(7世紀前期)
飛鳥時代の官人かんじん(大礼→大徳)
近江国おうみのくに(現在の滋賀県大津市)小野の豪族ごうぞく出身。
かばねおみ
小野氏は、天足彦国押人命あめたらしひこくにおしひとのみこと始祖しそとする氏族。
日本書紀にほんしょきに遣隋使として活躍したことが書かれている。
随書ずいしょに登場する使者は小野妹子のことと考えられている。

女性なの?男性なの?

小野妹子は「妹子いもこ」という名前のせいで、よく「女性」と思われてしまいがちだよ。
でも、れっきとした男性。

たろうたろう

なんで男性なのに「子」がつくの?

くまごろうくまごろう

この頃の貴族や豪族の男性に「子」がつくのは別に普通のことだったんだよ。
有名どころでいうと、「蘇我馬子そがのうまこ」だって「子」がつくでしょ。

たろうたろう

あっ
確かに…

小野妹子の場合は「妹」という感じが使われているから余計に女性らしい名前に感じてしまうんだね。
ちなみに、奈良時代以降※になると今と同じように「子」=女性の名前というようになったよ。※平安時代以降という説もある

飛鳥時代の官人とは?

官人かんじんというのは、役人のことだよ。
つまり、朝廷で働く役職のついた人のことだね。
飛鳥時代には、聖徳太子が「冠位十二階かんいじゅうにかい」という制度を作ったね。

地方豪族の出身だった小野妹子は、才能を認められて冠位十二階のうち上から5番目の「大礼だいれい」という冠位かんいを持っていたよ。
そしてその能力を聖徳太子に買われて607年の「遣隋使」に大抜擢だいばってきされたというわけ。

小野妹子は、実は天皇の一族だった?

小野妹子のかばねは「おみ」。

たろうたろう

あれ?
臣って、かなり偉い氏族しぞくがもらえる称号だったよね。


くまごろうくまごろう

実は、小野氏は「皇族」の子孫なんだ。


小野氏の始祖しそ(「ご先祖さま」のイメージ)である天足彦国押人命あめたらしひこくにおしひとのみことは、第5代天皇の孝昭天皇こうしょうてんのう皇子おうじなんだよ。

ちなみに、小野氏の家系図には小野妹子が「敏達天皇びだつてんのうの皇子である、春日王子かすがおうじの子(つまり、敏達天皇の孫!)」というものもあるんだけど、これは仮冒かぼう(人の名前を借りること。つまり、本当のことではないということだね)と考えられているよ。

小野一族には有名人が他にもいる!

小野一族には、皆が知っているような有名人が他にもいるんだ。

世界3大美女「小野小町おののこまち

中でも、世界3大美女のひとりに数えられる 小野小町はかなり有名だよね。

たろうたろう

百人一首でも
「花の色は うつりにけりな いたづらに
わがみよにふる ながめせしまに」という歌が有名だね。

柳と蛙の絵で有名「小野道風おののみちかぜ」※

※「おののとうふう」と呼ぶ場合もあるよ
小野道風は、有名な書道家だよ。
「書道の神様」とあがめられているんだ。

でもそんな道風にも、スランプの時があったんだって。
その時のエピソードがこれまた有名なんだ。

道風がある雨の日に道を歩いていると、やなぎに飛びつこうとしていたかえるを見かけるんだ。
柳にはとてもじゃないけれど届きそうではなかった距離だったので、「無理に決まっている」と思いながら見ていた道風なんだけど、
その時、風が吹いて柳がれると、それを見逃さずに蛙が柳につかまるんだ。

それを見た道風は「努力すればむくわれることがある。自分も蛙のような努力をしているか?」と自分自身を見つめ直すんだ。

このお話は、戦前の日本では教科書に載っていたので、特にその頃の日本人の間では道風はとても有名だったよ。今でも道徳の教科書に載っていることがあるんだって。

「柳に小野道風」は、「花札はなふだ(カードゲームのひとつ)」の絵札にもなっているよ。

柳と小野道風のイラスト

めちゃめちゃ頭の良い「小野篁おののたかむら

小野篁は、平安時代の参議さんぎを務めていたよ。
参議とは、今でいう「内閣の大臣」のこと。
ちなみに、遣唐使では「副使」として選ばれたりもしているんだ。

たろうたろう

小野妹子も「遣隋使」として活躍したもんね。

でも、遣唐使としての渡航とこう(つまり海で中国へ渡ること)が何度か失敗すると、小野篁は「遣唐副使やめます!」と拒否きょひしてしまうんだ。
しかも朝廷を批判ひはんするような歌を作ったりしたので、起こった天皇によって隠岐おきに流されてしまうよ。

でも、その後遣唐使自体が中止になって、小野篁も許されて朝廷に戻ってくるんだ。
この「流されたのに戻ってこれた」ことから「奇跡の人」と噂されて、なんと「閻魔大王えんまだいおう補佐ほさ(サポートのこと)をしていたらしい」なんて伝説まで生まれてしまった。

たろうたろう

なかなかインパクト大な人だね・・


くまごろうくまごろう

さらに小野篁は めちゃめちゃ頭が良かったと言われていて、こんなエピソードもあるよ。

あるとき、嵯峨天皇さがてんのうが小野篁が本当に「キレ者」なのかを試そうとして、こんなナゾかけを出すんだ。

嵯峨天皇嵯峨天皇

小野篁。
「子子子子子子子子子子子子」
を読んでみろ!!

たろうたろう

えっ
子が12個・・?
ここここここ・・・?

小野篁小野篁

ねこのこ子猫、獅子ししのこ子獅子こじし」です。

たろうたろう

……?

「子」という漢字は、「ね」・「こ」・「し」とそれぞれ読むことができるよね。

子子ねこ(の)子子子子ここねこ 子子しし(の)子子子子
ここじし

というわけ。
こんなことを咄嗟とっさに思いつくなんて、小野篁は本当にすごい「キレ者」だったんだね。

小野妹子が遣隋使を務めたのは
実は2回だけ!

さて、小野妹子の話にもどって・・
「遣隋使といえば小野妹子」というイメージだけど、実は小野妹子が遣隋使を務めたのは「第二次遣隋使」と「第三次遣隋使」だけなんだ。

遣隋使は全部で推古天皇の時代に6回送られているよ。

たろうたろう

そうなんだ。
でも、どうしてこんなに小野妹子だけが遣隋使として有名なんだろう?

最大のとばっちり事件

小野妹子が有名になった原因のひとつが、
煬帝ようだい激怒げきど」事件だね。

煬帝というのは、遣隋使が送られていた頃の中国の皇帝の名前。
とっっっても怖い皇帝として有名だったんだ。

そんな煬帝のところへお使いに行くだけでもヒヤヒヤなのに、聖徳太子が小野妹子に持たせた手紙が煬帝を激怒させてしまうという事態が発生。

くまごろうくまごろう

手紙(国書)には、
「日いづるところの天子てんしが、日が沈むところの天子にお手紙を差し上げます」
ということが書かれていたんだ。


※聖徳太子が書いた手紙だけど、この「天子」というのは、このときの天皇である推古天皇のことだよ。

この頃のアジアでは、中国は他の国と比べて文化も政治も進んでいたので、煬帝にとって「中国はほかの国よりも優れた大国たいこく」という認識だったんだ。

それなのに聖徳太子が煬帝のことも、日本の天皇である推古天皇のことも同じ「天子」と呼ぶということは「煬帝と日本の天皇は対等」と考えていることになってしまうし、
それどころか「日が出る」のに対して「日が沈む」と言われた自分は見下されてさえいるように感じてしまったんだね。

煬帝皇帝に聖徳太子の書を渡す小野妹子のイラスト

この時の聖徳太子は、力をつけすぎた豪族を抑えて、天皇中心の国を作りたいと考えていたのと、中国や朝鮮などの周りの国も力をつけていっているので、「日本も国の力をつけなくては!」と頑張っていたんだ。

なので、あえて同じ「天子」を使ったりして、日本をひとつの独立した国として認めてもらいたかったという思いがあったんだよ。

とはいえ、激怒した煬帝の怒りの矛先ほこさきは、とりあえず使者の小野妹子へ向かってしまうよね。
「失礼な国から来た使者なんて、殺してしまえ!」となってしまった可能性だってゼロではないよね。

くまごろうくまごろう

でも、この頃の随は、朝鮮の高句麗こうくりと敵対していたので、これ以上敵を増やしたくなかったという事情があったんだ。
それで、結局 小野妹子は無事に日本へ帰ることができたよ。

たろうたろう

ヒヤヒヤするね…

随の歴史書である「隋書ずいしょ」には、この時の事が載っているよ。
「小野妹子」の名前は出ていないけど、607年に来た遣隋使のこととして書かれているから、小野妹子だろうと考えられているんだ。

煬帝からの返事をなくした!

さて、無事に帰れることになったとして、聖徳太子から預かった「手紙」を持っていったんだから、もちろんそれに対する煬帝からの「返事」を持って帰ってくるハズだよね。

でも、小野妹子はこの煬帝からの返事を、百済くだらに盗まれた」と言い張ったんだ。

これに対して、百済と親交が深かった蘇我氏はすごく怒ったよ。
そもそも「返事をなくした」という失態しったい(失敗のこと)はとんでもないことで、
本当は流刑(どこか地方に流されること)にされてしまうようなことだったんだ。

でも、推古天皇すいこてんのうからお許しが出て、流されるようなことはなかったんだよ。
それどころか、その後 小野妹子は第三次遣隋使に選ばれたりしているんだ。

くまごろうくまごろう

推古天皇からお許しが出たことと、また遣隋使に選ばれたということから、煬帝からの返事を「なくした・または盗まれた」わけではなくて、
本当は「煬帝からは返事をもらえなかった」または「返事はもらえたけど、随と日本を対等とは認めないというような良い返事ではなかった」のではないかと言われているんだ。

せっかく中国に対等な国づくりを目指していた聖徳太子や推古天皇にとっては、
「煬帝から良い返事をもらえなかった」なんてことが広まってしまったら、ちょっと困ることになってしまうよね。
だから、小野妹子には「なくした・または盗まれた」ということにしてもらったのでは?
と考える意見もあるよ。

随からの返書について相談している小野妹子と聖徳太子と推古天皇のイラスト

たろうたろう

なんにせよ、小野妹子にとっては「損な役回やくまわり」だったイメージだね・・

大礼から大徳に出世!!

でも、損なことばかりではなかったよ。

遣隋使として活躍した小野妹子は、なんと「大礼だいれい」から「大徳だいとく」まで大出世だいしゅっせさせてもらったんだ。

小野妹子が冠位十二階の大礼から大徳まで出世したことを表すイラスト

大礼は冠位十二階の第5位。
大徳は第一位。

くまごろうくまごろう

すごい!いきなりトップレベルにしてもらえたんだね!

小野妹子のお墓は?

小野妹子のお墓は、大阪府太子町たいしちょうにあるよ。
飛鳥時代の天皇陵てんのうりょう(天皇のお墓)が多くあるところなんだ。

でも、この後に説明するけど、滋賀県にも小野妹子のお墓ではないかと言われているところがあるよ。

地元で愛されている妹子

小野妹子の生誕地である滋賀県大津市には、「小野駅」もあるし、「小野小学校」もあるよ。
さらになんと、「小野妹子公園」なんてものがあるんだ。

小野妹子公園には「唐臼山古墳からうすやまこふん」があって、これを「妹子の墓」という説もあるよ。

くまごろうくまごろう

でも、そこに立ててある看板には「確かなことはわからない」と書かれているので、ハッキリはしないけれどね。


墳丘上ふんきゅうじょうには「小野妹子神社」があるよ。

そして大津市では、11月3日の文化の日には「小野妹子まつり」が開かれるんだって。

たろうたろう

小野妹子は、地元の人に愛されているんだね!

運営者情報

青山学院大学教育学科卒業。TOEIC795点。2児の母。2019年の長女の高校受験時、訳あって塾には行かずに自宅学習のみで挑戦することになり、教科書をイチから一緒に読み直しながら勉強を見た結果、偏差値20上昇。志望校の特待生クラストップ10位内で合格を果たす。

感想や意見を聞かせてね

  1. 小野妹子 より:

    イラストや会話を使ってわかりやすく解説していただいたのでとても良かったです。
    ありがとうございました。

  2. 匿名 より:

    おもろ

  3. Bell より:

    小野妹子の出身地はどこですか

    • yumineko より:

      Bellさん
      小野妹子は、近江国滋賀郡小野村の豪族とのことです。現在の滋賀県の大津市小野という地域の出身のようですね。

  4. Bell より:

    分かりやすかったです
    ありがとうございました。

  5. 歴史人物大好き!! より:

    小野妹子さんは何歳まで生きたのか教えて下さい!!

    • 匿名M より:

      49歳らしいです

      • yumineko より:

        教えていただきありがとうございます!
        そうなんですね・・!
        小野妹子さんの生年・没年は不明といわれていますが、そのような情報もあるのですね。
        とても興味深いです(^^)

  6. 匿名 より:

    まとめを書いてほしかった

  7. 聖徳太子 より:

    すごいわかりやすかったです!!
    煬帝激怒の所がわからなかったので助かりました!!

  8. みっちゃん より:

    分かりやすくまとめて下さってありがとうございます^O^